用語集
デイリー戦略ノートで頻出する米国株・マーケット用語を、意味と株式市場での見方からわかりやすく解説します。 全 36 用語。
指標8
フリーキャッシュフロー (FCF) を売上で割った比率。売上 1 ドルのうち何セントが自由に使える現金に変わるかを示し、会計上の利益ではなく実際の現金創出力で企業の質を測る指標。
M&A (買収・売却) や為替の影響を取り除き、既存事業の自力でどれだけ伸びたかを示す売上成長率。企業の本当の地力を測るための非 GAAP の補助指標。
株価をインフレ調整済みの過去 10 年平均利益で割って算出する長期バリュエーション指標。1 年の利益のブレを均すことで景気循環の影響を取り除き、市場が割高か割安かを長期目線で測る。ロバート・シラーが普及させ「Shiller P/E」とも呼ばれる。
個人消費支出 (PCE) 物価指数から変動の大きい食品・エネルギーを除いたコア指標。FRB が 2% の物価目標で最も重視するインフレ尺度で、CPI とは算出範囲や代替効果の扱いが異なる。
利益 (EPS) が変わらない、あるいは増えていても、市場が許容する評価倍率 (P/E など) が下がることで株価が下落する現象。金利上昇や成長期待のはがれで起きる「マルチプル・コントラクション」の下げ方向を指す。
ある期間 (月・四半期など) の実績をそのまま 1 年分に引き伸ばして年率換算した値。急成長企業の「いまの規模」を素早く掴むのに使われる一方、季節性や一過性要因を無視するため過大・過小評価に注意が必要な指標。
SaaS 企業の「売上成長率 (%) + 利益率 (%)」の合計が 40% 以上かどうかを見る経験則。成長と収益性のどちらかに偏らず、両者の合計で企業の健全性を評価する考え方で、高成長 SaaS のバリュエーション判断に広く使われる。
経済指標を「前年同月比 (YoY)」と「前月比 (MoM)」のどちらで見るかで景気の勢いの印象が変わる。両者の算出式の違いと、過去の月が外れて生じるベース効果による乖離の読み方を解説。
マクロ4
企業が工場・設備・データセンター等の固定資産に投じる設備投資 (CapEx) が、好況で膨らみ不況で絞られる循環。CapEx/減価償却比が 1.0 倍前後なら維持、1.0 倍超なら成長投資。供給増 → 利益率低下を読む「資本サイクル」の中核概念。
物価は上がり続けているが、その上昇ペース (インフレ率) が前より鈍くなっている状態。価格そのものが下がるデフレとは異なり、FRB が利上げで意図的に作り出すこともある。利下げ期待を通じて株式市場の追い風になりやすい。
もともとは債券の金利感応度を表す指標。株式に応用すると、価値の多くを遠い将来のキャッシュフローに頼る高PERグロース株ほど「デュレーションが長く」、金利上昇に弱いという見方ができる。
FOMC 会合の前後に Fed (連邦準備制度) 高官の金融政策に関する公の発言が制限される期間。会合 2 週前の土曜から会合翌日まで続き、その間は新たな金融政策シグナルが出ないため市場の見方が固定されやすい。
テクニカル2
センチメント3
S&P500 オプションのインプライド・ボラティリティから算出される、今後 30 日間の予想変動率を示す指数。市場の不安が高まると上昇するため「恐怖指数」と呼ばれ、株価とは逆相関の傾向がある。
全米アクティブ投資マネージャー協会 (NAAIM) が毎週調査する、会員運用者の平均株式エクスポージャー (持ち高) 指数。プロのポジションの強気度を数値化し、極端な高低を逆張り的に読むセンチメント指標。
プットオプションとコールオプションの出来高比率から投資家心理を測るセンチメント指標。一般に高いと弱気過熱、低いと強気過熱とされ、相場の行き過ぎを測る「逆張り (コントラリアン)」指標として使われる。
ファンダ13
顧客と契約済みでまだ提供していないサービスの総額 (繰延収益 + 受注残)。会計基準 ASC 606 で開示が義務付けられた将来収益の可視化指標で、うち今後 12 カ月分が cRPO。
アナリストによる 1 株あたり利益 (EPS) 予想の上方・下方修正。予想が引き上げられ続ける上方修正モメンタムは、最も強力な単独アルファ要因の一つとされるファンダメンタルズ指標。
売上の伸びに対してコストが緩やかにしか増えず、増収が利益率の拡大につながる構造。SaaS では高い粗利率と固定費的なコスト構造により、規模拡大とともに営業利益率が改善するかが評価軸となる。
サブスクリプション型ビジネスが既存契約から 1 年間に得られる、繰り返し発生する収益を年率換算したもの。一時的な売上を除いた「ストックの太さ」を示し、SaaS / クラウド企業の成長を測る最重要 KPI。
既存顧客だけで前年比どれだけ収益を維持・拡大できたかを示す比率。アップセルや解約を反映し、100% 超なら新規獲得ゼロでも既存顧客だけで成長する状態を意味する SaaS の重要 KPI。
企業が自ら示す次の四半期・通期の売上や利益の見通し。引き上げ・据え置き・引き下げのどれを出すかが、過去の実績そのものより株価を動かすことが多い、最重要の業績シグナル。
ハイパースケーラーが自社の AI 用途に特化して設計する専用チップ。Google の TPU や Amazon の Trainium が代表例。汎用 GPU より柔軟性は劣るが、特定用途では電力効率とコストで優位に立つ。
GAAP EPS は会計基準どおりに計算した 1 株利益、Non-GAAP EPS はそこから一時要因や非現金費用を除いた「調整後」の 1 株利益。両者がどう違い、なぜ両方を見るべきかを解説。
前期と同じ為替レートで換算し直し、為替変動の影響を取り除いた売上・利益の成長率。多国籍企業が「事業そのものの実力」を示すために使う非 GAAP の補助指標。
ある期間に積み上がった年間経常収益 (ARR) の純増額。新規獲得・拡張から解約・縮小を差し引いた値で、SaaS 企業の成長の「勢いの変化」を最も素直に映す指標とされる。
ある期間に顧客へ請求した総額を表す SaaS 指標。会計上の売上 (Revenue) に繰延収益の増減を足して算出し、収益認識より先に動くため需要や受注の勢いを早く映す先行指標とされる。
株価を「今後 12 か月の予想 1 株利益 (EPS)」で割った予想株価収益率。実績ではなく将来予想を使うのが特徴で、単独の数値ではなく 5 年・10 年平均との比較で割高・割安を判断するのが鉄則。
営業キャッシュフローから設備投資 (CapEx) を差し引いた、事業が生み出す自由に使える現金。会計上の利益と違って実際の現金の増減を捉えるため「本当に稼ぐ力」を映す指標とされる。
マーケット構造6
送配電網を持たず、発電所だけを所有・運営して電力を卸売・販売する独立系発電事業者。規制で守られた料金基盤を持たない分、電力市況や長期契約 (PPA) の条件で収益が大きく変わる。AI データセンター需要で再評価された電力テーマの中心。
上場企業が新株を取引所の市場価格でこまめに売り出して資金調達する増資の手法。事前に棚上げ登録 (Form S-3) した枠内で、証券会社を売却代理人として小口で市場に流すため、従来型の公募より価格インパクトが小さい一方、既存株主の希薄化は進む。
景気循環の局面に応じて、強い業種 (セクター) へ資金が移っていく現象・戦略。景気敏感株と景気防衛株の間を資金が回ることで、相場の局面転換のサインになる。
数千〜数百万台規模のサーバーを世界中のデータセンターで運用し、クラウドと AI 計算基盤を弾力的に拡張できる超大規模事業者。AWS / Microsoft Azure / Google Cloud が代表格で、巨額の設備投資 (capex) が株式市場のテーマになる。
投資家の高い期待がすでに株価に織り込まれ、最良シナリオ前提の高いバリュエーションまで買い上げられた状態。少しの未達や悪材料でも大きく下げやすく、下値の「のりしろ (安全余裕)」がほぼ無いことを指す。
指数の上昇・下落に、どれだけ多くの銘柄が参加しているかを示す概念。多くの銘柄が上げる「広い」相場は健全で、一握りの銘柄だけが牽引する「狭い」相場は脆いとされる。