用語 · マーケット構造
Triple Witching約 3 分トリプルウィッチングとは|先物・オプション3つが同時満期する第3金曜の出来高急増
読み: とりぷるうぃっちんぐ
3・6・9・12月の第3金曜に株価指数先物・指数オプション・個別株オプションが同時満期を迎え、出来高とボラが構造的に膨らむ日。 「アノマリー」というより、毎四半期に必ず起きる構造イベントである点が要諦。
ひとことで言うと: 3・6・9・12月の第3金曜に株価指数先物・指数オプション・個別株オプションが同時満期を迎え、出来高とボラが構造的に膨らむ日。
トリプルウィッチングとは
トリプルウィッチング (Triple Witching) とは、株価指数先物 (Stock Index Futures)・株価指数オプション (Stock Index Options)・個別株オプション (Stock Options) という3種類のデリバティブが同時に四半期満期を迎える、3・6・9・12月の第3金曜を指す。満期に向けたポジション清算・ロールオーバー・裁定取引の巻き戻しが重なり、特に大引け前の1時間 (NY時間15〜16時、いわゆるウィッチング・アワー) に売買が集中する。この日の出来高は平時のおよそ2倍に膨らむのが通例で、S&P500やFTSE等の四半期インデックス銘柄入れ替え (リバランス) も同日に重なるため、引け値での約定需要がさらに上乗せされる。かつて2002〜2020年は個別株先物 (Single Stock Futures) を加えてクアドルプル (4つ) と呼ばれたが、米国での取引終了で現在は再びトリプルが標準呼称となっている。
なぜ重要か / 株式市場での見方
「アノマリー」というより、毎四半期に必ず起きる構造イベントである点が要諦。投資家にとっての実益は方向性の予測ではなく、(1) 出来高が平時の約2倍に膨らみ流動性が一時的に厚くなる、(2) 大引け前後と寄り付きに価格が振れやすくなる、(3) 引け値での大口インデックス約定が需給を歪める、という「いつ波が立つか」を事前に把握できる点にある。短期トレーダーはスプレッド拡大やフラッシュ的な振れを警戒し、長期投資家はこの日の単発の値動きをファンダの変化と取り違えない判断材料になる。インデックス入れ替えが重なる回 (特に9月・12月) は出来高がさらに膨らみやすく、年間でも有数の大商い日となる。閾値の目安として「出来高が平時の2倍前後」「VIXが満期週にやや上振れしやすい」を頭に置くとよい。
注意点 — アノマリーとの距離感
トリプルウィッチングは出来高の増加こそ頑健に観測されるが、「方向性のある儲かるアノマリー」ではない点に注意。Stoll & Whaley (1990/1991) は満期日の出来高急増を確認した一方で、プログラム売買対象株と他の株で有意なリターン差は見出せず、Sofianos (1994) も価格への影響は限定的とした。値動きは短期的・一時的で企業ファンダとは無関係なことが多く、「必ず下がる/上がる」といった方向の偏りは学術的に確認されていない。1987年6月以降、一部の決済を寄り付き精算に変える制度変更で引けの集中度は緩和され、効果は時代とともに薄まったとされる。近年 (2021年以降) は満期週のボラがやや高いとの集計もあるが短期間・少サンプルで、平均的傾向であって毎回再現されるものではない。具体的な売買タイミングの根拠にはせず、流動性とボラが膨らみやすい日という前提把握にとどめるのが安全。
関連する用語・指標
本用語は数ある市場アノマリーの一つです。季節性・カレンダー効果・効率的市場仮説との関係など全体像はアノマリーの解説を参照してください。関連するアノマリーは本ページ下部の関連リンクから辿れます。
関連する用語
Market Anomaly
アノマリー
効率的市場仮説では説明できない、規則的に観測される株価のクセ (季節性・カレンダー効果など) の総称。「Sell in May」「1月効果」などが代表例で、過去の傾向であって未来を保証しない点が肝心。
Day-of-the-Week Effect / Monday Effect / Weekend Effect
曜日効果 / 月曜効果
月曜のリターンが歴史的に低く金曜が高いとされた曜日のクセ。1970年代半ば以降は弱まり、いまは消えたとの見方が強い。 投資家にとっての意味は「曜日でリスクの色が違った時代がある」という歴史的事実の理解にある。
VIX
VIX (恐怖指数)
S&P500 オプションのインプライド・ボラティリティから算出される、今後 30 日間の予想変動率を示す指数。市場の不安が高まると上昇するため「恐怖指数」と呼ばれ、株価とは逆相関の傾向がある。
Window Dressing
ウィンドウ・ドレッシング
四半期末・年末に運用者が運用報告を良く見せるため勝ち組を買い負け組を売る、四半期末の値動きを一時的に歪めるとされる慣行。 四半期末 (3/6/9/12 月末) と特に年末に向けて、すでに値上がりした人気銘柄に追加の買い圧力、出遅れ銘柄に売り圧力がかかりやすい点を投資家は意識する。