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CET1 (Common Equity Tier 1) Ratio約 5 分普通株式等Tier1比率とは|意味・読み方・株式市場での見方をわかりやすく解説
読み: ふつうかぶしきとうてぃあわんひりつ
銀行の自己資本のうち最も損失吸収力の高いCET1資本を、リスク加重資産で割った比率。バーゼルIIIが定める自己資本健全性の最上位・最厳格の指標で、銀行株の安全性と株主還元余力を同時に読む鍵になる。
ひとことで言うと: 普通株式等Tier1比率 (CET1 Ratio) は、銀行の自己資本のうち最も損失を吸収しやすい「普通株式等Tier1資本」を、リスクの大きさで重み付けした資産で割った比率。銀行が危機に耐える「体力」と、配当・自社株買いをどれだけ出せるかの「余力」を同時に映す、銀行株の最重要指標です。
普通株式等Tier1比率とは
普通株式等Tier1比率 (CET1 (Common Equity Tier 1) Ratio) とは、銀行の自己資本のうち最も損失吸収力の高い「普通株式等Tier1資本 (CET1資本)」を、リスクの大きさに応じて重み付けした資産額 (リスク加重資産、RWA) で割った比率です。バーゼルIII (Basel III) が導入した銀行の自己資本健全性の中核指標で、CET1資本は普通株式 + 内部留保 (利益剰余金) + その他包括利益などから、のれん・無形資産などを控除して算出します。
算出式はシンプルで、CET1比率 = CET1資本 ÷ リスク加重資産 (RWA) です。
自己資本比率には、質の高い順に次の3階層があります。
- CET1比率 — 最低 4.5%。最上位・最厳格の指標
- Tier1比率 — 最低 6%。CET1資本に劣後資本 (その他Tier1=AT1) を加えたもの
- 総自己資本比率 — 最低 8%。さらにTier2を加えた最広義の比率
さらにバーゼルIIIは、この最低水準の「上」に複数のバッファー (緩衝) を積ませます。
| 上乗せ | 内容 |
|---|---|
| 資本保全バッファー | すべての銀行が積む (CET1で充当) |
| カウンターシクリカル・バッファー (CCyB) | 景気拡大局面に当局が課す可変的な上乗せ (0〜2.5%) |
| G-SIBサーチャージ | 巨大で複雑な国際的システム上重要な銀行 (G-SIB) への上乗せ |
米国では、資本保全バッファーの部分が年次ストレステスト (CCAR / DFAST) の結果に連動する「ストレス資本バッファー (SCB)」に置き換わっています。CET1の最低 4.5% + SCB (最低 2.5%) で実質的な下限はおおむね7%以上となり、G-SIBサーチャージを加えると、銀行ごとに2桁台まで要求水準が上がります。
📚 用語: リスク加重資産 (RWA) とは、銀行の資産を「リスクの大きさ」で重み付けして合計した額。国債のように安全な資産は軽く、貸倒れリスクの高い融資は重く計算する。同じ資本額でも、RWAの算定方法が変わればCET1比率は上下する。
なぜ重要か / 株式市場での見方
銀行株を評価する投資家にとって、CET1比率は「安全性」と「株主還元余力」を同時に読む鍵になります。
第一に、CET1比率は不況や金融ショックで損失が出たとき、預金者・債権者に先んじて損失を吸収する、最も質の高い緩衝材の厚みを示します。比率が高いほど突発的な損失に耐えやすく、危機時に倒れにくい「体力のある銀行」と評価されます。
第二に、規制最低水準とバッファーの合計を下回ると、配当・自社株買い・裁量的賞与に「自動的な制限」がかかります (米国・欧州ではMDA = 最大配当可能額の制約)。逆に、規制が求める水準に対してCET1比率が厚い (バッファーに余裕がある) ほど、増配や大型の自社株買いを実行できる余地が広がります。つまり、CET1比率と規制要求水準の差 (余剰資本) こそが、銀行のキャピタルリターン (株主還元) の源泉になります。
このため米国の銀行株では、毎年6月のFedストレステスト (CCAR) の結果で各行のSCBが確定し、それを受けて各行が配当・自社株買い計画を発表する流れが、銀行株の重要なカタリストになります。資本規制の緩和 (ストレステストのシナリオ緩和、バーゼルIII最終化「エンドゲーム」の要求引き下げ等) は還元余力を増やす追い風、規制強化は逆風として、銀行株のバリュエーションに直結します。
🎯 要点: 銀行株を読むときは2点が要。(1) CET1比率の絶対水準だけでなく、規制要求水準 (4.5% + SCB + サーチャージ) との「差 = バッファー」を見る。(2) ストレス時にどこまで比率が落ちる想定か (ストレステストの最低到達点) を見る。バッファーが厚いほど還元余地が大きく、薄いほど還元が縛られる。
関連する用語・指標
CET1比率の分子であるCET1資本に劣後資本 (その他Tier1=AT1、Tier2) を加えると「Tier1比率」「総自己資本比率」になり、CET1比率はその最も厳格な上位概念にあたります。分母の「リスク加重資産 (RWA)」は資産をリスクの大きさで重み付けした額で、同じ資本でもRWAの算定方法が変わるとCET1比率は動きます (バーゼルIII最終化「エンドゲーム」での標準的手法の見直しが論点)。
資本の質を問わず総資産で割る「レバレッジ比率」とは対照的で、両者は補完関係にあります。米国ではストレステスト (CCAR / DFAST) の結果がストレス資本バッファー (SCB) として要求CET1水準に直結し、巨大行にはG-SIBサーチャージが上乗せされます。バッファー割れ時の還元制限は、MDA (最大配当可能額) の概念につながります。
投資家視点では、CET1の余剰資本が自社株買い (Buyback) や配当 (Dividend) の原資となる点で、株主還元・キャピタルリターンの議論と一体で読むと理解が深まります。
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