用語 · 指標
CAPE / Shiller P/E約 3 分CAPE (Shiller P/E) とは|景気循環調整後 P/E の意味・算出式・水準の目安をわかりやすく解説
読み: けーぷ
株価をインフレ調整済みの過去 10 年平均利益で割って算出する長期バリュエーション指標。1 年の利益のブレを均すことで景気循環の影響を取り除き、市場が割高か割安かを長期目線で測る。ロバート・シラーが普及させ「Shiller P/E」とも呼ばれる。
ひとことで言うと: CAPE (景気循環調整後 P/E) は、株価をインフレ調整した「過去 10 年平均」の利益で割ることで 1 年単位の利益のブレを均し、市場が長期目線で割高か割安かを測るバリュエーション指標です。
CAPE (景気循環調整後 P/E) とは
CAPE は Cyclically Adjusted Price-to-Earnings ratio (景気循環調整後株価収益率) の略で、ノーベル経済学賞のロバート・シラー (Robert Shiller) が普及させたことから Shiller P/E とも呼ばれます。「P/E 10」と表記されることもあります。
算出式はシンプルです。
CAPE = インフレ調整済みの株価 ÷ 過去 10 年間の実質 (インフレ調整済み) 利益の平均
通常の P/E (株価収益率) は直近 1 年の利益で株価を割りますが、企業利益は好況で膨らみ不況でしぼむため、好況の底では P/E が低く見え、不況のどん底では利益が縮んで P/E が異常に高く見える、という歪みが生まれます。CAPE は 過去 10 年分の利益を平均 して 1 つの景気循環をまるごとならし、さらに物価上昇の影響を取り除くことで、この歪みを抑えた「素の割高度」を測ろうとします。S&P500 に対して使われるのが一般的です。
なぜ重要か / 株式市場での見方
CAPE は、短期の売買タイミングではなく 今後 10〜20 年の長期リターンを予想する 道具として使われます。過去のデータでは、CAPE が高いときに買い始めると、その後 10〜20 年の年率リターンが低くなりやすい (割安なときほど高くなりやすい) という逆相関の傾向が知られています。
水準の目安として、S&P500 の長期平均 (Mean) は約 17、中央値 (Median) は約 16、20 世紀平均は 15.21 です。観測史上の最安値は 4.78 (1920 年 12 月)、最高値は 44.19 (1999 年 12 月のドットコム期) でした。シラー自身も、25 を超える水準は過去に 1929 年・1999 年・2007 年の過熱期にしか現れなかったと指摘しています。直近では 42.53 (2026 年 6 月 3 日時点) と、平均の 2 倍超・史上最高に迫る高水準にあります。
ただし CAPE は「いつ下げるか」は教えてくれません。割高でも数年間は上昇が続くことが珍しくなく、金利が低い局面では平均より高い水準が常態化しやすいという批判もあります。短期の売買シグナルではなく、長期の期待リターンを冷静に見積もる物差し として、絶対値と「ふだんと比べて高いか」の両面で読むのが実践的です。
関連する用語・指標
同じバリュエーション指標でも、フォワード P/E は「今後 1 年の予想利益」で株価を割り、市場の足元の期待を映します。これに対し CAPE は「過去 10 年の実績平均利益」で割るため、景気循環をまたいだ長期目線の割高度を測る点が異なります。両者を併せて見ると、市場が短期の期待と長期の歴史的水準のどちらから見て割高なのかを切り分けられます。