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Bull Note米国株 デイリー戦略ノート

DAILY · 2026 / W31

2026/07/31 — Amazon +15.32% (2012年以来最大) と Apple -7.35% がダウで綱引き。7月は S&P500 -0.13% でも半導体 SOX -20.61%、Microsoft +24.58% と分裂したまま決着

US 7/31 (金) は7月最終営業日。S&P500 +0.70% (7,489.72)・NASDAQ +1.00% (25,373.85)・ダウ +0.53% (52,485.03) と上昇して週を終え、S&P500 は3週ぶりの上昇週 (+1.05%) になった。主役は前日引け後に決算を出した2社で、AWS が +36.7% と18四半期ぶりの最速成長を示した Amazon が +15.32% ($271.58) と2012年以来最大の単日上昇、対照的にメモリ価格高騰で9月期ガイダンスを下げた Apple が -7.35% ($308.91) と16か月ぶりの大幅安。ダウでは Amazon が約 +208pt 押し上げ、Apple が約 -188pt 押し下げてほぼ相殺した。ただしラッセル2000 は -0.50% と逆行安で、指数の緑と裏腹に中小型は売られる『メガキャップ主導日』の典型だった。同日発表の6月 PCE は前年 +3.7% (5月 +4.1%)、コア PCE は +3.3% と鈍化。7月を通しては S&P500 -0.13%・ダウ +0.32% (4か月連続上昇) と横ばい圏に着地したが、内側では半導体 SOX -20.61%・NASDAQ100 -6.61% の一方で Microsoft +24.58%・Amazon +13.95% と、AI 収益性を証明できたかどうかで銘柄が真っ二つに割れた月だった。

執筆: kinjo23 分で読了中立

TL;DR

US 7/31 (金) は S&P500 +0.70% (7,489.72)・NASDAQ +1.00% (25,373.85)・ダウ +0.53% (52,485.03) で7月最終営業日を終え、S&P500 は3週ぶりの上昇週 (+1.05%)。主役は前日引け後の決算2社で、AWS +36.7% の Amazon が +15.32% ($271.58) と2012年以来最大の上昇、メモリ高騰で9月期ガイダンスを下げた Apple が -7.35% ($308.91)。ダウでは Amazon が約 +208pt、Apple が約 -188pt でほぼ相殺。ラッセル2000 は -0.50% と逆行安。6月 PCE は前年 +3.7%・コア +3.3% と鈍化。7月月間は S&P500 -0.13%・ダウ +0.32% (4か月連続上昇) の横ばい圏だが、内側は半導体 SOX -20.61% vs Microsoft +24.58% と真っ二つに割れた。

マーケット スナップショット

SPX+0.70%

S&P 500 (7/31 終値)

7,489.72

+52.09

IXIC+1.00%

NASDAQ Comp (7/31 終値)

25,373.85

+251.67

DJI+0.53%

Dow (7/31 終値)

52,485.03

+276.97

RUT0.50%

Russell 2000 (7/31 終値)

2,931.34

-14.76

VIX6.44%

VIX (7/31 終値)

15.99

-1.10

US10Y+1.76%

10Y Yield (7/31)

4.74

+0.08

DXY0.21%

Dollar Index (7/31)

99.80

-0.21

USOIL+1.29%

WTI 原油 (7/31)

84.67

+1.08

SPX
+0.70%
IXIC
+1.00%
DJI
+0.53%
RUT
-0.50%
VIX
-6.44%
US10Y
+1.76%
DXY
-0.21%
USOIL
+1.29%
主要指数の前日比 (%)。中央が 0、緑=上昇・赤=下落で、バー長は変化率の大きさに比例。

主要シグナル

空売り比率 / AD ライン / Put/Call / VIX / 機関フロー など

今日の主役

AMZN +15.32% / AAPL -7.35%

ダウ寄与は Amazon 約 +208pt、Apple 約 -188pt でほぼ相殺

市場テーマ

AI 収益性の証明で最終選別

AWS +36.7% の Amazon は買われ、メモリ高騰の Apple は売られた

週間の地合い

S&P500 +1.05%

3週ぶりの上昇週。FOMC + メガ4社決算の山場を通過

内部の弱さ

ラッセル2000 -0.50%

指数は緑でも中小型は逆行安。典型的なメガキャップ主導日

リスクオン度

7 / 10

VIX 15.99 と16割れ。ただし Put-Call OI 比 1.48 は弱気に振れたまま

物価の答え合わせ

6月コア PCE +3.3%

前月 +0.1%。鈍化したが 2% 目標からはなお遠い

7月の決着

S&P500 -0.13%

ダウ +0.32% は4か月連続上昇。半導体 SOX は -20.61%

次の山場

7月雇用統計 (NFP)

JST 8/7 (金) 21:30。FOMC で3名が利上げを主張して反対した直後

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AI 投資の『収益化を証明できたか』で巨大テックが真っ二つに割れた週。指数は +1.05% でも、内部では 25pt 超の格差がついた。

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この日を含む 1 ヶ月の総括と来月の主要イベント

MONTHLY · 2026年7月

2026年7月 マンスリー (確報) — S&P500 -0.13% は2014年以来11年ぶりの『7月下落』。指数は横ばいでも Microsoft +24.6% と Tesla -26.0% が同居し、AI 投資の収益化を証明できたかで真っ二つに割れた月

指数は横ばいでも、AI 投資の収益化を証明できたかで銘柄が 50pt 超に割れた月。「Mag7」という括りが機能しなくなった。

0. 今日のヘッドライン

  • 🏆 今日の主役: Amazon+15.32% ($271.58) と2012年以来最大の単日上昇。AWS が +36.7% と18四半期ぶりの最速成長を示した
  • 🌊 隠れたテーマ: 同じ日に Apple が -7.35%。両社を動かしたのは同じ「メモリ価格高騰」で、貸す側には需要の証拠、売る側にはコスト増として作用した
  • ⚠️ 警戒: 指数は全面高でも ラッセル2000 は -0.50% と逆行安。上げを作ったのは実質2〜3銘柄で、中小型には資金が回っていない
  • 📅 次の山場: JST 8/7 (金) 21:30 の7月雇用統計 (NFP)。7/29 FOMC で3名が利上げを主張して反対した直後の初の雇用データ

1. US 7/31 (金) 引け値レビュー — 巨人2社が逆向きに動き、指数はほぼ動かなかった

🎯 要点: ダウの +276.97pt という数字の裏で、Amazon が +208pt 押し上げ、Apple が -188pt 押し下げていた。指数の穏やかさは、内部の激しさを覆い隠している。

数字 (簡潔に)

指数終値前日比コメント
S&P 5007,489.72+0.70%3週ぶりの上昇週で7月を終える
NASDAQ Comp25,373.85+1.00%Amazon が牽引
Dow 3052,485.03+0.53%Amazon と Apple の綱引きで相殺
Russell 20002,931.34-0.50%唯一の下落。中小型に資金が回らず
VIX15.99-6.44%16 割れでリスクオン
10Y Yield4.74%+8bp株高でも金利は上昇

セクターは 一般消費財 (XLY) +3.29% が突出した。Amazon が構成比の大きい銘柄であるためで、実質的に「Amazon セクター」の上昇だ。続いて通信サービス (XLC) +1.56%、エネルギー (XLE) +1.00%、資本財 (XLI) +0.81%。一方 素材 (XLB) -2.34% が最下位で、バイオテクノロジー (XBI) も -2.94% と売られた。情報技術 (XLK) は Apple の下落で -0.22% と、指数が上昇した日に小幅マイナスという珍しい形になっている。

なぜこうなったか — 3 つのドライバー

① Amazon が「CapEx を増やしても買われる」条件を示した

7/30 引け後の Amazon の Q2 決算は、売上 $200.6B (+20%)・調整後 EPS $1.97 (コンセンサス $1.82) の明確な上振れだった。核心は AWS で、売上 $42.2B・成長率 +36.7% は18四半期ぶりの最速、しかも営業利益率が 39.4% と前年比 +650bp 改善した。

注目すべきは、Amazon が同時に通期の設備投資 (CapEx) を $200B から約 $220B へ引き上げたことだ。7月の相場は「CapEx を増額した企業は好決算でも売られる」で一貫していたのに、Amazon はそれをやって +15.32% 買われた。

🎯 要点: 市場が見る場所が「いくら投じるか」から「投じた分がどれだけ収益に変わっているか」へ移った。 成長率の加速と利益率の改善を同時に出せたのは、7月に決算を出したハイパースケーラー4社の中で Amazon だけだった。

② Apple は同じメモリ高騰で逆方向へ振れた

Apple の Q3 決算は、売上 $109.4B (+16%)・EPS $2.02 (+29%) と6月期として過去最高だった。それでも -7.35% と16か月ぶりの大幅安になったのは、9月期ガイダンスが売上 +9〜11%・粗利率 47〜48% と市場想定を下回ったからだ。

Tim Cook CEO はその理由を「メモリ価格の100年に一度の洪水」と表現した。AI データセンター向けの需要がメモリを買い占め、価格が指数関数的に上がっているという説明だ。

Amazon の CapEx 増額の理由も、まったく同じ「メモリ価格高騰」だった。 同じ原因が、容量を貸す側には「需要が強すぎる証拠」として、製品を売る側には「利益率を削るコスト」として作用した。この対比が、この日の市場をそのまま説明している。

③ 6月 PCE は鈍化したが、金利は上がった

同日 JST 21:30 に発表された6月の個人消費支出 (PCE) 物価指数は、前年比 +3.7% と5月の +4.1% から鈍化。コア PCE は前月比 +0.1%・前年比 +3.3% だった。7/29 の FOMC でタカ派的な据え置きが決まった直後だけに、物価の鈍化は安心材料になるはずだった。

にもかかわらず 10年債利回りは 4.74% と +8bp 上昇している。物価が落ち着いても長期金利が下がらないのは、7/29 以降続く「財政と供給要因によるプレミアム」が効いているためで、インフレ指標だけでは金利の重石は取れないという7月後半の構図が最終日まで続いた形だ。

前日の振り返り — 構造変化のサイン

  • 指数が上がった日に情報技術 (XLK) がマイナスになった。Apple 1 銘柄の -7.35% が、セクター全体を押し下げるだけの重さを持っているということだ。セクター ETF を「業界への分散投資」と考えていると、実態は数銘柄への集中投資になっているXLK の上位数銘柄の構成比を一度確認しておく価値がある。
  • ラッセル2000 の逆行安 (-0.50%) は、7月を通した傾向の再確認だった。7月の月間騰落はラッセル2000 が -3.08% と、S&P500 の -0.13% を大きく下回っている。金利が高止まりする局面では、借入依存度が高く利益率の薄い中小型が構造的に不利になる。指数の見かけの安定は、大型株の中の一部が支えているだけであることを、月末最終日も示していた。

2. 今日のテーマ分析 — 7月は「同じ材料が逆に働く月」だった

🎯 要点: 7月の S&P500 は -0.13% と横ばいだったが、中身は半導体 -20.61% と Microsoft +24.58% が同居する分裂相場だった。指数の静けさが最大の誤解を生む。

テーマ 1: 月間の数字が語る「分裂」

7月を月間騰落で振り返ると、指数と内部の乖離が際立つ。

指数 / ETF7月月間騰落コメント
S&P 500-0.13%ほぼ横ばいで着地
Dow 30+0.32%4か月連続の月間上昇
NASDAQ Comp-3.20%
NASDAQ 100-6.61%超大型テックの集中的な下落
Russell 2000-3.08%中小型は弱い
SOX 半導体-20.61%弱気圏入り
S&P500 等加重 (RSP)+1.05%時価総額加重 (SPY +0.03%) を上回る

NASDAQ Composite の -3.20% に対し、NASDAQ 100 が -6.61% という差が、7月の性格を最もよく表している。ナスダック全体より上位100銘柄のほうが大きく下げたということは、下落が超大型テックに集中し、その外側の中小型ナスダック銘柄は相対的に持ちこたえたことを意味する。

同じことが等加重指数でも確認できる。S&P500 の全 500 銘柄を同じ比率で持つ RSP が +1.05%、時価総額の大きい銘柄ほど比重が高い SPY が +0.03%。平均的な銘柄のほうが、指数より good だった月ということだ。

📚 用語: 等加重指数 (Equal Weight Index) とは 全構成銘柄を同じ比率で保有する指数。時価総額加重の S&P500 が上位10銘柄で全体の3分の1超を占めるのに対し、等加重版 (RSP) は1銘柄あたり 0.2% で均等になる。両者の差は「指数を動かしているのが少数の巨大企業か、市場全体か」を測るものさしとして使える。等加重が時価総額加重を上回る局面は、資金が集中から分散へ向かっているサインで、市場の裾野が広がっていることを示す。

テーマ 2: Mag7 の内部で 50pt 以上の差がついた

同じ「巨大テック」でくくられる銘柄群が、7月にこれだけ割れた。

銘柄7月月間騰落
Microsoft+24.58%
Amazon+13.95%
Apple+6.76%
NVIDIA+0.33%
Alphabet-0.35%
Meta-1.17%
Tesla-26.01%

首位の Microsoft と最下位の Tesla の差は 50pt 超。「Mag7」という括りが実態を説明しなくなったのが7月の最大の変化で、AI 投資の収益化を証明できたか否かという単一の軸で、7銘柄が明確に序列化された

🎯 要点: 「巨大テックに投資する」という発想は、7月にほぼ意味を失った。同じグループ内で 50pt の差がつくなら、それはもう1つの資産クラスではない。

テーマ 3: 半導体 -20.61% をどう読むか

SOX 半導体指数は7月に -20.61% と、一般に弱気相場入りとされる -20% を超えた。ただしこの数字は月間騰落であり、7/30 には +8.19% の急反発も起きている。

構造としては、AI インフラ投資の「期待」で買われていた部分が剥落し、実際にメモリを供給して稼いでいる企業だけが残ったという選別が進んだ。7/30 に Micron が +15〜18% 上昇したのは、メモリ価格高騰の直接的な受益者だからだ。同じ半導体でも、期待で買われていた銘柄と、実需で稼いでいる銘柄では扱いが変わっている。


3. 注目銘柄 — 深掘り 3 社

3.1 AMZN (Amazon) — CapEx を増やして買われた唯一の企業

📎 公式情報源: Amazon IR決算記事の詳報

観点詳細
今日何が起きたか+15.32% ($235.50 → $271.58)。2012年以来最大の単日上昇。ダウを約 208pt 押し上げ
なぜ重要かAWS +36.7% (18四半期ぶり最速) と営業利益率 39.4% (+650bp) を同時に達成。CapEx $220B への増額が「需要の証拠」として好感された
逆風リスクTTM フリーキャッシュフローが -$7.6B とマイナス転落 (前年 +$18.2B)。AWS の成長率が減速した四半期に同じ FCF が出ると、評価が反転しうる
長期で見るべき指標(1) AWS 成長率、(2) AWS 営業利益率、(3) TTM FCF の回復

長期投資家としての見方: 今回の評価は「AWS の加速がフリーキャッシュフローのマイナスを上回った」という条件付きのものだ。監視すべきは株価ではなく、この2つの綱引き。成長率が鈍化しながら CapEx が高止まりする組み合わせが出た四半期が、物語の転換点になる。

3.2 AAPL (Apple) — 世界一を奪還した3日後の急落

📎 公式情報源: Apple Newsroom決算記事の詳報

観点詳細
今日何が起きたか-7.35% ($333.43 → $308.91)。盤中 -9% 超、16か月ぶりの大幅安。時価総額は約 $500B 減少
なぜ重要か決算自体は6月期として過去最高 (売上 +16%・EPS +29%)。売られたのは9月期ガイダンス (売上 +9〜11%・粗利率 47〜48%) とサービス・中華圏の未達
逆風リスクメモリ供給制約は Apple の努力で解決できない業界要因。Cook は9月期に制約が悪化すると警告済み
長期で見るべき指標(1) 粗利率が 47〜48% ガイドのどこに着地するか、(2) サービス成長率、(3) 中華圏の回復ペース

長期投資家としての見方: US 7/27 (月) に $336.91 の史上最高値で NVIDIA を抜き時価総額世界一を奪還した直後の下落だった。「AI 投資リスクのない避難先」という7月の物語で買われた面が強く、その物語が半分崩れた格好だ。フォワード P/E 約 37 倍 (5年平均 28〜30倍) という前提を支えていたのはサービスの高収益性で、そこが揺らいだことが下げ幅を大きくした。

3.3 XLY (一般消費財セレクト SPDR) — セクター ETF の中身は数銘柄

📎 公式情報源: State Street SPDR — XLY

観点詳細
今日何が起きたか+3.29% と11セクター中の首位。週間では +6.11%
なぜ重要か上昇のほぼすべてが Amazon 1銘柄によるもの。「一般消費財セクターが強い」わけではない
逆風リスクAmazon が失速すれば、他の構成銘柄が堅調でもセクター ETF は下がる
長期で見るべき指標(1) Amazon を除いた構成銘柄の動き、(2) 実際の小売売上高、(3) 消費者信頼感

長期投資家としての見方: セクター ETF は「業界に分散投資する道具」と説明されることが多いが、時価総額加重である以上、上位数銘柄への集中投資になっている。この日の XLY +3.29% を「消費が強い」と読むと誤る。セクター ETF を買うときは、上位5銘柄の構成比を必ず確認するという習慣が、こういう日に効いてくる。


4. 今週の経済カレンダー — 通過した山場の答え合わせ

JST 日付 / 時刻イベント実績評価
JST 7/30 (木) 03:00FOMC (7/29)FF金利 3.50-3.75% 据え置き (9対3)タカ派。3地方連銀総裁が利上げを主張して反対
JST 7/30 (木) 21:30Q2 GDP 速報値+1.5% (予想 +2.1〜2.3%)下振れ。決算に上書きされた
JST 7/31 (金) 21:306月 PCE 物価指数前年 +3.7% (5月 +4.1%)鈍化。コア PCE は +3.3%
JST 7/31 (金) 21:30Q2 雇用コスト指数 (ECI)民間 +0.9% (賃金 +0.9%)賃金の粘着は続く
JST 7/31 (金) 22:457月 シカゴ PMI57.6 (6月 56.7)拡大圏で改善
JST 7/31 (金) 23:007月 ミシガン大消費者信頼感 (確報)55.2 (速報 54.4・6月 49.5)大幅回復

📚 用語: 雇用コスト指数 (ECI) とは 賃金と福利厚生を合わせた労働コストを、産業や職種の構成変化の影響を除いて測る四半期指標。平均時給と違い「高賃金職種が増えたから平均が上がった」という見かけの上昇を排除できるため、Fed が賃金インフレの基調を判断する際に最も信頼する指標とされる。今回の +0.9% は、物価が鈍化する中でも労働コストの上昇圧力が残っていることを示す。物価と賃金のどちらを見るかで、利上げ・利下げの結論が変わる局面だ。


5. 政策ウォッチ

  • 通商: US 7/24 発効の Section 301 代替措置が運用初動フェーズに入っている。約60経済圏・米輸入の約99.4%をカバーし、強制労働輸入規制で税率を差別化する仕組み。8月は対象国の調整と報復のヘッドラインリスクが続く
  • 関税の次の期限: US 8/19 に Section 338 関税の発効が予定されている (USMCA 対象品目を含む全カバー品目)
  • 中東・原油: OFAC の一般ライセンスによるイラン産原油の暫定認可が US 8/21 に期限を迎える。WTI はこの日 $84.67 (+1.29%) と、7/29 の急騰水準を維持したまま7月を終えた
  • 議会: 8月は夏季休会入りで法案審議は薄い

6. 来週への布石

JST 8/7 (金) 21:30 の7月雇用統計 (NFP) が、9月 FOMC の方向を決める単独最大の山場になる。

JST 日付イベント重要度
JST 8/3 (月) 23:007月 ISM 製造業景況指数★★★
JST 8/4 (火) 06:00頃Palantir (PLTR) 決算 (US 8/3 引け後)★★★
JST 8/4 (火) 23:006月 JOLTS 求人件数★★
JST 8/5 (水) 05:00頃AMD 決算 (US 8/4 引け後)★★★★
JST 8/5 (水) 21:157月 ADP 雇用者数★★
JST 8/5 (水) 23:007月 ISM 非製造業★★★
JST 8/7 (金) 21:307月 米雇用統計 (NFP)★★★★★

6月の雇用統計は +57,000 と大幅な下振れだった。7月分のコンセンサスは +110,000〜117,500 前後で「反発」を織り込んでいる。7/29 の FOMC で3名の地方連銀総裁が利上げを主張して反対した直後という文脈がすべてで、上振れすれば利上げ論が勢いづき、下振れすれば利上げ観測が後退する。

注意すべきは、市場がすでに9月の利上げを本気で織り込んでいることだ。FOMC 後の CME FedWatch では9月利上げ確率が 57% 超へ上昇し、金利スワップ市場でも約 60% が示された。利上げが単一シナリオとして最も確率の高い選択肢になっている。月初に6月雇用統計の大幅下振れで利下げが議論されていたことを思えば、1か月で市場の想定が反転したことになる。

AMD の決算も重要度が高い。データセンター向け GPU のガイダンスは、8月下旬の NVIDIA 決算 (US 8/26 引け後) の先行指標になる。

📚 季節性・アノマリー: 8月は 5〜10月のSell in May悪い半年』の後半で、9月と合わせた連月は S&P500 で唯一「連続して平均マイナス」となる暦月の組み合わせだ。9月は1950年以降で上昇確率が50%を割る唯一の月 (平均 -0.7%)。2026 は中間選挙年で、歴史的には年前半軟調 → 秋に底 → 年末反発が定番のパターン。ただしアノマリーは「過去の平均的な傾き」であって毎回当たらない。7月がそうだったように、個別企業のカタリストは季節性を簡単に上書きする。夏枯れで流動性が薄くなる分だけ値動きが増幅されやすい、という需給面の注意として押さえておく程度が妥当だ。


7. 今日の学び — 長期投資家として覚えておくべきこと

今日のキーワードは「同じ材料の非対称」。 同一のニュースが、立場の違う企業に正反対の意味を持つ。

用語 / 概念

  1. 投入コストの非対称 (Input Cost Asymmetry) — ある部材の価格上昇は、それを買う企業には利益率の圧迫、売る企業には収益機会になる。7/31 は「メモリ価格高騰」という単一の材料で Apple が -7.35%、Amazon が +15.32% と割れた。ニュースを聞いたら「誰が買う側で誰が売る側か」を最初に整理すると、値動きの方向を読み違えにくくなる。
  2. 指数寄与度 (Index Contribution) — 各銘柄が指数の変動に与えた寄与を pt で表したもの。この日のダウ +276.97pt は、Amazon の +208pt と Apple の -188pt がほぼ相殺した結果だ。指数の変動幅が小さい日ほど、内部では大きな入れ替えが起きている可能性がある。指数の静けさを市場の静けさと混同しない。
  3. 等加重と時価総額加重の乖離 — 7月は等加重 (RSP +1.05%) が時価総額加重 (SPY +0.03%) を上回った。この差は「指数を押し下げたのは超大型銘柄で、平均的な銘柄はむしろ堅調だった」ことを意味する。自分の保有銘柄の成績が指数と合わないとき、まずこの乖離を確認すると、運用の巧拙と局面の特徴を切り分けられる。

パターン / 経験則 (1 つ)

  • 決算で「実績」と「ガイダンス」が逆を向いたとき、株価はガイダンスに従う。 Apple は6月期として過去最高の実績を出しながら -7.35% で終えた。市場が値付けしているのは過去の四半期ではなく次の四半期以降だからだ。決算発表を見るときは、まずガイダンスとコンセンサスの差分を確認し、実績のビート幅はその後に見るという順番にすると、株価の反応を取り違えにくい。

監視指標の閾値表

指標7/31 値警戒水域含意
VIX15.99> 20 で警戒、> 25 で守備16 割れ。7/29 の 20.66 から2日で正常化
10Y Yield4.74%> 4.80% で株売り加速PCE 鈍化でも上昇。警戒線に接近
コア PCE+3.3%> 3.4% で利上げ現実味鈍化したが2%目標からはなお遠い
Put-Call OI 比1.48> 1.2 で弱気株高でも弱気に振れたまま
Russell 2000 (月間)-3.08%対 S&P500 で劣後継続金利高止まりが中小型に効いている

8. 定点観測 12 指標 (継続観察)

指標前日閾値 (注意/警戒)判定
VIX15.9917.0920 / 28🟢
VIX ターム構造 (VIX÷VIX3M)0.84>1.0 でバックワーデーション🟢
MOVE (債券版 VIX)83.02100 / 130🟢
SKEW (テール リスク)141.23139.90145 / 160🟢
Put-Call OI 比 (SPY+QQQ)1.48>1.2 (弱気) / <0.7 (楽観過熱)🔴
HYG÷LQD 20 日変化+1.95%+1.77%−1.5% / −3.0%🟢
セクター ETF 50 日線超本数 (11 本中)7 本7 本<6 / <4🟢
CNN Fear & Greed42.538.9<25 (恐怖) / >75 (強欲)🟢
DXY 20 日変化-1.05%-1.36%+2% / +4%🟢
10Y−3M スプレッド (bp)10.69.9<0 (逆転) / <−50🟡
銅金比 20 日変化+5.89%+4.43%−3% / −6%🟢
BTC-SPY 30 日相関0.230.32<0.0 (逆相関) / >0.8 (過熱同期)🟢

🔴 が 3 個以上 → §2 のテーマ分析でリスクオフの背景を必ず言及する。この日は 🔴 が 1 個 (Put-Call OI 比 1.48)、🟡 が 1 個 (10Y−3M) で、7/29 の FOMC ショック時 (🔴 1・🟡 4) から明確に改善した。VIX 15.99・ターム構造 0.84 (コンタンゴが健全)・MOVE 83 と、株式・債券ともボラティリティは落ち着いている。銅金比 +5.89% は景気敏感の銅が金に対して優勢という前向きなサインだ。ただし Put-Call OI 比 1.48 だけが弱気に振れたままで、指数が上昇しても投資家はプットでの保険を外していない。7月の分裂相場を通過した後の警戒感が、オプション市場には残っている。


9. リスク管理 — 個人投資家向け原則

  • セクター ETF を買う前に上位5銘柄の構成比を確認する。この日の XLY +3.29% はほぼ Amazon 1 銘柄の動きで、「消費関連に分散した」つもりが特定銘柄への集中になっていることは珍しくない
  • 決算をまたぐ判断では、実績よりガイダンスの想定を先に立てる。Apple のように「過去最高の実績 + 弱いガイダンス」で二桁近く売られることは構造的に起こりうる
  • 指数が穏やかな日ほど、自分の保有銘柄の動きを個別に確認する。7/31 のダウ +0.53% の内側では、±15% と ±7% が同時に起きていた

10. データソース・引用

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本記事は情報提供のみを目的としています。投資勧誘や個別銘柄の売買推奨ではありません。記載の数値は取得時点のもので、市場開閉や訂正により変動します。投資判断はご自身の責任で行ってください。本記事の見解は執筆者個人のもので、所属組織の見解を代表するものではありません。

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本記事と同期間に発表された決算で、相場文脈に影響したもの。

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