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Bull Note米国株 デイリー戦略ノート

MONTHLY · 2026 / 6月

2026年6月 マンスリー — 「利下げの死」と大転換、AI 多幸感の絶頂から Warsh タカ派ショックへ。テック -5% vs ヘルスケア +8% のグレート・ローテーション

6 月は相場の前提が根底から書き換わった月。月初に S&P が史上初 7,600 超・ソフトウェア IGV 月間 +21% と AI 多幸感が絶頂に達した直後、AVGO ショック (6/3) と NFP 金利ショック (6/5) で一気にリスクオフ。月半ばの Warsh 新議長 初 FOMC でドット中央値が 3.4%→3.8% へ反転し「年内利下げ」の前提が死んだ。月末には Apple -6.6% (メモリ危機) で Mag7 に亀裂、WTI は $70 割れ。月間は SPX -2.98%・NASDAQ -6.21% に対し Dow +1.65%・Russell +3.11% とバリュー / 小型株が逆行高。ヘルスケア +7.8%・資本財 +4.9% vs テック -5.1%・通信 -8.0%。「狭い AI 一極集中」から「広いバリュー選別」への大転換月。

執筆: kinjo17 分で読了弱気

「利下げの死」と大転換。AI 多幸感の絶頂から Warsh タカ派ショックへ。SPX -3%・NASDAQ -6% に対し Dow +2%・Russell +3%。テック→バリューのグレート・ローテーション。

今月のまとめ

6 月は相場の前提が根底から書き換わった月。月初に S&P が史上初 7,600 超 (6/2) と AI 多幸感が絶頂に達した直後、AVGO ショック (6/3) → NFP +172K の金利ショック (6/5) → Warsh 初 FOMC のタカ派ピボット (ドット 3.4%→3.8%、利下げ→利上げへ反転、6/17) で相場の前提が「年内利下げ」から「年内利上げ」へ書き換わった。月末には Apple -6.6% (メモリ危機) でメモリ・スーパーサイクルの光と影が露呈し、WTI $69 ($70 割れ) でエネルギーにも暗雲。月間は SPX -2.98% (5 月の 9 週連騰から反落)・NASDAQ -6.21% に対し Dow +1.65%・Russell +3.11% と「グロース → バリュー / 小型」のグレート・ローテーション。セクターはヘルスケア +7.8%・資本財 +4.9%・金融 +4.2% vs テック -5.1%・通信 -8.0%・ソフトウェア IGV -13.2%。「狭い AI 一極集中」から「広いバリュー選別」への構造転換が始まった月。

月末マーケット スナップショット

月間騰落 (前月末終値比)。最終 US セッション (2026年6月26日(金)) の引け値ベース。

SPX2.98%

S&P 500 (6月)

7,354.02

-226.04

IXIC6.21%

NASDAQ Comp (6月)

25,297.62

-1,675.00

DJI+1.65%

Dow 30 (6月)

51,876.11

+843.65

RUT+3.11%

Russell 2000 (6月)

3,010.08

+90.74

VIX+20.17%

VIX (6月末)

18.41

+3.09

SPX
-2.98%
IXIC
-6.21%
DJI
+1.65%
RUT
+3.11%
VIX
+20.17%
主要指数の月間騰落 (%)。中央が 0、緑=上昇・赤=下落で、バー長は変化率の大きさに比例。

今月の数字

2026年6月を数字で振り返る

鈍化

S&P 500 月間

-2.98%

5 月の 9 週連騰から反落。月中 7,600 超から -3%

月間最強セクター

XLV +7.8%

ヘルスケア。ディフェンシブ + 金利耐性 + M&A

月間最弱セクター

IGV -13.2%

ソフトウェア。5 月の +21% 暴騰の巻き戻し

VIX 月末

18.41

月中 15.32→21.51→22.22→18.41。20 超が 2 回

フォワード P/E

~20.5

月初 21.2 から低下。10年平均 18.9 の上

WTI 原油

$69.23

月間 -20.8%。$87→$69。イラン和平 + 需要懸念

今月を定義したテーマ

1 ヶ月の値動きの底流にあった構造的なストーリー。

01

「利下げの死」— Warsh タカ派ピボットで金利の前提が書き換わった

6/17 の Warsh 新議長 初 FOMC でドット中央値が 3.4%→3.8% へ反転し、市場の「年内利下げ」想定が「年内利上げ」へ。S&P は 1994 年以来ワーストの Fed デーを記録。この転換は一時的な反応ではなく、年後半の金利前提と株式バリュエーションの天井を構造的に引き下げた。

02

グレート・ローテーション — テック一極から全方位選別相場へ

Dow +1.65%・Russell +3.11% vs NASDAQ -6.21%。ヘルスケア +7.8%・資本財 +4.9% がテック -5.1%・ソフトウェア -13.2% を圧倒。5 月に 9 週連騰を牽引した AI/ソフトウェアの利益確定が、金利上昇に強いバリュー・ディフェンシブへ資金を押し出した。

03

AI サプライチェーンの選別 — 上流 vs 下流で明暗

Micron は粗利率 84.9% の記録的決算で AI メモリ・スーパーサイクルの本物さを証明した一方、Apple は -6.6% (メモリ価格高騰の請求書)。「半導体は全部買い」ではなく、バリューチェーン上の位置で銘柄選別する局面に入った。

04

イラン和平と原油急落 — 地政学の構造変化

6/15 の米イラン和平合意 (MoU) で WTI が $87→$69 (-21%) と急落。月末のドローン攻撃で停戦に亀裂が入ったが、市場は「需要懸念 > 供給懸念」と判断して原油安が継続。エネルギーセクター -3.7% の逆風だが、ヘッドライン PCE の先行きを抑える追い風にもなった。

セクター ローテーション

11 セクター (SPDR ETF) の月間騰落。資金がどこに向かい、どこから逃げたか。

XLV
+7.8%
XLI
+4.9%
XLU
+4.7%
XLF
+4.2%
XLRE
+3.7%
XLK
-5.1%
XLY
-5.2%
XLC
-8.0%
XLE
-3.7%
セクター ETF の月間騰落 (%)。緑=資金流入・赤=資金流出。
XLV

ヘルスケア +7.8%

ディフェンシブ + M&A + バイオ承認。月間最強

XLI

資本財 +4.9%

NDAA + インフラ支出。バリュー回帰の恩恵

XLU

公益 +4.7%

AI データセンター電力需要 + ディフェンシブ需要

XLF

金融 +4.2%

利上げ方向で NIM 改善期待。保険も堅調

XLRE

不動産 +3.7%

月末の金利低下で反発

XLK

テック -5.1%

AVGO ショック + Apple メモリ危機。Mag7 一極の崩壊

XLY

一般消費財 -5.2%

金利上昇 + 消費減速懸念

XLC

通信 -8.0%

META / GOOGL の調整。テック売りの余波

XLE

エネルギー -3.7%

WTI $87→$69。イラン和平 + 需要懸念のダブルパンチ

主要シグナル

月間の相場局面を示す指標 (ブレッドス / VIX / 機関フロー / バリュエーション など)

今月の地合い

局面転換 + 選別相場

AI 多幸感の絶頂から Warsh タカ派ショックへ。「利下げの死」で前提が書き換わった

月間の主役

ヘルスケア +7.8%

ディフェンシブ + 金利耐性。M&A 活発化 + バイオ新薬承認ラッシュ

月間の最弱

通信 -8.0%

テック売りの余波。Apple -6.6% / Mag7 の亀裂が直撃

長期金利

10Y 4.37% (月中 4.54 ピーク)

NFP ショック (6/5) で 4.54% → 月末は原油安で 4.37% へ低下

VIX 月末

18.41

月中 21.51 (6/5)・22.22 (6/10) のスパイク。月末は安定だが Fear 圏

バリュエーション

フォワード P/E ~20.5

月初 21.2 から低下。5年平均 19.9 にやや接近だがまだ割高

WTI 原油

$69.23 (月間 -21%)

イラン和平 + 需要懸念。$87→$69 は 2024 年以来の急落幅

USD/JPY

161.80

159.27→161.80。162 接近で介入警戒

来月の主要イベント

経済指標・決算・金融政策・政治イベントを重要度順に。時刻は JST 表記。

★★★ 重要度 (7)
JST 7/1 (火) 23:00経済指標

ISM 製造業 PMI (6月)

製造業の景気先行指標。5 ヶ月連続拡大が続くか

JST 7/2 (水) 21:30経済指標

6 月米雇用統計 (NFP)

祝日前倒し。早期引け日に直撃。予想 +110-130K

US 7/14 週決算

Q2 決算シーズン開幕 (大手銀行)

JPM / WFC / C。利上げ方向の NIM 効果を確認

JST 7/24金融政策

Section 122 関税失効

議会票決で延長か失効か。消費財 / 小売への影響大

US 7/28-29金融政策

FOMC (Warsh 2 回目)

利上げするか据え置きか。6 月のタカ派ドットの続き

JST 7/30 (木) 21:30経済指標

6 月コア PCE

Fed 最重視のインフレ指標。原油安の効果が出始めるか

US 7 月下旬決算

MSFT / GOOGL / META / AMZN / AAPL 決算

メガキャップ決算集中。AI 設備投資の答え合わせ

0. 今月のヘッドライン

  • 🏆 今月の主役: 「Warsh タカ派ピボットと利下げの死」。6/17 の初 FOMC でドット中央値 3.4%→3.8% が反転し、年後半の金利前提が利下げから利上げへ書き換わった。S&P は 1994 年以来ワーストの Fed デーを記録
  • 🌊 隠れたテーマ: 「グレート・ローテーション」。NASDAQ -6.2% vs Dow +1.7%・Russell +3.1%。ヘルスケア +7.8%・資本財 +4.9% がテック -5.1% を圧倒。AI 一極集中から全方位の選別相場へ
  • ⚠️ 警戒: WTI が $87→$69 (-21%) と急落。イラン停戦の崩壊リスク (6/26 ドローン攻撃) にもかかわらず原油安が続く「需要懸念」の構図。エネルギーセクターのシェール採算ライン接近
  • 📅 来月の山場: JST 7/2 (水) 21:30 の 6 月NFP (祝日前倒し) + US 7/28-29 Warsh 2 回目の FOMC。7 月下旬にメガキャップ決算集中

1. 今月の値動き — 1 ヶ月の弧

月間の数字

指数月末終値月間騰落コメント
SPX7,354.02-2.98%5 月の 9 週連騰から反落。月中 7,600 超のピークから -3%
NASDAQ Comp25,297.62-6.21%テック売りが一貫。月末に 5 日続落
Dow51,876.11+1.65%バリュー / ディフェンシブが支え。月中に最高値
Russell 20003,010.08+3.11%小型株へのローテーション。月内に史上初の 3,000 超え
VIX18.41+20%月中 21.51・22.22 とスパイク。月末は安定だが Fear 圏

🎯 要点: 6 月の指数リターンは「何を持っていたかで天と地」。 NASDAQ を持っていれば -6%、Russell を持っていれば +3%。同じ月にこれだけの差が出るのは、2022 年以来の極端な選別相場。

6 月は 4 つの位相で展開した。

第 1 位相 (6/1-6/2): AI 多幸感の絶頂。 S&P 500 が史上初の 7,600 超 (6/2)。ソフトウェア ETF の IGV は月間 +21% (2001 年以来最高) を記録し、ARM +16%・MRVL +33% が牽引。「ソフトウェアが遅れて AI に追いついた」という楽観が頂点に達した — W23 ウィークリー

第 2 位相 (6/3-6/12): 二段ロケットの急落と V 字反発。 AVGO 決算ショック (6/3、AI +143% でも「完璧を織り込んだ株」の出尽くしで AH -14%) で潮目が変わり、NFP +172K (6/5、予想の倍超) で利下げ観測が消滅。SOX は 6/5 に単日 -10.26%。翌週は CPI 3 年ぶり 4%台 + Trump のイラン攻撃示唆で Dow -953pt (6/10)、翌日にキャンセルで +930pt の V 字。SpaceX 史上最大 $75B IPO (6/12) が資金を吸引しメガキャップ調整 — W24 ウィークリー

第 3 位相 (6/15-6/18): Warsh ショック。 イラン和平合意 (6/15) で NASDAQ +3.07% の歓喜 → Warsh 初 FOMC (6/17) でドット 3.4%→3.8% 反転の歴史的タカ派ショック → Intel「Apple と米国内チップ製造」で +10% の 1 日全回収。4 日間に 1 年分の振幅を詰め込んだ — W25 ウィークリー

第 4 位相 (6/22-6/26): テック調整の深化。 Apple -6.6% (メモリ危機)、NASDAQ 5 日続落、Russell リコンスティテューション $334B (SpaceX 組入れ)、WTI $70 割れ、コア PCE 3.4%。「利下げの死」を消化しながらテック→バリューのローテーションが定着した — 今日のデイリー


2. 今月を定義したテーマ — 深掘り 4 本

2.1 「利下げの死」— Warsh タカ派ピボットで金利の前提が書き換わった

🎯 要点: 6/17 の FOMC でドット中央値が 3.4%→3.8% へ反転し、「年内利下げ」から「年内利上げ」へ。この転換は株式バリュエーションの天井を構造的に引き下げた。

Warsh 新議長の初会合は、声明はわずか 130 語 (パウエル時代の半分以下) と簡潔だったが、ドットプロットが雄弁に語った。12 名中 8 名が年末 3.75% 以上 (利上げ方向) を示し、Warsh 自身はドットを提出しなかった。コア PCE の SEP (経済見通し) は 2026 年末 3.6% と 3 月の 3.2% から大幅引き上げ。

市場はこれを「年後半の利下げは死んだ」と解釈し、S&P は -1.21% と 1994 年以来ワーストの Fed デー。しかし翌日に Intel +10% (Trump 発言) で全回収したことで、「金利の重しがあっても、個別の材料で株は戻せる」という選別相場の性質が確認された。

📚 用語: ドットプロット (Dot Plot) の読み方 FOMC 参加者 (通常 19 名) が年末の適切な FF 金利水準を示す散布図。中央値 (Median) が市場の「コンセンサス」として注目される。3 月のドット 3.4% は「年内に 1-2 回利下げ」を意味したが、6 月の 3.8% は「年内に 1 回以上利上げ」を意味する。この 40bp の反転は、2022 年のタカ派転換に匹敵するインパクト。詳細は FOMC 記事

2.2 グレート・ローテーション — テック一極から全方位選別相場へ

🎯 要点: 月間で Dow +1.7%・Russell +3.1% vs NASDAQ -6.2%。ヘルスケア +7.8%・資本財 +4.9% がテック -5.1% を圧倒。AI 一極集中から全方位の銘柄選別へ。

5 月に 9 週連騰を牽引した AI/ソフトウェア (IGV 月間 +21%) の利益確定が、金利上昇に強いバリュー・ディフェンシブへ資金を押し出した。等加重 S&P (RSP) は +1.1% でキャップ加重 SPX (-3.0%) を 4pp 上回り、「幅の広がり」がデータで確認できる。

この動きは一過性のリバウンドではなく、「利下げの死」で高 PER グロースのバリュエーション天井が下がったことによる構造的なローテーション。Russell 2000 が月内に史上初の 3,000 を超えたことは、小型株への資金流入が本格化したシグナル。

2.3 AI サプライチェーンの選別 — 上流 vs 下流で明暗

🎯 要点: Micron 粗利率 84.9% の怪物決算 vs Apple -6.6% のメモリ危機。「半導体は全部買い」ではなく、バリューチェーン上の位置で銘柄選別する局面に。

AVGO 決算ショック (6/3) は「AI +143% でも株が売られる」という新しい現実を突きつけた。市場は「完璧を織り込んだ株」への罰則を厳しくしており、ミスへの市場反応は 5 年平均の 1.6 倍。一方で Micron の Q3 FY26 (6/24) は売上 $41.5B・粗利率 84.9% と AI メモリの構造的需要を証明。

月末の Apple -6.6% は、メモリ価格高騰の「請求書」が下流 (消費者) に届いたことを示した。DRAM +58-63%・NAND +70-75% QoQ は、HBM への容量シフトが原因。サプライチェーン内の利益再配分が数字で確認された月だった。

📚 用語: メモリ・スーパーサイクルとは AI データセンターが HBM (高帯域メモリ) を大量消費することで、DRAM/NAND 全体の供給が逼迫する現象。過去のメモリサイクル (2017-18, 2021-22) は 1-2 年で供給過剰に転じたが、AI 需要の構造性が強い今回は従来より長期化する可能性がある。生産者 (Micron, SK Hynix) は過去最高の粗利率を享受し、消費者 (Apple, PC/スマホ OEM) はコスト転嫁に苦しむ。

2.4 イラン和平と原油急落 — 地政学の構造変化

🎯 要点: WTI $87→$69 (-21%)。イラン和平合意 + 需要懸念のダブルパンチでエネルギーに暗雲。ただし原油安はヘッドライン PCE の先行きを抑える追い風にもなる。

6/15 の米イラン MoU 署名 (ホルムズ海峡再開の枠組み) で原油が急落。月末のドローン攻撃 (6/26) で停戦に亀裂が入ったが、市場は「需要懸念 > 供給懸念」と判断して原油安が継続した。$70 割れはシェール損益分岐点 ($50-70) に接近しており、新規掘削の減速→中期的な供給減の自律調整が意識される水準。


3. セクター ローテーション — 月間の勝ち負け

🎯 要点: 6 月は「金利上昇に強いバリュー/ディフェンシブ」vs「金利上昇に弱い高 PER グロース」の明暗がくっきり出た月。

月間最強はヘルスケア (XLV) +7.8%。ディフェンシブ性に加え、M&A の活発化とバイオ新薬の承認ラッシュが追い風。資本財 (XLI) +4.9% は NDAA (国防授権法) のマークアップ完了 + インフラ支出期待。公益 (XLU) +4.7% は AI データセンターの電力需要テーマ + ディフェンシブ需要の二重の追い風。

月間最弱は通信 (XLC) -8.0%。META / GOOGL の調整でテック売りの余波を直接被った。ソフトウェア IGV -13.2% は 5 月の +21% 暴騰の巻き戻し (「完璧を織り込んだ」反動)。テック (XLK) -5.1% は AVGO ショック + Apple メモリ危機。エネルギー (XLE) -3.7% は原油 -21% の直撃。

📚 用語: セクター・ローテーションの 4 象限 景気サイクルの各局面で有利なセクターが異なる。拡大初期=テック/一般消費財、拡大後期=エネルギー/素材、鈍化=ヘルスケア/公益/生活必需品、回復=金融/資本財。6 月は「拡大後期→鈍化」の移行を示唆するローテーションパターンで、ディフェンシブ (ヘルスケア/公益) と金利恩恵 (金融) が同時に買われた。


4. マクロ環境の総括 — 1 ヶ月のデータの弧

6 月のマクロデータは「インフレ高止まり + 雇用堅調 = Fed に利上げ余地」という絵を描いた。

  • NFP +172K (6/5、予想 ~80K の倍超) で利下げ観測が消滅。10Y は 4.54% へ急騰
  • CPI +4.2% YoY (6/10、3 年ぶり 4%台、ただし主犯はガソリン +7%・コアは +0.2% MoM)
  • Warsh 初 FOMC (6/17) でドット 3.4%→3.8% 反転。「年内利下げ」→「年内利上げ」
  • コア PCE +3.4% YoY (6/26、2023 年 10 月以来高。コンセンサス通りで追加ショックなし)
  • 個人所得 +0.7% (予想 +0.4% を大幅上振れ) — 強い消費の持続性を確認

金利は月中 4.54% のピークから月末 4.37% へ低下。原油安 (WTI $87→$69) がヘッドライン PCE の先行きを抑えるとの期待が、長期金利の低下要因に。CME FedWatch は 7/29 FOMC で据え置き ~65%・利上げ ~35%。


5. 決算シーズンの総括

6 月は Q1 FY26 決算シーズンの末期 + Q2 FY26 の前哨戦 (Micron 等) に当たる。

Q1 FY26 は S&P 500 全体で EPS +27.7%・売上 +11.4% の二桁ダブル成長 (FactSet) で、裾野の広い増益 (参加率 7 割超)。ただし市場の「罰」は厳しく、ミスした銘柄の反応は 5 年平均の約 1.6 倍。「完璧を織り込んだ相場」の性質が鮮明だった。

6 月に報告された注目決算: AVGO (6/3、AI +143% でも AH -14%)、CrowdStrike (6/3)、Oracle (6/10、OCI RPO が好感)、Adobe (6/11)、Micron (6/24、売上 $41.5B・粗利率 84.9%・Q4 ガイダンス $50B)。

7 月の Q2 決算シーズンでは EPS +22% が見込まれ、2 四半期連続の +20% 超。ただし Warsh のタカ派転換でバリュエーションの天井が下がったため、「業績は良いが株が上がらない」リスクに注意。


6. 来月の展望 — カレンダーとシナリオ

来月の経済カレンダー

JST 日付 / 時刻イベント重要度解釈
JST 7/1 (火) 22:30Warsh 議長 発言★★★ブラックアウト前。タカ派トーンの地ならしか
JST 7/1 (火) 23:00ISM 製造業 PMI (6月) + JOLTS★★★★景気の先行指標。予想 ~53.3
JST 7/2 (水) 21:306 月 NFP (祝日前倒し)★★★★★早期引け日に直撃。予想 +110-130K
JST 7/3 (木)米国市場休場 (独立記念日振替)
US 7/14 週Q2 決算シーズン開幕 (JPM / WFC)★★★★銀行の NIM + ガイダンス
JST 7/24Section 122 関税失効★★★★議会票決で延長 or 撤廃
US 7/28-29FOMC (Warsh 2 回目)★★★★★利上げか据え置きか
JST 7/30 (木) 21:306 月コア PCE★★★★★原油安の効果が出始めるか
US 7 月下旬MSFT / GOOGL / META / AMZN / AAPL 決算★★★★★AI 設備投資の答え合わせ

来月のシナリオ — 強気 / 弱気の分岐点

  • 強気シナリオ: NFP が +100-130K (コンセンサス並み) でソフトランディング確認 + 原油安がヘッドライン PCE を鈍化させる → 7/29 FOMC で据え置き確定 → 7 月季節性 (過去 20 年最強月・直近 5 年勝率 100%) が追い風。セクターは金融・資本財・ヘルスケアが引き続き選好
  • 弱気シナリオ: NFP が >180K (再び上振れ) で利上げ観測が強まる + メガキャップ決算がガイダンスを引き下げ → 7/29 FOMC で利上げ → テック・グロースにさらなる圧力。WTI $65 割れでエネルギーも追加売り
  • 分岐点: 7/2 NFP の数字が最大の不確実性。コンセンサス (110-130K) に着地すれば季節性追い風で 7 月ラリー、大幅上振れなら利上げ恐怖で続落。短縮取引日なのでオーバーシュートに注意

季節性 — 7 月はサイクルのどこか

7 月は S&P 500 の過去 20 年平均で年間最強月クラス (+1.1-2.3%)、直近 5 年は勝率 100%。上昇は月前半に集中する傾向 (front-loaded)。2026 年は中間選挙年で、歴史的には 4 月ピーク→10 月底→年末反発がパターン。6 月の -3% がその「4 月ピーク後の調整」の一部とすれば、7 月の季節性追い風は下支えになりやすい。ただしアノマリーは「傾き」であって毎回当たるわけではない。


7. 今月の学び — 長期投資家として覚えておくべきこと

用語 / 概念

  1. グレート・ローテーション — テック/グロース一極集中から、バリュー/ディフェンシブ/小型株へ資金が広がる大規模な物色交代。金利前提の変化 (利下げ→利上げ) がトリガーになることが多い
  2. 完璧を織り込んだ株の罰 — コンセンサスを上回っても株価が下落する現象。市場の期待値が極端に高い (PER が大きい) 銘柄は、ビートしても「十分ではない」と判断される。AVGO の「AI +143% でも AH -14%」がその典型
  3. ドット反転のインパクト — Fed のドットプロットが利下げ方向から利上げ方向へ反転することは稀で、市場の金利前提を根底から変える。過去には 2022 年のタカ派転換がその例。バリュエーションの天井が下がり、高 PER グロースへの逆風が構造的に強まる

パターン

  • 「金利前提の変化はセクター・ローテーションの最大のドライバー」。 6 月のヘルスケア +7.8% vs テック -5.1% の 13pp 差は、金利前提が利下げから利上げに変わったことで説明できる。個別の決算よりも、金利の方向感がセクター間のリターン差を支配する局面がある

監視指標の閾値表

指標月末値警戒水域含意
VIX18.41> 20 で警戒、> 25 で守備月中に 2 回 20 超え。安定だが Fear 圏
10Y Yield4.37%> 4.80% で株売り加速月中 4.54% がピーク。原油安で低下
WTI$69.23< $65 でシェール採算割れ$70 割れ。需要懸念が支配的
フォワード P/E~20.510年平均 18.9 の上月初 21.2 から低下中。まだ割高
コア PCE YoY3.4%> 3.5% で利上げ加速高止まり。次回 7/30
USD/JPY161.80> 162 で介入警戒162 接近。日銀の口先介入に注意

8. データソース・引用

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免責

本記事は情報提供のみを目的としています。投資勧誘や個別銘柄の売買推奨ではありません。記載の数値は取得時点のもので、市場開閉や訂正により変動します。投資判断はご自身の責任で行ってください。本記事の見解は執筆者個人のもので、所属組織の見解を代表するものではありません。

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