Daily Stock Strategy米国株 デイリー戦略ノート

WEEKLY · 2026 / W22

2026 第22週 — Core PCE ディスインフレ確認 → 金曜ソフトウェア一斉急騰 (月間 +21%・2001年以来最高)、S&P 9 週連騰で最高値 / 来週は NFP・AVGO が FOMC 前最後の山場

Memorial Day 短縮週 (US 5/26–5/29 の 4 営業日) は SPX +1.43% / NASDAQ Comp +2.39% で 9 週連騰・最高値。Core PCE は YoY +3.3% と熱いが MoM 下振れ + GDP 下方修正で 30Y が 5% 割れ、DELL 受注残 $51.3B / SNOW +39% の AI 決算を起点に、金曜はソフトウェアが『SaaSpocalypse 懸念の巻き戻し』で一斉急騰 (IGV 月間 +21% = 2001年10月以来最高)。ただし金曜 Russell -0.59% 逆行で幅は狭い。来週は JST 6/4 (木) 早朝 AVGO + 6/5 (金) NFP が FOMC (6/16-17) 前最後のフルデータ週。

執筆: Daily Stock Strategy 編集部20 分で読了強気

短縮週は『Core PCE ディスインフレ → 30Y 5%割れ → DELL/SNOW の AI 決算 → 金曜ソフト一斉急騰』の連鎖。IGV 月間 +21% (2001年以来最高)、S&P 9 週連騰で最高値。ただし Russell 逆行で幅は狭い。来週は NFP・AVGO が FOMC 前最後の山場。

今週のまとめ

Memorial Day で月曜休場の短縮週、確定 4 営業日 (US 5/26–5/29) は『Core PCE のディスインフレ確認が金利を押し下げ、グロース → ソフトウェアの一斉ローテーションに点火した週』。木曜の Core PCE は YoY +3.3% (2023年10月以来) と熱い見出しでも、MoM はコア +0.2% と予想下振れ、GDP Q1 改定は +2.0%→+1.6% に下方修正。これで利上げ織込が利下げ再織込へ巻き戻り、30Y は 5% 割れ (4.985%)。同じ木曜引け後の DELL (AI サーバ受注残 $51.3B) + SNOW (+39.46%、上場来最大) が『エンタープライズ AI 需要は本物・ソフトは AI に食われない』を硬い数字で証明し、金曜 (US 5/29) は決算を出していない NOW +14.4% / ORCL +10.8% / PANW +9.3% / CRWD +8.9% が揃って急騰する『Anthropic フィアトレード (SaaSpocalypse 懸念) の巻き戻し』というセクターローテーションが起きた。IGV (Software ETF) は月間 +21% で 2001年10月以来の最高月、SPX 7,580 は 9 週連続上昇で最高値。一方 金曜の Russell 2000 は -0.59% と逆行し、ディフェンシブ (COST -3.9%) も売られた = 上昇の幅は狭い。来週 JST 6/4 (木) 早朝 AVGO 決算 + 6/5 (金) 21:30 米雇用統計 (NFP) が FOMC (6/16-17) 前最後のフルデータ週で、6/6 (土) からブラックアウト入り。

週末マーケット スナップショット

SPX+1.43%

S&P 500 (5/29 引け)

7,580.06

+106.59

IXIC+2.39%

NASDAQ Comp (5/29 引け)

26,972.62

+628.65

NDX+2.89%

NASDAQ 100 (5/29 引け)

30,333.18

+851.54

RUT+1.75%

Russell 2000 (5/29 引け)

2,919.34

+50.11

VIX9.94%

VIX (5/29 引け)

15.32

-1.69

USDJPY0.09%

USD/JPY (5/30 朝 JST)

159.26

-0.14

SPX
+1.43%
IXIC
+2.39%
NDX
+2.89%
RUT
+1.75%
VIX
-9.94%
USDJPY
-0.09%
主要指数の週次騰落 (%)。中央が 0、緑=上昇・赤=下落で、バー長は変化率の大きさに比例。

主要シグナル

空売り比率 / AD ライン / Put/Call / VIX / 機関フロー など (週次)

今週の地合い

リスクオン (グロース→ソフト主導)

Core PCE 通過 + 30Y 5%割れでグロース全面高、金曜はソフト一斉ローテで SPX 9 週連騰・最高値

勝ちセクター

ソフトウェア 月間 +21%

IGV (Software ETF) は 5 月 +21% で 2001年10月以来の最高月。金曜 NOW +14.4% / ORCL +10.8% / PANW +9.3% / CRWD +8.9%

負けセクター

エネルギー / ディフェンシブ

Iran 停戦観測で原油急落 (Brent 5月 -19% = コロナ禍以来最悪)、金曜は COST -3.9% / XLP -1.8% のディフェンシブ離れ

構造的追い風

30Y 5% 割れ (4.985%)

Core PCE MoM 下振れ + GDP +1.6% 下方修正で利下げ再織込、長期金利低下がデュレーションの長い高 PER グロースを直接利した

VIX 週末

15.32 (週初 17.01)

16.86 → 15.74 → 15.32 と週を通して低下、1/23 以来の低水準・強欲ゾーン

警戒シグナル

狭いリーダーシップ + 割高

金曜 Russell 2000 -0.59% 逆行、SPY-RSP 30d スプレッド +2.11% の大型集中。FactSet フォワード P/E 21.0 (10年平均 18.9 超)

来週の山場

JST 6/4 AVGO + 6/5 NFP

FOMC (6/16-17) 前最後のフルデータ週、6/6 (土) からブラックアウト入り

USD/JPY 警戒

159.26

159 台で膠着、160 が財務省の介入警戒線。来週 NFP 上振れで突破リスク

決算シーズンの現在地

FactSet Earnings Insight

Q1 2026 · FactSet 2026-05-08 時点

拡大

Q1 2026 はブレンド EPS +27.7% / 純利益率 13.4% (2009 以来最高) と記録的だが、フォワード P/E 21.0 (5/10 年平均超) で上値は織込済。ミスは平均の約 1.7 倍罰される『良くて当然・悪いと厳罰』の選別相場。

ブレンド EPS 成長率

+27.7%

3月末 +13.1% → 倍増。2021 Q4 以来の高さ

ブレンド売上成長率

+11.3%

IT 除くと +9.0%。2022 Q2 以来最高

EPS ビート率

84%

5年平均 78% / 10年平均 76%

EPS サプライズ

+18.2%

5年平均 +7.3% の約 2.5 倍

フォワード 12M P/E

21.0

5年 19.9 / 10年 18.9 を上回る (割高)

通年 2026 予想 EPS

+21.0%

Mag 7 +63.2% / その他 493社 +17.4%

ビート銘柄の反応

ビート銘柄 +1.1% (5年平均 +1.0% とほぼ同じ — 好材料は報われていない)

ミス銘柄の反応

ミス銘柄 −4.9% (5年平均 −2.9% の約 1.7 倍 — ミスは過剰に罰される)

  • Mag 7 +63.2% に対しその他 493 社も +17.4% と益成長の裾野が拡大 (共に 2021 以来の高水準)
  • 純利益率 13.4% は 2009 年の集計開始以来の最高 (前期 13.2% を更新)
  • ボトムアップ目標株価 8,633 (終値 7,433 比 +16.1%)。ヘルスケアのみ前年減益セクター
  • 5/29 時点で Q2 EPS 予想を +2.5% 上方修正 = 2021 以来最大の四半期上方修正

出典: FactSet Earnings Insight

来週の主要イベント

経済指標・決算・金融政策・政治イベントを重要度順に。時刻は JST 表記。

★★★ 重要度 (3)
JST 6/4 (木) 早朝決算

AVGO (Broadcom) Q2 FY26 決算 (US 6/3 (水) AMC)

来週最大の個別イベント。AI 半導体売上ガイド ~$10.7B (前年比 +約140%)、NVDA 系サプライチェーン全体に波及

JST 6/5 (金) 21:30経済指標

米雇用統計 (NFP、5月)

FOMC 前最後の雇用データ。NFP 予想 +102〜130K (FactSet +125K)、失業率 4.3-4.4%、平均時給 +0.2% MoM

JST 6/16–17 (火–水)金融政策

FOMC (政策金利 + SEP + ドットプロット)

6/6 (土) からブラックアウト入りで Fed 発言が途絶。来週のデータが織込を最終決定

★★ 重要度 (4)
JST 6/1 (月) 23:00経済指標

ISM 製造業 PMI (Manufacturing PMI、5月)

予想 53.0 (前回 52.7)。New Orders と Prices Paid (価格指数) の高止まりはスタグフ懸念

JST 6/3 (火) 早朝決算

PANW (Palo Alto) Q3 FY26 決算 (US 6/2 (月) AMC)

NGS ARR / プラットフォーム化契約数。金曜ローテで +9.3% 上げた答え合わせ

JST 6/3 (水) 23:00経済指標

ISM 非製造業 PMI (Services PMI、5月)

予想 53.0 (前回 53.6)。米 GDP の約 7 割。価格指数が粘着インフレの鍵 (スーパーコア先行)

JST 6/4 (木) 早朝決算

CRWD (CrowdStrike) Q1 FY27 決算 (US 6/3 (水) AMC)

EPS 予想 $1.07 (+46.6%)、売上 ~$1.36B (+23.5%)。純新規 ARR と顧客維持率

重要度 (2)
JST 6/2 (火) 23:00経済指標

JOLTS 求人労働異動調査 (求人数、4月)

予想 6.80M (前回 6.87M)。NFP の前哨戦

JST 6/3 (水) 21:15経済指標

ADP 雇用統計 (民間部門、5月)

予想 +75K (前回 +109K)。下振れ続けば労働市場減速ナラティブ

本ノートは Memorial Day (US 5/25 (月) 休場) を挟んだ短縮週のうち、確定した 4 営業日 (US 5/26 (火) 〜 5/29 (金) 引け) を総括し、来週を展望します。週次騰落は各営業日の確定リターンを累積した US 5/22 (金) 引け → 5/29 (金) 引け の値です。

0. 今週のヘッドライン

  • 🏆 今週の主役: 週の弧は 「Core PCE のディスインフレ確認 (木) → 30Y が 5% 割れ → DELL / SNOW の AI 決算ブローアウト (木) → 金曜のソフトウェア一斉急騰 (金)」 の連鎖。IGV (Software ETF) は 5 月単月 +21% で 2001年10月以来の最高月、SPX は 9 週連続上昇で最高値を更新した。
  • 🌊 隠れたテーマ: 上昇の起点は 金利低下であって業績相場ではない。木曜の Core PCE が MoM 下振れ + GDP 下方修正で 30Y を 5% 割れに押し下げ、その追い風に乗って金曜は 決算を出していない NOW / ORCL / PANW / CRWD が揃って +9〜14% 上げる「SaaSpocalypse (SaaS の終焉) 懸念の巻き戻し」というセクターローテーションが起きた。
  • ⚠️ 警戒: 「最高値」だが上昇の幅は狭い。金曜は Russell 2000 が -0.59% と逆行し、ディフェンシブ (COST -3.9% / XLP -1.8%) は売られた。FactSet 集計のフォワード P/E は 21.0 (10年平均 18.9 を 1 割超上回る割高圏)。「業績は記録的・評価は過熱・反応は非対称」がこの週の地合い。
  • 📅 来週の山場: JST 6/4 (木) 早朝の AVGO (Broadcom) 決算 + 6/5 (金) 21:30 の 米雇用統計 (NFP)。FOMC (連邦公開市場委員会、6/16-17) 前、最後のフルデータ週。

1. 今週の振り返り — 確定 4 営業日で何が起きたか

週次の数字 (US 5/22 引け → 5/29 引け)

指数5/29 引け週次騰落コメント
SPX7,580.06+1.43%4 営業日とも陽線、9 週連続上昇で最高値更新
NASDAQ Comp26,972.62+2.39%グロース → ソフト主導でアウトパフォーム
NASDAQ 10030,333.18+2.89%30,000 を回復、メガキャップ + AI が牽引
Russell 20002,919.34+1.75%火曜に初の 2,900 突破も、金曜は -0.59% 逆行
VIX15.32-9.9% (週初 17.01)週を通して低下、1/23 以来の低水準

短縮週の組み立て: 火・水 (US 5/26-27) は「Micron の $1T 入り」「旅行・リオープン物色」「半導体の寄り天井失速」「CRM 決算の反応薄」と地ならしの 2 日間。相場が一段ギアを上げたのは木曜 (US 5/28) の Core PCE 通過からで、その流れが金曜 (US 5/29) のソフトウェア一斉急騰でクライマックスを迎えた、という弧を描いた週でした。

今週の 3 大ドライバー

① Core PCE — 見出しは熱いが中身はディスインフレ (US 5/28 (木) 発表)

今週最大のマクロイベントだった コア PCE (Core PCE、個人消費支出物価指数 コア) は、YoY が +3.3% と 2023年10月以来の高水準で、ヘッドラインも +3.8% と熱い「見出し」でした。しかし中身は逆で、MoM はコア +0.2% / ヘッドライン +0.4% と予想を下振れ、同時発表の GDP (国内総生産) Q1 改定は +2.0% → +1.6% に下方修正されました。「前年同月比は過去のインフレを引きずって高いが、足元の勢いは鈍化している」という構図で、市場は後者 (MoM + GDP) を取りました。読み解きの詳細は 2026/05/29 デイリー戦略 §1 に。

📚 用語: なぜ Core PCE が最重要視されるか Core PCE (個人消費支出物価指数 コア、食品・エネルギー除く) は Fed が物価目標 2% を測る公式指標。CPI (消費者物価指数) より消費者の実際の支出構成を反映し、医療費の計上方法も異なるため、政策判断の「正本」とされる。市場が見るのは YoY (水準) より MoM (足元の勢い) で、+0.2% 前後なら年率 2% 台に収束する軌道、+0.3% 以上が続くとインフレ再加速のサインと読む。今週はこの YoY と MoM の乖離が「リフレ見出しの裏でディスインフレ確認」という値動きを生んだ。

② 30Y が 5% を割り、AI 決算 (DELL / SNOW) が「需要は本物」を証明 (US 5/28 (木))

Core PCE の MoM 下振れと GDP 下方修正で、週前半まで進んでいた利上げ織込が利下げ再織込へ巻き戻り、30年債利回りは週前半の 5.18% (2007年7月以来の高水準) から木曜には 5% 割れ (4.985%) へ低下しました。これがソフトウェア・グロースの引き金を引きます。同じ木曜の引け後には DELLAI サーバ受注残 $51.3B + 全社通期売上を $165-169B へ上方修正、SNOW+39.46% (上場来最大) で AI アカウント数の急増を示し、「エンタープライズ AI 需要は本物・ソフトは AI に食われない」が硬い数字で確認されました。決算の詳細は DELL Q1 FY27 決算レポートSNOW Q1 FY27 決算レポート に。

📚 用語: デュレーション (金利感応度) と高 PER グロース 高 PER のグロース株は、利益の大半が「遠い将来」にあるため、割引率 (長期金利) の変化に株価が大きく反応する = デュレーションが長い。長期金利が下がると将来利益の現在価値が膨らみ、株価が真っ先に上昇する。今週のソフトウェア全面高は、業績そのものより 30Y の 5% 割れが直接の引き金だった点を見落とさないこと。金利が反転すれば、最も上がった銘柄から真っ先に巻き戻る。

③ 金曜のソフトウェア一斉急騰 — 「SaaSpocalypse 懸念の巻き戻し」(US 5/29 (金)、今週のクライマックス)

金曜 (US 5/29) の主役はエンタープライズソフトウェアでした。ただ正体は「6 社が一斉に決算を出した」のではなく、決算を出していない NOW +14.4% / ORCL +10.8% / PANW +9.3% / CRWD +8.9% が揃って急騰した、純粋なセクターローテーションです。②の DELL / SNOW の決算で「ソフトは AI を収益化する側」が確認され、ここ数ヶ月「生成 AI が SaaS の需要を食う (= SaaSpocalypse)」という弱気論で売られすぎていたソフト株の弱気ポジションが一斉に巻き戻りました。IGV (Software ETF) は金曜 +6.25% / 月間 +21% で 2001年10月以来の最高月。読み解きは 2026/05/30 デイリー戦略 で深掘りしています。

📚 用語: セクターローテーション の見分け方 と「Anthropic フィアトレード / SaaSpocalypse」 セクターローテーション = 個別企業の決算ではなく、マクロや市場テーマの変化で、ある業種からある業種へ資金がまとめて移動する現象。見分け方の鉄則は「決算を出していない銘柄まで一斉に同方向に動いているか」。金曜のように NOW (決算 1ヶ月前)・PANW (決算来週)・CRWD (決算来週) が揃って +9〜14% 上げたら、それは個別材料ではなくローテーションのサイン。SaaSpocalypse は "SaaS" + "apocalypse (黙示録)" の造語で、生成 AI がアプリケーションソフトの需要を破壊するという弱気論。その懸念で組まれた空売り・アンダーウェイトの解消が「Anthropic フィアトレードの巻き戻し」。

見落とされた不協和音 — 金曜の「生産は強いが消費マインドは過去最低」(US 5/29 (金))

ソフト全面高の陰で、金曜の第 2 ティア指標は正反対のサインを出していました。シカゴ PMI (Chicago PMI、5月) は 62.7 (予想 50.6・4 年ぶり高水準) と生産の急回復を示す一方、ミシガン大消費者信頼感 (Consumer Sentiment) の 5 月確報は 44.8 と過去最低で、1 年先の期待インフレは +4.8% / 長期 +3.9% へ上昇しました。「生産は底堅いが家計マインドは冷え込み、期待インフレは粘る」というスタグフレーション色の乖離で、指数の最高値更新の裏で出ていたこの不協和音は、来週の弱気シナリオ (NFP の賃金・期待インフレの再加速) の伏線になります。読み解きの詳細は 2026/05/30 デイリー戦略 §4 に。

長期投資家として覚えておくべきこと: 今週の株高は「金利低下が主因」で「ソフトの上昇は決算を伴わない巻き戻し」が大半。この 2 つはいずれも質が脆い。金利が反転 (来週 NFP の賃金再加速) すれば最も上がった高 PER グロース (NOW / WDAY / PLTR) が真っ先に売られ、巻き戻しで先走った銘柄は自社の次の決算 (PANW 6/2、CRWD 6/3、AVGO 6/3) が最大の答え合わせになる。上昇の「質」を金利と業績の両面で確認し、期待先行で上がった銘柄を自社決算前に追いかけ買いしないこと。


2. セクター ローテーション — 週次の勝ち負け

セクター方向ドライバー
ソフトウェア / SaaS勝ち (週の主役)30Y 低下 + DELL/SNOW の決算で「AI 収益化」確認。金曜に NOW/ORCL/PANW/CRWD が一斉急騰、IGV 月間 +21%
AI ハード / 半導体まちまち週前半は MU の $1T 入り (UBS 目標 $1,625) で強含むも、週央は MU/TSM/LRCX が集団失速。木曜に AMD +4.6% で持ち直し
旅行・リオープン勝ちIran 緊張剥落で MGM +9.1% / UAL +6.3% / NCLH +6.1% が同期して強い窓開けを維持 (US 5/26-27)
景気消費 (Consumer Discretionary)勝ちエネルギーから景気消費へ資金移動 (+1.76%、US 5/27)
エネルギー負けIran リスクプレミアム剥落で原油急落 (Brent は 5 月 -19% = コロナ禍以来最悪の月)、週前半に売られた
ディフェンシブ (生活必需品)負け (金曜)リスクオン環境で高 P/E ディフェンシブが見限られ、COST -3.9% (決算は堅調) / XLP -1.8%

金曜の「最高値だが Russell 逆行」が示すのは、上昇の幅が狭いことです。SPY の 30 日リターン +6.31% に対し RSP (S&P 均等加重) は +4.20% で、スプレッド +2.11% の大型集中が続いています。資金は IGV と一部メガキャップに極端集中し、小型は置き去り = ブレッドス (市場の幅) は悪化のサインです。

📚 用語: ブラックアウト期間 (FOMC) FOMC 会合前の約 10 日間、Fed 高官は金融政策に関する公の発言を控える「ブラックアウト」に入る。今回は 6/6 (土) から開始。この間は Fed からの新情報が途絶えるため、来週 (6/1 週) の経済指標 — とりわけ NFP — が利下げ織込を最終的に決定する。指標一本の重みが平時より大きい週になる。

長期投資家として覚えておくべきこと: 「金利低下が主因の株高 + 決算を伴わないソフトの巻き戻し」は、年初来 value / 出遅れ主導で Tech が出遅れていた反動 = 平均回帰 (mean reversion) の色が濃い。これが「一過性の反発」で終わるか「新トレンドの始まり」になるかの決め手は来週の PANW / CRWD / AVGO 決算。AI 収益化が裏付けば継続、空振れば失速、という分岐点に今いる。


2.5 決算シーズンの現在地 — 集計データの読み筋 (FactSet Earnings Insight)

ページ上部の「決算シーズンの現在地」カード (FactSet 5/8 時点。市場反応は 5/11、Mag 7 分解は 5/21、Q2 上方修正は 5/29 の個別記事) を踏まえ、数字は繰り返さず解釈に集中します。Q1 2026 決算は 5/8 時点で 89% が報告済みのほぼ終盤です。

FactSet の集計は、今週の「ソフトウェア一斉急騰・狭いリーダーシップ・割高感」という 3 つのテーマがなぜ同居できるのかを説明してくれます。

  • 益成長のフェーズ — 本物: ブレンド EPS は四半期入り口の予想から倍以上に膨らみ、純利益率は 2009 年の集計開始以来の最高を更新しました。利益の質が裏付けられているからこそ、決算なしでも NOW のようなソフトウェア株が「巻き戻し買い」を正当化できます。
  • 狭いリーダーシップ — 数字でも裏が取れる: Mag 7 の EPS 成長率はその他 493 社の約 3.6 倍。相場の牽引役が一握りに集中する構造は、雰囲気ではなく集計レベルで確認できます (金曜の Russell 逆行と同じ絵)。
  • ビート/ミスの市場反応 — 構造変化のサイン: ビート企業はもはや報われず (株価反応は 5 年平均並み)、ミス企業は平均の約 1.7 倍も罰されています。フォワード P/E が 5 年・10 年平均をはっきり上回る水準まで買い上げられた以上、市場は「良い決算は織り込み済み・悪い決算だけがサプライズ」という非対称な値付けに移行しました。今週の SNPS (上振れでも -8.61%) はその典型です。

なお別系統の LSEG (Refinitiv) I/B/E/S 集計でも Q1 EPS +27.8% / 売上 +10.5% とほぼ一致し、FactSet の高成長像は単一ソースの偏りではありません。集計の深掘り (複数ソースのバリュエーション比較) は マーケット インサイト コレクションに切り出しています。

📚 用語: フォワード P/E と「5 年 / 10 年平均比」で割高を測る フォワード P/E = 株価 ÷ 今後 12ヶ月の予想 EPS。過去 EPS で計算する実績 P/E より将来の利益期待を映す。単体の数字 (21.0) だけでは割高か判断できないので、必ず過去の自分自身との比較で見る。今回は 5 年平均 19.9 / 10 年平均 18.9 を 1 割超上回っており「歴史的に見て割高な水準」と読む。割高でも上がり続けることはあるが、割高な相場ほど悪材料 (決算ミス・金利上昇) への下落感応度が高くなる。FactSet の「ミス銘柄が平均 -4.9% (平時の 1.7 倍) 罰される」は、その脆さが既に出ている証拠。

長期投資家として覚えておくべきこと: レジームは「業績拡大は本物だがバリュエーションは過熱」のピーク接近局面。記録的なファンダメンタルズが割高な株価を支える綱渡りで、次回 FactSet Update では (1) Q2 の上方修正が続くか (5/29 の +2.5% は 2021 以来最大)・(2) フォワード P/E が 21 台で頭打ちか・(3) ミスへの懲罰倍率が縮むかの 1 点を確認したい。


3. 来週のシナリオ — 強気 / 弱気の分岐点

来週 (6/1 週) は FOMC (6/16-17) 前の最後のフルデータ週。Fed が 6/6 からブラックアウトに入るため、経済指標と決算が織込を一方的に動かす「答え合わせの週」です。

  • 強気シナリオ: NFP が市場予想並み (賃金 YoY +3.5% 割れ) + AVGO の AI ガイダンス上方修正なら、「ディスインフレ + AI 設備投資継続 + ソフトの AI 収益化」の今週の構図が来週も延長。30Y がさらに低下すればグロースの上値追いが続く。狭いリーダーシップが小型・出遅れへ拡散すれば、上昇は健全化する。
  • 弱気シナリオ: NFP の賃金が再加速 (MoM +0.4% 超) すると — 金曜のミシガン大 5 月確報で 1 年先の期待インフレが +4.8% / 長期 +3.9% へ上昇しており家計のインフレ期待は既に粘着的 — 今週剥がれた利上げ織込が再び戻り 30Y が 5% を回復 → 今週最も買われた高 PER グロース (NOW / WDAY / PLTR) が真っ先に巻き戻す。PANW / CRWD / AVGO の決算が「期待先行」に追いつかなければ材料出尽くし (sell the news)。USD/JPY 160 突破 + 介入警戒も重なる。
  • 分岐点: 最大の不確実性は NFP の平均時給 (賃金インフレ)AVGO の AI 半導体ガイダンス。株価ではなく 30Y が 5% を上抜けるか / 下に固まるかを判断の軸にする。ソフト一極集中が続けば脆さが増し、物色が広がれば地合いは強い。

4. 今週の学び — 長期投資家として覚えておくべきこと

用語 / 概念

  1. YoY と MoM の乖離 — 前年同月比 (水準) は過去を引きずるため遅行する。相場が反応するのは足元の勢いを示す MoM。今週はこの乖離が「リフレ見出しの裏でディスインフレ確認」という値動きを生んだ。
  2. デュレーション (金利感応度) — 高 PER グロースは将来利益の比重が大きく、長期金利の変化に株価が大きく反応する。金利低下相場で最も上がり、金利反転で最も下がる。
  3. セクターローテーションの見分け方 — 個別決算ではなくマクロ / テーマで資金が業種間を移動する現象。鉄則は「決算を出していない銘柄まで一斉に同方向へ動いているか」。金曜は NOW・PANWCRWD が揃って +9〜14% = ローテーションのサイン。
  4. フォワード P/E は「5 年 / 10 年平均比」で割高を測る — 単体の数字 (21.0) でなく過去の自分との比較で。10 年平均 18.9 を 1 割超上回る = 割高。割高な相場ほど悪材料への下落感応度が高い。

パターン / 経験則 (1 つ)

  • 「金利低下 + 決算なしの一斉上昇」は質が脆い — 業績ではなく割引率の低下が引き金で、かつ自社の材料を伴わない巻き戻し上昇は、金利が反転すると最初に買われた銘柄から崩れ、期待先行で上がった銘柄は自社の次の決算が答え合わせになる。上昇局面では「何が・なぜ上げているか (金利か業績か、決算か巻き戻しか)」を必ず切り分ける。

監視指標の閾値表

指標週末値警戒水域含意
VIX15.32> 20 で警戒、> 25 で守備強欲ゾーン、1/23 以来の低水準
10Y Yield4.453%> 4.80% で株売り加速Core PCE 後に低下、来週 NFP 次第
30Y Yield4.985% 近辺5.00% 上抜けでグロース巻き戻し5% を割れた直後、最重要の節目
フォワード P/E (S&P500)21.010年平均 18.9 から乖離大割高 (1 割超上回る)、悪材料感応度が上昇
期待インフレ (UMich 1年)+4.8%5% 接近で金利上昇圧力5月確報で過去最低の信頼感と同時に上昇、NFP 賃金と二重で要確認
USD/JPY159.26> 160 で介入リスクNFP 上振れで突破リスク

5. データソース・引用

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