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Bull Note米国株 デイリー戦略ノート

MARKET INSIGHT · Q2 決算スコアカード (終盤)

ピーク接近
Q2 2026FactSet 8/7 時点 (88% 報告済み)2026年8月14日(金)17

S&P500 決算スコアカード — Q2 終盤、ブレンド EPS +50.4% は 2021 年以来最高。中盤に『Alphabet を除けば』と書いた話は、Amazon が加わって 2 社の物語になった

S&P500 の Q2 2026 決算シーズンが終盤に入った (FactSet 8/7 時点・88% 報告済み)。ブレンド EPS 成長率は +50.4% と 2021 年 Q2 以来の最高になったが、中盤 (7/28) に指摘した Alphabet の $98B 評価益に、今度は Amazon の $53.4B (Anthropic 投資関連) が加わった。2 社を除くと +32.0%。一過性要因は薄まるどころか倍化している。EPS ビート率 86% は 2021 年 Q2 以来の高さで、サプライズ幅 +29.2% は FactSet が 2008 年に集計を始めて以来の最高値を更新した。だが市場の反応は逆で、ビート銘柄の株価は発表前後 2 日で平均 +0.4% (5 年平均 +1.0%) しか報われていない。8/13 に Cisco が全項目上振れでも -9.10% になった事例は例外ではなく、集計値がそれを裏づけている。純利益率 16.9% は 2009 年の集計開始以来の記録で、2 社を除いた 15.0% でもなお記録。LSEG の別集計 (+51.1%) とも突き合わせて、この『記録ずくめだが報われない決算シーズン』の読み方を整理する。

ブレンド EPS +50.4% は 2021 年以来最高。だが Alphabet と Amazon の評価益を除くと +32.0% — 一過性要因は薄まらず倍になった

集計スコアカード

FactSet 8/7 時点 (88% 報告済み)

ブレンド EPS 成長率 (Q2)

+50.4%

2 社除き +32.0% / 6月末 +23.1% → 現在。2021 Q2 以来最高

ブレンド売上成長率 (Q2)

+15.0%

6月末 +12.2% → 現在。2021 Q4 以来最高

EPS ビート率

86%

5年平均 78% / 10年平均 76%。2021 Q2 以来の高さ

売上ビート率

76%

5年平均 70% / 10年平均 68%

EPS サプライズ幅

+29.2%

2 社除き +10.9%。2008 年の集計開始以来の最高値

純利益率 (Q2)

16.9%

2 社除き 15.0%。どちらも 2009 年の集計開始以来の記録

報告済み割合

88%

残り約 12% (NVIDIA 含む)。翌週の発表予定は 9 社、次回 FactSet 更新は 8/28

フォワード 12M P/E

20.0

5年 19.9 / 10年 19.0。6月末の 20.4 からは低下

ビート/ミスの市場反応

ビート銘柄の反応

ビートは報われていない — ビート銘柄の株価は発表前後 2 日窓で平均 +0.4% (5 年平均 +1.0%)。8/13 の Cisco は全項目上振れでも -9.10%

ミス銘柄の反応

ミスの罰も軽い — ミス銘柄は同窓で平均 -2.3% (5 年平均 -3.0%)。ビートもミスも反応が鈍る「無風化」が同時に起きている

バリュエーション (フォワード P/E)

複数ソースのクロスチェック。水準は 5/10 年平均との比較で見る。

ソースフォワード P/E5年平均10年平均補足
FactSet20.019.919.08/7 時点。6/30 の 20.4 から低下 — 株価 +2.8% に対し予想 EPS が +4.7% と分母の伸びが上回った
JPMorgan GTM (Q3 版)20.46/30 基準。30 年平均 17.2 倍との比較が持ち味。CAPE は 40.7 倍 (30 年平均 28.8 倍) と長期尺度では明確に割高

マクロ予想 (発表前コンセンサス)

FactSet Earnings Insight 次回更新8/14・8/21 は休刊
US 8/28 (金)

この 8/7 版が 3 週間ぶんの最新スナップショットになる

NVIDIA Q2 決算Q2 の最後の山場
US 8 月下旬

半導体 (+135% 成長) の牽引役。集計に残る最大の未報告要因

注目ポイント

  • Alphabet ($98B の未実現評価益) を除くと +50.4% → +38.8%、Amazon ($53.4B・Anthropic 投資関連) も除くと +32.0%。中盤に『Alphabet を除けば』と書いた構図は解消せず、2 社に拡大した
  • EPS サプライズ幅 +29.2% は FactSet が 2008 年に集計を始めて以来の最高値 (従来記録は 2020 Q2 の +23.2%)。ただし 2 社を除くと +10.9% で、これでも 5/10 年平均超
  • 純利益率 16.9% は 2009 年の集計開始以来の記録 (前四半期 14.8%・前年同期 12.9%)。2 社を除いた 15.0% でもなお記録更新で、利益率の強さは一過性要因だけではない
  • 売上成長率 +15.0% は 2021 Q4 以来の高さ。情報技術 (+35.9%) とエネルギー (+42.5%) の 2 セクターを除くと +9.7% まで落ちる
  • Q3 のネガティブ EPS ガイダンスは 75 社中 25 社 (33%) で、5 年平均 58% / 10 年平均 60% を大きく下回る。企業側の自信は続いている
  • アナリストは Q3 の予想を四半期入り後に +0.3% 上方修正 ($88.67 → $88.95)。通常は最初の 1 ヶ月で 5 年平均 -1.0% 切り下がるため 2 四半期連続の異例で、ビート率 86% が『下がったハードル』の産物ではないことを示す (FactSet 8/6 時点)
  • 11 セクター中 10 が増益、うち 8 が二桁成長。減益はヘルスケア (-6.7%) のみで、これも週内に -13.8% から改善した
  • FactSet は 8/14・8/21 を休刊とし次回更新は 8/28。この 8/7 版が 3 週間ぶんの最新スナップショットになる

0. ヘッドライン

Q2 2026 決算シーズンが終盤に入った (FactSet 8/7 時点・88% 報告済み)。ブレンド EPS 成長率は +50.4% で、2021 年 Q2 (+91.6%) 以来の最高になりました。ただし中盤版で「Alphabet 1 社の評価益で歪んでいる」と書いた構図は、解消するどころか 2 社に広がっています。

局面は引き続き ピークアウト (peak) 接近。数字はほぼ全項目が記録更新なのに、株価の反応は 5 年平均を下回る——この乖離こそが今回の主題です。

🎯 要点: 中盤 (7/28) の予想は外れました。「シーズンが進めば Alphabet の一過性要因は薄まる」と考えるのが自然でしたが、実際には Amazon の $53.4B が加わって歪みは倍になった。ヘッドラインの +50.4% は 2 社を除けば +32.0% です。ただしこの +32.0% 自体が 7 四半期連続の二桁成長・2 期連続の 25% 超であり、「幻だった」という話ではない点が今回のいちばん繊細なところです。

数値スコアカード・バリュエーション・市場反応は ページ上部にカード表示しています。本文では数字を繰り返さず、「その数字をどう読むか」に集中します。

このシリーズは プレビュー (6/28)序盤 (7/11)中盤 (7/28) と続けてきました。本記事はその答え合わせにあたります。


1. 「+50.4%」の解剖 — 一過性要因は薄まらず、倍になった

🎯 要点: 決算シーズンが進むと一過性要因は希薄化する、というのが定石です。今回はその定石が裏切られました。

中盤時点 (FactSet 7/24) のブレンド EPS 成長率は +37.9%、Alphabet の未実現評価益 $99B を除くと +25.9% でした。報告済みが 27% しかない段階だったので、残り 7 割の企業が「普通の決算」を出せば、1 社の異常値は分母に埋もれて薄まるはずでした。

実際には逆のことが起きています。88% が報告した現在、ブレンド EPS 成長率は +50.4% へさらに上昇した。理由は Amazon です。同社の Q2 の GAAP EPS には、Anthropic への投資に関連する $53.4B の営業外利益が含まれていました。Alphabet の $98B に、もう 1 社ぶんの巨大な評価益が積み上がった格好です。

FactSet 自身が段階的な内訳を示しています。Alphabet を除くと +50.4% → +38.8%、Amazon も除くと +32.0%。つまりヘッドラインの 18.4 ポイントぶんが、この 2 社の会計上の評価益で説明できます。

ここで大事なのは、「+32.0% が地味な数字ではない」という点です。 一過性要因を全部剥いでも 2 期連続の 25% 超・7 四半期連続の二桁成長で、5 年平均 (+15.2%) の 2 倍を超える。中盤版で「実勢は +25.9%」と書いたときより、実勢そのものも上振れしています。歪みの話と、本業が強いという話は、両立しているわけです。

📚 用語: ブレンド成長率 (Blended Growth Rate) とは 決算を発表済みの企業の確定値と、未発表企業のアナリスト予想を混ぜて算出する全体の成長率。シーズンが進むほど実績の比率が上がるため、同じ四半期でも数字が動き続ける。今回のように巨大企業が異常値を出すと、報告率が上がる過程で全体が押し上げられることがある。

なぜ「評価益」が利益に乗るのか

Alphabet・Amazon ともに、実際にお金が入ってきたわけではありません。保有している未上場株 (Amazon の場合は Anthropic) の評価額が上がったぶんを、会計ルール上その期の利益として計上しています。現金は動かず、帳簿上の数字だけが動く。だから翌期に評価額が下がれば、同じ経路で利益が減ります。

投資家として押さえるべきは、この利益が来期の比較対象 (前年同期) に居座ることです。2027 年 Q2 の決算では、この膨らんだ数字が「前年同期」になる。同じ本業を続けても前年比では大幅減益に見える四半期が、1 年後に待っています。


2. ビートは記録的、反応は平均以下 — Cisco は例外ではなかった

🎯 要点: 「良い決算なのに売られた」は個別の不運ではなく、この四半期の集計値がそう示しています。

EPS ビート率 86% は 5 年平均 78%・10 年平均 76% を上回り、2021 年 Q2 (87%) 以来の高さです。サプライズ幅 +29.2% に至っては、FactSet が 2008 年にこの指標の集計を始めて以来の最高値を更新しました (従来記録は 2020 年 Q2 の +23.2%)。2 社の異常値を除いた +10.9% でも、5 年平均 +7.0% を上回ります。

それでも株価は動いていません。ビートした銘柄の株価は発表前後 2 日の窓で平均 +0.4% しか上がっておらず、5 年平均の +1.0% を下回る。

当ブログの 8/14 デイリー で記録した Cisco の事例は、この集計値の縮図です。 同社は 8/12 引け後の決算で売上・EPS・今期ガイダンス・通期ガイダンスの全項目を市場予想が上回りながら、翌 8/13 に -9.10% と急落しました。個別の事情 (粗利益率の低下) はあるにせよ、「全項目ビートでも報われない」という現象自体は、市場全体で起きていることの一例だったわけです。

ただし今回は、もう一方の非対称にも注意が必要です。ミスした銘柄の下落も -2.3% と、5 年平均の -3.0% より軽い。 中盤版では「ビートは報われず、ミスは過剰に罰される」という非対称を指摘しましたが、終盤の集計はそうなっていません。ビートもミスも反応が鈍っている——決算そのものへの感応度が落ちた、いわば無風化です。

これをどう読むか。素直な解釈は「決算の結果はもう株価の主要な変数ではなくなった」というものです。

市場の関心は個社の四半期実績ではなく、金利とインフレ (直近では 7 月 CPI7 月 PPI) や AI 投資の回収時期といった、より大きな枠組みに移っている。好決算という材料は、すでに株価に織り込まれた前提になっているということです。


3. バリュエーション — 3 つのソースで測ると見え方が変わる

フォワード 12 ヶ月 P/E は 20.0 倍。5 年平均 19.9 倍・10 年平均 19.0 倍をどちらも上回りますが、6 月末の 20.4 倍からは低下しています。

この低下の中身が重要です。FactSet によれば、6 月末以降に株価は +2.8% 上がった一方、フォワード 12 ヶ月の予想 EPS は +4.7% 上がった。つまり分母 (利益) の伸びが分子 (株価) の伸びを上回った結果、割高感がわずかに和らいでいます。

株価が最高値圏 (8/13 に S&P500 が初の 7,800 超え) にありながら P/E が下がるのは、益成長が価格上昇を追い越している健全な形です。

ただし、ものさしを変えると景色が変わります。 JPMorgan の Guide to the Markets (6/30 基準) は同じフォワード P/E を 30 年平均 17.2 倍と比較しており、この尺度では 2 割近く割高。さらに景気循環調整後の CAPE40.7 倍で、30 年平均 28.8 倍を大きく超えています。

📚 用語: フォワード P/E とは 今後 12 ヶ月の予想 1 株利益に対して株価が何倍かを示す指標。水準そのものに絶対的な合否ラインはなく、その指数自身の過去平均と比べて評価する。比較対象を 5 年平均にするか 30 年平均にするかで割高・割安の判定が変わるため、どの期間と比べているかを必ず確認する必要がある。

FactSet の 5/10 年平均は超低金利期を多く含むため、基準そのものが高めに出ます。一方 JPMorgan の 30 年平均はより長い歴史を含むぶん基準が低い。「5 年平均比ではわずかに割高、30 年平均比では明確に割高」——両方が正しく、どちらを重視するかは投資期間の長さで決まります。 数年単位なら前者、10 年単位で持つなら後者を見るべきです。

第三のソースとして LSEG (I/B/E/S 系) も確認しました。同じ 8/7 時点で Q2 の EPS 成長率を +51.1% (エネルギー除き +47.2%)、売上成長率を +15.2% と集計しており、FactSet の +50.4% / +15.0% とほぼ一致します。集計方法の異なる 2 社が同じ絵を描いているので、この四半期の記録的な数字自体は信頼してよいと判断できます。


4. 記録の中身 — 利益率とセクター、そして「2 社を除いても記録」

純利益率 16.9% は、FactSet が 2009 年に集計を始めて以来の最高です。前四半期 14.8%・前年同期 12.9%・5 年平均 12.4% と比べても水準が違います。

注目すべきは、Alphabet と Amazon を除いても 15.0% でなお記録更新という点です (LSEG も独立に「純利益率が過去最高の 15% 近辺」と報じており、ここでも 2 社の集計が一致しています)。§1 で見た評価益の話は EPS 成長率を大きく歪めますが、利益率の記録性は 2 社を抜いても残る。ここが「全部が幻」と切り捨てられない理由です。企業は実際にコストを抑え、価格を維持できています。

セクター別では 11 中 10 が増益、うち 8 が二桁成長。牽引役は明確です。

セクターEPS 成長率中身
エネルギー+147.0%Q2 の平均原油価格 $92.55 が前年同期 $63.68 比 +45%。石油精製・販売は +327%
通信サービス+117.0%Alphabet を除くと +6.0% まで落ちる
一般消費財+91.6%Amazon を除くと +7.5% まで落ちる
情報技術+70.4%半導体・半導体製造装置が +135% と本業で牽引
ヘルスケア-6.7%唯一の減益。ただし週内に -13.8% から改善

この表がこの記事のいちばん実用的な部分です。 通信サービスと一般消費財の二桁成長は、1 社を抜くと 1 桁前半まで崩れる。一方で情報技術の +70.4% は特定 1 社ではなく半導体産業全体 (+135%) が作っており、性質がまったく違う。セクター ETF を見るときに、この違いを踏まえているかどうかで判断が変わります。

売上でも同じ構図があります。売上成長率 +15.0% は 2021 年 Q4 以来の高さですが、情報技術とエネルギーの 2 セクターを除くと +9.7% に落ちる。成長の source が狭いという事実は、EPS でも売上でも共通しています。


5. 先行きのシグナル — 企業の自信は続いている

Q3 のネガティブ EPS ガイダンスを出した企業は 75 社中 25 社 (33%) で、5 年平均 58%・10 年平均 60% を大きく下回ります。通期 (FY2026 または FY2027) でも 269 社中 97 社 (36%) と控えめです。

決算発表と同時に「次はこれくらい」と示すガイダンスは、経営者が自社の需要をどう見ているかの生の情報です。ネガティブが平均の半分強しか出ていないのは、企業側が需要の腰折れを見ていないことを意味します。 これは中盤版で指摘した「ポジティブガイダンス過去最高」の流れが終盤も続いたということです。

アナリストの予想も強気です。Q3 は +27.4%、Q4 は +25.2%、通年 2026 は +30.0% の成長を見込んでいます。ただし 2027 年は +13.6% と急減速する想定で、今の高成長が来年には正常化する前提が織り込まれています。§1 で触れた「評価益が前年同期に居座る」問題は、この 2027 年の減速予想にすでに一部反映されていると考えるのが自然です。

そしてもう 1 つ、見逃されがちな異例があります。 通常アナリストは四半期が始まると予想を切り下げます。過去平均では四半期の最初の 1 ヶ月で 5 年平均 -1.0%・10 年平均 -1.3%・20 年平均 -1.9% と、一貫して下方に動く。企業がその下がったハードルを超えて「ビート」する——これがビート率が構造的に高くなる仕組みです。

ところが Q3 2026 のボトムアップ EPS 予想は、6/30 から 7/30 にかけて +0.3% 上方に動きました ($88.67 → $88.95)。通年 2026 予想も同期間に +3.2% ($340.49 → $351.33) 増えています。FactSet によればこれは 2 四半期連続の出来事です (FactSet 8/6 時点)。

この意味は小さくありません。 ビート率 86% という高さは、通常なら「ハードルが下がっただけ」と割り引いて読むべきものです。しかし今回はハードルが上がった状態で達成されている。§2 で見た株価反応の鈍さと合わせると、市場は「予想の上方修正」まで織り込んだ上で、なお足りないと言っていることになります。

⚠️ 注記: この推定の進化のデータは FactSet の別記事 (8/6 公開) に基づくもので、本記事の主軸である 8/7 版 Earnings Insight とは基準日が 1 日ずれています。

ボトムアップの目標株価は 9,105.91 で、FactSet 集計時点の終値 7,709.96 に対し +18.1% の上値余地。ただし 8/13 終値の 7,798.99 で計算し直すと約 +16.8% に縮みます。

アナリスト目標株価は構造的に強気へ偏ります (Buy 比率 59.2% に対し Sell はわずか 4.8%)。水準そのものより、セクター間の相対で見るほうが有用です。 情報技術 (+23.4%)・通信サービス (+22.1%) が最大、金融 (+9.4%) が最小となっています。


6. 長期投資家への含意

🎯 要点: 数字は記録ずくめ、株価の反応は平均以下。この乖離をどう扱うかが、この四半期から持ち帰る唯一の実用的な学びです。

3-12 ヶ月の視点で、この決算シーズンから持ち帰るべきものを 3 つに絞ります。

第一に、ヘッドラインの成長率を額面で受け取らない習慣をつけること。 +50.4% と +32.0% は、どちらも同じ四半期を指す正しい数字です。前者は会計ルールに従った GAAP ベース、後者は一過性要因を除いた実勢。ニュースが引用するのは前者ですが、来期以降の比較対象になるのも前者です。この乖離を知らないと、1 年後に「なぜ急に減益になったのか」を読み違えます。

第二に、決算そのものの株価への影響力が落ちていることを前提に組み立てること。 ビート +0.4% / ミス -2.3% という反応の鈍さは、材料が織り込み済みであることの証拠です。個別銘柄で「良い決算が出るはず」という理由だけのポジションは、当たっても報われにくい。8/13 の Cisco はその教訓を最も分かりやすい形で示しました。

第三に、バリュエーションの判定は自分の投資期間で決めること。 5 年平均比なら 20.0 倍はほぼ適正、30 年平均比なら明確に割高、CAPE ならかなり割高。どれも正しく、矛盾していません。数年で回すなら前者、老後資金なら後者を重く見る——ものさしを先に決めてから数字を見るのが順序です。

次に確認すべきは以下の 3 点です。

  1. NVIDIA の Q2 決算 (US 8 月下旬) — 半導体 +135% の牽引役で、集計に残る最大の未報告要因。ここでガイダンスが崩れると情報技術セクターの絵が変わる
  2. FactSet Earnings Insight の 8/28 更新 — 8/14・8/21 は休刊なので、この 8/7 版が 3 週間ぶんの最新スナップショットになる。最終確定値との差分を確認する
  3. Q3 の推定の進化 — 現在の予想 +27.4% が、10 月の決算シーズン入り時点でどこまで切り下がっているか。企業ガイダンスの強気 (ネガティブ 33%) が本物なら、下方修正は小さく収まるはず

📚 用語: 推定の進化 (Estimate Revisions) とは 四半期が始まる前から終わった後まで、アナリストの予想がどう動いたかの軌跡。通常アナリストは四半期中に予想を切り下げる傾向があり、企業がその下がったハードルを超えて「ビート」する構図が生まれやすい。今回の Q2 は 6/30 の +23.1% から +50.4% へ上方に動いた珍しいケースで、11 セクターすべてが 6 月末より高い利益を報告している。


7. 出典・データの扱い

本記事は FactSet Earnings Insight の 8/7 版 PDF 本体 (John Butters) を主軸に、LSEG の I/B/E/S 系集計 (8/7) で数値をクロスチェックし、JPMorgan Guide to the Markets (6/30 基準) で長期平均との比較を補って構成しました。複数ソースを照合した上での当ブログの解釈です。

とくに重要な突き合わせが 2 つあります。ひとつは EPS 成長率で、FactSet +50.4% に対し LSEG は +51.1%。集計手法と対象構成が異なるにもかかわらず 1 ポイント未満の差に収まっており、記録的な数字そのものは頑健と判断しました。もうひとつは純利益率で、FactSet の「2 社除き 15.0%」と LSEG の「過去最高の 15% 近辺」が独立に一致しています。

⚠️ 注記: データ基準日にご注意ください。 本記事の集計値はすべて FactSet 8/7 時点 (88% 報告済み) です。FactSet は 8/14・8/21 を休刊とし、次回更新は 8/28 の予定なので、この 8/7 版が当面の最新スナップショットになります。残り約 12% の企業 (NVIDIA を含む) の報告により、最終確定値は変動します。また JPMorgan の数値は 6/30 基準で、他ソースより 5 週間以上古い点にご留意ください。


⚠️ 本記事は FactSet Insight 等の公開データを複数ソースで照合し、編集部の解釈を加えた独自分析です。各社の元レポートへは出典リンクからアクセスしてください。

出典・データソース

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免責: 本記事は FactSet Insight 等の公開データを複数ソースで照合し、編集部の解釈を加えた独自分析です。 情報提供のみを目的とし、投資勧誘や個別銘柄の売買推奨ではありません。集計値は取得時点のもので、 市場の進行や訂正により変動します。最終的な投資判断はご自身の責任で行ってください。