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Bull Note米国株 デイリー戦略ノート

MARKET INSIGHT · Q2 決算プレビュー

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Q2 2026FactSet 6/25 時点2026年6月28日(日)11

Q2 2026 決算プレビュー — EPS +23% 成長・利益率 14.2%・ポジティブガイダンス過去最高、だが Warsh FOMC のタカ派転換が割高 P/E を試す

S&P500 の Q2 2026 は EPS 成長率 +23.1%・純利益率 14.2% (2009 年以来 2 番目)・ポジティブガイダンス比率 57% (5 年平均 41% の 1.4 倍) と、数字だけ見れば文句なしの好環境で開幕する。だが 6/25 FOMC で Warsh 新議長が事実上の利上げパスを示唆 (ドット中央値 3.4%→3.8%)、フォワード P/E 20.1 の割高バリュエーションは『高金利でも高成長で正当化できるか』のストレステストに直面する。インフレ言及が 3 四半期連続で増加 (220 社) する一方、AI 言及は過去 10 年最多 (337 社)。ボトムアップ目標株価 8,918 (現値比 +21%) はアナリストの強気を映すが、Tech を除く成長率は +11% に沈み、集中リスクは未解消。7 月中旬の決算シーズン本格化を前に、複数ソースで Q2 の地図を整理する。

EPS +23%・利益率 14.2%・ポジティブガイダンス過去最高だが、Warsh FOMC でドット 3.8% 反転 — 割高 P/E が高金利に耐えられるかの分岐点

集計スコアカード

FactSet 6/25 時点

Q2 EPS 成長率 (予想)

+23.1%

3月末 +18.8% → 現在。四半期中に +4.3pt 上方修正 (異例)

Q2 売上成長率 (予想)

+12.3%

3月末 +9.5% → 現在。売上も異例の上方修正

Q2 純利益率 (予想)

14.2%

Q1 13.4% (15 年超で最高)・5年平均 12.3%

ポジティブガイダンス比率

57%

5年平均 41% / 10年平均 41%。過去最高水準

フォワード 12M P/E

20.1

5年平均 19.9 / 30年平均 17.2 (JPMorgan)

FOMC ドット中央値

3.8%

3月 3.4% → 6月 3.8%。利下げ→利上げに反転

ボトムアップ目標株価

8,918

6/25 終値 7,357 比 +21.2%

ビート/ミスの市場反応

ビート銘柄の反応

Q1 実績: ビート銘柄 +1.1% (5年平均 +1.0% とほぼ同じ — 好決算は織り込み済み)

ミス銘柄の反応

Q1 実績: ミス銘柄 −4.9% (5年平均 −2.9% の 1.7 倍 — ミスは過剰に罰される)

バリュエーション (フォワード P/E)

複数ソースのクロスチェック。水準は 5/10 年平均との比較で見る。

ソースフォワード P/E5年平均10年平均補足
FactSet20.119.918.96/25 時点。5月末 21.0 から低下 (指数下落+EPS上方修正の両方)
JPMorgan GTM19.70.03/31 時点 Guide to the Markets。30年平均 17.2x。CAPE 37.2x (30年平均 28.7x)
GuruFocus0.0トレーリング PE 25.07 (6/26)。長期平均 25.29 をわずかに下回る

マクロ予想 (発表前コンセンサス)

コア PCE (5月)+3.4%
JST 6/27 (金) 21:30

発表済み。FRB の 2% 目標を大幅に上回り、利上げ観測を補強

FOMC ドット中央値3.8%
6/25 発表済み

Warsh 初 FOMC。3月 3.4%→6月 3.8%、半数が年内利上げ支持

ISM 製造業 (6月)予想 48-49
JST 7/2 (木) 23:00

50 割れ継続なら製造業系セクターの決算期待に冷水

注目ポイント

  • EPS 予想が四半期途中で +4.3pt 上方修正 (3月末 +18.8%→+23.1%)。FactSet が追跡する過去 20 年で四半期途中の上方修正は極めて稀
  • ポジティブガイダンス 63 社 / ネガティブ 48 社 (比率 57%)。5年平均 41%・10年平均 41% を大幅に上回り過去最高圏
  • Tech を除く S&P500 の EPS 成長率は +11.4%。Tech セクター (+43.6%) への集中は未解消
  • インフレ言及 220 社 (3 四半期連続増加) vs AI 言及 337 社 (過去 10 年最多)。決算コールで 2 大テーマが拮抗
  • アナリスト Buy 比率 59.4% — 2010 年以来の過去 2 番目の高水準 (FactSet 6/18)

0. ヘッドライン

7 月中旬から本格化する Q2 2026 決算シーズンは、数字の上では EPS +23.1%・純利益率 14.2%・ポジティブガイダンス比率 57% と「黄金期」のまま開幕する。だが 6/25 の Warsh FOMC がドット中央値を 3.4%→3.8% に引き上げ、「利下げの終わり」から「利上げの始まり」へと金利パスの方向感が逆転した。フォワード P/E 20.1 は高成長が高金利を正当化できるかのストレステストに突入する。局面判定は拡大の続行だが、金利の逆風が割引率を押し上げる転換点

1. 益成長のフェーズ — +23% は本物か、集中か

🎯 要点: EPS 予想 +23.1% は四半期途中に +4.3pt 上方修正された異例の強さ。ただし Tech を除けば +11.4% に沈み、成長の裾野はまだ狭い。

Q2 2026 の S&P500 EPS 成長率はコンセンサスで +23.1% (FactSet 6/25)。3 月末時点の +18.8% から 四半期途中に +4.3pt も上方修正された。通常、アナリストは四半期の最初の 2-3 ヶ月で EPS を下方修正する (5 年平均 -1.6%・10 年平均 -2.2%)。今回はその真逆を行っており、5/30 の本ブログ記事 (EPS 改定 +2.5%) からさらに加速した形だ。

改定を主導したのは引き続き Energy (+126.9%)Tech (+43.6%)。Energy は地政学的な原油価格上昇を反映し、DOWLYB・MEOH のような化学セクター銘柄は月内で EPS 予想が倍増した。一方、Tech を除いた S&P500 全体の成長率は +11.4% に沈む。Q1 で確認された Mag 7 vs 493 社の収斂 (FactSet 5/21: Mag 7 +63.2% / 493 社 +17.4%) が Q2 でも続くかが焦点だが、現時点の予想構造は集中リスクが未解消であることを示している。

📚 用語: ブレンド EPS 成長率 (Blended EPS Growth Rate) 実績を出した企業の確定値と未報告企業のアナリスト予想を「混ぜた (blend)」全体成長率。決算シーズン開幕前は 100% 予想値、シーズン終了時は 100% 実績値になる。シーズン進行とともに数字が動く性質上、開幕前の予想 vs 着地の差 (サプライズ) こそが市場を動かす。

2. ガイダンスの地図 — 過去最高のポジティブ比率

🎯 要点: ポジティブガイダンス 57% (5 年平均 41%) は過去最高水準。企業経営陣は Q1 決算コールで自信を示している。

Q2 に向けて EPS ガイダンスを出した 111 社のうち、63 社がポジティブ・48 社がネガティブ (比率 57%)。5 年平均 41%・10 年平均 41% を大幅に上回り、FactSet が追跡する限り過去最高水準にある。

ポジティブガイダンスが偏っているセクターは Tech と Comm Services。逆に Consumer Staples は Buy 比率が 43% と 11 セクターで最低であり、ネガティブガイダンスも目立つ。インフレのコスト転嫁力がセクター間で二極化していることの裏返しだ。

  • ポジティブの牽引: AI インフラ投資の恩恵を受ける Tech・Data Center 関連
  • ネガティブの集中: Healthcare (規制・薬価圧力)、Consumer Staples (コスト転嫁の限界)

3. バリュエーション — 3 つのソースで確かめる

🎯 要点: フォワード P/E は 19.7-20.1x。5 年平均 (19.9x) にほぼ一致するが、30 年平均 (17.2x) は 15% 上回る。Warsh FOMC の金利引き上げが割引率を押し上げる逆風。

ソースフォワード P/E比較基準日
FactSet20.1x5年平均 19.9x / 10年平均 18.9x6/25
JPMorgan GTM19.7x30年平均 17.2x / CAPE 37.2x (30年平均 28.7x)3/31
GuruFocus25.07x (トレーリング)長期平均 25.29x6/26

FactSet と JPMorgan の差 (20.1x vs 19.7x) は基準日の違い (6 月 vs 3 月) で説明がつく。重要なのはいずれのソースでも 5 年平均を小幅に上回る水準にあること。5 月末の 21.0x から低下した理由は 2 つ: 指数の下落 (S&P500 は 6 月に -4.3% YTD) と EPS 予想の上方修正が分母を押し上げたこと。

Warsh FOMC がドット中央値を 3.4%→3.8% に引き上げたことで、10 年国債利回りは 4.3% 台に張り付いている (JPMorgan 3/31 時点)。金利 4% 超の世界でフォワード P/E 20x を正当化するには、EPS 成長率 +20% 超が「持続する」という確信が必要であり、Q2 決算はまさにその確信を試す場になる。

📚 用語: EPS イールド・スプレッド (Earnings Yield Spread) フォワード EPS 利回り (1 ÷ P/E) から社債利回り (Baa 格) を引いた差。JPMorgan GTM によれば現在 -0.3% (30 年平均 +0.7%)。マイナスということは「株で得られる利益利回りが社債の利回りを下回っている」状態で、株式の相対的な割高さを示す。2000 年 IT バブル期以来の低水準。

4. セクター格差 — Tech 一強 vs Healthcare 唯一の減益

🎯 要点: 11 セクター中 10 セクターが増益予想。Tech +43.6%・Energy +127% が牽引し、Healthcare が唯一の減益。セクター別 P/E の乖離は 20 年平均の 1.5 倍に拡大。

Q2 EPS 成長率トップ 3 (Zacks 集計):

  1. Energy +114-127% — 地政学的な原油高 + 前年比ベースの低さ
  2. Basic Materials +47.1% — 化学セクターの上方修正 (イラン関連)
  3. Tech +43.6% — AI インフラの CAPEX サイクル継続

ボトム: Healthcare のみ減益予想。薬価改革・GLP-1 競争激化・臨床試験コスト増が重なる。

JPMorgan のセクター別フォワード P/E (3/31 時点) を見ると、Consumer Discretionary 24.7x (20 年平均 20.6x) と Tech 20.0x (同 18.7x) が 20 年平均を大きく上回る一方、Financials 14.0x (同 12.9x) と Energy 20.1x (同 13.8x) は NTM 益成長率対比で割安に見える。Energy の 20.1x は 20 年平均 13.8x の 1.5 倍に達しており、利益の持続性に疑問符がつく水準だ。

アナリストの Buy 比率は 59.4% (2010 年以来 2 番目、FactSet 6/18)。セクター別では Tech 69%・Comm Services 66% が最も強気で、Consumer Staples 43% が最も弱気。3 月末比で Materials (+4.0pt) と Healthcare (+1.6pt) が最も改善した一方、Consumer Staples (-0.9pt) と Financials (-0.7pt) は悪化した。

5. 決算コールの 2 大テーマ — インフレ回帰 vs AI 全盛

🎯 要点: インフレ言及 220 社 (3 四半期連続増) と AI 言及 337 社 (過去 10 年最多) が決算コールの二大テーマとして拮抗している。

インフレ: Q1 2026 決算コール (3/15-6/11) で「インフレ」を言及した企業は 220 社 (前四半期比 +11%)。3 四半期連続の増加で、2022 年ピーク (411 社) には遠いが、FRB の 2% 目標から遠ざかるコア PCE (5 月 +3.4%) と整合する。セクター別では Consumer Staples 85%・Materials 81% が最も高く、コスト転嫁圧力の震源が食品・素材にあることを示唆する。

AI: 「AI」を言及した企業は 337 社 (全体の 68%)。10 年平均 103 社・5 年平均 164 社の倍以上で、Q4 2025 の 334 社を上回り過去最多を更新した。Tech 97%・Comm Services 94%・Financials 92% とほぼ全社が言及する「標準装備」になった。

興味深いのは株価パフォーマンスとの関係だ。AI 言及企業の平均株価変動は +12.7% (3/31 以降) と非言及企業 (+2.6%) を圧倒するが、中央値では AI 言及企業 +5.5% vs 非言及 +6.2% と逆転する。少数の AI 大型銘柄が平均を引き上げているだけで、AI を「言うだけ」では株価は動かなくなっている。

📚 用語: ボトムアップ目標株価 (Bottom-Up Target Price) アナリストが S&P500 構成銘柄 1 社ずつに出す 12 ヶ月後の目標株価を、時価加重で集計したもの。FactSet 6/25 時点で 8,918 (現値 7,357 比 +21.2%)。3 月末の 8,333 から +7.0% 上昇しており、アナリストの強気度は加速中。ただし過去のボトムアップ目標株価は実際のリターンを一貫して上回る傾向があり、額面通りには受け取れない。

6. 長期投資家への含意 — 「高成長 vs 高金利」のどちらが勝つか

Q2 決算シーズンは数字の強さ自体は疑いにくい。問題は「マルチプルの正当化」だ。

強気シナリオ: EPS +23%・利益率 14.2%・ポジティブガイダンス過去最高が「利益成長主導の株高」を裏付け、P/E 20x は成長率対比で妥当。AI CAPEX サイクルが Q2 でも堅調なら Tech セクターの高 P/E を支え、指数全体も持ちこたえる。

弱気シナリオ: Warsh FOMC のタカ派転換 (ドット 3.8%) + コア PCE 3.4% で金利が上昇し続け、割引率の上昇が P/E を圧縮。Q1 のビート反応 +1.1% (5 年平均並み) が示すように「好決算は織り込み済み」であり、ミスは -4.9% (5 年平均の 1.7 倍) と過剰に罰される非対称性が続く。Energy の +127% 成長は原油価格次第で剥落リスクがある。

Q2 決算シーズンで確認すべき 3 点:

  1. Tech 以外の成長率が +11% から改善するか — 裾野の拡大が P/E 正当化の鍵
  2. 利益率 14.2% が実現するか — Q1 の 13.4% (過去最高) を超える見通し。インフレ再加速下でのマージン維持力がテスト
  3. ガイダンスの「質」 — ポジティブ比率 57% は過去最高だが、FOMC 後に Q3 以降の見通しを引き下げる企業が出てくるか。タリフ不確実性の言及増加にも注目

⚠️ 本記事は FactSet Insight・JPMorgan Guide to the Markets・LSEG Lipper Alpha Insight 等の公開データを複数ソースで照合し、編集部の解釈を加えた独自分析です。各社の元レポートへは出典リンクからアクセスしてください。

出典・データソース

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免責: 本記事は FactSet Insight 等の公開データを複数ソースで照合し、編集部の解釈を加えた独自分析です。 情報提供のみを目的とし、投資勧誘や個別銘柄の売買推奨ではありません。集計値は取得時点のもので、 市場の進行や訂正により変動します。最終的な投資判断はご自身の責任で行ってください。