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Bull Note米国株 デイリー戦略ノート

MARKET INSIGHT · Q2 決算スコアカード (序盤)

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Q2 2026FactSet 7/10 時点 (Q2 序盤 18 社報告)2026年7月11日(土)14

S&P500 決算スコアカード — Q2 序盤 18 社でビート率 89%、だが本番は来週。『予想は保守的』と読む 3 つの数字

S&P500 の Q2 2026 決算シーズンが始まった。7/10 時点で報告済みはわずか 18 社だが、そのビート率は 89%・サプライズ幅 +14.5% と歴史的平均を大きく上回る好発進。ただし母数が小さく、本番は大手銀行・TSMC が報告する来週から。FactSet はブレンド EPS 成長率 +23.6% を『保守的な出発点』と位置づけ、過去 40 四半期中 37 回で実績が期末予想を上回った経験則から、最終着地を +29.4〜31.7% と試算する。一方フォワード P/E は 20.5 と 5/10 年平均を上回る割高圏で、成長実現が前提。プレビュー ([6/28](/market-insight/2026-06-28-q2-earnings-preview/)) の答え合わせが始まった今、序盤の数字をどう読むかを FactSet PDF 本体 + 複数ソースで整理する。

序盤 18 社でビート率 89%・サプライズ +14.5% と好発進。だが本番は来週。ブレンド +23.6% は最終 +29〜32% へ伸びる『保守的な出発点』

集計スコアカード

FactSet 7/10 時点 (Q2 序盤 18 社報告)

ブレンド EPS 成長率 (Q2)

+23.6%

3月末 +18.8% → 6/30 +23.2% → 現在。終了時 +29.4〜31.7% 見込み

ブレンド売上成長率 (Q2)

+12.3%

5年平均 8.7% / 10年平均 6.3%。2022 Q2 以来の高水準

EPS ビート率 (18 社)

89%

10年平均 76% (ただし母数 18 社と極小)

売上ビート率 (18 社)

72%

序盤の暫定値

EPS サプライズ幅

+14.5%

5年平均 +7.0% の約 2 倍 (序盤ゆえ大きく出やすい)

Q2 純利益率 (予想)

14.2%

前Q 14.8% / 前年 12.9% / 5年平均 12.3%。過去 2 番目に高い

フォワード 12M P/E

20.5

5年 19.9 / 10年 19.0 / Q1末 19.7 (割高圏)

ボトムアップ目標株価

8,988.75

7/9 終値 7,543.64 比 +19.2%

ビート/ミスの市場反応

ビート銘柄の反応

序盤 18 社のため FactSet 未集計 (ビート/ミスの株価反応の非対称性は報告社数が積み上がる 2 週目以降に別記事で初出)

ミス銘柄の反応

同上 — 次回 Update (US 7/17 前後) で確認。過去数四半期は『ビートは報われず・ミスは過剰に罰される』非対称が継続

バリュエーション (フォワード P/E)

複数ソースのクロスチェック。水準は 5/10 年平均との比較で見る。

ソースフォワード P/E5年平均10年平均補足
FactSet20.519.919.07/10 時点 (PDF 本体)。Q1 末 19.7 から上昇 (指数上昇 + P/E 拡張)
Yardeni20.07/8 時点 19.98。別ソース検証でほぼ一致
FactSet Q1末比較19.73/31 時点。四半期で +0.8 の P/E 拡張が起きている

マクロ予想 (発表前コンセンサス)

6月 CPIコア粘着が焦点
JST 7/14 (火) 21:30

関税パススルーでコアが加速すれば 7/29 FOMC の利下げ観測が消える

来週の報告社数31 社 (Dow 30 から 5 社)
US 7/13 週

大手銀行・TSMC・Netflix。ここで序盤 18 社の数字が平準化する

注目ポイント

  • 過去 40 四半期中 37 回で実績が期末予想を上回った。10 年平均の上振れ +6.2pt を適用すると最終 +29.4%、直近 4Q 平均の +8.5pt なら +31.7% (FactSet は保守的な +29.4% を採用)
  • セクター別は エネルギー +122.9% (原油高)・素材 +35.3%・情報技術が牽引。ヘルスケアは -9.0% で唯一の減益だが、主因は Gilead 1 社 (IPR&D 巨額計上)。Gilead を除けば +7.1% とプラス
  • アナリスト Buy 比率 59.3% (12,868 レーティング中)。目標株価上昇余地は 通信 +25.2%・情報技術 +26.7% が上位、金融 +10.0%・ヘルスケア +10.4% が下位

0. ヘッドライン

Q2 2026 決算シーズンが始まった。だが 7/10 時点で報告済みはわずか 18 社で、本番は大手銀行・TSMC が並ぶ来週から——今の好数字は「まだ序盤の序盤」として割り引いて読むのが正解です。

局面は 拡大 (expansion) ですが、性格は「加速の初期」。この記事の目的は、序盤の 18 社という小さな母数から出た華々しい数字 (ビート率 89%・サプライズ +14.5%) を過信せず、FactSet 自身が「予想は保守的」と位置づける 3 つの根拠を押さえることです。6/28 のQ2 決算プレビューで「これから始まる」と書いたシーズンの、答え合わせが始まりました。

🎯 要点: 序盤 18 社の好数字 (ビート率 89%) は華やかだが母数が小さく、全体の成長率を +0.4pt しか動かしていない。本当の答え合わせは来週。FactSet が掲げる「+29% 超」は、過去 40 四半期中 37 回で実績が期末予想を上回った経験則から導いた「保守的な出発点」の伸びしろを指す。

数値スコアカード・バリュエーション・目標株価は ページ上部にカード表示しています。本文では数字を繰り返さず、「その数字をどう読むか」に集中します。

1. 益成長のフェーズ — 「予想が保守的」とはどういうことか

ブレンド EPS 成長率 +23.6% は、シーズンが進むにつれ上振れる『保守的な出発点』です。 ここが今回いちばん重要な読み筋なので、丁寧に解きます。

決算シーズンは「アナリストが事前に置いた予想」から始まります。企業が実際に報告すると、その多くが予想を上回るため、シーズンが進むほど全体の成長率は上がっていきます。FactSet の集計によれば、過去 40 四半期のうち 37 回で、実績の成長率が四半期末時点の予想を上回りました (例外は 2020 Q1・2022 Q3・2022 Q4 のみ)。つまり「期末予想は下振れバイアスを持つ出発点」というのが構造的な事実です。

では、どれくらい上振れるのか。FactSet は 3 つの物差しを示しています。過去 10 年平均では +6.2 ポイント、過去 5 年平均では +6.4 ポイント、直近 4 四半期平均では +8.5 ポイント。これを 6/30 時点の予想 +23.2% に足すと、それぞれ +29.4%・+29.6%・+31.7% になります。FactSet はこのうち最も保守的な +29.4% を採用して「Q2 の成長率は 29% を超える公算」と見出しに掲げました。プレビュー時 (+23.1%) からさらに強気になっているのです。

さらに、シーズン開始前の「推定の進化」も強気を裏づけます。EPS 予想は 3 月末の +18.8% から現在 +23.6% へと、四半期の途中で上方修正されました。アナリストが決算前にこれだけ見通しを引き上げるのは異例で、FactSet は別記事で「四半期 EPS 予想の引き上げ幅は 2021 年以来の大きさ」と指摘しています。売上成長率 +12.3% も 5 年平均 8.7% を大きく上回り、2022 Q2 以来の高水準。益成長は「価格転嫁 (売上増) と利益率改善の両輪」で回っています。

📚 用語: ブレンド成長率 (Blended Growth Rate) 既に決算を報告した企業の確定実績と、まだ報告していない企業のアナリスト予想を混ぜて算出する S&P500 全体の成長率。シーズン序盤 (今は 18 社) はほとんどが予想で、進むにつれ実績の比率が上がって数字が動く。だから序盤の「+23.6%」は暫定値で、終了時には +29〜32% へ伸びるのが通例。

2. 序盤 18 社の数字を過信しない — 母数の罠

ビート率 89%・サプライズ +14.5% は歴史的平均の 2 倍近い好数字ですが、母数がわずか 18 社なので、来週の本番で平準化するのが通例です。

数字だけ見れば文句なしの好発進です。過去 10 年の平均ビート率は 76%、平均サプライズ幅は +7.4% ですから、序盤の 89%・+14.5% はそれを大きく上回ります。しかし、ここに 「序盤ほど数字が良く出る」構造的なバイアスがあります。決算シーズンは優良企業・準備の整った企業が先に報告する傾向があり、序盤の勝率は本来のシーズン平均より高めに出やすいのです。

その証拠に、これだけ高いビート率でも全体の成長率はほとんど動いていません。18 社の実績が乗った結果、ブレンド成長率は 6/30 の +23.2% から +23.6% へ、わずか +0.4 ポイントしか上がっていない。18 社では S&P500 全体の益に対する寄与が小さすぎるからです。本当に数字が動くのは、時価総額の大きい大手銀行・TSMC・大型テックが報告する来週以降。来週は 31 社 (Dow 30 構成銘柄から 5 社を含む) が報告予定で、ここで序盤の華々しい数字が現実的な水準へ落ち着くかどうかが見どころです。

一方、局面転換の最速シグナルである「ビート/ミスへの株価反応の非対称性」は、今週はまだ FactSet が集計を出していません (報告社数が積み上がる 2 週目以降に別記事で初出)。過去数四半期は「ビートしても株価は報われず (5 年平均を下回る反応)、ミスは平均以上に罰される」という非対称が続いており、これは「好業績はすでに株価に織り込まれ、失望だけがサプライズになる」高値圏特有の兆候でした。今回もこの非対称が続くのか、それとも織り込みが緩んで好決算が素直に買われるのか——次回 Update (US 7/17 前後) の最重要チェック項目です。

3. バリュエーション — 複数ソースで「割高だが極端ではない」を確かめる

フォワード P/E は FactSet 20.5・Yardeni 20.0 とほぼ一致し、5/10 年平均を上回る割高圏。ただし過熱ではなく、+23% 超の益成長が実現すれば正当化できる水準です。

まず複数ソースのクロスチェックから。FactSet PDF 本体 (7/10) は 20.5、別系統の Yardeni (7/8) は 19.98。2 つの独立したソースがほぼ同じ値を示しているので、この水準の信頼度は高いと判断できます。FactSet の 5 年平均は 19.9、10 年平均は 19.0 ですから、いずれの物差しでも現在は割高圏にあります。

注目すべきは 四半期の間に P/E が拡張した点です。Q1 末 (3/31) のフォワード P/E は 19.7 でしたが、今は 20.5。この +0.8 の上昇は、指数が最高値を更新する一方で「株価の上昇ペースが EPS 予想の上方修正ペースを上回った」ことを意味します。つまり足元の上げは、益成長だけでなく P/E 拡張 (楽観の織り込み) にも支えられている。これは強気相場では自然な現象ですが、来週の CPI や TSMC 決算で成長ストーリーに疑問符がつくと、P/E 拡張ぶんが真っ先に剥落する下方リスクでもあります。

ただし「割高 = 即危険」ではありません。2020–21 のバブル期のフォワード P/E は 23 倍超でしたから、20.5 はそこには程遠い。ボトムアップ目標株価 8,988.75 (7/9 終値比 +19.2%) が示すように、アナリストは今後 12 ヶ月でなお 2 割弱の上昇余地を見ています。要は「成長が続けば正当化される割高さ」であって、成長が折れたときにクッションが薄い、という条件付きの高さです。

📚 用語: フォワード P/E (Forward Price-to-Earnings) 今後 12 ヶ月の予想 EPS で株価を割った株価収益率。過去実績ベースの P/E より先を見る。水準だけでは割高・割安を判断できず、その指数自身の 5 年・10 年平均と比べて相対評価するのが基本。益成長率が高い局面では高い P/E が正当化されうるため、必ず成長率とセットで見る。

4. セクターの偏り — エネルギーが牽引、ヘルスケアの減益は「1 社の会計要因」

Q2 の益成長を牽引するのはエネルギー・素材・情報技術で、唯一減益のヘルスケアも、実は Gilead 1 社の特殊要因を除けばプラスです。

セクター別の EPS 成長率で突出しているのはエネルギー +122.9% (全 11 セクター中最大)。これは前年の原油安の反動と足元の原油高が効いた急改定で、5 つのサブ業種のうち 3 つが前年比 +100% 超という異常な伸びです。次いで素材 +35.3%、そして時価総額の大きい情報技術が全体を牽引します。売上成長では通信サービス (Interactive Media & Services +22% 等) も上位です。

一方、ヘルスケアは -9.0% と唯一の減益予想ですが、ここには重要なニュアンスがあります。FactSet によれば、この減益の主因は Gilead Sciences 1 社。同社が 5/7 に発表した 2026 年通期ガイダンス (IPR&D 費用 115 億ドルを含む) で大幅な赤字見通しを出したためで、Gilead を除けばヘルスケアは +7.1% とプラスに転じます。「セクター全体が弱い」のではなく「1 社の会計要因が集計を歪めている」わけで、集計値をそのまま鵜呑みにする危うさを示す好例です。

純利益率も記録的です。Q2 予想は 14.2% で、前年の 12.9%・5 年平均 12.3% を上回り、FactSet が集計する中で 2 番目に高い水準。売上が伸びるだけでなく、それを利益に変える効率が歴史的に高いことが、高いフォワード P/E を支える最大の根拠になっています。アナリストの Buy 比率も 59.3% (12,868 レーティング中) と強気で、情報技術 69%・通信 66% が特に高い一方、生活必需品は 44% と冷めています。

5. マクロ — 決算の追い風を試すのは来週の CPI

決算バックドロップは強気ですが、それを試す最大の外部要因が来週の 6 月 CPI です。

今の益成長ストーリーは「関税下でも企業が価格転嫁し、利益率を保っている」ことが前提です。だからこそ、その関税が消費者物価にどこまで転嫁されているかを測る 6 月 CPI (JST 7/14 火 21:30) が、決算の追い風と正面から交差します。コア物価が粘着すれば、US 7/29 FOMC の利下げ観測が消えて金利が上昇し、割高圏のフォワード P/E に下押し圧力がかかります。逆にコアが鈍化すれば、高い P/E を許容する余地が生まれます。

つまり来週は「決算 (ミクロの益成長) とマクロ (インフレ・金利) が同じ週に答え合わせされる」構図です。CPI 直後には Warsh Fed 議長の初の議会証言も控えており、当局のスタンスも同時に読めます。決算の数字が良くても、マクロが金利上昇方向に振れれば「良い決算でも株価は伸びない」という 6 月来の非対称が続く可能性がある——ここはデイリー側の日次フローと合わせて追う価値があります。

6. 長期投資家への含意 — 「保守的な出発点」を持ち越して待つ

局面は拡大の初期加速。序盤の華やかな数字より、来週の本番で数字が保守的予想をどれだけ上回るかを見極める段階です。

日本人投資家の視点で整理すると、3 つの構えになります。第一に、序盤 18 社の 89% ビートに飛びつかない。母数が小さく、来週の大手銀行・TSMC で平準化するのが通例なので、「シーズンの勝率」は来週以降の数字で判断します。第二に、フォワード P/E 20.5 の割高さは『成長実現が前提』と理解する。益成長が +29〜32% へ伸びれば正当化されるが、CPI や TSMC で成長に疑問符がつくと P/E 拡張ぶんが剥落しやすい。第三に、決算は米国時間なので、日本の朝に前夜の決算反応をまとめて確認するのが現実的です (大手銀行は US 火曜 BMO = JST 火曜夜〜水曜朝)。

次回 FactSet Update (US 7/17 前後) で確認すべき 3 点は明確です。① 大手銀行 + TSMC 報告後にビート率・サプライズ幅がどこまで下がるか (89%・+14.5% の平準化)、② ビート/ミスの株価反応の非対称性の初出値 (構造変化サインの核)、③ ブレンド成長率が +23.6% からどれだけ +29% 方向へ動き始めたか。この 3 点が「拡大の初期加速」が本物かを教えてくれます。

📚 用語: ボトムアップ目標株価 (Bottom-Up Target Price) S&P500 の全構成銘柄について、アナリストが付けた個別の目標株価を時価総額加重で積み上げて算出する指数の目標値。トップダウンのストラテジスト予想とは別系統で、現在は 8,988.75 (7/9 終値比 +19.2%)。過去は実際の値動きより楽観的に出る傾向があるため、方向性の参考として読み、水準そのものは割り引く。

7. 出典・データの扱い

本記事は FactSet の一次データ (PDF 本体) を軸に、別系統ソースと自ブログのプレビューを照合した独自解釈です。

本記事の中核データは、FactSet Earnings Insight の 7/10 版 PDF 本体から取得した確定値です (フォワード P/E 20.5・純利益率 14.2%・目標株価 8,988.75 等は HTML 要約より新しい PDF 本体の数値)。バリュエーションは別系統の Yardeni Research でクロスチェックし、2 ソースがほぼ一致することを確認しました。EPS 予想の上方修正が 2021 年以来の大きさである点は FactSet の 7/6 記事、テック企業のポジティブガイダンスが過去最多である点は 7/8 記事、シーズン全体像は 7/2 プレビューに基づきます。プレビュー段階の見通しは当ブログの 6/28 記事と比較して「推定の進化」を追跡しています。

⚠️ 注記: 数値はすべて US 7/10 (金) 時点で、報告済みはわずか 18 社です。来週の大手銀行・TSMC・大型テックの本番報告により、ビート率・サプライズ幅・ブレンド成長率は大きく動きます。序盤の数字を「シーズンの結論」として扱わないでください。


⚠️ 本記事は FactSet Insight 等の公開データを複数ソースで照合し、編集部の解釈を加えた独自分析です。各社の元レポートへは出典リンクからアクセスしてください。投資勧誘や個別銘柄の売買推奨ではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。

出典・データソース

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免責: 本記事は FactSet Insight 等の公開データを複数ソースで照合し、編集部の解釈を加えた独自分析です。 情報提供のみを目的とし、投資勧誘や個別銘柄の売買推奨ではありません。集計値は取得時点のもので、 市場の進行や訂正により変動します。最終的な投資判断はご自身の責任で行ってください。