WEEKLY · 2026 / W28
2026/07/06–07/10 週 — 半導体が最高値を牽引、だが物色は AI 計算インフラへ一点集中。来週は 6 月 CPI + 大手銀行決算
US 7/6–7/10 の週、S&P500 は +1.22% で史上最高値を更新して締めた。主役は半導体だが、その中身が週前半 (Broadcom-Apple 提携・AMD 上げ → Samsung 好決算売り) から週後半 (Micron $250B 米国投資・Meta が『AI を売る側』へ) へと変質し、AI 計算インフラ・米国製造回帰のナラティブが再点火。一方ダウは Iran 停戦崩壊の 7/8 (577 ドル安) を取り戻せず週間 -0.50% と負け、物色の幅は週末に注意水域まで狭まった。来週は JST 7/14 (火) 21:30 の 6 月 CPI と、JPMorgan を筆頭とする大手銀行 Q2 決算 + TSMC が本命。
指数は最高値、でも中身は AI 計算インフラの一点突破。幅の狭さが週末の宿題。
今週のまとめ
US 7/6–7/10 の週、S&P500 は週間 +1.22% (7,575.39) で史上最高値を更新、ナスダックは +1.74% と半導体主導で復権した。だがダウは Iran 停戦崩壊の 7/8 (-577 ドル) が響いて週間 -0.50% と負け越し、指数の最高値と裏腹に物色は AI 計算インフラ (Micron・Meta・Nvidia) へ一点集中した。週末は VIX 15.03 と低位だが、セクター 50 日線超は 7 本と幅は狭い。来週は 6 月 CPI と大手銀行 + TSMC の Q2 決算が山場。
週末マーケット スナップショット
S&P 500 (週次)
7,575.39
+91.84
NASDAQ Comp (週次)
26,281.61
+449.77
Dow (週次)
52,637.01
-265.48
Russell 2000 (IWM, 週末)
295.99
+0.00
VIX (週末終値)
15.03
-0.54
10Y Yield (週末)
4.56
+0.08
Dollar Index (週末)
100.96
+0.00
USD/JPY (週末)
161.67
+0.00
主要シグナル
空売り比率 / AD ライン / Put/Call / VIX / 機関フロー など (週次)
今週の地合い
リスクオン (半導体主導)
SPX/ナスダック最高値。ただし物色は AI 計算に集中
勝ちセクター
情報技術 (半導体)
Micron $250B・Meta 高評価で AI メモリ・計算インフラが牽引
負けセクター
公益・生活必需品・エネルギー
週後半のリスクオンで逆行安。ディフェンシブから資金流出
ブレッドス
セクター 50 日線超 7 本
注意水域。上昇の幅は狭く AI 一極。週末 signals 基準
VIX 週末
15.03
週初 15.57 から低下。荒れた週を低ボラで締め
来週の山場
JST 7/14 (火) 21:30
6 月 CPI。コア前年比予想 3.0% 前後。関税転嫁の節目
Fed funds 12M
据え置き優勢
6 月 FOMC 議事録はタカ派・9 対 8 で利上げ論も (CME FedWatch)
決算シーズンの現在地
FactSet Earnings Insight
Q2 2026 · FactSet FactSet 7/10 時点 (Q2 序盤 18 社報告) 時点
見出しは『Q2 EPS 成長率 29% 超』。序盤 18 社でビート率 89%・サプライズ +14.5% と好発進だが、母数が小さく大手銀行 + TSMC 報告後に平準化する公算。フォワード P/E 約 20 倍は 5/10 年平均超の割高圏。
ブレンド EPS 成長率 (Q2)
+23.6%
3 月末 +18.8% → 現在 (終了時 +29〜32% 見込み)
ブレンド売上成長率 (Q2)
+12.2%
3 月末 +9.5% → 現在
EPS ビート率 (18 社)
89%
10 年平均 76% (母数 18 社と極小)
EPS サプライズ幅
+14.5%
5 年平均 +7.0% の約 2 倍
フォワード 12M P/E
約 20.0
5 年 19.9 / 10 年 18.6 (割高圏)
見通し (通年 2026 EPS)
+24.1%
Q3 +26.8% と加速 (減速せず)
- 季末 → シーズン終了で EPS 成長率は平均 +6.2pt 上振れるため、+23.6% は最終 +29〜32% へ伸びる公算 (予想が保守的)
- 牽引はエネルギー・情報技術・素材、ヘルスケアが唯一の減益予想。Q2 EPS 改定はエネルギー +61.5% が突出 (原油高)
- サプライズ反応の非対称性 (ビートが報われるか / ミスが罰されるか) は序盤 18 社のため FactSet 未集計。7/17 前後の別記事で初出見込み
来週の主要イベント
経済指標・決算・金融政策・政治イベントを重要度順に。時刻は JST 表記。
6 月 CPI (消費者物価指数)
来週最大の分岐点。関税パススルーでコアが粘着するか。上振れなら 7/29 FOMC の利下げ観測が消える
JPMorgan Q2 決算 (決算シーズンの号砲)
NII ガイド・トレーディング収入・貸倒引当。8 四半期連続ビート中
Warsh Fed 議長 初の議会証言 (下院)
CPI 直後。タカ派ピボット済み議長の議会デビュー。7/18 ブラックアウト前の生声
TSMC Q2 決算 (AI 半導体の天井を測る)
粗利ガイド 65.5–67.5%・設備投資見通しが半導体全体を動かす。ADR EPS 予想 $3.81
6 月 小売売上高 (Retail Sales)
米消費の実弾。コントロールグループが Q2 GDP に直結
6 月 PPI (生産者物価指数)
CPI の答え合わせ。翌週コア PCE 予測を左右
Netflix Q2 決算 (大型テックの先陣)
広告事業・値上げ耐性。売上/利益率が主役
0. 今週のヘッドライン
- 🏆 今週の主役: 「半導体、ただし主役の中身が週の途中で入れ替わった」。週初 (US 7/6) は Broadcom-Apple 提携で AMD・QCOM が急伸したが、週央 (US 7/7) に Samsung 史上最高益が「メモリはピーク」の連想で総売りされ半導体は一度崩れた。それが週末にかけて Micron の $250B (約 38 兆円) 米国投資 (US 7/9) と Meta が『AI を売る側』へ回る評価 (US 7/10) で再点火し、S&P500 は +1.22%・ナスダックは +1.74% で史上最高値を締めた。
- 🌊 隠れたテーマ: 「物色の芯が『AI を使う側』から『AI 計算インフラを作る/売る側』へ移った」。AI メモリ (Micron)・自社チップと計算力外販 (Meta の「Iris」「Meta Compute」)・米国製造回帰という、AI ビルドアウトのハード側に資金が集中した週だった。
- ⚠️ 警戒: 指数の最高値と裏腹に、上昇の幅は狭い。定点観測の「セクター 50 日線超本数」は週末 7 本と注意水域で、公益・生活必需品・エネルギーは逆行安、サイバーセキュリティ・バイオは週末に利益確定売り。ダウは Iran 停戦崩壊の 7/8 (-577 ドル) を取り戻せず週間 -0.50% と、AI 以外は置き去りだった。
- 📅 来週の山場: JST 7/14 (火) 21:30 の 6 月 CPI (消費者物価指数) と、同日寄り前の JPMorgan を筆頭とする大手銀行 Q2 決算、そして JST 7/16 (木) 未明の TSMC 決算。関税インフレの粘着度と AI 半導体の天井を、来週前半で一気に確かめる。
1. 今週の振り返り — 5 営業日で何が起きたか
半導体が主役の週だったが、その主役の中身が週の途中で「物色分散」→「好決算売り」→「AI 計算インフラ再点火」と 3 回入れ替わった 5 営業日でした。
週次の数字
週初 (7/3 引け) → 週末 (US 7/10 引け) の確定リターンを累積した値です。ダウだけが負け越した「割れた最高値更新」でした。
| 指数 | 週末終値 | 週次騰落 | コメント |
|---|---|---|---|
| SPX | 7,575.39 | +1.22% | 史上最高値を更新して締め。半導体主導 |
| NASDAQ Comp | 26,281.61 | +1.74% | 指数で最強。AI 計算インフラへ資金集中 |
| Dow | 52,637.01 | -0.50% | 唯一の負け。7/8 の Iran 停戦崩壊 (-577 ドル) を取り戻せず |
| Russell 2000 (IWM) | 295.99 | (方向: 週末は小動き) | 小型は最後まで蚊帳の外。大型優位が継続 |
| VIX | 15.03 | 週初 15.57 から低下 | 荒れた週を低ボラで締め。恐怖は後退 |
🎯 要点: 指数 3 つのうちダウだけがマイナスという「割れた最高値更新」が、今週の性格を一言で表しています。上げたのは AI 計算インフラに直結する銘柄群 で、それ以外 (ディフェンシブ・小型・景気敏感) は置き去りでした。
今週の 3 大ドライバー
① 半導体の主役が「物色分散」から「AI 計算インフラ・米国製造回帰」へ入れ替わった
週初 (US 7/6) は Broadcom が Apple とのカスタムチップ供給契約を 2031 年まで延長したことが号砲となり、AMD +6.6%・QCOM +6.9% と半導体が大反発しました。特徴は「本尊 Nvidia は +0.8% と置き去り」で、資金は Nvidia 一極集中から周辺 (Broadcom・AMD・メモリ) へ横滑りしていました (7/6 デイリー で詳報)。
その流れは週央にいったん崩れます。US 7/7、Samsung が営業益約 $58B (前年比 19 倍) と単一四半期で史上最高益を出したにもかかわらず、その好業績が HBM (高帯域メモリ)・DRAM の価格高騰で生まれたことが「価格はピーク、次は増産でサイクル反転」の連想を呼び、半導体は総売り (Micron -4.7%・SMH -3% 超) となりました (7/7 デイリー)。
だが週末にかけて主役が再点火します。US 7/9、Micron が 2035 年までに米国へ $250B (約 38 兆円) 超を投じる計画を発表し、ARM +9.2%・AMD +5.7% と AI メモリ・米国製造回帰のナラティブが復活 (7/10 デイリー)。翌 US 7/10 には独立系調査会社 SemiAnalysis が Meta を「AI の 3 要素すべてで world-class に近づく唯一のハイパースケーラー」と評価し Meta +6%、同レポートが Nvidia のデータセンター売上を市場予想比 +20% と試算したことで NVDA も +4% と続伸しました (7/11 デイリー)。
📚 用語: HBM (高帯域メモリ, High Bandwidth Memory) DRAM を垂直に積層し、広い帯域で GPU にデータを供給する AI 向けメモリ。Nvidia の AI アクセラレータに不可欠で、Samsung・SK Hynix・Micron が主要サプライヤー。今週の「メモリはピークか、まだ需要が続くか」論争の中心にあった部品で、価格の高さが好業績とサイクル警戒の両面を生んだ。
② 週の芯は「AI を使う側」から「AI 計算インフラを作る/売る側」へ移った
今週いちばんの構造変化は、資金が向かう先が AI ビルドアウトのハード側に集中したことです。Micron の米国メモリ投資、Meta が自社 AI チップ「Iris」を Broadcom / TSMC と 9 月から製造し計算力を外販する新事業「Meta Compute」を立ち上げる評価、SK Hynix の米国 Nasdaq デビュー (+13%) ——いずれも「AI アプリで稼ぐ」より一段手前の、計算インフラそのものへの賭けでした。
🎯 要点: 「AI = Nvidia の GPU を買う」という一本足だった物色が、メモリ・自社チップ・計算力外販・米国製造というサプライチェーンの厚みへ広がった週。テーマの寿命を延ばす前向きな変化ですが、裏を返せば「AI 計算に関係しない銘柄は買われない」選別の裏返しでもあります。
③ Iran 停戦崩壊とダウの負け越し — マクロは週の中盤で一度荒れた
週の性格を決めた「もう一つの軸」は地政学です。US 7/8、Trump の Iran 停戦「終了」宣言で原油が 2 セッションで約 +10% 急騰し、10 年債利回りは 4.57% と 5 月中旬以来の高水準へ。金利敏感のダウは -577 ドル (-1.09%)、公益・小型株が逆風を受けました (7/8 デイリー)。翌 7/9 に原油が反落してインフレ懸念が後退し株はリスクオンへ戻りましたが、ダウはこの一日の下げを週末まで取り戻せず、週間 -0.50% の負け越しで終わりました。半導体 (ナスダック) の強さの陰で、景気敏感・ディフェンシブは冴えなかったのです。
2. セクター ローテーション — 週次の勝ち負け
今週の資金は「AI 計算インフラを持つ情報技術」へ集中し、そこから漏れたディフェンシブ・エネルギー・小型は逆行安でした。週の中で日替わりにローテーションが起きたため方向は一定しませんでしたが、週トータルで見ると勝ち負けは明快です。
| セクター (代表 ETF) | 週内の動き | ドライバー |
|---|---|---|
| 勝ち: 情報技術 (XLK / SMH) | 週後半に急伸 | Micron $250B・Meta 高評価・SK Hynix IPO で AI メモリ・計算インフラが牽引 |
| 勝ち: 金融 (XLF) | 週初に底堅い | 7/6 にダウ最高値を資本財・金融が主導。来週の大手銀行決算を控え買い先行 |
| 負け: 公益 (XLU) | 週後半に逆行安 | リスクオン回帰でディフェンシブから資金流出。7/10 も -0.5% |
| 負け: エネルギー (XLE) | 週末に失速 | 7/8 は Iran ショックで唯一の避難先だったが、原油反落で 7/10 -1.4% と往って来い |
| 負け: 生活必需品 (XLP) | 継続的に弱い | 最高値圏のリスクオンで一貫して逆行。7/10 も -1.4% |
週末 (US 7/10) 単体では、サイバーセキュリティ (CRWD -5.7%・PANW -3.7%) とバイオテック (XBI -3.2%) に利益確定売りが出ており、高ベータの一部から AI 計算インフラへ資金が乗り換わる動きも見えました。
📚 用語: セクター ローテーション (Sector Rotation) 景気サイクルや相場テーマの変化に応じて、投資資金がセクター間を移動する現象。今週のように「同じ週の中でディフェンシブ買い → 半導体買い → ディフェンシブ売り」と日替わりで起きることもある。方向が一定しない週は「テーマ探しの過渡期」で、指数が動かなくても内部では活発に資金が回っている。
🎯 要点: 今週のローテーションは「AI 計算インフラ一点集中」を示しています。指数は最高値でも、参加しているセクターの数 (幅) は狭い ——後述する定点観測の「セクター 50 日線超本数」が週末 7 本と注意水域にあるのが、その幅の狭さの数字での裏付けです。3–12 ヶ月の視点では、この幅がいつ広がる (ブレッドス改善) か、それとも AI 一極のまま息切れするかが分岐になります。
2.5 決算シーズンの現在地 — 集計データの読み筋 (FactSet Earnings Insight)
Q2 決算シーズンの現在地は「拡大局面の入り口、ただしまだ序盤の序盤」——今週のスコアカードは報告済み 18 社の暫定値なので、来週の主力群で平準化するのを見極める段階です。
ページ上部のスコアカード (FactSet 7/10 時点) を踏まえ、Q2 2026 決算シーズンの現在地を読み解きます。7/10 時点で S&P500 のうち報告済みはわずか 18 社で、本番 (大手銀行・TSMC) は来週から始まります (集計の深掘りは マーケット インサイト コレクションに切り出しています)。
- 益成長のフェーズ — 予想が保守的に見える: FactSet の見出しは「Q2 EPS 成長率 29% 超」。ブレンド予想は +23.6% ですが、過去は季末から決算シーズン終了までに平均 +6.2 ポイント上振れるため、最終着地は +29〜32% へ伸びる公算が高い、という読みです。しかも「3 月末 +18.8% → 現在 +23.6%」とシーズン開始前に予想自体が上方修正されており、アナリストがこの四半期の EPS 見通しを引き上げるスピードは 2021 年以来の速さ。方向は明確に拡大です。
- ビートの質は「まだ判断できない」: スコアカードのビート率 89%・サプライズ +14.5% はいずれも歴史的平均を大きく上回りますが、母数が 18 社なので割り引いて読む必要があります。決算シーズンは優良企業が先に報告する傾向があり、序盤ほど数字が良く出ます。来週の大手銀行 + TSMC 報告後に平準化するのが通例で、この 89% は「良い滑り出し」以上の意味を持たせない方が安全です。
- 構造変化のサインは今週は「未集計」: 局面転換の最速シグナルである「ビート/ミスへの株価反応の非対称性」(ビートが報われているか / ミスが過剰に罰されているか) は、報告社数が積み上がる序盤 2 週目以降に FactSet が別記事で初出します。7/10 時点では未集計なので、次回 Update (US 7/17 前後) で必ず確認する項目です。過去数四半期は「ビートしても報われず、ミスは平均以上に罰される」非対称が続いており、今回もそれが継続するかが焦点。
- バリュエーション — 割高だが極端ではない: フォワード 12 ヶ月 P/E は約 20 倍 (別ソース Yardeni の 7/8 時点でも 19.98) で、5 年平均 19.9・10 年平均 18.6 をいずれも上回る割高圏。ただし 2020–21 のピーク圏 (23 倍超) には至っておらず、+23% 超の EPS 成長が実現すれば「成長が高い P/E を正当化する」構図です。逆に言えば、来週の CPI や TSMC で成長ストーリーに疑問符がつくと、この P/E は下方向のクッションが薄い。
📚 用語: フォワード P/E (Forward Price-to-Earnings) 今後 12 ヶ月の予想 EPS で株価を割った株価収益率。過去実績ベースの P/E より先を見る指標。水準だけでは割高・割安を判断できず、その指数自身の 5 年・10 年平均と比べて相対評価するのが基本。現在の S&P500 の約 20 倍は平均を上回るが、益成長率が高いときは高 P/E が正当化されうるため、必ず成長率とセットで見る。
🎯 要点: 局面は「拡大の初期加速」。ただし今週のスコアカードは序盤 18 社の暫定値なので、来週の大手銀行 + TSMC 報告で数字が平準化するのを見極める段階です。次回 FactSet Update (US 7/17 前後) では、① ビート率・サプライズ幅がどこまで下がるか、② 市場反応の非対称性の初出値 (構造変化サインの核) の 2 点を確認します。
2.7 クレジットと流動性
クレジットは平穏でリスクオンを裏付ける一方、10 年実質金利の 4 週上昇だけが高 PER グロース株への逆風になっています。 (値は FRED、基準は各系列の最新営業日)
| 指標 | 最新値 | 4 週変化 | 解釈 |
|---|---|---|---|
| HY OAS (高利回りスプレッド) | 2.70% | -0.08 | 縮小継続。ジャンク債にストレス無し = リスクオン裏付け |
| IG OAS (投資適格スプレッド) | 0.76% | +0.01 | ほぼ横ばい。優良企業債も平穏 |
| 10Y 実質金利 (TIPS) | 2.31% | +0.15 | プラス圏で 4 週上昇。高 PER グロースへの唯一の重し |
| ブレークイーブン インフレ率 (10Y) | 2.24% | -0.07 | 低下。市場の期待インフレは落ち着き、利上げ観測とは温度差 |
| RRP (逆レポ残高) | 0.55 $B | +0.09 | ほぼゼロで枯渇済み。流動性放出の余力はもう無い |
| TGA (財務省一般会計) | 774.1 $B | -54.1 | 4 週で大幅減。政府支出で市場へ資金が出る方向 |
| 準備預金 (Fed バランスシート) | 3,098.9 $B | +18.2 | 微増。銀行間ストレスの兆候は無し |
🎯 要点: クレジット (HY OAS 縮小・IG 横ばい) は「リスクオンは本物」と言っています。唯一の逆風は 10 年実質金利の +0.15 上昇で、これは今週の 10 年債利回り 4.48% → 4.56% の上昇と整合します。ブレークイーブンが低下しているのに実質金利が上がっている = 「インフレ期待ではなく実質金利の上昇」で株を重くしているため、来週の CPI で期待インフレが跳ねると二重の逆風になり得ます。
2.9 ポジショニング
今週は CFTC の COT データが未取得のため Net ポジションは全て — ですが、USD/JPY が 161–162 台と 40 年ぶり安値圏で高止まりし、円ショートの偏りが続いているとみられます。 (数値は次回、確定週の値が揃い次第更新します)
| 先物 (CFTC COT) | Net ポジション | 前週比 | 含意 |
|---|---|---|---|
| S&P500 先物 (E-mini) | — | — | データ未取得 |
| ナスダック 100 先物 (E-mini) | — | — | データ未取得 |
| 10Y 国債先物 | — | — | データ未取得 |
| 円 先物 | — | — | データ未取得 |
⚠️ 注記: COT は火曜時点のデータが金曜公表 (3 日遅れ) で、取得タイミングによっては最新週が未反映になります。定性的には、USD/JPY が 161–162 台と 40 年ぶり安値圏で高止まりしており、円ショート (円安方向) の偏りが続いているとみられます。介入警戒ゾーンにある点だけ頭に置いておきます。
3. 個別銘柄の週次ハイライト — 深掘り 2 社
今週の物語を体現した 2 社——メモリ・米国製造回帰の Micron と、「AI を使う側から売る側へ」の構造変化を評価された Meta を深掘りします。
3.1 MU (Micron) — $250B 米国投資が「AI メモリ + 製造回帰」テーマを再点火
📎 公式情報源: Micron IR ・ SEC EDGAR
| 観点 | 詳細 |
|---|---|
| 今週何が起きたか | US 7/9、2035 年までに米国へ $250B (約 38 兆円) 超を投じてメモリ製造を国内回帰させる計画を発表。株価は 7/9 に +4.5% と急伸し、半導体全面高 (SMH +2.48%) の号砲になった |
| なぜ重要か | 7/7 の Samsung 好決算売りで「メモリはピーク」の弱気が広がった直後に、Micron が「需要は長期で続くから巨額投資する」という強気の反証を出した形。AI メモリ (HBM) 需要と、関税下での米国製造回帰という 2 つのナラティブを同時に体現している |
| 逆風リスク | メモリは典型的なシクリカル (価格が上がると増産 → 供給過剰 → 価格下落)。$250B の設備投資は需要が続けば追い風だが、AI 需要が減速すれば重い固定費に転じる。Samsung・SK Hynix の増産計画とのオーバーサプライ競争も残存 |
| 長期で見るべき指標 | (1) HBM の受注残と価格トレンド、(2) データセンター向け売上比率、(3) 設備投資 (capex) と減価償却のバランス |
長期投資家としての見方: メモリは「良い決算 = 価格ピークの合図」と読まれやすい難しいセクター。今週は Micron 自身が長期の強気を示したが、来週の TSMC 決算で AI 半導体全体の設備投資見通しが弱ければ、メモリの強気も揺らぐ。「AI 需要が本物か」の答え合わせは来週に持ち越し。
3.2 META (Meta Platforms) — 「AI を使う側」から「売る側」へ回る構造変化
📎 公式情報源: Meta Investor Relations ・ SEC EDGAR
| 観点 | 詳細 |
|---|---|
| 今週何が起きたか | US 7/10、独立系調査会社 SemiAnalysis が「Meta はデータ・人材・コンピュートの 3 要素すべてで world-class に近づく唯一のハイパースケーラー」と高評価し、株価は +6% ($669 台) へ急伸 |
| なぜ重要か | Meta は Broadcom / TSMC と自社 AI チップ「Iris」を 9 月から製造して Nvidia / AMD 依存を減らし、さらに AI 計算力を外販する新事業「Meta Compute」を立ち上げる。AI アプリで広告収益を上げる会社が、AI 計算インフラそのものを売る会社へ回る構造変化を市場が評価した |
| 逆風リスク | 自社チップ開発は巨額の先行投資で、失敗すれば減損リスク。計算力外販は AWS / Azure / GCP という既存の巨大クラウドとの正面競争になる。SemiAnalysis の Nvidia 売上 +20% 試算も、あくまで 1 調査会社の推計で確定値ではない |
| 長期で見るべき指標 | (1) 自社チップ「Iris」の量産立ち上がりと Nvidia 依存度の低下、(2) Meta Compute の外販売上 (立ち上がれば新セグメント)、(3) AI 関連の capex と広告事業のキャッシュフローのバランス |
長期投資家としての見方: 「AI を使う側」の代表格だった Meta が「売る側」の要素を持つと、収益源が広告一本足から多角化する可能性がある。ただし今週の +6% は 1 調査会社の評価が引き金で、実際に自社チップと計算力外販が事業として立ち上がるかは数四半期かけて確かめる話。今の株価は「期待の先取り」の色が濃い。
4. 来週の経済カレンダー — それぞれがなぜ重要か
来週は「関税インフレは一過性か、粘着か」を確かめる週です。 前半に 6 月 CPI (火)、後半に小売売上高 (木) で山を作り、間に Warsh 議長の初の議会証言が挟まります。Fed のブラックアウトは US 7/18 開始なので、来週いっぱいは当局の生声が聞けます。
| JST 日付 / 時刻 | イベント | 重要度 | 解釈 / 公式情報源 |
|---|---|---|---|
| JST 7/14 (火) 21:30 | 6 月 CPI (消費者物価指数) | ★★★ | 来週最大の分岐点。詳細は下のサイドバー。BLS CPI 日程 |
| JST 7/14 (火) 23:00 | Warsh Fed 議長 初の議会証言 (下院) | ★★ | CPI 発表直後。タカ派ピボット済み議長の議会デビュー。7 月利下げ/据え置きの示唆・関税インフレ見解が焦点 |
| JST 7/15 (水) 21:30 | 6 月 PPI (生産者物価指数) | ★★ | CPI の答え合わせ。医療・航空などの項目が翌週のコア PCE 予測を左右する。BLS PPI 日程 |
| JST 7/15 (水) 23:00 | Warsh 議長 上院銀行委証言 | ★★ | 2 日連続の議会証言。金融政策の独立性・財政への質疑 |
| JST 7/16 (木) 21:30 | 6 月 小売売上高 (Retail Sales) | ★★ | 米消費の実弾。コントロールグループ (Control Group) が Q2 GDP に直結。上振れ=ソフトランディング補強、下振れ=景気減速懸念。Census 小売 |
| JST 7/17 (金) 23:00 | 7 月 ミシガン大消費者信頼感 (速報) | ★ | 1 年先インフレ期待 (6 月 4.6%) が焦点。関税起因の期待上昇はタカ派材料 |
| JST 7/17 (金) 引け | 月次オプション満期 (OpEx) | ★ | トリプルウィッチングではないため影響は限定的。CPI・決算消化後のヘッジ巻き戻しに注意 |
📚 用語: なぜ 6 月 CPI が来週最重要視されるか 5 月に headline が前年比 4.2%・前月比 +0.5% と加速した背景は、関税による輸入財の価格転嫁 (パススルー) だった。6 月はエネルギー下落で headline は鈍化予想だが、市場が本当に見るのは コア (エネルギー・食品を除く) が粘着し続けるか。コアが加速すれば「関税インフレは一過性ではない」と確定し、US 7/29 FOMC の利下げ観測が消えて金利急騰・グロース株安につながる。逆にコアが鈍化すれば株の重しが一つ外れる。ただし Warsh 議長は既にタカ派ピボット済み (6 月ドット 3.4% → 3.8%) なので、下振れでも利下げ催促相場にはなりにくい非対称な構図。
5. 来週の決算 — 注目銘柄
来週から Q2 決算シーズンが本格化します。 火曜の大手銀行群が号砲で、木曜に TSMC (AI 半導体) と Netflix (大型テックの先陣) が続きます。序盤 18 社で 89% だったビート率が、この主力群の報告で平準化するかが FactSet スコアカードの見どころです。
| US 日付 | 銘柄 | 寄り前/引け後 | 注目 KPI |
|---|---|---|---|
| US 7/14 (火) | JPM (JPMorgan) | BMO | NII ガイド・トレーディング収入・貸倒引当 (景気シグナル)。8 四半期連続ビート中 |
| US 7/14 (火) | C (Citigroup) | BMO | リストラ進捗と資本効率 (ROTCE) |
| US 7/14 (火) | WFC (Wells Fargo) | BMO | 資産上限解除後の成長・NII の底入れ |
| US 7/14 (火) | GS (Goldman Sachs) | BMO | 投資銀行 (M&A・IPO) 復調とトレーディング |
| US 7/15 (水) | BAC (Bank of America) | BMO | 金利低下局面での NII 感応度 |
| US 7/15 (水) | MS (Morgan Stanley) | BMO | 資産運用 (Wealth Management) の純資金流入 |
| US 7/16 (木) | TSM (TSMC) | 決算会見 | 粗利ガイド 65.5–67.5%・設備投資見通しが半導体全体を動かす。ADR EPS 予想 $3.81 |
| US 7/16 (木) | NFLX (Netflix) | AMC | 広告事業・値上げ耐性。会員数開示縮小後は売上/利益率が主役 |
🎯 要点: 銀行決算は「金利低下局面でも稼げるか」(NII の底入れ) とトレーディング収入が見どころ。TSMC は「AI ビルドアウトに天井はあるか」を測る四半期で、設備投資ガイドが強気なら半導体逆行高の継続、慎重なら「AI ピーク論」に火がつきます。今週の Micron・Meta の強気が本物かどうかは、TSMC が答え合わせをします。
6. 来週のシナリオ — 強気 / 弱気の分岐点
来週の値動きを左右する軸は 3 つ——(1) CPI コアの粘着度が金利の天井を決める、(2) TSMC ガイドが半導体逆行高を続けるか折るか、(3) 銀行決算が「金利低下局面の収益力」を証明できるか、です。
- 強気シナリオ: もし 6 月コア CPI が鈍化し、大手銀行のトレーディング/NII が上振れ、TSMC が AI 設備投資を強気ガイドすれば、「関税インフレ一過性論」が優勢になり S&P500 は最高値更新を試す。今週の AI 計算インフラ物色が継続する展開。
- 弱気シナリオ: もし 6 月コア CPI が上振れ (関税パススルーが顕在化) すれば、US 7/29 FOMC の利下げ観測が消えて金利急騰・グロース株安。あるいは TSMC が弱いガイドを出せば「AI ピーク論」が再燃する。高値圏の利益確定と月次 OpEx が重なり調整に振れやすい。
- 分岐点: 最大の不確実性は 6 月 CPI コアの前月比。ここが粘着 (+0.3% 級) なら金利の天井が上がり株全体の重しになる。次いで TSMC の設備投資ガイドが、今週再点火した半導体テーマの寿命を決める。最有力は「CPI コンセンサス並み + 決算まちまち」で、銀行 → 半導体 → 配信へ物色が回転しつつ指数は膠着するレンジ・ローテーションの展開。
📚 季節性・アノマリー: 7 月は例年 S&P500 が堅調になりやすい月 (「サマーラリー」の前半) だが、決算シーズンとインフレ指標が重なる週はイベントドリブンでアノマリーが上書きされやすい。今週から来週は「季節性の傾き」より「CPI と決算の中身」が主役。季節性はあくまで『傾き』であって毎回当たらないことは頭に置く (詳細はアノマリー glossary へ)。
7. 今週の学び — 長期投資家として覚えておくべきこと
週次でも 3 つの覚えるべき概念 + 1 つのパターンを蓄積します。
用語 / 概念
- ブレンド成長率 (Blended Growth Rate) — 報告済み企業の実績 + 未報告企業の予想を合成した成長率。決算シーズンが進むほど実績の比率が上がる。序盤 (今週) の +23.6% は予想がほとんどで、過去平均で終了までに +6.2pt 上振れる傾向があるため「保守的な出発点」として読む。
- メモリのシクリカリティ (半導体の景気循環) — メモリ (DRAM/HBM) は「価格上昇 → 各社が増産 → 供給過剰 → 価格下落」を繰り返す典型的なシクリカル。だから Samsung の史上最高益が「価格ピーク = 次は反転」と読まれて売られた。好決算がそのまま買い材料にならない難しさが今週の教訓。
- ハイパースケーラーの垂直統合 — Meta のように AI を「使う側」だった企業が、自社チップ製造 (Iris) と計算力外販 (Meta Compute) で「作る/売る側」に回る動き。Nvidia 依存を減らし収益源を多角化する狙いだが、巨額の先行投資と既存クラウドとの競争リスクを伴う。
パターン / 経験則 (1 つ)
- 「好決算が売られる週」は相場が先を疑い始めたサイン。今週は Samsung (史上最高益 → 売り)・Delta (EPS 上振れ → -2.2%) と、良い数字が報われないケースが並んだ。市場が「今の数字は続かない (メモリはピーク・燃料費は重い)」と先読みしている局面では、ヘッドラインの上振れだけで飛びつくと逆を突かれる。中身の質と事前期待の高さをセットで見る。
監視指標の閾値表
| 指標 | 週末値 | 警戒水域 | 含意 |
|---|---|---|---|
| VIX | 15.03 | > 20 で警戒、> 25 で守備 | 低位。荒れた週でも恐怖は限定的 |
| 10Y Yield | 4.56% | > 4.80% で株売り加速 | 上昇傾向。実質金利の上昇がグロースの重し |
| セクター 50 日線超 | 7 本 | < 6 本で幅の狭さ警戒 | 注意水域。上昇の幅が狭く AI 一極 |
| USD/JPY | 161.67 | > 160 で介入リスク | 40 年ぶり安値圏。介入警戒ゾーン継続 |
8. データソース・引用
引用 URL (カテゴリ別)
- 今週のデイリー (この週の詳報): 7/6 / 7/7 / 7/8 / 7/10 / 7/11
- 週次市況: Stock Market Today, July 10 — SK Hynix Soars on Debut (Motley Fool) / Dow, S&P 500, Nasdaq rise to cap choppy week (Yahoo Finance)
- 半導体・AI 計算インフラ: Why Meta Platforms Stock Jumped on Friday (Motley Fool) / SK Hynix raises $26.5bn in record US IPO (Al Jazeera)
- 決算シーズン集計 (FactSet): S&P 500 Likely to Report Earnings Growth Above 29% for Q2 (7/10) / S&P 500 Earnings Season Preview: Q2 2026 (7/2) / Record-High Tech Companies Issuing Positive Q2 EPS Guidance (7/8) / Yardeni: Stock Market P/E Ratios
- 来週の経済指標: Kiplinger — Economic Calendar (July 13–17) / BLS CPI 日程 / Census 小売売上高 / CME FedWatch
- 来週の決算: Top Wall Street Banks Kick Off Q2 Earnings (Stocktwits) / TSMC Q2 Earnings July 16 (TipRanks)
- クレジット・流動性: FRED (HY/IG OAS・実質金利・ブレークイーブン・RRP・TGA・準備預金)
免責
本記事は情報提供のみを目的としています。投資勧誘や個別銘柄の売買推奨ではありません。記載の数値は取得時点のもので、市場開閉や訂正により変動します。投資判断はご自身の責任で行ってください。本記事の見解は執筆者個人のもので、所属組織の見解を代表するものではありません。
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