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Bull Note米国株 デイリー戦略ノート

WEEKLY · 2026 / W24 · PREVIEW

2026/06/08 週のプラン — リスクオフ転落から始まる『インフレ二連弾』ウィーク、CPI(6/10)・PPI(6/11)・ORCL/ADBE 決算が金利と AI 相場を試す

先週末 6/5 の NFP 金利ショック (10年債 4.54%・30年債 5%超) でリスクオフへ転落した直後に始まる今週は、FOMC (6/16-17) 前最後の 5月 CPI (6/10)・PPI (6/11) が金利の方向を決める分水嶺。Fed はブラックアウト (6/6-6/18) で沈黙し、語るのは指標と決算だけ。米 6/10 は『CPI 朝 → 10年債入札 → ORCL 引け後』と材料が縦に 3 連続。Oracle・Adobe 決算が AVGO ショック後の AI クラウド/SaaS 需要を試す。出発点は VIX 21.51・S&P 7,383.74。

執筆: kinjo19 分で読了弱気

リスクオフ転落から始まる『インフレ二連弾』ウィーク。CPI(6/10)・PPI(6/11) が金利の方向を、ORCL/ADBE 決算が AI 相場を試す。Fed はブラックアウトで沈黙、米6/10 は材料が縦3連続。

今週のプラン

今週 (6/8–6/12) は、先週末 6/5 の NFP 金利ショック (+172k で利下げ観測消滅、10年債 4.54%・30年債 5%超、NASDAQ -4.18%、SOX -10.26%、VIX 21.51) でリスクオフへ転落した直後に始まる『インフレ二連弾』ウィーク。FOMC (6/16-17、ウォーシュ新議長下で初会合) 前最後の主要インフレ指標 = 5月 CPI (JST 6/10 水 21:30) と 5月 PPI (JST 6/11 木 21:30) が、金利の一段高か巻き戻しかを決める分水嶺になる。CPI コンセンサスは YoY +4.0% (4月 +3.8%)・コア +2.7% (6か月ぶり高) で、原油・ガソリン主導の上振れが警戒される。Fed はブラックアウト (6/6-6/18) で沈黙し、サプライズ時の火消し発言が無い構造がボラを増幅。米 6/10 は『CPI 朝 → 10年債入札 → Oracle 引け後』と材料が縦に 3 連続する密度の高い日。Oracle (JST 6/11 木 早朝)・Adobe (JST 6/12 金 早朝) 決算は、AVGO ショック後の AI クラウド/SaaS 需要が『実需』か『期待』かを試す。出発点は S&P 500 7,383.74・VIX 21.51・10年債 4.54%・USD/JPY 160.11。先週の総括は別記事 (review) に。

週初マーケット スナップショット

SPX2.64%

S&P 500 (6/5 引け=出発点)

7,383.74

-200.57

IXIC4.18%

NASDAQ Comp (6/5 引け)

25,709.43

-1,121.53

DJI1.35%

Dow Jones (6/5 引け)

50,866.78

-695.15

RUT3.47%

Russell 2000 (6/5 引け)

2,833.50

-101.83

SOX10.26%

SOX 半導体 (6/5 引け)

12,220.76

-1,398.00

VIX+39.52%

VIX (6/5 引け)

21.51

+6.11

US10Y+2.02%

10Y Yield (6/5)

4.54

+0.09

USDJPY+0.16%

USD/JPY (6/5)

160.11

+0.26

SPX
-2.64%
IXIC
-4.18%
DJI
-1.35%
RUT
-3.47%
SOX
-10.26%
VIX
+39.52%
US10Y
+2.02%
USDJPY
+0.16%
主要指数の週次騰落 (%)。中央が 0、緑=上昇・赤=下落で、バー長は変化率の大きさに比例。

主要シグナル

空売り比率 / AD ライン / Put/Call / VIX / 機関フロー など (週次)

今週の地合い

リスクオフから開始

先週末 NFP 金利ショックでリスクオフ転落した直後。CPI 次第で第2波 or 巻き戻し

今週の山場

JST 6/10 (水) 21:30 CPI

FOMC 前最後の主要インフレ。YoY +4.0%・コア +2.7% (6か月ぶり高) 予想。原油主導の上振れ警戒

材料が縦3連続

米 6/10

CPI 朝 → 10年債入札 → Oracle 引け後。JST では 6/10 (水) 夜 → 6/11 (木) 早朝に集中

AI 相場の試金石

ORCL / ADBE 決算

AVGO ショック後、AI クラウド/SaaS 需要が実需か期待か。ORCL の OCI (+84%)・RPO ($553B)

Fed ブラックアウト

6/6-6/18

FOMC 直前で高官発言が全面停止。サプライズ時の火消しが無くボラ増幅要因

金利警戒

10年 4.54% / 30年 5.02%

出発点。CPI 上振れ × 弱い入札で 10年 4.6%超・30年 5.1% のリスク

USD/JPY 警戒

160.11

160 突破で介入リスク本格化。米金利急騰 × 円安のクロスマーケット逆流に注意

決算シーズンの現在地

FactSet Earnings Insight

Q1 2026 · FactSet FactSet 5/8 時点 (Q1 2026) ※前週の金利ショック未反映、最新確報待ち 時点

拡大

Q1 決算は EPS +27.7%・純利益率 13.4% (2009 年以来最高) と歴史的な拡大。だがフォワード P/E 21.0 (10年平均比 +11%) のプレミアムが、今週の CPI 次第でさらに剥落するリスク。

ブレンド EPS 成長率 (Q1)

+27.7%

3月末 +13.1% → シーズン通じ上方修正

EPS ビート率

84%

5年平均 78% / 10年平均 76%

純利益率

13.4%

2009 年の計測開始以来の最高

フォワード 12M P/E

21.0

5年 19.9 / 10年 18.9 (金利上昇に脆弱)

通年 (CY2026) EPS 成長率

+21.0%

Q2 +19.9% → Q3 +23.2% (加速予想)

ミス銘柄の反応

ネガティブサプライズ銘柄 −4.9% (5年平均 −2.9% の約 1.7 倍 — ミスが過剰に罰される。ORCL/ADBE 決算もこの地合い)

  • 決算ファンダは拡大局面のど真ん中だが、株価変動は『分子 (決算)』より『分母 (金利)』が支配する局面
  • フォワード P/E 21.0 は金利ショック前の 5/8 値。今週 CPI が上振れれば高 PER グロースのプレミアム剥落が続く

出典: FactSet Earnings Insight

今週の主要イベント

経済指標・決算・金融政策・政治イベントを重要度順に。時刻は JST 表記。

★★★ 重要度 (3)
JST 6/10 (水) 21:30経済指標

5月 CPI (消費者物価指数)

今週最大の山。YoY +4.0% (4月 +3.8%)・コア +2.7% 予想。原油・ガソリン主導の上振れ警戒

JST 6/10 (水) 翌 02:00金融政策

10年債入札 (リオープン)

CPI 直後の入札。CPI 上振れ × 弱い入札なら長期金利が一段高

JST 6/11 (木) 早朝決算

Oracle (ORCL) Q4 FY26 決算

米 6/10 引け後。AVGO ショック後の AI クラウド需給の試金石。RPO ($553B)・OCI 成長率 (+84%)

★★ 重要度 (5)
JST 6/9 (火) 翌 02:00金融政策

3年債入札 (リオープン)

NFP ショック後の最初の需給テスト。応札倍率・テールに注目

JST 6/11 (木) 21:30経済指標

5月 PPI (生産者物価指数)

CPI 翌日。4月 +1.4% MoM。コア PCE 換算の手掛かり

JST 6/11 (木) 翌 02:00金融政策

30年債入札 (リオープン)

30年が 5%超に乗った直後。長期需要の本気度を測る

JST 6/12 (金) 早朝決算

Adobe (ADBE) Q2 FY26 決算

米 6/11 引け後。生成 AI (Firefly) 収益化と純新規 ARR。AI が SaaS のモートか漏れか

JST 6/12 (金) 23:00経済指標

ミシガン大消費者信頼感 (6月速報)

期待インフレ (1年先 4.8%) の高止まりが続くか

0. 今週のヘッドライン

  • 🎯 今週の主役 — FOMC 前最後の『インフレ二連弾』(CPI・PPI): 今週 (6/8–6/12) は、再来週の FOMC (6/16-17、ウォーシュ新議長下で初会合) を前に Fed が見る最後の主要インフレ指標が出る分水嶺。5月 CPI (JST 6/10 水 21:30)5月 PPI (JST 6/11 木 21:30) が、先週末の金利急騰を一段と進めるか巻き戻すかを決める。詳細は §4
  • 🌊 今週の構図 — 「リスクオフ転落の直後」から始まる: 出発点は先週末 6/5 の NFP 金利ショック でリスクオフへ転落した相場 (S&P 500 7,383.74、VIX 21.51、10年債 4.54%、30年債 5%超、半導体 SOX -10.26%)。地合いは既に守勢で、CPI が上振れればリスクオフ第 2 波、減速すれば「金利ショックは一時的」と巻き戻し、という両サイドにボラが開いている。
  • ⚠️ 警戒 — Fed ブラックアウト下で「火消し」が効かない: 今週は Fed ブラックアウト (6/6-6/18) で高官発言が全面停止。指標がサプライズしても当局のなだめる発言が出ない構造で、ボラが増幅されやすい。特に米 6/10 は「CPI 朝 → 10年債入札 → Oracle 引け後」と材料が縦に 3 連続する。
  • 📅 今週の山場 — JST 6/10 (水) 21:30 の 5月 CPI: コンセンサスは YoY +4.0% (4月 +3.8%)・コア +2.7% (6か月ぶり高)。最大の分岐点はコア前月比が +0.2% に収まるか +0.4% へ跳ねるか。原油・ガソリン主導のエネルギー高が二次波及するかが焦点。

1. 出発点 — 先週末 (US 6/5) のスナップショット

今週は「先週末のリスクオフ転落」を引き継いで始まる。先週の総括は別記事 (2026/06/01 週ウィークリー) に譲り、ここでは今週の出発点となる水準だけを確認する。

週初スナップショット (US 6/5 引け = 今週の出発点)

指標6/5 引け状態今週の含意
S&P 5007,383.74先週 -2.59% で 7,600 から後退CPI 上振れで一段安、減速で 7,500 回復を試す
NASDAQ Comp25,709.43先週 -4.69%、6/5 単日 -4.18%高 PER グロースが金利に最も敏感。CPI 直撃の主戦場
半導体 SOX12,220.766/5 -10.26% (全 30 銘柄安)AVGO ショック + 金利の二重苦。ORCL 決算が AI 実需を試す
VIX21.51先週 15→21 (+40%)20 超の警戒水域で今週入り。CPI 前後でさらに上昇余地
米10年債4.544%5/21 以来高、30年 5.02%金利が相場の支配変数。入札 3 本の需給も重し
USD/JPY160.11160 突破、介入警戒米金利急騰 × 円安。介入 → 米債売りの逆流リスク

今週入りの地合いは「守勢のリスクオフ」。先週末に VIX が 20 を超えて引けた状態からのスタートで、買い手は CPI を見るまで動きにくい。指数が反発するには「CPI の減速 → 金利低下」という明確な好材料が要る一方、CPI 上振れなら下値余地の方が大きい、非対称な週初だ。

📚 用語: ブラックアウト期間 (blackout period) とは FOMC (連邦公開市場委員会) の前後に設けられる、Fed 高官が金融政策について公の場で発言できない沈黙期間 (会合前の第 2 土曜から会合翌日まで、通常約 10 日強)。今回は 6/6-6/18 で、6/16-17 FOMC を挟む。この間は指標がサプライズしても当局の「火消し (なだめる発言)」が出ないため、市場は指標とポジションだけで会合を織り込むことになり、ボラティリティが増幅されやすい。


2. 今週の作戦 — 金利が支配変数の局面でどう構える

先週の最大の教訓は「株価を動かすのは決算 (分子) ではなく金利 (分母) になった」ことだった。FactSet 集計が示すとおり Q1 決算は歴史的な強さ (EPS +27.7%) だが、それは既に織り込み済みで、フォワード P/E 21.0 (10年平均比 +11%) のプレミアムが金利急騰で剥落しているのが先週の半導体暴落の正体だ (§2.5)。

今週もこの構図は変わらない。CPI・PPI で金利の方向が決まり、それが高 PER グロースの評価を左右する。「金利感応度 (株式のデュレーション)」でセクターを整理するのが今週の基本姿勢だ。

局面相対優位相対劣位
CPI 上振れ → 金利一段高生活必需品 (XLP)・公益 (XLU)・エネルギー (XLE) など金利耐性の高いバリュー・ディフェンシブ半導体 (SOX)・情報技術 (XLK)・小型 (Russell) など高 PER・高ベータ
CPI 減速 → 金利低下売られすぎた半導体・グロースに反発余地 (ただし FOMC まで確証は持てない)ディフェンシブは出遅れ

📚 用語: 株式のデュレーション リスク とは 元は債券用語で「金利が動いたときの価格の感応度」。株式にも応用され、利益が遠い将来に偏った高成長株 (グロース) は「超長期債」のようなもので、金利が上がると現在価値が大きく削られる。逆に足元で安定した利益・配当を出すバリュー株は「短期債」に近く金利上昇に強い。今週 CPI で金利が動く局面では、PER の高さ = 金利感応度の高さ、と整理するとセクターの値動きが読める。

長期投資家として覚えておくべきこと: 金利が支配変数の局面では、個別の物語 (決算・テーマ) よりマクロ (金利の方向) を先に確認する。今週は CPI (6/10) → 金利 → セクターという因果が明確なので、CPI の結果を見る前にポジションを傾けないのが定石。特に売られすぎた半導体への逆張りは、CPI が減速を確認するまで待つ方が勝率が高い。


2.5 決算シーズンの現在地 — 金利が「分母」を支配する局面 (FactSet)

数値スコアカードはページ上部の「決算シーズンの現在地」カードに構造化表示。 データ基準日の注意: FactSet 週次 Update の直近 verbatim は 5/8 (Q1 2026) で、先週の金利ショックは未反映。フォワード P/E 21.0 は金利ショック前の水準。Q1 シーズンはほぼ完了 (LSEG では 493/500 社報告済み)。

先週の総括 (review ウィークリー §2.5) で詳述したとおり、今の局面は「ファンダ拡大 × バリュエーション過熱 × 金利が支配変数」。今週の forward-looking な読み筋に絞ると:

  • 決算ファンダ (分子) は盤石だが、もう材料にならない: Q1 EPS +27.7%・純利益率 13.4% (2009 年来最高) と歴史的な強さで、CY2026 通年も +21.0% の加速予想。だがこの強さは株価に織り込み済みで、今週の変動要因にはなりにくい。今週の決算 (ORCL/ADBE) で重要なのは「実績の良さ」より「ガイダンスが金利高でも維持されるか」だ。
  • 金利 (分母) が今週の主役: フォワード P/E 21.0 は 10年平均 18.9 を +11% 上回るプレミアム。CPI が上振れて金利が一段高になれば、この平均超のマルチプルがさらに剥落する。今週の CPI は「分母を動かして P/E を再評価させる」イベントとして、決算以上に相場を支配する。
  • 「失望に厳しい」地合いは今週の決算にも効く: FactSet 集計でミス銘柄は -4.9% (5年平均の1.7倍) と過剰に罰される。ORCL/ADBE が好決算でも、ガイダンスにわずかでも陰りがあれば AVGO 型の急落になり得る。

📚 用語: フォワード P/E (forward P/E) とは 今後 12 か月の予想 EPS に対する株価の倍率。水準だけでは割高判断できず、自身の過去 5年・10年平均との比較で相対評価するのが定石。現在の 21.0 倍は 10年平均 18.9 を上回り、金利上昇局面では「平均回帰」の下押し圧力が意識される。今週 CPI で金利が動けば、この P/E の再評価が進む。

長期投資家として覚えておくべきこと: 決算ファンダが拡大局面にある以上、今週調整があっても利益成長の腰折れではなくマルチプル (P/E) の調整と切り分けて見る。次回 FactSet Update では、金利ショック後のフォワード P/E が 21.0 からどこまで下がったか (プレミアム剥落の度合い) を最優先で確認したい。


3. 今週の注目銘柄 — 決算 2 社

3.1 ORCL (Oracle) — AVGO ショック後、AI クラウドが「実需」か「期待」かを最初に示す (JST 6/11 木 早朝)

📎 公式情報源: IR ページSEC EDGARYahoo Finance ORCL

観点詳細
いつ・何を見るか米 6/10 (水) 引け後 = JST 6/11 (木) 早朝に Q4 FY26 決算。EPS コンセンサス約 $1.96、売上は恒常為替 +18-20% ガイド
なぜ重要かAVGO ショック (AI 半導体への失望) の後、AI クラウド需要が「実需」か「期待」かを最初に示す大型決算。半導体の調整が AI インフラ全体への懸念か、半導体固有かを切り分ける
強気の核OCI (Oracle Cloud Infrastructure) 成長率 (前 Q +84%) と RPO (残存契約 $553B・前年比 +325%) の維持。これが続けば「AI 実需は健在」
逆風リスクAI 設備投資 (capex) 先行による FCF (フリーキャッシュフロー) 圧迫。金利高で高 PER が重荷。ガイダンス次第で AVGO 型の急落も
長期で見るべき指標(1) OCI 成長率、(2) RPO の伸びと履行ペース、(3) capex と FCF のバランス

長期投資家としての見方: ORCL は今週の AI 相場の体温計。OCI が +80%台を維持し RPO が積み上がれば「AI 実需論」が復活し、売られすぎた半導体の反発を後押しする。逆にガイダンスが弱ければ、AVGO に続く「AI 設備投資の利益率懸念」として AI ローテーションが加速する。決算の数字そのものより、金利高の中でガイダンスを強気に保てるかが分岐点。

3.2 ADBE (Adobe) — 生成 AI は SaaS の「モート」か「マージン漏れ」か (JST 6/12 金 早朝)

📎 公式情報源: IR ページSEC EDGARYahoo Finance ADBE

観点詳細
いつ・何を見るか米 6/11 (木) 引け後 = JST 6/12 (金) 早朝に Q2 FY26 決算。非 GAAP EPS ガイド $5.80-5.85、売上 $6.43-6.48B
なぜ重要か「AI が SaaS を駆逐する」恐怖を、生成 AI (Firefly) の収益化で反証できるか。先週の AI ソフト急騰 (IGV 3日 +15%) が実態を伴うかの検証
強気の核純新規 ARR (年間経常収益) が $450M 超に戻るか。Firefly ARR の有料転換 (前 Q で前四半期比 +75%)。$25B 自社株買い
逆風リスクAI が「モート (堀)」でなく「マージン漏れ」になっていないか (AI 提供コストが利益率を圧迫)。金利高で高 PER SaaS が重荷
長期で見るべき指標(1) 純新規 ARR、(2) Firefly の有料転換率、(3) デジタルメディア部門の営業利益率

長期投資家としての見方: ADBE は「生成 AI が既存 SaaS の敵か味方か」という 2026 年最大のテーマの試金石。純新規 ARR が回復し Firefly が利益を伴って成長すれば「AI は SaaS のモートを広げる」、逆に ARR が鈍化すれば「AI は SaaS のマージンを削る」というシナリオが優勢になる。先週フアン発言で急騰したソフトウェアの楽観が、決算で裏付けられるか問われる。


4. 今週の経済カレンダー — それぞれがなぜ重要か

Fed ブラックアウト (6/6-6/18) で語るのは指標と決算だけ。特に米 6/10 は「CPI 朝 → 10年債入札 → ORCL 引け後」と材料が縦に 3 連続する。JST では 6/10 (水) 夜から 6/11 (木) 早朝にかけて山場が集中する。

JST 日付 / 時刻イベント重要度解釈 / 公式情報源
JST 6/9 (火) 翌 02:003年債入札 (リオープン)★★NFP ショック後の最初の需給テスト。US Treasury
JST 6/10 (水) 21:305月 CPI (消費者物価指数)★★★★今週最大の山。YoY +4.0% (4月 +3.8%)・コア +2.7% (6か月ぶり高) 予想。原油・ガソリン主導の上振れ警戒。BLS
JST 6/10 (水) 翌 02:0010年債入札 (リオープン)★★★CPI 直後。CPI 上振れ × 弱い入札なら長期金利が一段高
JST 6/11 (木) 早朝Oracle (ORCL) Q4 FY26 決算★★★米 6/10 引け後。AI クラウド需給の試金石 (§3.1)
JST 6/11 (木) 21:305月 PPI (生産者物価指数)★★★CPI 翌日。4月 +1.4% MoM。コア PCE 換算の手掛かり。BLS
JST 6/11 (木) 翌 02:0030年債入札 (リオープン)★★30年が 5%超に乗った直後。長期需要の本気度を測る
JST 6/12 (金) 早朝Adobe (ADBE) Q2 FY26 決算★★米 6/11 引け後。生成 AI 収益化と純新規 ARR (§3.2)
JST 6/12 (金) 23:00ミシガン大消費者信頼感 (6月速報)★★期待インフレ (1年先 4.8%) の高止まりが続くか

📚 用語: なぜ CPI が FOMC 直前で最重要視されるか CPI (消費者物価指数) は Fed が物価安定を判断する最重要指標の 1 つ。先週の NFP で「労働市場は強い (利下げ不要)」が確認された今、残る利下げの根拠は「インフレが十分下がること」だけ。だから今週の CPI のコアが上振れれば「インフレ再燃 + 据え置き長期化 (or 利上げ)」で金利の一段高・株続落のリスク、逆に減速すれば原油高は「一過性」と解釈され反発の余地。FOMC 直前 (6/10) という timing が、今週最大のボラ要因になる。


5. 今週の決算 — 注目銘柄

US 日付銘柄寄り前/引け後注目 KPI
US 6/10 (水)ORCL (Oracle)AMCRPO ($553B・前年比+325%)・OCI 成長率 (+84%)・AI 設備投資の FCF 圧迫
US 6/11 (木)ADBE (Adobe)AMC純新規 ARR ($450M 超に戻るか)・Firefly の有料転換・$25B 自社株買い

両社とも「AVGO ショック後、AI クラウド/SaaS 需要が『実需』か『期待』か」を試す決算。CPI で金利が動いた直後だけに、好決算でもガイダンス次第で AVGO 型の急落になり得る「失望に厳しい」地合いに留意。


6. 今週のシナリオ — 強気 / 弱気の分岐点

今週の値動きを左右する「もし X なら Y」を整理する。

  • 強気シナリオ: CPI がコア +2.6% 以下に減速 → 「金利ショックは一時的」と巻き戻され、ハイテク反発・10年債 4.4% 割れ。ORCL の OCI が +80%台を維持すれば AI 実需論が復活し、売られすぎた半導体に反発余地。
  • 弱気シナリオ: CPI が YoY +4.1% 超 or コア +2.8% 超 + 弱い 10年/30年入札 → 10年債 4.6% 超・30年 5.1% へ、SOX 続落でリスクオフ第 2 波。AVGO に続き ORCL/ADBE が時間外で売られれば AI ローテーションが加速する。
  • 分岐点 (最有力): CPI がほぼ予想通り (+4.0%) でも高止まりが確認される → FOMC 待ちのレンジ・ローテーション。金利高止まりでバリュー/ディフェンシブ優位、ハイテクは決算ごとの個別物色。最大の不確実性は CPI のコア前月比で、+0.2% に収まるか +0.4% へ跳ねるかが分岐点。Fed ブラックアウトで火消しが無いぶん、上振れ時のリスクオフは増幅されやすい (非対称)。

7. 今週の学び — 長期投資家として覚えておくべきこと

用語 / 概念

  1. ブラックアウト期間 (blackout period) — FOMC 前後に Fed 高官の発言が止まる沈黙期間 (今回 6/6-6/18)。サプライズ時の火消しが無いため、指標一本の重みが増し、ボラが増幅されやすい。
  2. 分子 (決算) より分母 (金利) が支配する局面 — 株価 = 利益 ÷ 割引率 (金利)。決算が強くても織り込み済みなら、株価を動かすのは金利の方向。今週は CPI → 金利 → 高 PER グロースの評価、という因果が支配する。
  3. 失望に厳しい地合い (priced for perfection の裏返し) — FactSet 集計でミス銘柄は -4.9% (5年平均の1.7倍) と過剰に罰される。好決算 (ORCL/ADBE) でもガイダンスの陰りで AVGO 型の急落になり得る。

パターン / 経験則 (1 つ)

  • 「材料が縦に連続する日 (CPI + 入札 + 決算) は、最初の 1 つが後続を支配しやすい」。米 6/10 は CPI 朝 → 10年債入札 → ORCL 引け後と並ぶが、CPI が上振れれば「金利高 → 入札も弱含み → 高 PER の ORCL も警戒」と連鎖し、CPI が減速すれば逆の連鎖になる。最初のドミノ (CPI) を見てから後続を判断するのが、こういう日の鉄則。結果を見る前にポジションを傾けない。

監視指標の閾値表

指標出発点 (6/5)警戒水域含意
VIX21.51> 20 で警戒、> 25 で守備既に警戒水域で今週入り。CPI 前後でさらに上昇余地
米10年債4.544%> 4.80% で株売り加速CPI 上振れ × 弱い入札で 4.6% 超のリスク。30年は 5.02%
5月 CPI (コア前月比)コンセンサス +0.2〜0.3%> +0.4% で利下げ織込さらに後退JST 6/10 (水) 21:30 確認。今週最大の分岐点
USD/JPY160.11> 160 で介入リスク既に突破。米金利急騰 × 円安で介入が本格化

8. データソース・引用

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本記事は情報提供のみを目的としています。投資勧誘や個別銘柄の売買推奨ではありません。記載の数値は取得時点のもので、市場開閉や訂正により変動します。投資判断はご自身の責任で行ってください。本記事の見解は執筆者個人のもので、所属組織の見解を代表するものではありません。

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