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Bull Note米国株 デイリー戦略ノート

STOCK · GOOG

まちまち広い (競争優位は持続的)
GOOGAlphabetコミュニケーション サービス22

GOOG (Alphabet) — 検索という現金製造機の上に、Cloud と Gemini で AI の二本目・三本目の柱を立てられるか

検索広告が売上の半分超を稼ぎ続ける一方、2026 Q1 で Google Cloud が前年比 +63% に再加速し営業利益率は 33% へ。検索も AI Overviews を取り込み +19% と「AI が検索を殺す」論をいったん跳ね返した。最大の論点は米独禁訴訟の救済策リスクと、年間 $180-190B に膨らむ設備投資の回収可否。競争優位は広いが規制と AI 検索代替が同時進行する大型株。

検索という世界最強級のキャッシュマシンを土台に、Cloud と Gemini で AI 時代の二本目・三本目の柱を立てる総合プラットフォーム。Cloud の利益率は AWS に肉薄も追う側。見立て 4 本のうち 2 本は成立、検索の二桁維持と設備投資の回収は『揺らぎ』で検証中。

スナップショット

2026-06-01 時点

株価

$380.57

時価総額

$4.6T

52 週レンジ

$163.33 $404.47

バリュエーション

指標比較補足
予想 PER26.7x5年平均 25.8x (ほぼ同水準)増益期待が前提 (6/1 時点)
実績 PER28.7x5年平均 23.0x (約+25%)5/29 時点
PEG1.50高成長株として妥当圏5/29 時点
PSR (実績)11.0x5年平均 7.3x (約+51%)売上ベースでは明確に割高
配当利回り約0.2%2024年配当開始、年$0.88極低位

競合との比較クラウドの成長率・営業利益率 / 広告の成長率 (各社 直近四半期)

企業自社との対比補足
AMZNAmazon (AWS)クラウド成長率/利益率: +28% / 37.7%利益率は GOOG 32.9% を上回る2026 Q1。15四半期ぶりの高成長に再加速
MSFTMicrosoft (Azure)クラウド成長率/利益率: +40% / 非開示Microsoft Cloud 粗利率は 66% に低下FY26 Q3。Azure 単体の営業利益率は非開示
GOOGGoogle Cloud (自社)クラウド成長率/利益率: +63% / 32.9%成長率は最速だが TPU ハード計上込み・利益率は AWS 未達2026 Q1。利益率は AWS に肉薄も追う側
METAMeta (広告)広告成長率: +33%GOOG 検索 +19% を上回る2026 Q1。広告売上 $55.0B
AMZNAmazon (広告)広告成長率: +24%GOOG 検索 +19% を上回る2026 Q1。広告売上 $17.2B

ファンダメンタルズ

売上成長率 (YoY)

+22%

+10pt

為替調整後 +19%、11四半期連続二桁成長

営業利益率

36.1%

+2pt

営業利益 $39.7B (+30%)

希薄化後 EPS (表面)

$5.11

+82%

株式評価益 $36.9B (うち未実現 $36.3B) が一過性。実力は概算 $2.1 前後 [要確認]

Google Cloud 売上

$20.0B

+63%

営業利益率 17.8%→32.9%、受注残 $462B (全社 $467.6B)

フリーキャッシュフロー (直近12か月)

$64.4B

当四半期 $10.1B

設備投資 $35.7B (倍増) でフリーキャッシュフロー率 21%→9.2%

設備投資

$35.7B/四半期

+108%

2026 通期見通し $180-190B、2025 は $91B

現金・市場性証券

$126.8B

長期負債 $46.5B→$77.5B

Q1 に社債 $31.1B 発行

強気材料 / 弱気材料

強気材料

  • Cloud の再加速と黒字化

    +63% 成長・営業利益率 33%・受注残 $460B 超。AI インフラ需要の最大の受益者の一角。

  • 検索が AI で死なずむしろ伸びた

    AI Overviews / AI Mode 導入下でも検索広告 +19%、クエリは過去最高。弱気論への最初の反論。

  • Gemini の規模拡大

    API 経由で毎分 160億トークン処理 (QoQ +60%)、Enterprise 有料 MAU が QoQ +40%、有料サブスク 3.5億。

  • フルスタック内製 (TPU)

    自社設計 AI チップからモデル・アプリまで内製し、競合より単位コストで優位を取り得る。

  • Mag 7 内の相対的割安感

    一部ピアより倍率が低く、Cloud / Gemini の収益化が進めばギャップ縮小の余地。

弱気材料

  • 設備投資の重さ

    2026 年の設備投資 $180-190B (2025 の倍超)。減価償却の加速でフリーキャッシュフロー率が 21%→9.2% へ低下、投じた資本が見合わなければ株価の評価倍率が切り下がる。

  • 独禁救済の不確実性

    米 DOJ と 35州が反対控訴で Chrome 分離を含む厳しい是正策を要求。控訴審の判断は 2026後半-2027。

  • AI 検索の構造的代替

    ユーザーが AI 回答で完結しクリックしなければ、クエリ当たり広告収入が長期で減る恐れ (OpenAI / Perplexity)。

  • 規制の継続コスト

    EU が DMA (デジタル市場法) で過去最大級の制裁金 (高位の3桁億ユーロ) を夏季休会前に発表見込み。自社サービスの優遇が標的。

  • 広告の景気感応度

    売上 7割の広告は景気後退で真っ先に削られる循環事業。

投資の見立てと「外れる条件」

各見立ては「何を予想しているか」だけでなく「何が起きたら外れか」をセットで明示する。下の「外れる条件」が満たされたら、その見立ては見直しが必要になる。

Google Cloud は高成長と高利益率を両立し続ける

成立
反証条件
営業利益率が 2 四半期連続で 28% 割れ、または成長率が +35% 未満に減速 (TPU ハード計上の一巡後)
確認方法
2026 Q2・Q3 決算の Cloud セグメント売上・営業利益

検索は AI に殺されず二桁成長を保つ

揺らぎ
反証条件
検索広告の成長率が 2 四半期連続で +10% 未満、または経営陣が AI Overviews のマネタイズ率劣化を認める
確認方法
2026 Q2・Q3 決算の検索その他売上

巨額の設備投資は受注残とクラウド需要で回収できる

揺らぎ
反証条件
通期フリーキャッシュフローが前年割れかつ売上比 15% 割れが継続、または Cloud 受注残が 2 四半期連続で減少
確認方法
2026 Q2-Q4 決算・2027 設備投資の具体額開示

独禁訴訟の是正策は行動是正に留まり事業の根幹を毀損しない

成立
反証条件
控訴審が Chrome / Android の構造分離を命じる、または Apple とのデフォルト契約が完全禁止される
確認方法
2026 後半-2027 の控訴審判断

リスク

リスク要因重大度補足
米独禁救済 (Chrome分離/検索デフォルト/AdX)DOJ・35州が控訴し構造的分離を要求。Apple デフォルト契約や検索データ共有義務に波及
AI による検索代替ChatGPT / Perplexity 等。広告のクリック前提が崩れる長期テールリスク
設備投資の回収失敗$180B 超/年。減価償却加速でフリーキャッシュフロー圧迫、投資利回りが見合わなければ評価倍率が切り下がる
EU / DMA (デジタル市場法) 規制過去最大級の制裁金が間近。自社サービス優遇の是正コスト
広告の景気感応度売上 7割の広告は循環的。マクロ悪化で減速

今後の注目イベント

イベント時期注目度補足
2026 Q2 決算2026年7月末Cloud 成長持続と、設備投資とフリーキャッシュフローの綱引きを点検
独禁訴訟の是正策の確定2026後半-2027控訴審判断。Chrome 維持なら安心材料、分離示唆なら下押し
EU DMA (デジタル市場法) 制裁金の発表2026年夏 (8月休会前)金額と是正措置の重さ次第
Gemini の収益化進展継続Enterprise 有料 MAU・トークン処理量・広告統合
Waymo の都市拡大継続週50万回突破、年内100万回目標。Other Bets の評価転換点
自社株買い再開・配当継続Q1 は自社株買い $0。設備投資を優先するか株主還元に回すかの配分

公式情報源

投資の見立て

Alphabet は「検索広告という世界最大級のキャッシュマシン」を土台に、Google Cloud と Gemini で AI 時代の二本目・三本目の柱を立てつつある総合プラットフォームだ。2026 Q1 (1-3月期、2026年4月29日発表) で Cloud が前年比 +63% に再加速し、検索も AI Overviews / AI Mode を取り込んで +19% と、「AI が検索を殺す」という弱気論をいったん跳ね返した。

ただし見立てには明確な代償がある。最大の論点は、米司法省 (DOJ) の独占訴訟の是正策リスクと、年間 $180-190B に膨らむ設備投資がフリーキャッシュフロー (本業で稼いだ現金から設備投資を引いた手残り) を圧迫しても株主リターンを正当化できるか、の 2 点だ。競争優位 (堀) は広いと評価できる一方、規制と AI 検索代替が同時進行する——総合判定は「強弱まちまち」。強気にも弱気にも振れる、最も興味深い大型株の 1 つである。

📚 用語: TAC (Traffic Acquisition Cost、トラフィック獲得コスト) — 検索広告を見せる「入り口」を確保するために Google が外部に払う費用。代表例が Apple への支払いで、iPhone の Safari で検索の初期設定枠を取るためのもの。広告売上に対する TAC 比率が上がると、稼いだ広告料の取り分が目減りする。独禁訴訟でこの「デフォルト枠」が論点になっている。

会社概要 — 何で稼いでいるか

2026 Q1 の連結売上は $109.9B (前年比 +22%、為替調整後 +19%) で、11 四半期連続の二桁成長。セグメント別の内訳は次の通り。

セグメント2026 Q1 売上構成比YoY営業利益
Google Services 合計$89.6B81.5%+16%$40.6B
└ 検索その他 (Search & other)$60.4B55.0%+19%
└ YouTube 広告$9.9B9.0%+11%
└ Google Network$7.0B6.3%−4%
└ サブスク・端末等$12.4B11.3%+19%
Google Cloud (クラウド)$20.0B18.2%+63%$6.6B
Other Bets (Waymo 等)$0.41B0.4%−9%−$2.1B

検索広告がなお売上の半分超 (55%)。広告合計 (検索 + YouTube + ネットワーク) は $77.3B で全体の約 7 割を占める「土台」だ。一方 Cloud は構成比 18% まで上昇し、営業利益率が前年同期の 17.8% から 32.9% へ急改善、受注残 (契約済みで未計上の将来売上) は前四半期からほぼ倍増し $460B 超に達した。有料サブスク数は 3.5億 (YouTube Premium / Google One 主導)。Other Bets は赤字が続くが、Waymo は週 50万回の無人走行を突破した。

競争優位 (堀) の分析 — どこにあるか (評価: 広い)

Alphabet の堀は多層で広い。

  1. 検索の規模の経済 + データのネットワーク効果: 世界検索シェアは約 9割。クエリが増える→ランキング精度が上がる→さらにユーザーが集まる、という自己強化ループが働く。
  2. 流通の押さえ: Android (OS) と Chrome (ブラウザ) を自社保有し、検索のデフォルト枠を握る。さらに Apple へ年約 $200億の TAC を払い、iOS の既定検索も確保している。
  3. 広告ネットワークのスイッチングコスト: 広告主・パブリッシャー双方が囲い込まれ、乗り換えにくい。
  4. 技術資産 (TPU): 自社設計の AI チップで Cloud / Gemini の単位コストを下げ、チップ→モデル→アプリのフルスタックを内製している。

堀の「最も脆い縁」は 2 番目の「流通の押さえ」だ。独禁訴訟の是正策でデフォルト契約や検索データ共有が削られれば、ここが直接揺らぐ。

競合との比較 — 「広い」を絶対評価で終わらせない

「検索シェア 9 割だから堀が広い」で止めると、堀が広がっているのか縮んでいるのかを見落とす。競争優位を象徴する 2 つの戦線 (クラウドの利益率・広告の成長率) を競合と横並びにすると、評価はより立体的になる。

クラウドでは、Google Cloud の営業利益率 32.9% は AWS の 37.7% にはまだ届いていない。成長率は +63% と最速に見えるが、これは自社設計 AI チップ (TPU) のハードウェア契約を Cloud 売上に新計上した効果も含むため、純粋な需要だけの伸びではない。Azure は +40% (定数通貨 +39%) で高位安定だが、Microsoft Cloud 全体の粗利率は AI インフラ投資で 69% → 66% へ低下した。つまり Google Cloud は「利益率で AWS に肉薄しつつあるが、まだ追う側」というのが相対で見た実像だ。

広告では、検索 +19%・YouTube +11% に対し、Meta が +33%、Amazon の広告が +24% と、成長率では明確に劣後している。規模 ($60B/四半期) では検索が断トツでも、伸びでは追われる立場だ。これを「成熟ゆえの鈍化」と読むか「AI で検索のパイが揺らぐ予兆」と読むかは、後述の見立て (検索は AI に殺されないか) の検証対象になる。

📚 用語: ネットワーク効果と規模の経済 — ネットワーク効果は、利用者が増えるほどサービス価値が上がる現象。検索は「クエリが集まる→精度が上がる→さらに使われる」ループで後発が追いつきにくい。これに巨大な固定費 (データセンター) を膨大なクエリで割る規模の経済が重なり、Google の広い競争優位 (堀) の核を成す。

ファンダメンタルズ — 数字で見る健全性

2026 Q1 の営業利益は $39.7B (+30%)、営業利益率は 36.1% (前年 34% から +2pt)。純利益は $62.6B (+81%)、希薄化後 EPS は $5.11 (+82%) と派手だが、ここには注意が要る。10-Q の脚注を開くと、「その他の収益・費用 (OI&E)」が $37.7B に膨らんでおり、その大半 ($36.9B、うち未実現が $36.3B・実現が $0.5B) が保有する非上場株の評価益だ。これは本業と無関係な会計上の見栄えで、これを除いた実力ベースの純利益は概算 $25.7B、実力 EPS は概算 $2.1 前後と見るべき [要確認]。表面 EPS $5.11 をそのまま PER に当てると割安に錯覚するため、実力値で倍率を測る必要がある。実力の伸びは営業段階の +30% に表れている。

クラウドの利益率は一過性ではなく構造的な改善だ。Google Cloud の営業利益率は 2025 Q3 の 23.7% → 2025 Q4 の 30.1% → 2026 Q1 の 32.9% と 3 四半期連続で切り上がっており、固定費 (データセンター) を膨らむ売上で割る規模の経済が効き始めたことを示す。受注残 (RPO) は全社で $467.6B、うちクラウドが $462.3B で、会社は「今後 24 か月で 50% 超を売上計上する」と説明している。これが巨額の設備投資を正当化する最大の根拠だ。

キャッシュ面では、直近12か月のフリーキャッシュフロー (FCF、本業で稼いだ現金から設備投資を引いた手残り) が $64.4B。ただし当四半期のフリーキャッシュフローは $10.1B で、前年同期の $19B 弱から減少した。主因は設備投資の倍増 ($17.2B→$35.7B) で、売上に対するフリーキャッシュフローの比率は 21% から 9.2% へ低下している。現金・市場性証券は $126.8B と潤沢だが、長期負債は Q1 の社債 $31.1B 発行で $46.5B から $77.5B に増えた。なお当四半期の自社株買いは $0 (前年は $15.1B)、配当は四半期 $0.22 へ +5%。2025 通期は売上 $402.8B (+15%)、純利益 $132.2B、設備投資 $91B だった。

バリュエーション — 高いのか安いのか

利益ベースと売上ベースで割高感の評価が食い違うのが GOOG の特徴だ。予想 PER 26.7x は 5年平均 25.8x とほぼ同水準、PEG も 1.50 と高成長株として妥当圏で、利益から見れば割高感は限定的。ところが PSR (株価売上倍率) 11.0x は 5年平均 7.3x を約 51% 上回り、売上ベースでは明確に割高 (プレミアム) が乗っている。

この食い違いは、直近1年で株価が倍増した分が「利益の伸び」より「期待 (倍率) の拡大」に支えられていることを示す。平均回帰の余地は、利益倍率ではなく売上倍率に表れていると読める。なお 5年平均 PER は出典 (macrotrends / fullratio 等) により実績/予想の定義差で 23-26x とばらつくため [要確認]

📚 用語: 予想 PER vs 実績 PER と PSR — PER は株価÷1株利益。「実績 (過去12か月)」より「予想 (来期)」が低ければ市場は増益を織り込んでいる。GOOG は実績 28.7x・予想 26.7x で増益期待が前提。PSR は株価÷売上で赤字でも測れる売上倍率。GOOG の 11x は 5年平均 7.3x を大きく上回り、利益より売上ベースで割高が目立つ。

強気材料 / 弱気材料

強気派の見立ての核は Cloud の再加速と黒字化 だ。+63% 成長で営業利益率 33%、受注残 $460B 超は、AI インフラ需要の主要な受益者であることを数字で示している。加えて 検索が AI で死なずむしろ伸びた ことが、最大の弱気論への最初の反論となった。

弱気派の見立ての核は 設備投資の重さ だ。2026 年の設備投資の見通し $180-190B は 2025年の倍超で、減価償却の加速が売上に対するフリーキャッシュフローの比率を 21%→9.2% へ削っている。投じた資本が見合うリターンを生まなければ、株価の評価倍率の切り下げは避けられない。次いで 独禁訴訟の是正策の不確実性——DOJ と 35州が控訴で Chrome 分離を含む構造的な是正策を求めており、判断は 2026後半-2027 にずれ込む。

投資の見立てと「外れる条件」

両論併記はあくまで材料の整理だ。ここからは立場を取り、それぞれの見立てが「何が起きたら間違いか」を数値で示す。読んだ人が「自分の見立てが崩れる瞬間」を数字で持ち帰れることがこのセクションの目的である (各見立ては frontmatter から「成立 / 揺らぎ / 外れ」のステータス付きでカード表示される)。

  1. 「Google Cloud は高成長と高利益率を両立し続ける」(現状: 成立) — 利益率が 3 四半期連続で切り上がり (23.7%→30.1%→32.9%)、受注残 $462B が先行きを支える。外れる条件は「営業利益率が 2 四半期連続で 28% 割れ、または成長率が +35% 未満に減速」。TPU ハードウェア計上の一巡で +40% 台に正常化するのは想定内だが、それを下回るか利益率が崩れたら見立ては見直し。

  2. 「検索は AI に殺されず二桁成長を保つ」(現状: 揺らぎ) — 検索広告 +19%・クエリ数は過去最高で、いまのところ AI Overviews はマネタイズを毀損していない。一方で情報探索シェアは低下傾向にあり、広告成長は Meta に劣後する。外れる条件は「検索広告の成長率が 2 四半期連続で +10% 未満、または経営陣が AI Overviews のマネタイズ率劣化を認める」。最も評価が割れる戦線だ。

  3. 「巨額の設備投資は受注残とクラウド需要で回収できる」(現状: 揺らぎ) — 会社は需要超過と受注残 $462B を回収根拠に挙げる。だが設備投資は売上比 32.5%、四半期フリーキャッシュフローは $10.1B まで圧縮済みで、2027 はさらに増える。外れる条件は「通期フリーキャッシュフローが前年割れかつ売上比 15% 割れが継続、または Cloud 受注残が 2 四半期連続で減少」。受注残の反転は需要超過ストーリーが崩れる最初のサイン。

  4. 「独禁訴訟の是正策は行動是正に留まり事業の根幹を毀損しない」(現状: 成立) — 2025年9月の一審は Chrome 分離を退け、行動是正 (会社の振る舞いの修正) に限定した。ただし DOJ・35州が控訴で構造是正を再要求している。外れる条件は「控訴審が Chrome / Android の構造分離を命じる、または Apple とのデフォルト契約が完全禁止される」。実現すれば株価 15-25% 下落の試算もある尾部リスクだが、確率は行動是正で収まる側に傾いている。

リスク

最大の構造リスクは米独禁訴訟の是正策だ。DOJ・35州が控訴し、Apple デフォルト契約や検索データ共有義務、さらには Chrome 分離まで踏み込む是正策を要求している (深刻度: 高)。同格で AI による検索代替——ChatGPT / Perplexity 等で AI 回答が完結すれば、広告のクリック前提が長期で崩れる尾部リスク (めったに起きないが起きれば致命的なリスク) がある (高)。以下、設備投資の回収失敗・EU / DMA 規制・広告の景気感応度が中位で続く。

今後の注目イベント — 株価を動かす材料

直近の点検ポイントは 2026 Q2 決算 (2026年7月末) で、Cloud 成長の持続と、設備投資とフリーキャッシュフローの綱引きが焦点。中期では 独禁訴訟の是正策の確定 (2026後半-2027) が最大の分岐で、Chrome 維持なら安心材料、分離示唆なら下押しとなる。EU DMA 制裁金 (2026年夏)、Gemini の収益化、Waymo の都市拡大 (週50万回突破、年内100万回目標) が中位で続く。

立場別の視点

立場確認すべき条件 (売買命令ではない)
未保有表面 EPS $5.11 は株式評価益で水増しされており、実力 EPS で見ると割安ではない。確認すべきは上の 4 つの見立てのうち「揺らぎ」の 2 つ——設備投資の回収 (四半期フリーキャッシュフローの反転) と検索の二桁成長維持。2026 Q2 でこの 2 つに改善が見えてからでも遅くない。
含み益「成立」の 2 つの見立て (Cloud の高成長高利益率・独禁が行動是正止まり) が外れる条件 (Cloud 利益率 28% 割れ・控訴審の構造是正) に触れていないかだけを点検すればよい。触れていなければ、設備投資サイクルの谷でフリーキャッシュフローが圧縮されているのは見立ての崩壊ではない。
含み損直近高値圏なので想定しにくいが、規制ショックで下落して保有していれば、論点は「堀の最も脆い縁 (流通の押さえ) が削られる規模」。見立て 4 の外れる条件 (Chrome 分離) が現実化するなら長期の見立ての再評価が必要。

長期で確認すべき指標 5 つ

上の 4 つの見立ての外れる条件と一対一で対応させると、何を見れば見立ての生死が分かるかが一貫する。

  1. Google Cloud の営業利益率と成長率 (見立て 1) — 利益率 28% 割れ・成長率 +35% 未満が警報。現状 32.9% / +63%
  2. 検索その他 (Search & other) の前年比成長率 (見立て 2) — 2 四半期連続の +10% 未満で見立ては外れ。現状 +19%
  3. Cloud 受注残 (RPO) の増減 (見立て 3) — $462B が 2 四半期連続で減少すれば需要超過説が崩れる
  4. 設備投資 / 売上 比率とフリーキャッシュフロー (見立て 3) — Q1 は約 32% ($35.7B / $109.9B) の高水準。通期フリーキャッシュフローの前年割れが警報
  5. 独禁訴訟の是正策の確定内容 (見立て 4) — 行動是正 (会社の振る舞いの修正) 止まりか、Chrome 分離等の構造是正 (会社の分割・売却) まで踏み込むか

出典

  1. Alphabet First Quarter 2026 Results (公式リリース PDF) — https://s206.q4cdn.com/479360582/files/doc_financials/2026/q1/2026q1-alphabet-earnings-release.pdf
  2. Alphabet 8-K Exhibit 99.1 Q1 2026 (SEC) — https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/0001652044/000165204426000043/googexhibit991q12026.htm
  3. Alphabet Form 10-Q 2026 Q1 (SEC) — https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/0001652044/000165204426000048/goog-20260331.htm
  4. Alphabet Form 10-K FY2025 (SEC) — https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/0001652044/000165204426000018/goog-20251231.htm
  5. CNBC「Alphabet ups 2026 capex to as much as $190 billion」— https://www.cnbc.com/2026/04/29/alphabet-googl-q1-2026-earnings.html
  6. Investing.com「Alphabet Q1 2026 slides: Cloud surges 63%」— https://www.investing.com/news/company-news/alphabet-q1-2026-slides-cloud-surges-63-ai-investments-accelerate-93CH-4654872
  7. Macrotrends — Alphabet PE Ratio — https://www.macrotrends.net/stocks/charts/GOOGL/alphabet/pe-ratio
  8. Macrotrends — Alphabet Price to Sales Ratiohttps://www.macrotrends.net/stocks/charts/GOOGL/alphabet/price-sales
  9. fullratio — GOOGL PE ratio (実績/5年平均) — https://fullratio.com/stocks/nasdaq-googl/pe-ratio
  10. gurufocus — GOOG Forward PE Ratio — https://www.gurufocus.com/term/forward-pe-ratio/GOOG
  11. PYMNTS「Justice Department to Appeal Ruling in Google Search Antitrust Case」— https://www.pymnts.com/google/2026/justice-department-to-appeal-ruling-in-google-search-antitrust-case/
  12. ppc.land「EU set to hit Google with record DMA fine before summer recess」— https://ppc.land/eu-set-to-hit-google-with-record-dma-fine-before-summer-recess/
  13. ainvest「Alphabet's 2026 Growth Catalysts: AI, Cloud, and Waymo」— https://www.ainvest.com/news/alphabet-2026-growth-catalysts-ai-cloud-waymo-5-trillion-engine-2601/
  14. Investing.com「Amazon Q1 2026 slides: AWS surges 28%, record margins」(AWS 成長率・営業利益率) — https://www.investing.com/news/company-news/amazon-q1-2026-slides-aws-surges-28-record-margins-offset-by-capex-93CH-4647447
  15. Microsoft FY26 Q3 8-K (SEC、Azure +40%) — https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/0000789019/000119312526191457/msft-ex99_1.htm
  16. PPC Land「Meta Q1 2026 revenue as AI tools double advertiser adoption」(Meta 広告 +33%) — https://ppc.land/meta-q1-2026-56-3b-revenue-as-ai-tools-double-advertiser-adoption/
  17. Motley Fool「Alphabet (GOOGL) Q1 2026 Earnings Call Transcript」(Pichai / Ashkenazi 発言) — https://www.fool.com/earnings/call-transcripts/2026/04/29/alphabet-googl-q1-2026-earnings-call-transcript/
  18. Dataconomy「DOJ and US states cross-appeal Google ruling to force Chrome sale」(控訴審スケジュール) — https://dataconomy.com/2026/02/04/doj-and-us-states-cross-appeal-google-ruling-to-force-chrome-sale/
  19. Stackmatix「AI Search Market Share 2026」(情報探索シェア・AI 検索シェア) — https://www.stackmatix.com/blog/ai-search-market-share-2026

本記事は情報提供のみを目的としています。投資勧誘や個別銘柄の売買推奨ではありません。最終的な投資判断はご自身の責任で行ってください。記載の数値は 2026年6月1日時点の公開情報に基づき、一部はミラーソース・推計を含みます。

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