DAILY · EU · 2026 / W23
2026/06/04 — 欧州株: ブロードコム ショックで STOXX600 -0.7%、だが ASML は逆行高・LVMH/Airbus/医薬がディフェンシブ逃避
米ブロードコムの AI 半導体ショックで欧州も寄りから軟調、STOXX 600 は 621.19 (-0.7%)・DAX -1.3%。だが下げは日韓より浅く、内実は『選別』。半導体でも装置の ASML は +0.86% と逆行高 (日本の東エレクと同じロジック)、LVMH +2.88%・Airbus +4.55%・医薬 (Novo/Novartis) がディフェンシブ/個別材料で逆行。ECB は 6/11 会合で +25bp 利上げ確率 97% と、利上げ局面が株の上値を抑える。
TL;DR
2026/06/04 の欧州市場は、米ブロードコムの AI 半導体ガイダンス未達ショック (米 6/3 引け後 -13.78%) を寄りから織り込み軟調。STOXX 600 は 621.19 (-0.7%)、DAX -1.3%、CAC 40 ・FTSE 100 も小幅安、ユーロ STOXX 50 は 6,053.57 (-0.9%)。だが下げ幅は日経 -1.36%・KOSPI -1.84% より浅く、内実は『市場全体の下げ』ではなく『AI 半導体の巻き戻し + ディフェンシブへの逃避』という選別だった。象徴は半導体でも製造装置の ASML が +0.86% と逆行高 (日本の東京エレクトロンと同じ『装置は別ロジック』)、対照的に SAP などソフトは軟調。さらに LVMH +2.88%・Airbus +4.55%・医薬 (Novo Nordisk +4.17%・Novartis +2.04%) が個別材料/ディフェンシブ需要で逆行高。背景に中東リスク・原油高・プライベート市場懸念。ECB は 6/11 会合で +25bp 利上げ確率 97% と、金融引き締め局面が割高グロースの重しとなる。
マーケット スナップショット
STOXX 600 (6/4 終値)
621.19
-4.35
DAX 独 (6/4 終値)
24,473.00
-322.94
ユーロ STOXX 50 (6/4 終値)
6,053.57
-54.99
FTSE 100 英 (6/4 終値)
10,291.00
-41.33
ASML 蘭 (6/4 終値, EUR)
1,498.00
+12.80
LVMH 仏 (6/4 終値, EUR)
474.10
+13.25
Airbus 仏 (6/4 終値, EUR)
177.00
+7.70
EUR/USD (6/4)
1.16
+0.00
主要シグナル
空売り比率 / AD ライン / Put/Call / VIX / 機関フロー など
逆行高の象徴
ASML +0.86%
半導体でも装置は逆行高 (東エレクと同じロジック)
ディフェンシブ逃避
LVMH +2.88% / 医薬高
AI 半導体から内需・医薬・高級品へ資金移動
今日の重し
AVGO 時間外 -13.78%
AI 半導体ガイダンス未達。テック株が軟調
市場テーマ
半導体の選別 + 逃避
下げは市場全体でなく AI に集中
国内の山場
ECB 6/11 (木)
+25bp 利上げ確率 97%。2.25% へ
相対的な浅さ
STOXX -0.7%
日経 -1.36%・KOSPI -1.84% より浅い
為替
EUR/USD 1.16
ユーロは安定。利上げ観測が支え
今週の山場
JST 6/5 (金) 21:30
米雇用統計 (NFP)
0. 今朝のヘッドライン
- 🏆 主役: 半導体でも製造装置の ASML が +0.86% と逆行高。AI ファブレス/ASIC への懸念が直撃する一方、装置メーカーは設備投資サイクルと別ロジックで動く ── 日本の東京エレクトロンと完全に同じ構図。
- 🌊 隠れたテーマ: AI 半導体からディフェンシブ/個別材料への逃避。LVMH +2.88%・Airbus +4.55%・医薬 (Novo Nordisk +4.17%・Novartis +2.04%) が逆行高。STOXX 600 -0.7% は「市場全体の下げ」ではなく「AI への集中砲火 + その他への逃避」。
- ⚠️ 警戒: ECB が 6/11 (木) 会合で +25bp 利上げ確率 97% (政策金利 2.25% へ)。金融引き締め局面は割高グロースの上値を抑える。
- 📅 今週の山場: 米雇用統計 (NFP) が JST 6/5 (金) 21:30。
1. 前日 (EU 6/4 (木)) の振り返り — 構造変化のサイン
6/4 の欧州市場で観測された「構造変化のサイン」を 2 つ記録する。
-
「半導体の選別」が欧州でも鮮明 ── ASML の逆行高。ブロードコム ショックは AI チップを設計するファブレス/ASIC を直撃したが、半導体製造装置の ASML は +0.86% と逆行高。これは日本の東京エレクトロン (+4.53%)・アドバンテスト (+1.84%) と完全に同じ現象で、「AI 投資が減速するかも」という需要懸念は装置メーカーには直接効かず、むしろ規制・設備投資サイクルという別の力学が働く ことを示す。世界の半導体株が「ひとくくり」から「層別の選別」へ移行している証拠が、欧州でも出た。
-
下げが「市場全体」でなく「AI 半導体」に集中し、資金がディフェンシブへ逃避。STOXX 600 -0.7% という指数の数字以上に、内実は二極化していた。LVMH (高級品) +2.88%、Airbus (航空機・防衛) +4.55%、医薬 (Novo Nordisk +4.17%・Novartis +2.04%) が逆行高で、AI への過熱が一服する局面で、欧州の伝統的な「質の高いディフェンシブ/個別ストーリー銘柄」に資金が戻った。欧州は元々 AI 半導体の比重が日韓より小さく、こうした逃避先が豊富なことが下げを浅くした。
📚 用語: ディフェンシブ株 (Defensive Stocks) 景気や相場局面に業績が左右されにくい銘柄群。医薬・生活必需品・公益などが典型で、相場が荒れると相対的に買われる「避難先」になる。6/4 の欧州では AI 半導体の巻き戻しに対し、医薬 (Novo/Novartis) や高級品 (LVMH) といったブランド力・参入障壁の高い銘柄に資金が逃避した。グロース一辺倒の市場 (韓国) にはこの逃避先が乏しく、下げが深くなりやすい。
数字 (簡潔に)
| 指数 / 銘柄 | 6/4 終値 | 騰落 | コメント |
|---|---|---|---|
| STOXX 600 | 621.19 | -0.7% | 汎欧州。下げは日韓より浅い |
| DAX (独) | 約 24,470 | -1.3% | テック/輸出比重で欧州内では下げ大きい |
| ユーロ STOXX 50 | 6,053.57 | -0.9% | 大型株指数 |
| FTSE 100 (英) | 約 10,291 | -0.4% | 資源・金融比重で最も浅い |
| ASML (蘭) | 1,498 EUR | +0.86% | 半導体製造装置。逆行高 (東エレクと同じ) |
| LVMH (仏) | 474.1 EUR | +2.88% | 高級品。ディフェンシブ逃避の象徴 |
| Airbus (仏) | 177.0 EUR | +4.55% | 航空機・防衛。個別材料で逆行高 |
| Novo Nordisk | 43.75 (ADR) | +4.17% | 医薬。ディフェンシブ需要 |
注: STOXX 600・DAX 等の指数終値・騰落は英語メディア (Saxo / RTTNews 等) で確認した確報値 (yfinance は 6/4 指数が欠損)。個別銘柄の終値・騰落 (6/4 vs 6/3) は yfinance (.AS / .PA 等) で取得。DAX / FTSE の水準は概算。
2. なぜ欧州の下げは浅かったか — 3 つの理由
① AI 半導体エクスポージャーが日韓より小さい
ブロードコム ショックの本質は「AI 半導体への過熱した期待の巻き戻し」。欧州の主要指数は:
- 半導体は ASML (装置) ・ASM ・BE Semi 程度で、AI ファブレス/ASIC の直接銘柄が乏しい
- 代わりに医薬 (Novo/Novartis/Roche/AstraZeneca)・高級品 (LVMH/Hermès)・金融・産業 (Siemens/Airbus) の比重が高い
つまり AI 半導体ショックの「被弾面積」が小さく、かつ逃避先が豊富。これが日経 -1.36%・KOSPI -1.84% に対し STOXX -0.7% という浅さの主因。
② ASML の逆行高 ── 装置は別ロジック
ASML は EUV 露光装置で独占的地位を持つ製造装置メーカー。AVGO ショックが「AI チップ需要の鈍化懸念」だったのに対し、装置メーカーは:
- 半導体メーカーの設備投資サイクル (数年単位) に連動
- 対中規制の動向 (日蘭の適用除外観測など) が固有材料
として動くため、需要サイドの一時的な懸念から相対的に隔離されている。日本の東京エレクトロンと欧州の ASML が同じ日に逆行高だったのは偶然ではなく、「半導体サプライチェーンのどの層にいるか」で値動きが分かれる 構造の表れ。
③ ECB 利上げ局面 ── グロースの重し、しかしユーロの支え
ECB は 6/11 (木) 会合で +25bp 利上げ (政策金利 2.25% へ) の確率が 97% と、ほぼ織り込み済み。年内さらに 1 回の利上げも織り込まれている。利上げは:
- 割高なグロース/テック株には逆風 (将来利益の割引率上昇)
- ユーロ (EUR/USD 1.16) を支える → 輸出企業には逆風だが通貨は安定
AI 半導体・ソフトといった高 PER グロースに重し、伝統的バリュー/ディフェンシブに追い風、という金利上昇局面のローテーションが、AVGO ショックと同方向に働いた。
📚 用語: ECB 理事会 (ECB Governing Council) 欧州中央銀行の金融政策決定会合。ユーロ圏 20 か国の政策金利を決める。2026 年 6 月は中東情勢によるインフレ・原油高を背景に +25bp 利上げが市場で 97% 織り込まれている。利上げ局面では割高なグロース株が売られ、銀行・バリュー・ディフェンシブが相対的に買われやすい (日銀・FRB と共通の構図)。
3. 日韓中欧の相対比較 — 同じショック、違う傷の深さ
| 市場 | 6/4 指数 | 特徴 | 半導体エクスポージャー |
|---|---|---|---|
| 🇰🇷 韓国 (KOSPI) | -1.84% (翌 6/5 -6% 超) | 最も脆い。半導体 2 強集中 | 極端に高い |
| 🇯🇵 日本 (日経平均) | -1.36% | SBG 1 銘柄が下げの主因 | 高い (装置は逆行高) |
| 🇭🇰 香港 (ハンセン) | -1.1% | テック比重で本土より下げ大 | 中程度 |
| 🇪🇺 欧州 (STOXX 600) | -0.7% | ディフェンシブ逃避 + ASML 逆行 | 中程度 (ASML 集中) |
| 🇨🇳 上海総合 | -0.7% | 内需・政策が支え | 低い |
欧州と中国本土が同じ -0.7% で最も浅い。ただし理由は対照的 ── 中国は「AI 半導体への被弾面積が小さい」受動的な浅さ、欧州は「医薬・高級品・装置という逃避先が豊富」な能動的な浅さ。欧州は ASML 逆行高に象徴される「選別の成熟度」が、下げを質の高いものにした。
4. マクロ / 為替
- EUR/USD 1.16 とユーロは安定。ECB 利上げ観測が下支え。株安局面でも通貨が崩れない (ウォン安の韓国との対照)。
- 中東情勢 (イラン・湾岸) の緊張で原油高。エネルギー輸入国の欧州にはインフレ・交易条件の悪化要因で、ECB の利上げ判断を後押しする側面も。
- プライベート市場 (未公開株/プライベート クレジット) のストレス懸念が、米欧の金融セクター心理に重し。
5. 経済指標カレンダー (この週の前後)
| 日付 (JST/CET) | 国 | 指標 / イベント | 注目度 | メモ |
|---|---|---|---|---|
| 6/3 (水) | 🇺🇸 | ISM 非製造業 (サービス業) 景況指数 | ★★ | 雇用統計の地ならし |
| 6/5 (金) 21:30 | 🇺🇸 | 米雇用統計 (NFP) | ★★★ | 今週最大。欧州市場の翌週フローに影響 |
| 6/上旬 | 🇪🇺 | ユーロ圏 小売売上高 / PMI 改定 | ★★ | 内需の体温 |
| 6/11 (木) | 🇪🇺 | ECB 理事会 | ★★★ | +25bp 利上げ確率 97% (2.25% へ)。域内最大の山場 |
| 6/中旬 | 🇬🇧 | 英 雇用・CPI | ★★ | BOE の利下げ/据え置き判断材料 |
📚 用語: 米雇用統計 (NFP, Non-Farm Payrolls) 米労働省が毎月第 1 金曜に発表する非農業部門雇用者数。FRB の金融政策を最も左右し、米金利・ドルを通じて欧州市場にも波及する。雇用が強すぎると「米利下げ後ずれ → 米金利高 → グロース安」となり、欧州の高 PER テック株にも逆風が及ぶ。
6. 個人投資家向けの読み筋 (操作命令ではない)
今の局面 (AI バブル巻き戻し + ECB 利上げ + 中東リスク) で意識したい原則:
- STOXX -0.7% を「欧州は無傷」と読まない。AI 半導体への被弾面積が小さかっただけで、テック/グロースは日韓と同じく売られた。指数の浅さ ≠ 個別の安全。
- 半導体は層別に分けて見る。ASML (装置) の逆行高が示すとおり、AI ファブレス/ASIC (需要懸念の直撃) と製造装置 (設備投資・規制の別ロジック) はまったく違う動きをする。
- ディフェンシブ逃避が「割高化」している点に注意。LVMH・医薬への資金集中は安心料込みで、逃避先自体のバリュエーションが上がっている。逃避先が割高になれば次のショックでは逃げ場が減る。
- ECB 6/11 の前に割高グロースを増やさない。利上げがほぼ確実な局面で、高 PER テックへの集中はリスク・リワードが悪い。バリュー/ディフェンシブとのバランスを意識。
7. データソース・引用
引用 URL (カテゴリ別)
- EU 6/4 (木) 市況: Saxo — Market Quick Take, 4 June 2026 / RTTNews — European Shares Set For Cautious Open As Broadcom's AI Forecast Disappoints / CNBC — European markets: Stoxx 600, FTSE, DAX, CAC, ECB/BOE decisions, Iran
- ブロードコム (AVGO) 決算: Bloomberg — ブロードコム株が急落、AI 向け半導体の売上高見通しが予想に届かず / 日本経済新聞 — 米ブロードコム株価が急落
- ECB 利上げ: ECB — Monetary policy decisions / ECB Watch Tool — Interest Rate Probabilities / Trading Economics — Euro Area Interest Rate
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本記事は情報提供のみを目的としています。投資勧誘や個別銘柄の売買推奨ではありません。記載の数値は取得時点のもので、市場開閉や訂正により変動します。投資判断はご自身の責任で行ってください。本記事の見解は執筆者個人のもので、所属組織の見解を代表するものではありません。