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Bull Note米国株 デイリー戦略ノート

EARNINGS · Q4 FY26

まちまち
SMCISuper Micro Computer·2026年8月11日(火) AMC10

Super Micro Q4 FY26 — 売上は未達なのに粗利益率が 9.9% から 17.5% へ倍増。だが会社は次の四半期に 10% 台前半への正常化を見込む

Super Micro Computer の Q4 FY26 (2026 年 6 月期) は、売上 $111.20 億 (前年同期 $57.57 億から約 +93%) とほぼ倍増しながら、コンセンサスの $115-117 億には届かなかった。出荷の遅延が理由とされる。だが市場が反応したのは売上ではなく粗利益率である。GAAP 粗利益率は 17.5% と、前四半期の 9.9%・前年同期の 9.5% から 8 ポイント近く改善し、会社自身のガイダンス 8.2-8.4% の 2 倍を超えた。非GAAP EPS は $1.70 でコンセンサスの約 $0.96 を大幅に上回っている。株価は US 8/12 (水) に +19.02%、8/13 (木) にも +4.12% と 2 日で約 24% 上昇した。ただし注意すべき点が 3 つある。第一に、この粗利益率の改善はエンタープライズ顧客の構成比上昇による一過性の色彩が濃く、会社自身が Q1 FY27 に 10% 台前半への正常化を見込んでいる。第二に通期の粗利益率は 10.8% と前年の 11.1% から低下している。第三に本決算は予備的・未監査であり、輸出管理に関する取締役会の独立調査も継続中である。

売上未達でも粗利益率が倍増して +19%。ただし会社自身が次の四半期に 10% 台前半へ戻ると言っている。

数字サマリ

EPS

$1.70コンセンサス $0.96上振れ

REVENUE

$11.12Bコンセンサス $11.56B下振れ

EPS

コンセンサス
$0.96
実績
$1.70
上振れ

売上

コンセンサス
$11.56B
実績
$11.12B
下振れ
バー長はコンセンサス予想と実績の大きさに比例。緑=上振れ、赤=下振れ。

主要 KPI

売上高 (Q4)

$111.20 億

約 +93% YoY

ほぼ倍増だがコンセンサス $115-117 億には未達。出荷遅延が理由

GAAP 粗利益率

17.5%

+7.6pt

前年同期 9.5% から +8.0pt。自社ガイダンス 8.2-8.4% の 2 倍超

非GAAP 粗利益率

17.6%

+8.0pt

同上

非GAAP 希薄化後 EPS

$1.70

約 4 倍

コンセンサス 約 $0.96 を大幅に上回った

GAAP 希薄化後 EPS

$1.62

約 5 倍

前期は $0.72

純利益 (Q4)

$11.78 億

約 6 倍

前期は $4.83 億

通期売上 (FY26)

$390.63 億

約 +78%

通期でも大幅増収

通期粗利益率 (FY26)

10.8%

-0.3pt

通期では前年より低下。Q4 の 17.5% が突出している

新規受注 (この 1 年)

$600 億超

CEO コメント。FY27 入り時点で過去最高の受注残

ガイダンス

項目判定補足
Q1 FY27 Rev$145-155 億コンセンサス超えコンセンサス 約 $116.8 億を大幅超過
Q1 FY27 EPS$1.01-1.10コンセンサス超え非GAAP。GAAP は $0.89-0.98
FY2027 通期 Rev$650-720 億コンセンサス超えコンセンサス 約 $525-544 億を大幅超過
FY2027 通期 EPS提示なしコンセンサス並み会社は通期については売上のみ提示

株価反応

引け値

$31.60

時間外

$34.40

+9.00%

翌寄り

$0.00

+19.02%

公式情報源

1 行サマリ

SMCI の Q4 FY26 は、売上 $111.20 億 (前年同期比 約 +93%) とほぼ倍増しながら、コンセンサスの $115-117 億には届かなかった。出荷の遅延が理由とされる。だが市場が反応したのは売上ではない。粗利益率である。 GAAP 粗利益率は 17.5% と、前四半期の 9.9%・前年同期の 9.5% から 8 ポイント近く改善し、会社自身のガイダンス 8.2-8.4% の 2 倍を超えた。非GAAP EPS $1.70 はコンセンサス約 $0.96 の大幅な上振れである。株価は US 8/12 (水) に +19.02%、8/13 (木) にも +4.12% と 2 日で約 24% 上昇した。ただし会社自身が、この利益率が次の四半期に 10% 台前半へ戻ると見込んでいる。 ナラティブとしてはヘッドラインより中身。総合判断: まちまち — 利益率の改善は本物だが、持続性は会社自身が否定している。


数字の中身

売上は未達、利益は大幅上振れ

項目Q4 FY26 実績コンセンサス判定
売上高$111.20 億約 $115-117 億❌ 未達
非GAAP 希薄化後 EPS$1.70約 $0.96✅ 大幅上振れ
GAAP 希薄化後 EPS$1.62

売上が予想に届かないのに EPS が予想の 1.8 倍という、極端に珍しい組み合わせである。 通常、売上未達は EPS の未達を伴う。この乖離のすべては粗利益率で説明がつく。

粗利益率 — この決算のすべて

項目Q4 FY26Q3 FY26 (前期)Q4 FY25 (前年同期)
GAAP 粗利益率17.5%9.9%9.5%
非GAAP 粗利益率17.6%9.6%
会社ガイダンス8.2-8.4%

実績が自社ガイダンスの 2 倍を超えた。 これは通常の上振れの範疇を超えている。

会社の説明は「顧客構成と製品構成の好転」である。報道ベースでは、エンタープライズ・チャネル向け売上が前四半期比で倍増して約 $56 億に達し、売上の約 50% を占めたとされる。

📚 用語: 顧客構成 (Customer Mix) が利益率を動かす仕組み 同じ製品を売っても、誰に売るかで利益率は変わる。大手クラウド事業者 (ハイパースケーラー) は一度に大量に買う代わりに強い価格交渉力を持ち、利幅は薄くなる。 対してエンタープライズ顧客は購入量が小さい代わりに、構成の相談や保守を含めた提案型の販売になり、利幅は厚い。したがって「エンタープライズ比率が上がった四半期」は利益率が跳ね上がる。 ただしこれは製品の競争力が上がったわけではなく、売れた相手が変わっただけである。次の四半期に大口案件が戻れば、利益率も戻る。

通期で見ると印象が変わる

項目FY2026FY2025
通期売上$390.63 億$219.72 億 (約 +78%)
通期 GAAP 粗利益率10.8%11.1%
通期 GAAP EPS$3.26$1.68

注目すべきは通期の粗利益率が 10.8% と、前年の 11.1% からむしろ低下している点である。 Q4 単体の 17.5% がいかに例外的かが、この対比で分かる。

通期を通した実力は 10% 台前半であり、Q4 はそこから 7 ポイント跳ねた四半期だったと理解するのが正確である。


会社自身が「正常化」を見込んでいる

🎯 要点: この決算を評価する上で最も重要な事実は、粗利益率 17.5% が続かないと会社自身が言っていることである。

決算説明会ベースの情報として、Q1 FY27 の粗利益率ガイダンスは 10% 台前半とされる。Q4 の 17.6% から 7 ポイント近い低下を、会社自身が織り込んでいることになる。

つまり Q4 の粗利益率は、構造的な収益力の改善ではなく、顧客構成という一時的な要因による跳ねだった。 通期 10.8% という数字とも整合する。

一方で、成長そのものは加速する見通しである。

項目ガイダンスコンセンサス
Q1 FY27 売上$145-155 億約 $116.8 億
Q1 FY27 非GAAP EPS$1.01-1.10
FY2027 通期売上$650-720 億約 $525-544 億

FY2027 通期の売上ガイダンス $650-720 億は、コンセンサスを最大で $180 億近く上回る。 FY2026 の $390.63 億からは約 1.7-1.8 倍である。

CEO の Charles Liang は、この 1 年で $600 億超の新規受注を獲得し、FY2027 入り時点で過去最高の受注残を計上したとコメントしている。

⚠️ 注記: FY2027 の通期 EPS ガイダンスは提示されていない。会社は通期については売上のみ、EPS は Q1 のみを示している。 売上が 1.7-1.8 倍になる一方で粗利益率が 10% 台前半に戻るなら、利益の伸びは売上の伸びほどではない。通期 EPS が示されていないこと自体が、1 つの情報である。


見落としてはいけない 2 つの但し書き

この決算には、8-K 自身が明記する重要な留保が 2 つある。

① 予備的・未監査である。 8-K は「決算締め手続きが未了であり、実際の結果はこれら予備的数値と大きく異なる可能性がある」「監査法人は監査・レビュー等の手続きを一切行っていない」と明記している。

② 輸出管理に関する取締役会の独立調査が継続中である。 8-K は「その調査結果は当社の見通し・今回の予備的数値・過去期間の数値に影響し得る」と述べている。

この 2 点は、同社の株価に恒常的な割引が付く理由の一部を説明する。 数値そのものが後から変わりうる状態にあり、かつ規制上の不確実性を抱えている企業に対して、市場は同じ利益額でも低い評価しか与えない。

なお、この決算には前段がある。会社は 7 月 21 日の時点で予備的な業績アップデートを公表しており、売上はガイダンス下限近辺、粗利益率は 15-17% と、従来ガイダンス (8.2-8.4%) を大幅に上回ることを既に示していた。したがって 8/12 の +19% は完全な不意打ちではなく、7 月に一度リセットされた期待に対する追加の確認だったという側面がある。


同じ日に同じ幅で買われた 2 社

US 8/12 (水) の値動きには、偶然とは思えない一致がある。

銘柄8/12 の騰落率ビジネスモデル
CoreWeave (CRWV)+19.28%AI クラウドを自ら保有して貸す (設備を持つ)
Super Micro (SMCI)+19.02%AI サーバーを作って売る (設備を持たない)

この 2 社は AI インフラの正反対の位置にいる。 CoreWeave は巨額の設備投資と借入を抱えて自らデータセンターを運営し、Super Micro はサーバーを製造して納品する。資本の重さがまったく違う。

その 2 社が同じ日にほぼ同じ幅で買われた。市場がこの日買ったのは個別企業の収益構造ではなく、「AI インフラ需要は本物だ」という一段上のテーマだったことを示している。

CoreWeave は GAAP で営業赤字、Super Micro は売上未達。どちらも決算の中身には課題があったが、需要の強さという 1 点で同じように評価された。


長期投資家への含意

強気の根拠は成長率である。 FY2027 通期売上ガイダンス $650-720 億はコンセンサスを大幅に上回り、$600 億超の新規受注と過去最高の受注残がその裏付けになっている。AI サーバーの需要を実際に取り込めている。

弱気の根拠は利益率の質である。 Q4 の 17.5% は顧客構成による一過性の跳ねで、会社自身が 10% 台前半への正常化を見込む。通期 10.8% が実力であり、それは前年の 11.1% より低い。 売上が 1.8 倍になっても、利益率が薄いままなら利益の伸びは限定される。

加えて、予備的・未監査という状態と輸出管理の独立調査は、数値そのものの確度に関わる。 これは事業の良し悪しとは別の次元のリスクである。

今後追うべき点を整理すると、次の 4 点になる。

  1. Q1 FY27 の粗利益率が実際にどこに着地するか — 会社見通しの 10% 台前半か、それとも Q4 の水準を一部維持できるか
  2. エンタープライズ比率の推移 — 約 50% という水準が維持されれば、利益率の改善は構造的なものに近づく
  3. 監査済み決算での数値の変動 — 予備的数値からどれだけ動くか
  4. 輸出管理に関する独立調査の結論 — 過去の数値の修正につながるか

⚠️ 注記: 本記事は情報の整理であり、売買の推奨ではない。Q1 FY27 の粗利益率ガイダンス「10% 台前半」およびエンタープライズ売上約 $56 億・構成比約 50% は決算説明会ベースの情報で、プレスリリース本体には記載がない。 そのため本記事では丸めた表現にしている。また Mizuho は決算後も「中立」を維持しつつ、売上未達と部材・メモリ不足のリスクを理由に目標株価を $44 から $34 へ引き下げており、株価が上昇した局面でも慎重な見方は残っている。


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出典


免責: 本記事は情報提供のみを目的としており、投資勧誘や個別銘柄の売買推奨ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。記載されたデータは執筆時点のものであり、正確性を保証するものではありません。

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