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Bull Note米国株 デイリー戦略ノート

EARNINGS · Q2 FY26

まちまち
CRWVCoreWeave·2026年8月11日(火) AMC14

CoreWeave Q2 FY26 — 売上 +112% と受注残 $1,042 億で株価 +19%。だが GAAP では営業赤字に転落し、支払利息は売上の 4 分の 1 に達した

CoreWeave の Q2 FY26 は、売上 $25.75 億 (前年同期 $12.12 億から +112%) と受注残 $1,042 億 (前年同期比 +246%) を記録し、株価は US 8/12 (水) に +19.28% と急騰した。Q3 に入ってからも $250 億超の新規受注を積み増しており、AI クラウドの需要が本物であることに疑いの余地はない。だが損益計算書の中身は、株価の反応ほど単純ではない。GAAP の営業損益は -$0.49 億と赤字に転落しており、前年同期の +$0.19 億から反転している。会社定義の調整後営業利益で見ても $1.28 億・利益率 5% で、前年同期の $2.00 億・16% から金額でも率でも後退した。売上が 2 倍に増えた四半期に、営業段階の利益は減っている。さらに支払利息が $6.40 億 (前年同期 $2.67 億) へ膨らみ、純損失は $6.26 億 (同 $2.90 億) へ拡大した。支払利息は売上 $25.75 億の約 4 分の 1 にあたり、調整後営業利益の 5 倍である。四半期の資金調達は総額 $134.6 億で、返済 $38.8 億を差し引いた純流入は $100.7 億に達する。需要の強さと財務の重さが同時に進行している決算である。

需要は本物、受注残は $1,042 億。だが GAAP は営業赤字、支払利息は売上の 4 分の 1。成長の代金を借金で払っている。

数字サマリ

EPS

$-1.03コンセンサス $-1.20上振れ

REVENUE

$2.58Bコンセンサス $2.56B上振れ

EPS

コンセンサス
$-1.20
実績
$-1.03
上振れ

売上

コンセンサス
$2.56B
実績
$2.58B
上振れ
バー長はコンセンサス予想と実績の大きさに比例。緑=上振れ、赤=下振れ。

主要 KPI

売上高

$25.75 億

+112% YoY

コンセンサス 約 $25.6 億を上回った

受注残 (RPO)

約 $1,042 億

+246% YoY

6/30 時点。Q3 に入り $250 億超を追加した

GAAP 営業損益

-$0.49 億

赤字転落

GAAP では営業段階から赤字。前年同期は黒字だった

調整後営業利益

$1.28 億

-36% YoY

会社定義。売上が 2 倍でも減益

調整後営業利益率

5%

-11pt

この決算で最も重要な劣化

純損失

-$6.26 億

赤字拡大

支払利息の増加が主因

支払利息

$6.40 億

+140% YoY

調整後営業利益 $1.28 億の約 5 倍

GAAP 1 株損失

-$1.14

調整後は -$1.03 (予想 -$1.20)

資金調達 (Q2、総額)

$134.6 億

返済 $38.8 億を差し引いた純流入は $100.7 億

ガイダンス

項目判定補足
Q3 FY26 Rev$34-36 億コンセンサス超え中央値で前年比 +158% の伸びを見込む
FY2026 Rev$124-132 億上方修正通期見通し
FY2026 調整後営業利益$9.6-11.5 億上方修正通期
FY2026 設備投資$350-390 億上方修正従来の $310-350 億から引き上げ。通期売上の約 3 倍

株価反応

引け値

$90.32

時間外

$103.00

+14.00%

翌寄り

$0.00

+19.28%

公式情報源

1 行サマリ

CRWV の Q2 FY26 は、売上 $25.75 億 (前年同期比 +112%)、受注残 $1,042 億 (同 +246%) と、需要面では文句のつけようがない内容だった。株価は時間外 +14% を経て、US 8/12 (水) の通常取引で +19.28% と急騰している。だが損益計算書を開くと、株価の反応とは別の話が見えてくる。 調整後営業利益は $1.28 億・利益率 5% で、前年同期の $2.00 億・16% から金額でも率でも後退した。売上が 2 倍になった四半期に、営業利益は 36% 減っている。 支払利息は $6.40 億へ膨らみ、これは調整後営業利益の約 5 倍である。ナラティブとしてはヘッドラインより中身の典型。総合判断: まちまち — 需要は本物だが、その需要を取るための費用が利益を上回っている。


数字の中身

売上 / 受注残 — ここは完璧

項目Q2 FY26Q2 FY25変化
売上高$25.75 億$12.12 億+112%
受注残 (RPO)約 $1,042 億$301 億+246%

受注残 $1,042 億は、直近四半期の売上の約 40 倍にあたる。 さらに Q3 に入ってから $250 億超の新規受注を追加したと報告されている。

需要側の顔ぶれも強力である。Meta とは 2032 年 12 月までの $210 億の契約 (既存の $142 億に上乗せで、累計コミットメントは約 $350 億)、Anthropic とも複数年の計算資源提供契約を結んでいる。

⚠️ 注記: この 2 つの契約はいずれも 2026 年 4 月 9 日・10 日に発表されたもので、今回の決算と同時に公表された新規案件ではない。暦の上では Q2 (4-6 月) 内の出来事である。また Anthropic との契約金額は非開示で、「数十億ドル規模」とされるにとどまる。Q3 序盤に追加された $250 億超の新規コミットメントについては、会社は顧客名を開示していないため、この 2 社と結びつけて読むことはできない。

損益 — ここが問題

項目Q2 FY26Q2 FY25変化
GAAP 営業損益-$0.49 億 (-2%)+$0.19 億 (+2%)赤字転落
調整後営業利益$1.28 億 (5%)$2.00 億 (16%)-36%
調整後 EBITDA$15.10 億 (59%)$7.53 億 (62%)率は低下
支払利息 (純)-$6.40 億-$2.67 億約 2.4 倍
純損失-$6.26 億-$2.90 億赤字拡大
GAAP 希薄化後 EPS-$1.14-$0.60

売上が 112% 増えた四半期に、GAAP では営業段階から赤字に転落した。 前年同期は営業利益率 +2% の黒字だったので、方向としては明確な悪化である。会社定義の調整後営業利益で見ても $1.28 億・利益率 5% と、前年同期の $2.00 億・16% から金額・率ともに後退している。

⚠️ 注記: 報道の一部は「調整後 EPS -$1.14 が予想 -$1.41 を上回った」と伝えているが、-$1.14 は 8-K 上の GAAP 希薄化後 EPS である。会社定義の調整後純損失 $5.67 億を加重平均株式数 5.51 億株で割ると約 -$1.03 で、-$1.14 とは一致しない。「調整後で上振れ」と単純に読むと、どの利益概念の話をしているのかが混線する。 本記事では GAAP と会社定義を分けて表記している。


営業利益率 16% → 5% をどう読むか

🎯 要点: 売上の伸びが利益に変換されていない。 規模が拡大したのに利益率が 3 分の 1 以下になったということは、売上 1 単位あたりのコストが急速に増えているということである。

利益率の低下が起きる典型的な理由は 3 つある。

① 減価償却費の増加。 データセンターと GPU を大量に取得すれば、その費用は数年かけて計上される。設備の取得が売上の立ち上がりに先行するため、投資の拡大期には必ず利益率が圧迫される。

② 電力・運用コスト。 AI データセンターは電力消費が大きく、稼働率が上がるほど変動費が増える。

③ 価格競争。 大口顧客ほど交渉力が強く、長期契約と引き換えに単価が下がる。受注残 $1,042 億という規模は、裏を返せば大口顧客への依存度の高さでもある。

どれが主因かは、この決算資料だけでは特定できない。 ただし、どの理由であっても「成長すればするほど利益率が下がる」という状態が続くなら、規模の拡大は自動的には利益をもたらさない。

📚 用語: 営業レバレッジが効かない成長 通常、売上が増えると固定費が分散されて利益率は改善する。これを営業レバレッジと呼ぶ。逆に、売上の増加に比例して (あるいはそれ以上に) コストが増える事業では、規模を拡大しても利益率は上がらない。 設備集約型の事業では、成長期に新しい設備を取得し続けるため、減価償却費が売上の伸びを追いかけて増える。「いつ設備投資が一巡して、利益率が改善に転じるか」がこの種の企業の最大の論点であり、成長率そのものではない。


支払利息 $6.40 億 — 営業利益の 5 倍

この決算で最も重い数字である。

項目金額対比
売上高$25.75 億
調整後営業利益$1.28 億
支払利息 (純)$6.40 億売上の約 25% / 調整後営業利益の約 5 倍

支払利息が売上の約 4 分の 1 を占めている。 事業が生み出す営業利益の 5 倍を利息として支払っており、純損失 $6.26 億の大半はこの負担で説明がつく。しかも Q3 の支払利息ガイダンスは $8.6-9.4 億とさらに増える見通しである。

四半期の資金調達の規模も大きい。

項目金額
資金調達 (総額)$134.6 億
返済-$38.8 億
純流入$100.7 億

さらに 2026 年通期の設備投資ガイダンスは $350-390 億へ引き上げられた (従来 $310-350 億)。通期売上のガイダンス $124-132 億に対して、設備投資はその約 3 倍である。

構造を整理すると次のようになる。

  1. 需要は実在し、受注残として $1,042 億が積み上がっている
  2. その需要に応えるには巨額の設備が要る (通期 $350-390 億)
  3. 設備の原資は借入で、支払利息が営業利益の 5 倍に達している
  4. 結果として、売上が 2 倍でも最終損益は赤字が拡大している

このループが回り続けるには、資金調達が継続可能であることが絶対条件になる。

貸借対照表 — 総負債 $720 億に対し株主資本 $50 億

項目2026/6/302025/12/31
総資産$770.7 億$493.0 億
有形固定資産 (純)$467.4 億$305.6 億
総負債$720.5 億$459.7 億
株主資本$50.2 億$33.4 億
累積赤字-$40.1 億-$26.4 億

総負債が株主資本の約 14 倍という構造である。半年で総資産が $493 億から $771 億へ 1.6 倍に膨らむ一方、それを支えているのは主に負債で、株主資本の増加は限定的だった。

📚 用語: 自己資本比率が薄い成長の意味 総資産に占める株主資本の割合が低いほど、資産価値の下落に対する耐性は小さくなる。株主資本 $50 億に対して総資産 $771 億ということは、資産価値が 6.5% 目減りしただけで株主資本が半減する計算になる。 データセンターと GPU が資産の大半を占める企業では、GPU の中古価値や陳腐化速度が想定より速い場合に、この薄さが直接効いてくる。 高成長企業の財務を見るときは、成長率とセットで「その成長を何で買ったのか」を確認する。

会社側の反論材料も相応にある。現金等は $69 億超を確保し、Q2 だけで約 $180 億を負債・転換社債・株式で調達した。過去 1 年で加重平均の調達金利を約 300bp 引き下げており、Q2 末の債務残高ベースで年間約 $11 億の利息削減効果があるとしている。Jane Street からの $10 億の戦略的出資、初のユーロ債発行、Nasdaq-100 指数への採用も決まった。資金調達の「量」も「条件」も、現時点では改善方向にある。


ガイダンス — 成長は続く見通し

項目ガイダンス備考
Q3 FY26 売上$34-36 億中央値で前年比 +158%
FY2026 売上$124-132 億通期
FY2026 調整後営業利益$9.6-11.5 億通期
FY2026 設備投資$350-390 億従来 $310-350 億から引き上げ

Q3 の +158% という伸びは、Q2 の +112% をさらに上回る。 受注残が売上に変換される速度は加速している。

通期の調整後営業利益 $9.6-11.5 億は、通期売上 $124-132 億に対して利益率 8% 前後にあたる。Q2 の 5% からは改善する想定である。会社側は、利益率の低下が一時的なものだと見ていることになる。


なぜ株価は +19.28% だったのか

市場が反応したのは、受注残と売上成長という需要側の指標である。

この決算が出た US 8/11 (火) の時点で、市場は 3 営業日にわたって「AI 投資の資金繰り」を疑っていた。8/10 の NVIDIA $5,000 億融資プラットフォーム (ベンダーファイナンス懸念)、Intel の公募増資、8/11 の Alphabet $250 億起債である。

その文脈で、AI インフラを実際に提供している企業が「受注残 $1,042 億」という数字を出した。 需要が実在することの直接的な証明として受け止められ、翌 8/12 には Nebius +34.14%、Super Micro +19.02%、Lumentum +13.63% と AI インフラ関連が揃って上昇している。

ただし市場が見たのは需要側だけである。 GAAP の営業赤字転落と支払利息 $6.40 億は、株価の上昇には反映されていない。「需要の確認」と「収益構造の健全性」は別の問題であり、この決算は前者に強く答え、後者には課題を残した。

実際、弱気の見方も明確に存在する。DA Davidson は「資本コスト約 9% に対し内包リターンは約 4%」であり、データセンターを建てるたびに価値を毀損していると指摘した。 また決算前の時点で、クレジット デフォルト スワップ (CDS) 市場は 5 年デフォルト確率を約 50% で織り込んでいたとされる。株式市場が +19% で反応した同じ企業に対し、信用市場はまったく違う評価を下していたことになる。

📚 用語: 株式市場と信用市場の評価が割れるとき 株主は上限のない値上がり益を得られる代わりに、破綻時は最後に残余を受け取る。債権者は元本と利息が上限で、破綻時は株主より先に回収する。この非対称性のため、同じ企業に対して株式市場は「成長の上振れ」を、信用市場は「破綻の下振れ」を強く見る。 高成長・高レバレッジの企業では両者の評価が大きく食い違うことがあり、信用市場の警戒 (CDS スプレッドの拡大) は、株価が上昇している局面ほど確認する価値がある。


長期投資家への含意

強気の根拠は明確である。 受注残 $1,042 億は直近四半期売上の約 40 倍で、Meta・Anthropic という信用力の高い顧客との長期契約に裏付けられている。需要の可視性という点では、これ以上望みにくい水準にある。

弱気の根拠も同じくらい明確である。 営業利益率の低下、営業利益の 5 倍に達する支払利息、通期売上の約 3 倍という設備投資。この組み合わせは、資金調達環境の変化に対して極めて脆い。

判断の分かれ目は「設備投資が一巡して利益率が改善に転じる時期が来るか」の一点に集約される。会社側は通期で 8% 前後への改善を見込んでいるが、設備投資ガイダンスは引き上げられており、投資の一巡はまだ先であることも同時に示している。

今後追うべき指標を整理すると、次の 4 点になる。

  1. 調整後営業利益率の推移 — 5% から改善に転じるか。会社見通しの 8% 前後に届くか
  2. 支払利息と営業利益の比率 — 5 倍という水準が縮小に向かうか
  3. 受注残の消化速度 — $1,042 億が売上に変換される年額と、その際の利益率
  4. 資金調達の条件 — 金利がどう推移するか。調達コストの上昇は直接この会社に効く

⚠️ 注記: 本記事は情報の整理であり、売買の推奨ではない。Meta との $210 億・Anthropic との契約内容は報道ベースの情報で、本記事執筆時点でプレスリリース本体からは確認できていない。 また Q3・通期のガイダンス数値は決算説明会で示されたもので、プレスリリース本体には含まれていない。確認の経路が異なる数値は、その旨を明示している。


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出典


免責: 本記事は情報提供のみを目的としており、投資勧誘や個別銘柄の売買推奨ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。記載されたデータは執筆時点のものであり、正確性を保証するものではありません。

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