本文へスキップ
Bull Note米国株 デイリー戦略ノート

EARNINGS · Q2 FY26

まちまち
NBISNebius Group·2026年8月12日(水) BMO9

Nebius Q2 FY26 — 売上 +454% で EBITDA が黒字転換、株価 +34%。だが四半期の設備投資は売上の約 10 倍だった

Nebius Group の Q2 FY26 は、売上 $5.823 億 (前年同期 $1.051 億から +454%) とコンセンサスの約 $5.73 億を上回り、調整後 EBITDA も $2.362 億と前年同期の -$0.21 億から黒字転換した。基本 EPS は -$0.68 で、継続事業ベースでは $1.904 億の純損失を計上している。上期累計では売上 $9.813 億 (+529%)、調整後 EBITDA $3.657 億と、成長の勢いは四半期を追うごとに強まっている。株価は US 8/12 (水) に +34.14% と急騰し、この週の主要銘柄で最大の上昇率となった。ただし見落とせないのが設備投資である。Q2 単体で $56.574 億、上期累計で $81.303 億 (前年同期比 +671%) を投じており、四半期の設備投資額は同じ四半期の売上の約 10 倍に達する。AI クラウドの需要が本物であることと、その需要を取りに行くための資本の重さは別問題であり、この決算は両方を同時に示している。

売上 +454% と EBITDA 黒字転換は本物。ただし同じ四半期に売上の約 10 倍を設備投資に投じている。

数字サマリ

EPS

$-0.68コンセンサス $-0.82上振れ

REVENUE

$0.58Bコンセンサス $0.57B上振れ

EPS

コンセンサス
$-0.82
実績
$-0.68
上振れ

売上

コンセンサス
$0.57B
実績
$0.58B
上振れ
バー長はコンセンサス予想と実績の大きさに比例。緑=上振れ、赤=下振れ。

主要 KPI

売上高 (Q2)

$5.823 億

+454% YoY

コンセンサス 約 $5.73 億を上回った

売上高 (上期累計)

$9.813 億

+529% YoY

四半期を追うごとに伸びが加速している

調整後 EBITDA (Q2)

$2.362 億

黒字転換

前年同期の赤字から反転した最大の変化

調整後 EBITDA (上期)

$3.657 億

黒字転換

同上

基本 EPS (Q2)

-$0.68

コンセンサス -$0.82 より赤字幅は小さい

継続事業の純損益 (Q2)

-$1.904 億

EBITDA は黒字でも最終損益は赤字

設備投資 (Q2)

$56.574 億

同じ四半期の売上の約 10 倍

設備投資 (上期累計)

$81.303 億

+671% YoY

資本の投下速度が売上の伸びを上回る

ガイダンス

項目判定補足
2026 通期ガイダンス本記事では確認できずコンセンサス並み一次資料の該当箇所を確認できていないため記載しない

株価反応

引け値

$193.23

時間外

$259.20

+34.14%

翌寄り

$0.00

-1.60%

公式情報源

1 行サマリ

NBIS の Q2 FY26 は、売上 $5.823 億 (前年同期 $1.051 億から +454%)、調整後 EBITDA $2.362 億で前年同期の赤字から黒字転換した。株価は US 8/12 (水) に +34.14% と急騰し、この週の主要銘柄で最大の上昇率となっている。AI クラウドの需要が実数字として立っていることを、これ以上ないほど明確に示した決算である。 ただし同じ四半期に $56.574 億の設備投資を行っており、これは同期の売上の約 10 倍にあたる。ナラティブとしてはヘッドラインより中身のパターンで、成長率だけを見ると完璧だが、資本の重さを併せて見ると評価は変わる。総合判断: まちまち — 需要は本物、ただし資本集約性は極めて高い。


数字の中身

売上 / 利益

項目Q2 FY26Q2 FY25変化
売上高$5.823 億$1.051 億+454%
調整後 EBITDA$2.362 億-$0.210 億黒字転換
継続事業の純損益-$1.904 億赤字
基本 EPS-$0.68コンセンサス -$0.82 より赤字幅は小さい

上期累計で見ると伸びはさらに鮮明である。

項目上期 FY26上期 FY25変化
売上高$9.813 億$1.560 億+529%
調整後 EBITDA$3.657 億-$0.747 億黒字転換

上期の +529% が四半期の +454% を上回っているという点は、単純な期ずれではなく、成長が継続的に高い水準で推移していることを示す。

「EBITDA は黒字、最終損益は赤字」をどう読むか

この決算で最も注意が要るのは、調整後 EBITDA が $2.362 億の黒字である一方、継続事業の純損益は $1.904 億の赤字という点である。

📚 用語: EBITDA と純損益の差はどこから来るか EBITDA は利払い・税金・減価償却費・のれん償却を差し引くの利益である。設備を大量に持つ企業では、減価償却費が巨額になるため、EBITDA が黒字でも最終損益は赤字になりうる。 データセンター事業はまさにその典型で、サーバーや GPU の取得原価が数年かけて費用計上される。EBITDA だけを見て「黒字化した」と判断するのは、設備投資の重い企業では特に危険である。 減価償却は現金の流出を伴わないが、その設備はいずれ買い替えが必要になるため、費用として無視してよいものではない。


この決算の核心 — 設備投資が売上の約 10 倍

🎯 要点: 売上 +454% という数字だけを見ると完璧な成長企業に見える。 だが同じ四半期に、その売上の約 10 倍の資本を設備に投じている。この 2 つは必ずセットで見る必要がある。

項目金額対売上比
Q2 売上高$5.823 億
Q2 設備投資$56.574 億約 9.7 倍
上期 売上高$9.813 億
上期 設備投資$81.303 億 (前年比 +671%)約 8.3 倍

設備投資の伸び (+671%) が売上の伸び (+529%) を上回っている。 つまり、売上を 1 単位増やすために必要な資本の量が、増えこそすれ減っていない。

これが意味するところは 2 つある。

① 需要は間違いなく存在する。 これだけの資本を投じるのは、埋まる見込みのある容量を作っているからである。実際に売上は +454% で伸びており、作った容量は収益に変換されている。

② その需要を取るための資本は、自己資金だけでは賄えない。 四半期に $56.574 億という規模は、同社の売上規模から見て内部留保で出せる金額ではない。外部からの資金調達が前提の成長モデルである。

この構図は、この週に市場が繰り返し問うていた論点そのものである。 US 8/10 に NVIDIA が $5,000 億の融資プラットフォームを発表し、Intel が上場以来初の公募増資を行い、8/11 に Alphabet が $250 億を起債した。いずれも「AI 投資の資金をどこから持ってくるか」という同じ問いに属する。Nebius の決算は、その問いに対して「需要は本物だが、資本は極めて重い」という両面の答えを同時に出している。


株価 +34.14% — 週内最大の上昇

US 8/12 (水) の株価は +34.14% ($193.23 → $259.20) と急騰した。この週に決算を出した主要銘柄の中で最大の上昇率である。

同日は CoreWeave +19.28%、Super Micro +19.02%、Lumentum +13.63% と、AI データセンターに納入する側の企業が揃って二桁上昇した日でもある。前 3 営業日にわたって市場を圧迫していた「AI 投資の資金繰り懸念」が、需要側の実数字によって打ち消された格好だった。

翌 US 8/13 (木) は -1.60% ($255.04) と小幅に反落しており、急騰の水準はおおむね維持されている。

⚠️ 注記: 2026 年通期のガイダンス、ARR (年間経常収益) の水準、受注残、セグメント別 (AI クラウド / Avride / TripleTen) の内訳は、本記事の執筆時点で一次資料から確認できなかったため記載していない。 一部の報道にはこれらに言及したものがあるが、確認できていない数値は書かないというのがこのブログの方針である。詳細は Nebius の IR 資料を参照されたい。


長期投資家への含意

需要の実在という点では、この決算は疑問の余地を残していない。 売上 +454%、EBITDA 黒字転換、そして作った容量が売上に変換されているという事実は、AI クラウドの需要が現実のものであることを示す。

判断が分かれるのは資本効率である。 売上の約 10 倍を設備に投じ続けるモデルは、以下の 3 つが成立している限り機能する。

  1. 資金調達が継続的に可能であること — 金利環境や信用市場の状況に左右される
  2. 作った容量が埋まり続けること — 需要が減速した瞬間、遊休設備が固定費として重くのしかかる
  3. GPU の陳腐化速度が想定内であること — 減価償却の期間が実際の使用可能期間より長ければ、簿価と実勢価値が乖離する

このうち 1 つでも崩れると、成長率の高さは救いにならない。 逆に 3 つが維持される限り、先行投資は将来の収益として回収される。

したがって今後追うべきは、成長率そのものよりも次の 3 点である。

  1. 設備投資の対売上比が低下に転じるか — 現在の約 10 倍が縮まれば、成長が自己資金で回り始めるサイン
  2. 減価償却費の増加ペースと EBITDA の関係 — EBITDA 黒字が最終損益の黒字に到達する時期
  3. 資金調達の条件 — 増資か社債か、そのコストがどう推移するか

⚠️ 注記: 本記事は情報の整理であり、売買の推奨ではない。設備投資の対売上比という論点は、同社が特殊なのではなく AI インフラ事業に共通する構造である点も付言しておきたい。CoreWeave をはじめ同業他社も同様の資本集約性を抱えており、これは個社の経営判断というより業態の性質である。


関連記事


出典


免責: 本記事は情報提供のみを目的としており、投資勧誘や個別銘柄の売買推奨ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。記載されたデータは執筆時点のものであり、正確性を保証するものではありません。

この記事を共有:でポストはてブ

関連デイリー

免責: 本記事は情報提供のみを目的としています。投資勧誘や個別銘柄の売買推奨ではありません。 最終的な投資判断はご自身の責任で行ってください。