Bull Note米国株 デイリー戦略ノート

STOCK · LEU

まちまち狭い (競争優位はあるが盤石でない)
LEUCentrus Energyエネルギー (Energy)15

LEU (Centrus Energy) — 米国唯一級の HALEU 生産という『つるはし売り』 vs. 予想 PER 74 倍と DOE 分散発注

Centrus は AI データセンター電力需要が牽引する原子力ルネサンスの『燃料・上流 = つるはし売り』層に立つ唯一級の上場銘柄。米国で 70 年以上ぶりに HALEU (高純度低濃縮ウラン) を商用級で生産し、SMR/次世代炉がどれだけ受注を取ろうと必ず要る燃料を供給する。プレレベニューの SMR 勢 (NuScale/Oklo) と違い既に売上 TTM $452M・黒字・受注残 $3.9B という実態を持つのが最大の差別化。論点は高い評価倍率 (予想 PER 74 倍) と『商用 HALEU の本格収益化は 2029 年以降』という時間軸のずれ、DOE 分散発注による『米国唯一』の希少性侵食。総合判定は強弱まちまち。

米国唯一級の HALEU 生産者。SMR がどれだけ受注を取ろうと要る燃料を売る『つるはし売り』で、プレレベニュー SMR 勢と違い黒字・受注残 $3.9B の実態を持つ。だが予想 PER 74 倍は実需に先行し、DOE 分散発注で『米国唯一』の希少性は数年で薄れる。見立て 4 本で検証。

スナップショット

2026-06-01 時点

株価

$189.00

時価総額

$3.72B

52 週レンジ

$123.26 $464.25

バリュエーション

指標比較補足
実績 PER約 66 倍S&P500 比で割高stockanalysis 6/1 時点。純利益 TTM $60.6M、EPS $2.85 ベース。原子力テーマのプレミアムが厚い
予想 PER (Forward PE)約 74 倍2026 EPS 予想 $2.85stockanalysis 6/1=74.16 / Simply Wall St 5月=69.5。利益横ばい想定でも倍率は高止まり
PSR (株価売上倍率)8.2 倍売上 TTM $452Mstockanalysis 6/1=8.22。EV/Sales は 6.7 倍。売上規模に対し時価が大きい
EV/EBITDA31 倍 〜 89 倍業界中央値 約 10 倍2 ソースで大きく乖離: gurufocus 2/27=31.0 / stockanalysis 6/1=88.6。EBITDA マージン 7.6% と薄く分母が小さいため不安定。倍率は『割高』方向で一致
PEG レシオ約 25 倍1.0 が中立目安利益成長が鈍化局面のため極端値。成長と倍率の整合が取れていない
52週高値からの下落率約 −59%高値 $464.25 → $189.002025年後半の原子燃料テーマ過熱からの巻き戻し。ただし52週では +49%

競合との比較事業ステージ (黒字/プレレベニュー) / 受注残 / バリュエーション倍率

企業自社との対比補足
CCJCamecoウラン採掘 + 濃縮 (Westinghouse 49%)、時価 約$54.7B、PER 約 108 倍燃料サイクルの最上流。規模で圧倒、Centrus は濃縮特化の小型同じ『つるはし売り』だが採掘 (Centrus は濃縮)。2025 EBITDA $1.9B と Centrus の数十倍。倍率は両者とも高い
SMRNuScale Powerプレレベニュー (売上ほぼゼロ・赤字)、時価 約$4.4B、PER N/MCentrus は黒字・売上$452M・backlog$3.9B で実態が桁違い競合ではなく補完 (炉 vs 燃料)。SMR が前進するほど HALEU 需要が増える関係
OKLOOkloプレレベニュー、自社保有運営型 SMR、時価 約$11.6BCentrus はその HALEU 燃料の供給候補。実需と黒字で Centrus が堅いOklo の Aurora 炉も HALEU を要する。燃料サプライヤーとして恩恵側
Orano / Urenco / General MatterDOE 濃縮拡張で各 $900M 受注 (Orano/General Matter)、GLE $28M国産 HALEU の独占を崩しに来る最大の脅威DOE が意図的に複数社へ分散発注。Centrus の『米国唯一』の希少性は数年で薄れる構造

ファンダメンタルズ

総売上 (2026 Q1)

$76.7M

+5%

TTM $452.3M。CFO は『四半期で出荷がブレるので TTM で見るべき』と明言

LEU 事業売上 (2026 Q1)

$44.6M

−13%

SWU 販売数量が −47% (契約出荷のタイミング要因)。一方 SWU 平均単価は +52% と価格は上昇

技術事業売上 (2026 Q1)

$32.1M

+47%

DOE の HALEU 生産契約収益が +$9.8M。成長ドライバーがこちらへ移行中

純利益 (2026 Q1、GAAP)

$10.0M

−63%

希薄化後 EPS $0.45 (前年 $1.60)。調整後純利益は $23.5M / 調整後 EPS $1.05。前年は一過性で水準が高かった

粗利益 (2026 Q1)

$31.5M

−4%

粗利率 約 41%。事業の収益性自体は堅持。TTM 粗利 $116.1M

現金等 (2026/3末)

$1.87B

−5%

ネットキャッシュ +$689.6M (総債務 $1.18B 控除後)。転換社債で厚みを確保。SMR 勢と違い既に黒字

受注残 (backlog)

$3.9B

2040年まで

LEU 事業 $3.1B (うち確定契約 $2.4B) + 技術事業 $0.8B。プレレベニュー競合との決定的な差

強気材料 / 弱気材料

強気材料

  • 米国唯一級の商用 HALEU 生産能力

    オハイオ州パイクトンで DOE 契約のもと、米国で 70 年以上ぶりに HALEU 生産を実現。SMR/次世代炉が必要とする 5-20% 濃縮ウランを国内供給できる唯一級の事業者で、ロシア依存脱却の国産化政策の中核。

  • プレレベニュー競合と桁違いの実態 (既に黒字)

    SMR 勢が売上ほぼゼロ・赤字の中、Centrus は売上 TTM $452M・2026 Q1 純利益 $10M・粗利率 41%。受注残 $3.9B (確定契約 $2.4B 含む) を 2040 年まで抱える。

  • ロシア産ウラン輸入禁止法 + $2.7B 連邦資金の追い風

    2024/5 施行の輸入禁止法でロシア産 (米需要の約 27%) が排除され、国産化に $2.7B が解放。Centrus は $900M の DOE タスクオーダー (オプション込み最大 $1.07B) を獲得し拡張に着手。

  • 厚いバランスシートと黒字キャッシュ創出

    現金 $1.87B、ネットキャッシュ +$690M。$700M ゼロクーポン転換社債 (超過需要で増額) 等で拡張資金を確保し、ATM (時価発行) 株式発行に頼らず資本を積み増した。

  • SWU 単価の上昇トレンド

    2026 Q1 は数量が出荷タイミングで −47% も、SWU 平均単価は +52%。ロシア排除とウラン濃縮の構造的な需給逼迫が単価に効き始めている。

弱気材料

  • テーマ過熱後の高い評価倍率

    予想 PER 約 74 倍・PSR 8.2 倍・PEG 約 25 倍。52週高値 $464 から約 59% 下落したとはいえ、利益横ばい想定に対し倍率は依然高く、原子力テーマのプレミアムが厚い。

  • HALEU 本格収益化は 2029 年以降

    $900M 拡張の新規能力が立ち上がるのは 2029 年。今日の HALEU 売上 ($32M/四半期) は DOE 契約分が中心で、商用 SMR 向けの本格需要はまだ先。テーマの織り込みが実需に先行。

  • DOE の分散発注で『唯一』の希少性が薄れる

    DOE は Orano $900M・General Matter $900M・GLE $28M と意図的に複数社へ分散。政府は『一つの独占を別の独占に置き換えない』方針で、Centrus の独占的地位は数年で侵食され得る。

  • 数十億ドル規模の拡張が政府・外部資金に依存

    完全な商用化には数十億ドルの設備投資が要り、NNSA・第三者投資・対米直接投資など外部資金頼み。政策・資金環境が変われば拡張ペースが鈍る。

  • 四半期業績のボラティリティ

    LEU 事業は契約出荷のタイミングで数量が大きく振れ (Q1 は −47%)、単四半期の数字が誤誘導しやすい。前年同期比で純利益 −63%・EPS −72% と見かけ上の減益も出る。

投資の見立てと「外れる条件」

各見立ては「何を予想しているか」だけでなく「何が起きたら外れか」をセットで明示する。下の「外れる条件」が満たされたら、その見立ては見直しが必要になる。

HALEU 増産 (技術事業) が成長ドライバーとして売上構成比を高め続ける

成立
反証条件
技術事業の前年同期比成長が 2026 年内に 2 四半期連続でマイナス転落、または HALEU 関連売上が四半期 $25M を下回る
確認方法
2026 Q2-Q4 決算 (技術事業セグメント売上の前年比)

$900M DOE 拡張が時間軸どおり進み、2029 年に新規濃縮能力が立ち上がる

成立
反証条件
DOE 拡張の運転開始目標が 2029 年から後ろ倒し、または DOE がタスクオーダーのマイルストン支払いを停止・縮小
確認方法
2026-2028 の建設進捗・マイルストン達成開示

黒字・受注残・ネットキャッシュの実態が SMR 勢との差別化を維持する

成立
反証条件
受注残が $3.5B 未満へ縮小、または通年 GAAP 純利益が赤字転落、またはネットキャッシュがマイナスへ
確認方法
四半期決算 (backlog・純利益・純有利子負債)

DOE 分散発注 (Orano/General Matter 等) でも当面の HALEU 供給で先行を保つ

評価中
反証条件
General Matter または Orano が 2027 年までに商用 HALEU を Centrus より早く出荷、または大型 SMR 顧客が他社へ HALEU 供給契約を発注
確認方法
2026-2027 の競合の HALEU 生産マイルストン

リスク

リスク要因重大度補足
高バリュエーションの巻き戻し予想 PER 約 74 倍・PEG 約 25 倍。テーマ過熱の剥落で 52週高値から既に約 59% 下落。利益成長が倍率に追いつかなければさらなる調整リスク
DOE 分散発注による競争激化Orano $900M・General Matter $900M も同じ国産化資金で参入。『米国唯一』の希少性が数年で薄れる構造的脅威
拡張の資金調達・コスト超過数十億ドル規模の設備投資が政府・外部資金に依存。コスト膨張や資金環境悪化で拡張遅延・希薄化リスク
HALEU 需要の時間軸ずれSMR の収益化が 2030 年代初頭にずれ込めば、商用 HALEU 需要の本格立ち上がりも後ろ倒し。先行投資が回収遅延
四半期業績のブレと出荷タイミングLEU 事業は契約出荷で数量が大きく変動。単四半期の数字が誤解を招き、株価ボラティリティの要因に

今後の注目イベント

イベント時期注目度補足
$900M DOE 拡張の建設マイルストン進捗2026-2029遠心分離機の Oak Ridge 製造 → パイクトン設置 → 2029 年新規能力立ち上がりの各段階。遅延が最大の警報
商用 HALEU 供給契約の新規獲得 (SMR 顧客)2026-2027DOE 契約以外の民間 SMR 事業者との拘束力ある HALEU 供給契約。テーマを固有受注に変換できるか
各四半期決算 (技術事業の成長・backlog)四半期ごとTTM ベースの売上成長と受注残の積み増し。技術事業の前年比成長が継続するか
追加の拡張資金調達 (政府・外部投資)2026-2027NNSA・第三者投資・対米直接投資の確保。希薄化を抑えた資金調達ができるか
競合 (Orano/General Matter) の HALEU 生産進捗2026-2028分散発注先がどれだけ早く商用 HALEU を出すか。Centrus の先行性侵食の度合い

公式情報源

投資の見立て

Centrus Energy (LEU) は、AI データセンター電力需要が牽引する原子力ルネサンスの 「燃料・上流 = つるはし売り」層に立つ唯一級の上場銘柄だ。米国で 70 年以上ぶりに HALEU (High-Assay Low-Enriched Uranium、高純度低濃縮ウラン) を商用級で生産し、SMR/次世代炉がどれだけ受注を取ろうと必ず要る燃料を供給する。

プレレベニューの SMR 勢 (NuScale/Oklo) と違い、既に売上 TTM $452M・黒字・受注残 $3.9B という実態を持つのが最大の差別化だ。だが投資判断はそこで終わらない。論点は (1) 高い評価倍率 (予想 PER 約 74 倍) と「商用 HALEU の本格収益化は 2029 年以降」という時間軸のずれ、(2) DOE (米エネルギー省) 分散発注による「米国唯一」の希少性侵食、の 2 点だ。総合判定は強弱まちまち——テーマが本物なら最も確度高く恩恵を受ける「つるはし」だが、倍率と独占性の前提に注意が要る。

📚 用語: つるはし売り (Picks and Shovels) — ゴールドラッシュで金を掘る人より、つるはしやシャベルを売る商人が確実に儲かったという逸話から。どの SMR 企業が勝っても、次世代炉が動くには必ず HALEU 燃料が要る。Centrus はその燃料の供給側に立つため、特定の炉の勝敗に賭けずテーマ全体の恩恵を受けられる。

会社概要 — 何で稼ぐか (LEU 事業 + 技術事業の 2 本立て)

事業は 2 本立てだ。LEU 事業 (低濃縮ウラン販売) は SWU (Separative Work Unit、分離作業単位) を既存の商用原子炉向けに販売する当面の柱で、2026 Q1 売上 $44.6M (全体の約 58%)。技術事業 (Technical Solutions) は DOE 向けの HALEU 生産契約と濃縮技術サービスで、2026 Q1 売上 $32.1M (約 42%)・前年比 +47% と成長ドライバーだ。

生産拠点はオハイオ州パイクトンの American Centrifuge Plant で、AC100M 遠心分離機をガス遠心分離方式で運転する。遠心分離機は Oak Ridge (テネシー) の工場で 2025/12 に製造を再開した。NuScale が「炉の設計を売る」のに対し、Centrus は「どの炉が勝っても要る燃料を今日から売る」ビジネスで、テーマ銘柄では珍しく既に黒字を出している。

📚 用語: HALEU (高純度低濃縮ウラン) — ウラン235 を 5-20% に濃縮した燃料。従来の商用炉が使う 5% 未満の LEU より高濃縮で、SMR や次世代炉の多くが必要とする。これまでロシアがほぼ唯一の商用供給源だったため、米国の国産化が安全保障上の急務。Centrus は米国で 70 年以上ぶりに HALEU を生産した。

競争優位 (堀) の分析 — 「米国唯一級の HALEU 生産」はどこまで効くか (評価: 狭い)

競争優位 (堀) の出所は 4 点だ。(1) 米国で唯一級の商用 HALEU 生産能力、(2) DOE との長期契約と $900M 拡張タスクオーダー、(3) 70 年以上ぶりの国内生産という実績と濃縮ノウハウ、(4) ロシア産ウラン輸入禁止法による国産化政策の追い風。受注残 $3.9B (確定契約 $2.4B 含む) が収益の可視性を裏打ちする

だが堀の最も脆い縁は「DOE が意図的に複数社へ分散発注している」ことだ。Orano $900M・General Matter $900M・GLE $28M と同じ国産化資金が競合に流れ、政府は「一つの独占を別の独占に置き換えない」方針を明言している。したがって Centrus の「米国唯一」の希少性は構造的に数年で薄れる。評価は「狭い」堀だ。

競合相対 — 原子燃料サイクル内の位置取り

「米国唯一だから安泰」で止めると、希少性が広がっているのか縮んでいるのかを見落とす。事業ステージ・受注残・バリュエーション倍率で横並びにすると、評価は立体的になる。

ティッカー企業事業ステージ受注残・実態時価総額 (概算)位置づけ
LEUCentrus黒字・売上 $452M受注残 $3.9B約 37億ドル濃縮 (HALEU) 特化のつるはし売り
CCJCameco黒字・2025 EBITDA $1.9B大規模ウラン契約ブック約 490-547億ドル採掘+転換 (最上流)、規模で圧倒
SMRNuScaleプレレベニュー (赤字)売上ほぼゼロ約 44億ドル炉 (補完関係、競合ではない)
OKLOOkloプレレベニュー (赤字)売上ゼロ約 116億ドル炉 (HALEU を要する顧客側)

読み筋はこうだ。最上流の Cameco (CCJ、採掘 + 濃縮 + Westinghouse 49%) が規模で圧倒し、Centrus は濃縮特化の小型プレイヤーだ。両者とも PER 60-100 倍台と倍率は高く、テーマ相場で揃って評価が膨らんだ。SMR 勢 (NuScale/Oklo) とは競合ではなく補完関係で、SMR が前進するほど HALEU 需要が増え Centrus に追い風になる。最大の脅威は同業の Orano/General Matter で、DOE 分散発注によりここ数年で国産 HALEU 供給の競争が激化する方向だ。Centrus の相対優位は「今日から黒字で売れている」点で当面は維持されるが、競合の商用 HALEU 出荷が始まれば縮む

📚 用語: SWU (分離作業単位、Separative Work Unit) — ウラン濃縮に要する仕事量を測る単位。濃縮事業者は「SWU を何単位売ったか × 単価」で稼ぐ。Centrus の LEU 事業の売上はこの SWU 販売が柱で、数量 (出荷タイミングで変動) と単価 (需給で上昇) の掛け算で動く。2026 Q1 は数量 −47% だが単価 +52% という対照が出た。

ファンダメンタルズ — 四半期のブレは TTM と調整後で均す

(基準日: 2026 Q1 の四半期報告書 (10-Q)、対象四半期末 2026/3/31)

2026 Q1 は総売上 $76.7M (+5%)・粗利益 $31.5M (粗利率約 41%)・GAAP 純利益 $10.0M・希薄化後 EPS $0.45。前年同期 (純利益 $27.2M・EPS $1.60) からの大幅減益は、LEU 事業の SWU 販売数量が契約出荷のタイミングで −47% 減ったことが主因で、CFO は「四半期で出荷がブレるので TTM で見るべき」と強調している。単価は +52% と上昇しており、需給の構造的な逼迫は単価に表れている。

一過性を均した実力は調整後純利益 $23.5M・調整後 EPS $1.05、TTM 売上 $452.3M・TTM 純利益 $60.6M。バランスシートは現金 $1.87B・ネットキャッシュ +$690M と厚く、$700M ゼロクーポン転換社債等で拡張資金を確保し ATM (時価発行) 株式発行を回避した点は希薄化抑制で評価できる。FY26 見通しは売上 $450-500M へ上方修正された。

バリュエーション — 黒字でも倍率は実需に先行

(基準日: 2026/6/1 終値 $189.00、52週レンジ $123.26-$464.25、時価総額 $3.72B)

実績 PER 約 66 倍・予想 PER 約 74 倍・PSR 8.2 倍・PEG 約 25 倍と、利益横ばい想定に対し倍率は高い。EV/EBITDA は 2 ソースで大きく乖離 (gurufocus 2/27=31.0 / stockanalysis 6/1=88.6) するが、これは EBITDA マージン約 7.6% と薄く分母が小さいため不安定で、いずれにせよ業界中央値 約 10 倍を大きく上回る「割高」方向で一致する。

52週高値 $464 から約 59% 下落しテーマ過熱の巻き戻しは進んだが、依然プレミアムは厚い。黒字・受注残という実態がある分プレレベニュー SMR 勢より倍率を正当化しやすいが、成長が倍率に追いつくかが勝負だ。利益が横ばいのまま予想 PER 74 倍を払い続ける合理性は乏しく、技術事業の成長加速がこの倍率を埋める唯一の道になる。

📚 用語: 受注残 (backlog) — 将来の売上として既に契約・約定している金額の積み上げ。Centrus は $3.9B (2040 年まで、うち確定契約 $2.4B) を抱え、売上ほぼゼロのプレレベニュー SMR 勢と決定的に異なる収益の可視性を持つ。この backlog があるからこそ、同じ「テーマ株」でも SMR 勢とは別物として評価できる。

強気材料 / 弱気材料

強気の核は 「米国唯一級の HALEU 生産能力を持ち、プレレベニュー競合と桁違いの実態 (既に黒字) を備える」 ことだ。SMR 勢が売上ほぼゼロ・赤字の中、Centrus は売上 TTM $452M・受注残 $3.9B・ネットキャッシュ +$690M。ロシア産ウラン輸入禁止法 + $2.7B 連邦資金の追い風と SWU 単価の上昇 (+52%) が、構造的な需給逼迫を裏付ける。

弱気の核は 「テーマ過熱後の高い評価倍率と、商用 HALEU 収益化の時間軸ずれ」 だ。予想 PER 約 74 倍・PEG 約 25 倍は利益横ばい想定に対し高く、$900M 拡張の新規能力立ち上がりは 2029 年。さらに DOE が Orano・General Matter へ分散発注しており、「米国唯一」の希少性は数年で薄れる構造を抱える。

投資の見立てと「外れる条件」

この記事の核は、Centrus を「黒字だから安心」ではなく成長が倍率に追いつくか・希少性が保てるかで検証することだ。書き手は 4 本の見立てを取る (frontmatter の thesis がカード表示される)。

核は 「HALEU 増産 (技術事業) が成長ドライバーとして売上構成比を高め続ける」 という見立てだ。外れる条件は「技術事業の前年同期比成長が 2026 年内に 2 四半期連続でマイナス転落、または HALEU 関連売上が四半期 $25M を下回る」こと。あわせて 「$900M DOE 拡張が時間軸どおり進み 2029 年に新規能力が立ち上がる」「黒字・受注残・ネットキャッシュの実態が SMR 勢との差別化を維持する」「DOE 分散発注でも当面の HALEU 供給で先行を保つ」 の 3 本を、技術事業セグメント売上・建設マイルストン・backlog・競合の生産進捗で点検していく。最後の見立ては競合動向次第なので unknown と評価する。

リスク

最大の構造リスクは 高バリュエーションの巻き戻しだ。予想 PER 約 74 倍・PEG 約 25 倍はテーマ過熱の剥落で 52週高値から既に約 59% 下落しており、利益成長が倍率に追いつかなければさらなる調整につながる。これと同等に重いのが DOE 分散発注による競争激化 (Orano・General Matter も同じ国産化資金で参入) で、「米国唯一」の希少性が数年で薄れる構造的脅威だ。次いで 拡張の資金調達・コスト超過HALEU 需要の時間軸ずれ (SMR 収益化が後ろ倒しになれば需要立ち上がりも遅延)、四半期業績のブレが続く。

今後の注目イベント — 株価を動かす材料

まず $900M DOE 拡張の建設マイルストン進捗 (2026-2029) で、遠心分離機の Oak Ridge 製造 → パイクトン設置 → 2029 年新規能力立ち上がりの各段階が時間軸どおり進むか。遅延が最大の警報になる。次に 商用 HALEU 供給契約の新規獲得 (SMR 顧客) (2026-2027) で、DOE 契約以外の民間 SMR 事業者との拘束力ある契約を取れるか。各四半期では 技術事業の成長・backlog が、構造的に 追加の拡張資金調達競合 (Orano/General Matter) の HALEU 生産進捗が先行性侵食の度合いを映す。

立場別の視点

立場確認すべき条件 (売買命令ではない)
未保有技術事業 (HALEU) の前年比成長が続いているか。予想 PER 74 倍を埋めるだけの成長加速が見えるか。DOE 分散発注先の進捗
含み益受注残 $3.9B が縮小していないか。四半期のブレを TTM・調整後で均して実力を見ているか
含み損$900M 拡張の 2029 年立ち上がりが後ろ倒しになっていないか。General Matter/Orano が先に商用 HALEU を出していないか

長期で確認すべき指標 5 つ

見立てが生き続けるかを検証する KPI チェックリスト。上の「外れる条件」と対応づけてある。

  1. 技術事業セグメント売上の前年比 — HALEU 増産が成長を牽引し続けるか (見立て 1)
  2. $900M 拡張の建設マイルストン — 2029 年の新規能力立ち上がりが守れるか (見立て 2)
  3. 受注残・純利益・ネットキャッシュ — backlog $3.5B 以上・黒字・ネットキャッシュ維持 (見立て 3)
  4. 競合の HALEU 生産進捗 — Orano/General Matter が Centrus より先に出荷しないか (見立て 4)
  5. SWU 単価 — 需給逼迫を反映した上昇が続くか

出典

  1. Centrus Reports First Quarter 2026 Results (会社 IR / PRNewswire)
  2. Centrus Energy Q1 2026 10-Q (SEC EDGAR)
  3. Centrus Energy Q1 2026 8-K Exhibit 99.1 (SEC EDGAR)
  4. Centrus Energy (LEU) Q1 2026 Earnings Transcript (Motley Fool)
  5. Centrus Energy Q1 2026 10-Q ($76.7M revenue, backlog) (StockTitan)
  6. Centrus Awarded $900 Million to Expand Uranium Enrichment in Ohio (会社 IR / PRNewswire)
  7. Centrus Energy (LEU) Stock Price & Overview (stockanalysis)
  8. Centrus Energy (LEU) Statistics & Valuation (stockanalysis)
  9. LEU (Centrus Energy) EV-to-EBITDA (GuruFocus)
  10. Centrus Energy (NYSE:LEU) Valuation (Simply Wall St)
  11. Prohibiting Russian Uranium Imports Act (Wikipedia)
  12. Russian Uranium Ban Will Speed Development of U.S. Nuclear Fuel Supply Chain (DOE)
  13. Congress passes Russian uranium import ban, unlocking $2.7B (Utility Dive)
  14. Centrus Launches $700M Zero-Coupon Convertible Notes Offering (StockTitan)
  15. Cameco (CCJ) Statistics & Valuation (stockanalysis)

本記事は情報提供のみを目的としています。投資勧誘や個別銘柄の売買推奨ではありません。最終的な投資判断はご自身の責任で行ってください。

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免責: 本記事は情報提供のみを目的としています。投資勧誘や個別銘柄の売買推奨ではありません。 最終的な投資判断はご自身の責任で行ってください。