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Bull Note米国株 デイリー戦略ノート

STOCK · GS

まちまち狭い (競争優位はあるが盤石でない)
GSGoldman Sachs金融 (Financials)17

Goldman Sachs (GS) 投資テーゼ — M&A・トレーディング回復で記録的四半期、堀は拡大も最大の弱点は収益の循環性

Goldman Sachs (GS) は M&A 助言・引受とトレーディングを中核とする Global Banking & Markets と、運用資産 $3.65 兆の Asset & Wealth Management が二本柱。Q1 2026 は総収益 +14%・純利益 +19% と記録的だが、ROE 水準は MS・JPM に劣後し、収益の市場依存・景気循環性が構造的弱点。M&A リーグテーブル首位で堀(ディール網)は拡大方向、Basel III の資本中立再提案と金融ローテーションが追い風。論点は強気か弱気かではなく「回復の持続性 vs 循環性」をどの数字で判定するか。総合判定は mixed。

M&A・引受・トレーディングの回復で記録的な四半期を出す GS。堀(ディール網)は拡大も、ROE 水準は MS・JPM に劣後し、収益の循環性が最大の弱点。

スナップショット

2026-06-16 時点

株価

$0.00

時価総額

$330B+

52 週レンジ

$0.00 $0.00

バリュエーション

指標比較補足
予想 PER (Forward P/E)約 15x過去 10 年平均 PER 約 12.5x実績 PER は約 17x。利益のピーク懸念があるため倍率は控えめだが、歴史的平均は上回る
PBR (株価純資産倍率)約 2.6x1 株純資産 $361GS としては歴史的に高い水準。ROE 改善期待が織り込まれており、循環反転で剥落しやすい
配当利回り約 1.6-2.0%四半期配当 $4.50 (前年比 +50%)2026/4 に増配。配当 + 自社株買いで Q1 だけで $6.38B を株主還元
株価 1 年騰落約 +70%52 週安値 $623 → 高値 $1,098金融ローテーション + 規制緩和期待で大幅上昇。良いニュースの相当部分は織り込み済み

競合との比較ROTE / ROTCE (有形自己資本利益率, Q1 2026)

企業自社との対比補足
GSGoldman Sachs21.3%ROE 19.8%絶対水準は高いが 3 社中最下位。トレーディング・IB 依存で振れ幅が大きい
MSMorgan Stanley27.1%ROTCEウェルスマネジメント比率が高く、GS より安定的に高 ROTE を出す
JPMJPMorgan Chase約 23%ROTCE預金・カード・IB の多角化で景気耐性が最も高い
BACBank of AmericaROTCE は 10% 台が定常金利感応度が高く、投資銀行比率は GS より低い。比較の下限グループ

ファンダメンタルズ

総収益 (Q1 2026)

$17.23B

+14% YoY

四半期として記録的水準。GBM が牽引

純利益 (Q1 2026)

$5.63B

+19% YoY

EPS $17.55 は同社史上 2 番目

ROE (年率, Q1 2026)

19.8%

+2.9pp YoY

ROTE は 21.3% (+3.3pp)。ただし MS・JPM には劣後

投資銀行手数料 (Q1 2026)

$2.84B

+48% YoY

M&A 完了案件と株式引受の回復が主因。受注残は 4 年ぶり高水準

CET1 比率 (標準的手法)

12.5%

横ばい圏

市場予想をやや下回り、近い将来の還元余地に制約。規制緩和で必要水準は低下方向

運用資産 (AUS)

$3.65T

記録更新

AWM の手数料収益基盤。循環性の低い安定収益源として戦略上重要

強気材料 / 弱気材料

強気材料

  • M&A・引受サイクルの本格回復

    Q1 2026 の投資銀行手数料は +48% YoY、受注残は 4 年ぶり高水準。2026 年のグローバル案件総額は $3.9 兆 (+15%) 見通しで、私募ファンドの出口・AI 関連 IPO 再開が追い風。

  • ディール網の堀が拡大方向

    2025 年通年で M&A リーグテーブル首位、助言手数料 $4.6B で 2 位 JPM ($3.1B)・3 位 MS ($3B) を大きく引き離す。Q1 2026 も助言 73 件で首位独走、トップとの差は近年最大。

  • 規制緩和という構造的追い風

    2026/3 に Basel III Endgame が『資本中立』で再提案され、19% の資本上乗せ案は撤回。GSIB に CET1 約 4.8% 相当の緩和余地、SLR 緩和も。必要資本低下 → 自社株買い・ROE 押し上げに直結。

  • トレーディングの実力底上げ

    Q1 2026 の Equities は +27% で記録更新。市場ボラティリティ局面での収益捕捉力が高く、FICC が -10% でも全体を牽引。シェア奪取が続いている。

  • 厚い株主還元

    Q1 だけで $6.38B 還元 (自社株買い $5.0B + 配当 $1.38B)。2026/4 に四半期配当を $4.50 へ増配 (前年比 +50%)。資本緩和が進めば還元余地はさらに拡大。

弱気材料

  • 収益の循環性が最大の弱点

    IB 手数料とトレーディングは市場環境に強く依存。M&A・IPO は景気後退やボラティリティ急騰で凍結しやすく、記録的な四半期は『良い局面の上限』を示している可能性がある。

  • ROE 水準は競合に劣後

    ROTE 21.3% は高いが MS 27.1%・JPM 約 23% を下回る。ウェルス・預金比率が低く、ピーク時でも安定収益源が薄いため、評価倍率の上値が抑えられやすい。

  • 良いニュースの織り込み

    株価は 1 年で約 +70%、PBR 約 2.6x は GS として歴史的高水準。M&A 回復・規制緩和・トレーディング好調が相当程度織り込まれ、未達なら倍率の切り下げ余地が大きい。

  • CET1 が予想下回り還元に制約

    Q1 の CET1 12.5% は市場予想をやや下回り、近い将来の自社株買い余地を一時的に制約。資本緩和の最終確定までは還元加速にブレーキがかかる。

  • マクロショックでパイプライン凍結リスク

    GS 自身の予測でも原油 $105-115 への急騰で米景気後退確率 30%。リスクオフで M&A パイプラインが凍結、AWM の私募融資で評価減・解約増の懸念。

投資の見立てと「外れる条件」

各見立ては「何を予想しているか」だけでなく「何が起きたら外れか」をセットで明示する。下の「外れる条件」が満たされたら、その見立ては見直しが必要になる。

M&A・引受サイクルの回復で、投資銀行手数料は前年比 2 桁成長を当面維持し、GBM の ROE は 20% 超を保つ

成立
反証条件
投資銀行手数料が 2 四半期連続で前年比マイナス、または受注残が 4 年ぶり高水準から明確に縮小に転じる
確認方法
四半期決算の Global Banking & Markets 内訳 (投資銀行手数料・受注残コメント、直近は 2026 年 7 月中旬の Q2 決算)

Basel III Endgame の資本中立再提案で必要資本が低下し、CET1 バッファが還元加速 (自社株買い増額) に回る

成立
反証条件
最終規則が GSIB に対し資本中立を覆す上乗せとなる、または CET1 が 12% を割り込み還元が縮小する
確認方法
Fed/FDIC/OCC の最終規則発表 (2026 年内見込み) と四半期の CET1 比率・自社株買い実績

ディール網の堀 (リーグテーブル首位・助言手数料断トツ) が維持され、M&A 助言シェアの優位が広がる

成立
反証条件
M&A 助言手数料で JPM または MS に首位を明け渡す、または年間助言シェアが 30% を明確に下回る
確認方法
四半期・通年の M&A リーグテーブル (助言手数料・案件数・市場シェア)

AWM の運用資産 (AUS) 拡大で循環性の低い手数料収益が増え、収益の振れ幅が緩和する

評価中
反証条件
AUS が記録水準 ($3.65T) から 2 四半期連続で減少、または管理手数料収益が前年比マイナスに転じる
確認方法
四半期決算の Asset & Wealth Management セグメント (AUS・管理手数料)

リスク

リスク要因重大度補足
収益の景気循環性・市場依存IB 手数料とトレーディングが収益の中核。景気後退・ボラティリティ急騰で M&A/IPO が凍結すると利益が急減する構造的脆弱性。
マクロショック (原油急騰・リスクオフ)原油 $105-115 で米景気後退確率 30% (GS 自社予測)。リスクオフ局面でパイプライン凍結と AWM の私募融資評価減リスク。
規制最終化の不確実性資本中立の再提案は方向性であって最終規則ではない。政権・人事の変動で資本緩和が後退すれば還元シナリオが崩れる。
バリュエーションの剥落リスクPBR 約 2.6x・1 年 +70% は循環ピーク特有の高評価。利益の前年比減速だけで倍率の切り下げ (de-rate) が起きやすい。

今後の注目イベント

イベント時期注目度補足
Q2 2026 決算2026 年 7 月中旬IB 手数料・受注残・トレーディング収益・CET1 の続伸有無。見立て『回復の持続性』の最初の検証点。
Basel III Endgame 最終規則2026 年内見込み資本中立が確定すれば必要資本低下 → 自社株買い加速 → ROE 押し上げ。規制緩和の流れと直結。
M&A/IPO パイプラインの実現2026 年下期ヘルスケア・グリーンエネルギーのメガディール、AI・航空宇宙 IPO の上場進捗が手数料収益に直結。
Fed の追加規制緩和 (SLR 等)2026 年随時SLR を一律 5% → 3.4-4.3% へ緩和する案。レバレッジ制約緩和でトレーディング資本効率が改善。

公式情報源

Goldman Sachs (GS) は、M&A 助言・株式/債券引受とトレーディングを束ねる Global Banking & Markets を中核に、運用資産 $3.65 兆の Asset & Wealth Management を第二の柱とする投資銀行です。2026 年は M&A・IPO の回復、規制緩和、金融セクターへのローテーションが重なり記録的な四半期を出していますが、論点は「強気か弱気か」ではなく「この水準がどれだけ持続するか」にあります。

投資の見立て

🎯 要点: GS は 2026 年 6 月時点で「循環の良い局面の頂点付近」にいる銘柄です。堀 (ディール網) は拡大方向ですが、ROE 水準で競合に劣後し、株価が良い材料を相当織り込んでいるため、総合判定は mixed とします。

Q1 2026 は総収益 $17.23B (+14% YoY)、純利益 $5.63B (+19%)、EPS $17.55 (同社史上 2 番目)、ROE 19.8%・ROTE 21.3% と記録的でした。問題は、この水準がどれだけ続くかです。判定の核は強気/弱気の二択ではなく、「回復の持続性 vs 循環性」をどの数字で見るかにあります。

📚 用語: ROE / ROTE ROE (Return on Equity, 自己資本利益率) は純利益を株主資本で割った収益性指標。ROTE (Return on Tangible Equity, 有形自己資本利益率) は、のれん等の無形資産を除いた有形株主資本ベースで測る指標で、買収を重ねた金融機関の「実質的な稼ぐ力」を比較しやすくする。銀行どうしの収益性比較では ROTE/ROTCE がよく使われる。

GS は「良い局面で大きく稼ぎ、悪い局面で大きく落ち込む」典型的なシクリカル (景気敏感) 銘柄です。記録的な数字そのものより、その数字が「上限を示しているのか、新しい巡航速度なのか」を見極めることが、この銘柄を理解する鍵になります。

会社概要 — 何で稼いでいるか

🎯 要点: 収益の太宗は循環性の高い Global Banking & Markets (GBM)。第二の柱 Asset & Wealth Management (AWM) が循環性の低い安定収益源で、収益の振れ幅を緩和する戦略上の鍵です。

GS は 3 セグメントで構成されます。中核の Global Banking & Markets (GBM) が Q1 2026 で $12.74B (+19% YoY) と全体を牽引しました。内訳は次のとおりです。

  • 投資銀行手数料 $2.84B (+48% YoY) — M&A 完了案件と株式引受の回復が主因
  • Equities トレーディング $5.33B (+27%、記録更新)
  • FICC (債券・通貨・コモディティ) トレーディング $4.01B (-10%)

投資銀行と Equities の急回復が FICC の減速を吸収した構図で、今サイクルの主役は投資銀行 (M&A・引受) の回復だと分かります。

第二の柱 Asset & Wealth Management (AWM) は $4.08B (+10%)、運用資産 (AUS) は $3.65 兆と記録を更新しました。AWM は市場環境に左右されにくい手数料収益源で、収益の振れ幅を緩和する戦略上の鍵です。

第三の Platform Solutions は $411M (-33%) と落ちましたが、これは Apple Card ローン債権の売却目的保有への移管に伴う評価減という一過性要因で、本業の実力悪化ではありません。

⚠️ 注記: Platform Solutions の減収は本業の劣化ではない Q1 2026 の Platform Solutions -33% は Apple Card 関連の会計上の移管 (評価減) によるもの。むしろこれを除けば本業のモメンタムはさらに強い。純利益 $5.63B には大きな評価益・税効果のかさ上げは見当たらず、営業段階の実力値に近い。EPS +24% は自社株買いによる株数減も寄与している。

競争優位 (堀) の分析

🎯 要点: 堀の出所はブランド・人材・ディール網という無形資産。M&A 助言の市場地位がその象徴で、リーグテーブル首位という形で堀は「広がって」います。ただし収益性 (ROTE) では競合に劣後し、堀は narrow (狭い) と評価します。

GS の堀の出所は、ブランド・トップ人材・ディール網 (案件の依頼が集まる無形のネットワーク) です。これを 1 指標で見ると、M&A 助言の市場地位が象徴的になります。

2025 年通年で GS は助言手数料 $4.6B で首位に立ち、2 位 JPM ($3.1B)・3 位 MS ($3B) を大きく引き離しました。Q1 2026 も助言 73 件 (+46% QoQ) で首位独走、トップとの差は近年最大です。堀は「維持」ではなく「広がっている」段階にあります。

📚 用語: 堀 (moat) / リーグテーブル 堀 (moat) は競合が真似しにくい持続的な競争優位の比喩。投資銀行業界では、案件規模・件数・助言手数料で各社を順位付けした「リーグテーブル」が市場地位の代理指標になる。首位を取り続けること自体が、大型案件の依頼が集まりやすくなる正のループ (ネットワーク効果に近い無形資産) を生む。

競合との比較

堀の弱い縁は収益性に現れます。GS の ROTE 21.3% は絶対水準では高いものの、競合 2 社に劣後します。

  • MS (Morgan Stanley) — ROTCE 27.1%。ウェルスマネジメント比率が高く、GS より安定的に高い収益性を出す
  • JPM (JPMorgan Chase) — ROTCE 約 23%。預金・カード・IB の多角化で景気耐性が最も高い
  • GS (Goldman Sachs) — ROTE 21.3%。3 社中最下位。トレーディング・IB 依存で振れ幅が大きい
  • BAC (Bank of America) — ROTCE は 10% 台が定常。金利感応度が高く投資銀行比率は低い、比較の下限グループ

MS はウェルスマネジメント、JPM は預金・カード・IB の多角化で安定収益源が厚く、ピーク時でも GS の方が振れ幅が大きいという構造差が出ています。堀の最も脆い縁は「助言での優位が、トレーディング・IB の循環ボラティリティを相殺できない」点にあります。堀そのものは本物ですが、収益の安定性まで守ってくれるわけではないため、moat は narrow と評価します。

ファンダメンタルズ

🎯 要点: Q1 2026 は総収益 +14%・純利益 +19% と記録的。資本 (CET1 12.5%) は市場予想をやや下回り、株主還元は Q1 だけで $6.38B と厚い。規制緩和が進めば必要資本は低下し、還元余地はさらに広がります。

収益性は記録的水準にあります。総収益 $17.23B (+14% YoY)、純利益 $5.63B (+19%)、EPS $17.55、ROE 19.8%・ROTE 21.3% (それぞれ前年から +2.9pp・+3.3pp 改善) と、四半期として強い数字です。投資銀行手数料 $2.84B (+48%) と受注残の 4 年ぶり高水準が、回復の持続性を支える材料になっています。

📚 用語: CET1 比率 / 受注残 (backlog) CET1 (Common Equity Tier 1) 比率は、銀行の中核的自己資本をリスク資産で割った健全性指標。規制で最低水準が定められ、これが高いほど損失吸収力があるが、低いほど (規制の許す範囲で) 自社株買い・配当に資本を回せる。受注残 (backlog) は、契約済みだが未完了の M&A 案件など将来の手数料収益の先行指標で、増減が今後の投資銀行収益を予告する。

資本面の CET1 比率 (標準的手法) 12.5% は、市場予想をやや下回りました。近い将来の還元余地を一時的に制約する数字ですが、規制緩和で必要水準は低下方向にあります。株主還元は Q1 だけで $6.38B (自社株買い $5.0B + 配当 $1.38B)、四半期配当は 2026/4 に $4.50 へ増配 (前年比 +50%) と厚く、資本緩和が進めば還元はさらに加速し得ます。

循環性の低い AWM の運用資産 (AUS) が $3.65 兆と記録を更新した点も、収益の振れ幅を緩和する材料として戦略上重要です。

バリュエーション

🎯 要点: 予想 PER 約 15x・PBR 約 2.6x はいずれも GS の歴史的水準を上回り、株価は 1 年で約 +70%。良いニュースが相当織り込まれており、循環反転時に倍率が剥落しやすい状態です。

倍率は割安ではありません。

  • 予想 PER 約 15x — 過去 10 年平均の約 12.5x を上回る (実績 PER は約 17x)。利益のピーク懸念から PER 自体は控えめだが、歴史的平均比では高い
  • PBR 約 2.6x — 1 株純資産 $361 に対し、GS として歴史的に高い水準。ROE 改善の持続を織り込んでいる
  • 配当利回り 約 1.6-2.0% — 四半期配当 $4.50 (前年比 +50%)
  • 株価 1 年騰落 約 +70% — 52 週安値 $623 (2025/6) から高値 $1,098 (2026/6/5) まで上昇、6/16 時点で $1,090 前後

PER が控えめなのは利益のピーク懸念の裏返しですが、PBR 約 2.6x は「ROE 改善が続く」という前提を織り込んでいます。循環が反転して利益が前年比で減速するだけで、この PBR は剥落しやすいという点が、バリュエーション面の最大の注意点です。

⚠️ 注記: 株価の精密な水準は時点依存 上記の株価・倍率は 2026 年 6 月中旬時点の概況。シクリカル銘柄は局面によって倍率が大きく動くため、判断時には最新の決算 (利益のトレンド) と株価水準を必ず確認すること。

強気材料と弱気材料

🎯 要点: 強気は「M&A・引受の本格回復」「拡大する堀」「規制緩和」、弱気は「収益の循環性」「ROE 劣後」「織り込み済みの好材料」。両者を貫く共通軸は『収益の循環性』です。

強気材料 (Bull):

  1. M&A・引受サイクルの本格回復 — Q1 2026 の投資銀行手数料 +48% YoY、受注残は 4 年ぶり高水準。2026 年のグローバル案件総額は $3.9 兆 (+15%) 見通しで、私募ファンドの出口・AI 関連 IPO 再開が追い風
  2. ディール網の堀が拡大方向 — 2025 年通年で M&A リーグテーブル首位、助言手数料 $4.6B で 2 位 JPM・3 位 MS を大きく引き離す。Q1 2026 も助言 73 件で首位独走
  3. 規制緩和という構造的追い風 — Basel III Endgame の資本中立再提案で 19% 上乗せ案は撤回。CET1 約 4.8% 相当の緩和余地と SLR 緩和が必要資本低下 → 自社株買い・ROE 押し上げに直結
  4. トレーディングの実力底上げ — Q1 2026 の Equities は +27% で記録更新。FICC が -10% でも全体を牽引するシェア奪取力
  5. 厚い株主還元 — Q1 だけで $6.38B 還元、2026/4 に四半期配当を $4.50 へ +50% 増配

弱気材料 (Bear):

  1. 収益の循環性が最大の弱点 — IB 手数料とトレーディングは市場環境に強く依存。記録的な四半期は「良い局面の上限」を示している可能性
  2. ROE 水準は競合に劣後 — ROTE 21.3% は MS 27.1%・JPM 約 23% を下回る。安定収益源が薄く、評価倍率の上値が抑えられやすい
  3. 良いニュースの織り込み — 株価 1 年で約 +70%、PBR 約 2.6x は歴史的高水準。未達なら倍率の切り下げ余地が大きい
  4. CET1 が予想下回り還元に制約 — Q1 の CET1 12.5% は市場予想をやや下回り、近い将来の自社株買い余地を一時的に制約
  5. マクロショックでパイプライン凍結リスク — 原油 $105-115 で米景気後退確率 30% (GS 自社予測)。リスクオフで M&A 凍結・AWM 評価減の懸念

検証できる見立て

🎯 要点: この銘柄の判断は「強気/弱気」ではなく「次の数字でどう外れるか」を先に決めておくのが教育的です。4 つの見立てと、それぞれの『外れる条件』を数値・期限付きで置きます。

  1. 見立て (回復の持続性) — M&A・引受の回復で投資銀行手数料は前年比 2 桁成長を当面維持し、GBM の ROE は 20% 超を保つ

    • 外れる条件: 投資銀行手数料が 2 四半期連続で前年比マイナス、または受注残が 4 年ぶり高水準から明確に縮小に転じる
    • 確認先: 四半期決算の GBM 内訳 (直近は 2026 年 7 月中旬の Q2 決算)
    • 現状: on-track
  2. 見立て (規制緩和 → 還元加速) — Basel III の資本中立再提案で必要資本が低下し、CET1 バッファが自社株買い増額に回る

    • 外れる条件: 最終規則が資本中立を覆す上乗せとなる、または CET1 が 12% を割り込み還元が縮小する
    • 確認先: Fed/FDIC/OCC の最終規則発表 (2026 年内見込み) と四半期の CET1 比率・自社株買い実績
    • 現状: on-track
  3. 見立て (堀の維持) — リーグテーブル首位・助言手数料断トツが維持され、M&A 助言シェアの優位が広がる

    • 外れる条件: M&A 助言手数料で JPM または MS に首位を明け渡す、または年間助言シェアが 30% を明確に下回る
    • 確認先: 四半期・通年の M&A リーグテーブル
    • 現状: on-track
  4. 見立て (循環性の緩和) — AWM の運用資産拡大で循環性の低い手数料収益が増え、収益の振れ幅が緩和する

    • 外れる条件: AUS が記録水準 ($3.65T) から 2 四半期連続で減少、または管理手数料収益が前年比マイナスに転じる
    • 確認先: 四半期決算の AWM セグメント (AUS・管理手数料)
    • 現状: unknown (緩和が実際に効いているかは継続観察が必要)

リスク

🎯 要点: 最大のリスクは収益の景気循環性とマクロショックで、いずれもパイプライン凍結を通じて利益を急減させ得ます。規制最終化の不確実性とバリュエーション剥落が次点です。

  • 収益の景気循環性・市場依存 (高) — IB 手数料とトレーディングが収益の中核。景気後退・ボラティリティ急騰で M&A/IPO が凍結すると利益が急減する構造的脆弱性
  • マクロショック (原油急騰・リスクオフ) (高) — 原油 $105-115 で米景気後退確率 30% (GS 自社予測)。リスクオフ局面でパイプライン凍結と AWM の私募融資評価減リスク
  • 規制最終化の不確実性 (中) — 資本中立の再提案は方向性であって最終規則ではない。政権・人事の変動で資本緩和が後退すれば還元シナリオが崩れる
  • バリュエーションの剥落リスク (中) — PBR 約 2.6x・1 年 +70% は循環ピーク特有の高評価。利益の前年比減速だけで倍率の切り下げ (de-rate) が起きやすい

⚠️ 注記: 立場別に確認すべき条件 未保有なら、循環ピーク特有の高 PBR を踏まえ「回復の持続 (IB 手数料の前年比 2 桁・受注残維持)」が次の決算で続くかを確認してから判断するのが教育的。含み益なら、外れる条件 (IB 手数料 2 四半期連続マイナス / CET1 の 12% 割れ) に近づいていないかを点検。含み損なら、堀の指標 (M&A リーグテーブル首位) と規制緩和の最終化が崩れていないかが立て直しの軸。いずれの立場でも『収益の循環性』が共通の監視軸になる。

今後の注目イベント

🎯 要点: 最初の検証点は 2026 年 7 月中旬の Q2 2026 決算。年内見込みの Basel III 最終規則が、還元加速シナリオの確定/否定を決めます。

  • Q2 2026 決算 (2026 年 7 月中旬, 重要度: 高) — IB 手数料・受注残・トレーディング収益・CET1 の続伸有無。見立て『回復の持続性』の最初の検証点
  • Basel III Endgame 最終規則 (2026 年内見込み, 重要度: 高) — 資本中立が確定すれば必要資本低下 → 自社株買い加速 → ROE 押し上げ。規制緩和の流れと直結
  • M&A/IPO パイプラインの実現 (2026 年下期, 重要度: 中) — ヘルスケア・グリーンエネルギーのメガディール、AI・航空宇宙 IPO の上場進捗が手数料収益に直結
  • Fed の追加規制緩和 (SLR 等) (2026 年随時, 重要度: 中) — SLR を一律 5% → 3.4-4.3% へ緩和する案。レバレッジ制約緩和でトレーディング資本効率が改善

出典


本記事は情報提供のみを目的としたものであり、投資勧誘や個別銘柄の売買推奨ではありません。記載された数値・見通しは執筆時点の情報に基づくものであり、将来の成果を保証するものではありません。投資判断はご自身の責任において行ってください。

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免責: 本記事は情報提供のみを目的としています。投資勧誘や個別銘柄の売買推奨ではありません。 最終的な投資判断はご自身の責任で行ってください。