Bull Note米国株 デイリー戦略ノート

STOCK · GFS

まちまち狭い (競争優位はあるが盤石でない)
GFSGlobalFoundries (グローバルファウンドリーズ)情報技術 (Information Technology)15

GFS (GlobalFoundries) — スマホ依存脱却の構造転換 + 量子の『つるはし売り』ファウンドリ vs. 成熟ファウンドリに PER 40 倍

GlobalFoundries は 12nm 以上の成熟プロセスに特化した米系専業ファウンドリ (受託製造)。TSMC のような最先端ロジック競争には参戦せず、車載・IoT・通信インフラ・スマホ向けに信頼性とコスト重視の半導体を量産する差別化戦略を取る。見立ての核は 2 つ: (1) スマホ依存から車載 (+24%)・通信インフラ (+32%)・シリコンフォトニクスへの構造転換が Non-IFRS 粗利率 29.0% (+510bp) という形で数字に表れ始めた点、(2) 2026 年 5 月の CHIPS 量子 LOI で $375M を受領し設立した量子受託ファウンドリ QTS が『どの量子方式が勝っても恩恵を受けるつるはし売り』という独自ポジションにある点。ただしフォワード PER 40 倍は成熟ファウンドリの実態 (UMC 17 倍) から大きく乖離しており、総合判定はまちまち——構造転換は本物だがバリュエーションが先行している。

12nm 以上の成熟プロセスに特化した米系専業ファウンドリ。スマホ依存から車載・通信インフラ・光通信への構造転換が粗利率改善で表れ始め、量子受託ファウンドリ QTS ($375M CHIPS) は『どの量子方式が勝っても受注できるつるはし売り』。だがフォワード PER 40 倍は UMC 17 倍の倍以上で、見立て 4 本は粗利率定着・光通信倍増・量子の本契約で検証する。

スナップショット

2026-06-01 時点

株価

$79.85

時価総額

$43.8B

52 週レンジ

$31.51 $92.55

バリュエーション

指標比較補足
PER (実績)57.5x高水準stockanalysis.com / Yahoo Finance とも 57x 台で一致 (6/1 時点)。一過性費用で IFRS 純利益が圧縮され実態より高く出る面あり
予想 PER (フォワード)40.3x成熟ファウンドリとして割高UMC 予想 17x、TSM 同 20x 前後と比べ突出。AI 光通信・量子の成長の上乗せが乗る
PSR (株価売上倍率)約 6.4x時価総額 $43.8B / 売上 TTM $6.84B成熟プロセス専業の純粋ファウンドリとしては高い。倍率拡大は量子・光通信のストーリー依存
EV/EBITDA約 18x概算Non-IFRS EBITDA 年率 約 $2.2B、実質ネットキャッシュ (流動性 $3.8B 対 総債務 $1.15B) を加味。設備投資負担の重い装置産業として高め
配当利回り約 0.6%新規開始四半期 $0.12 の初配当を開始 (権利落ち 6/24)。資本還元への転換のサイン。$500M 自社株買い枠から $400M 執行済み

競合との比較予想 PER / 事業モデル

企業自社との対比補足
UMCUnited Microelectronics予想 PER: 17xGFS 40x より大幅に割安成熟プロセス専業の最も近い競合。GFS は量子・光通信の上乗せ分だけ高い。配当利回り 4% 超で割安感
TSMTSMC予想 PER: 約 20xGFS より低倍率で高成長最先端ロジックの巨人。GFS は同社と競合せず成熟プロセスに特化する差別化。規模・利益率で隔絶
IBMIBM量子 CHIPS: $1B LOI 受領量子ファウンドリで部分競合Anderon (300mm 量子専用ファウンドリ) で GFS の QTS と直接競合しうる。ただし IBM は超伝導方式中心、GFS は方式横断で住み分け余地
IONQIonQ関係性: 量子専業顧客候補かつ需要源トラップイオン方式の量子専業。GFS にとっては競合ではなく将来の受託製造顧客になりうる関係

ファンダメンタルズ

売上 (2026 Q1)

$1.634B

+3% YoY

Q2 見通しは $1.760B ±$25M と加速。底打ち後の回復局面

Non-IFRS 粗利率

29.0%

+510bp YoY

高採算セグメント (車載・通信インフラ) へのミックス改善が効く。IFRS 粗利率も 27.6% へ改善

Non-IFRS EPS (2026 Q1)

$0.40

+18% / 予想 $0.35 超過

IFRS EPS は $0.18 (前年 $0.38) と一過性費用で減。Non-IFRS が実力に近い

純利益 (IFRS、2026 Q1)

$104M

-51% YoY

減損・リストラ等の一過性費用が IFRS 利益を圧迫。実力は Non-IFRS 側で判断すべき

営業キャッシュフロー (2026 Q1)

$542M

+64% YoY

調整後フリーキャッシュフロー $233M。設備投資 $312M を吸収して創出

流動性 / 総債務

$3.8B / $1.15B

実質ネットキャッシュ

現金 $1.849B + 有価証券 $1.924B。財務は健全で量子・光通信投資の原資余力あり

通期売上 / 純利益 (FY2025)

$6.791B / $888M

EPS $1.59

スマホ依存低下 (Smart Mobile 売上 -12% YoY) を車載 +17%・通信インフラ +29% で相殺する構造転換が進行

強気材料 / 弱気材料

強気材料

  • スマホ依存脱却の構造転換が数字に表れ始めた

    車載 +24%・通信インフラ +32% の高採算セグメントがスマホ -5% を相殺し、Non-IFRS 粗利率が +510bp の 29.0% へ拡大。非スマホ + 技術サービスが売上の 2/3 を占めるまで構成が変わった。

  • シリコンフォトニクスが AI データセンターの追い風を捕捉

    2026 年に光通信売上を倍増させる計画。SCALE (光と電子を一体実装する光エンジン) で AI の帯域需要を取り込み、通信インフラ部門は 6 四半期連続二桁成長・通期 high-30% 成長へ上方修正。

  • 量子の『つるはし売り』ポジションを政府公認で確立

    CHIPS $375M で 5 方式横断の QPU 受託ファウンドリ QTS を設立。Google/Microsoft/NVIDIA/PsiQuantum/Quantinuum 等 8 社が支持表明。どの量子方式が勝っても恩恵を受ける勝者非依存モデル。

  • 財務健全で資本還元へ転換

    流動性 $3.8B 対 総債務 $1.15B の実質ネットキャッシュ。営業キャッシュフローは +64% の $542M。初配当 ($0.12) 開始と $400M 自社株買い執行で株主還元フェーズに入った。

  • 半導体安保の国家インフラに認定

    米政府が約 1% の議決権なし少数株式を取得。米国内の成熟プロセス + 量子製造の戦略拠点として CHIPS の後ろ盾を得た。

弱気材料

  • バリュエーションが成熟ファウンドリの実態から乖離

    予想 PER 40x は UMC 17x・TSM 20x の倍以上。成長率 (売上 +3% YoY) は二桁に届かず、倍率は量子・光通信の将来期待に大きく依存。期待が剥がれた時の下押し余地が大きい。

  • 量子事業の売上貢献は当面ゼロに近い

    $375M は本業売上 $6.8B 比で小さく、QTS の量産売上は数年先。量子市場の本格立ち上がりが遅れれば、現在の量子の上乗せ評価は正当化されない。

  • 主力セグメントの底打ちが脆い

    家庭・産業 IoT は -22% YoY と依然軟調。スマホも -5% で消費マーケットの逆風が続く。回復は車載・通信インフラの 2 本足頼みで、景気後退時の分散効果は限定的。

  • IBM の Anderon との量子ファウンドリ競合

    IBM が $1B (GFS の 2.7 倍) で 300mm 量子専用ファウンドリ Anderon を設立。資金規模で劣後し、超伝導方式では IBM の自社調達に押される可能性。

  • IFRS 利益の質に注意

    2026 Q1 の IFRS 純利益は -51% YoY、IFRS EPS $0.18 と Non-IFRS $0.40 の乖離が大きい。一過性費用の頻度次第で『調整後』依存の業績表現に疑念が残る。

投資の見立てと「外れる条件」

各見立ては「何を予想しているか」だけでなく「何が起きたら外れか」をセットで明示する。下の「外れる条件」が満たされたら、その見立ては見直しが必要になる。

高採算セグメント (車載・通信インフラ) へのミックス転換で Non-IFRS 粗利率が 30% を超え定着する

成立
反証条件
FY2026 通期で Non-IFRS 粗利率が 28% を割り込む、または車載/通信インフラの二桁成長が 2 四半期連続で止まる
確認方法
2026 Q3・Q4 決算 (2026 年 10 月・2027 年 2 月) の粗利率とセグメント成長率

シリコンフォトニクス売上が 2026 年に倍増し、AI データセンターの構造成長を取り込む

成立
反証条件
2026 通期で光通信売上の倍増が未達 (前年比 +50% 未満)、または通信インフラ部門の通期成長が high-30% 未満に下方修正
確認方法
2026 Q4 決算 (2027 年 2 月) の光通信売上

Quantum Technology Solutions が 2027 年以降に意味のある受託製造売上を計上し始める

評価中
反証条件
2027 年末までに QTS 関連売上の具体的開示・受注実績が示されない、または CHIPS の最終契約 (definitive agreement) が未締結
確認方法
2027 年通期決算 / CHIPS 最終契約締結時の開示

予想 PER 40x は成長加速で正当化され、PEG 1 倍近辺に収れんする

揺らぎ
反証条件
FY2027 にかけて EPS 成長率が年率 20% 未満にとどまり、PER が 40x を維持できず 30x 以下へ縮小
確認方法
2026 Q4〜2027 通期の EPS 成長率と倍率

リスク

リスク要因重大度補足
バリュエーション剥落リスク予想 40x は成熟ファウンドリとして突出。量子・光通信の期待が剥がれると UMC 並み (17x) への回帰で半値近い下押し余地
半導体サイクルの下振れIoT -22%・スマホ -5% が示す通り消費マーケットは弱い。景気後退で車載・通信インフラまで失速すると回復シナリオが崩れる
量子事業の立ち上がり遅延QTS の売上貢献は数年先で不確実。量子市場の商用化が遅れれば $375M の戦略価値は当面顕在化しない。CHIPS 最終契約も未締結
地政学・中国エクスポージャー成熟プロセスは中国ローカルファウンドリ (SMIC 等) の増産による価格競争に晒される。米中規制の変動も受注に影響
政府株式保有のガバナンス影響議決権なし少数株式 (約 1%) のため経営支配リスクは低いが、政策変更や政権交代時の量子助成方針の不確実性が残る

今後の注目イベント

イベント時期注目度補足
2026 Q2 決算2026年7-8月見通し $1.760B・Non-IFRS EPS $0.43 の達成度。粗利率改善と光通信進捗の確認点
CHIPS 量子 LOI の最終契約締結2026年後半〜2027年$375M の definitive agreement 締結と QTS の具体的ロードマップ・顧客開示。量子の上乗せ評価の実体化を左右
シリコンフォトニクス売上倍増の実績2026 Q3・Q4SCALE 製品の追加設計と AI データセンター向け受注。光通信倍増目標の進捗
車載・通信インフラの設計獲得拡大継続レーダー・電源管理・Ethernet 等の新規設計獲得が将来売上の先行指標
資本還元の拡大2026年内初配当開始後の増配・新規自社株買い枠の設定。資本還元フェーズ深化のサイン

公式情報源

投資の見立て

GlobalFoundries (GFS) は、12nm 以上の成熟プロセスに特化した米系専業ファウンドリ (受託製造) だ。TSMC のような最先端ロジックの微細化競争には参戦せず、車載・IoT・通信インフラ・スマホ向けに、信頼性とコストが重視される半導体を量産する差別化戦略を取る。見立ての核は 2 つある。

第一に、スマホ依存から車載・通信インフラ・光通信への構造転換が、Non-IFRS 粗利率 29.0% (+510bp) という形で数字に表れ始めたこと。第二に、2026 年 5 月の CHIPS 量子イニシアチブで $375M を受領して設立した量子受託ファウンドリ Quantum Technology Solutions (QTS) が、「どの量子方式が勝っても恩恵を受けるつるはし売り」という独自ポジションにあることだ。GFS は量子コンピュータを作る会社ではなく、量子各社の量子プロセッサ (QPU) を量産する「裏方ファウンドリ」を狙う。総合判定は まちまち——構造転換は本物だが、予想 PER 40 倍は成熟ファウンドリの実態 (UMC 17 倍) から大きく乖離しており、バリュエーションが先行している。

📚 用語: つるはし売り (ピック&ショベル) — ゴールドラッシュで実際に儲けたのは金を掘った人より、採掘者につるはしやシャベルを売った業者だった、という逸話に由来する投資の考え方。GFS の量子事業 QTS はまさにこれで、どの量子方式 (掘り手) が勝つかを当てる必要がなく、勝者が誰であれ製造 (つるはし) を請け負って稼げる。勝者選別のリスクを避けられるのが強み。

会社概要 — 何で稼ぐか (成熟プロセス専業の生存戦略)

GFS の本業は成熟プロセス (12nm 以上) の受託製造で、自社設計は持たず顧客の設計を預かって量産する純粋ファウンドリだ。最先端の微細化競争を追わず、車載 MCU・電源管理・レーダー・センサー・シリコンフォトニクスといった「TSMC が追わない特殊用途」に集中する。これが UMC とも共通する成熟プロセス組の生存戦略になる。

セグメント売上 (2026 Q1)構成比前年比特徴
スマートモバイル機器 (Smart Mobile)$558M34%-5%最大セグメントだが縮小傾向。意図的に依存度を下げる戦略
車載 (Automotive)$382M23%+24%最強の成長エンジン。センサー・レーダー・電源管理で設計獲得。6 年連続二桁成長見込み
家庭・産業 IoT (Home & Industrial IoT)$255M16%-22%在庫調整とマクロ逆風で軟調。Q1 に約 50 件の設計獲得で回復の布石
通信インフラ・データセンター$230M14%+32%最高成長率。6 四半期連続二桁成長。シリコンフォトニクス (SCALE) が AI 需要を捉える

FY2025 通期は売上 $6.791B・純利益 $888M (EPS $1.59) で、スマホ依存低下を車載 +17%・通信インフラ +29% で相殺する構造転換が進行している。2026 Q1 では非スマホ + 技術サービスが売上の 2/3 を占めるまで構成が変わった。

競争優位 (堀) の分析 — どこにあるか (評価: 狭い)

GFS の堀の出所は 3 点ある。(1) 車載・防衛など長期認定が必要な分野での顧客スイッチングコスト (一度設計に採用されると数年は外せない)、(2) 米国内 (ニューヨーク・バーモント) + ドイツ・シンガポールに分散した地政学的に信頼される製造拠点、(3) CHIPS による政府の後ろ盾と量子ファウンドリの先行者地位だ。特に量子事業 QTS は 5 方式横断の受託製造により「量子レースの勝者を当てる必要がない」勝者非依存モデルで、IBM/IONQ/QBTS/RGTI のどれが勝っても受注しうる。

ただし堀の 最も脆い縁は本業の成熟プロセスにある。SMIC など中国のローカルファウンドリが国家補助で増産しており、汎用品では価格競争に晒されやすい。差別化は特殊プロセスへの集中度で守るしかなく、TSMC ほどの「最先端独占」という強い堀は持たない。だから moat 評価は「狭い」。

競合相対 — 絶対評価で終わらせない

最も近い競合 UMC は予想 PER 17 倍・配当利回り 4% 超で「割安な成熟ファウンドリ」として評価される一方、GFS は予想 PER 40 倍と倍以上の上乗せが付く。この差は量子・シリコンフォトニクスの成長ストーリーが GFS に乗っているためだ。

優位が広がる方向としては、AI データセンター向け光通信と量子製造で GFS が UMC に対し技術的リードを拡大しつつある。逆に狭まるリスクは、成長率自体 (売上 +3% YoY) が二桁に届かず、上乗せ評価が期待先行である点。量子では IBM が $1B (GFS の 2.7 倍) で Anderon を設立し資金規模で先行するため、量子ファウンドリ領域では GFS の相対優位がむしろ狭まる可能性がある。

📚 用語: 受託ファウンドリ (Foundry) — 自社で半導体を設計せず、他社の設計を預かって製造に専念する事業モデル。GFS の量子事業 QTS も、量子各社の QPU 設計を預かって量産する「製造の裏方」。設計の勝ち負けに賭けず、製造手数料で稼ぐのが特徴だ。

ファンダメンタルズ — 数字で見る健全性

2026 Q1 (1-3月期、2026年5月発表) は売上 $1.634B (+3% YoY)、Non-IFRS 粗利率 29.0% (+510bp YoY)、Non-IFRS EPS $0.40 (予想 $0.35 超過) と実力ベースで明確に改善している。

ただし注意が要る。IFRS 純利益は $104M (-51% YoY)、IFRS EPS $0.18 と、一過性費用 (減損・リストラ等) が圧迫しており、実力は Non-IFRS 側で判断すべきだ。この IFRS と Non-IFRS の乖離の大きさは利益の質として注視点になる。営業キャッシュフローは +64% の $542M、調整後フリーキャッシュフロー $233M を設備投資 $312M を吸収しつつ創出した。流動性 $3.8B 対 総債務 $1.15B の実質ネットキャッシュで財務は健全だ。初配当 $0.12 開始と $400M 自社株買い執行で資本還元フェーズに入った。Q2 見通しは売上 $1.760B・Non-IFRS EPS $0.43 と加速を見込む。

バリュエーション — 高いのか安いのか

2 ソース (stockanalysis.com / Yahoo Finance) で実績 PER 57 倍・予想 PER 40 倍が一致 (6/1 時点)。PSR は時価総額 $43.8B / 売上 TTM $6.84B から約 6.4 倍だ。

成熟プロセス専業の UMC (予想 17 倍) や TSM (同 20 倍前後) と比べ突出して高く、量子・光通信の成長の上乗せが正当化できるかが焦点になる。実績 PER 57 倍は一過性費用で IFRS 純利益が圧縮され実態より高く出ている面があり、予想 40 倍の方が実力に近い。それでも成長率 +3% に対し 40 倍は PEG (PER ÷ 成長率) で 1 を大きく超え、期待先行の水準だ。

📚 用語: PEG (PER ÷ 利益成長率) — PER が高くても利益が速く伸びるなら割高とは言えない、という考えで、PER を年成長率 (%) で割った指標。1 倍前後が妥当圏とされる。GFS は予想 PER 40 倍に対し売上成長 +3% なので、利益成長が伴わなければ PEG は大きく 1 を超え、割高と判断される。

量子の深掘り — CHIPS $375M と QTS は何を意味するか

CHIPS の $375M は、GFS にとって「量子の勝者を当てなくてよいつるはし売り」ポジションを政府公認で確立した意味を持つ。GFS は量子コンピュータを作る会社ではなく、超伝導・トラップイオン・フォトニック・トポロジカル・シリコンスピンの 5 方式横断で、QPU・極低温制御/読み出し IC・先端パッケージ・超伝導インターコネクトを受託製造する「量子業界の裏方ファウンドリ」だ。Google/Microsoft/NVIDIA/PsiQuantum/Quantinuum など 8 社が支持表明しており、需要源の裾野は広い。

米政府が約 1% の議決権なし少数株式 (経営の投票権を持たない、過半数に満たない持ち分) を取得した点は、(1) GFS が半導体安保の国家インフラとして認定された象徴であり、(2) 経営支配を伴わないためガバナンスリスクは低い一方、(3) 政権交代時の量子助成方針の不確実性を残す。ただし $375M は本業 $6.8B 比では小さく QTS の量産売上は数年先のため、当面は本業 (成熟プロセス) の将来オプションと位置づけるのが妥当だ。IBM が $1B で Anderon を設立した点は、資金規模で劣後する競合圧力になる。

📚 用語: 極低温制御/読み出し IC (Cryo-CMOS) — 量子ビットは絶対零度近くの極低温で動作するため、その環境で量子ビットを制御・読み出すための専用半導体。GFS が QTS で量産する中核製品の一つで、量子計算機の規模拡大 (スケーリング) のボトルネックを解く鍵とされる。

強気材料 / 弱気材料

強気の核は「構造転換が粗利率に表れた」点と「量子のつるはし売り」だ。車載 +24%・通信インフラ +32% がスマホ -5% を相殺し、Non-IFRS 粗利率が +510bp。量子事業 QTS は勝者選別のリスクを負わずに「量子ブーム全体に賭ける」乗り方を提供する。

弱気の核は「成熟ファウンドリに PER 40 倍は高い」だ。成長率 +3% は二桁に届かず、UMC 17 倍の倍以上の倍率は量子・光通信の期待が剥がれれば下押しされる。IoT -22% の軟調も底打ちの脆さを示す。

投資の見立てと「外れる条件」

書き手が立場を取った 4 つの見立てを、それぞれ「主張」「外れる条件 (具体的な数値・期限)」「確認方法」で示す。この記事の核だ。

  1. 粗利率が 30% を超え定着する — 外れる条件: FY2026 通期で Non-IFRS 粗利率が 28% を割り込む、または車載/通信インフラの二桁成長が 2 四半期連続で止まる (確認: 2026 Q3・Q4 決算)。現状は 成立方向
  2. シリコンフォトニクス売上が 2026 年に倍増する — 外れる条件: 2026 通期で光通信売上の倍増が未達 (前年比 +50% 未満) (確認: 2026 Q4 決算)。現状は 成立方向
  3. QTS が 2027 年以降に意味のある受託製造売上を計上し始める — 外れる条件: 2027 年末までに QTS 関連売上の開示・受注実績が示されない、または CHIPS 最終契約が未締結 (確認: 2027 年通期決算)。現状は 不明
  4. 予想 PER 40 倍が成長加速で正当化される — 外れる条件: FY2027 にかけて EPS 成長率が年率 20% 未満にとどまり、PER が 30 倍以下へ縮小 (確認: 2026 Q4〜2027 通期)。現状は 揺らぎ

リスク

最大の構造リスクは バリュエーション剥落だ。予想 40 倍は成熟ファウンドリとして突出しており、量子・光通信の期待が剥がれると UMC 並み (17 倍) への回帰で半値近い下押し余地がある。次いで半導体サイクルの下振れ、量子事業の立ち上がり遅延、中国ローカルファウンドリとの価格競争が続く。政府株式保有はガバナンス影響が小さいため severity を低く置いた。

今後の注目イベント — 株価を動かす材料

最優先は 2026 Q2 決算 (7-8 月) で、見通し $1.760B・Non-IFRS EPS $0.43 の達成度と粗利率・光通信の進捗が見立て 1・2 の検証点になる。同列で CHIPS 量子 LOI の最終契約締結 (2026 後半〜2027) が、量子の上乗せ評価の実体化を左右する。シリコンフォトニクス売上倍増の実績 (Q3・Q4)、車載・通信インフラの設計獲得も先行指標だ。

立場別の視点

立場確認すべき条件 (売買命令ではない)
未保有成熟ファウンドリに予想 PER 40 倍を払う妥当性。UMC 17 倍との差を量子・光通信が埋められるか。エントリーは粗利率 30% 定着の確認後に余地
含み益Non-IFRS 粗利率 30% と光通信倍増が崩れていないか。量子の上乗せ評価が剥がれた時に UMC 倍率への回帰余地があることを意識
含み損見立て 1・2 (粗利率・光通信) が崩れたか。粗利率 28% 割れ・光通信倍増未達なら撤退、サイクル要因の一時的な軟調なら別判断

長期で確認すべき指標 5 つ

  1. Non-IFRS 粗利率 — 30% を超え定着するか (見立て 1 の生命線)
  2. シリコンフォトニクス (通信インフラ) 売上の成長率 — 2026 年倍増の達成 (見立て 2)
  3. QTS 関連売上の開示・受注実績と CHIPS 最終契約 — 2027 年以降の量子の実体化 (見立て 3)
  4. 予想 PER と EPS 成長率の乖離 (PEG) — 割高の是正/拡大 (見立て 4)
  5. 車載・通信インフラの新規設計獲得件数 — 将来売上の先行指標

出典

  1. GlobalFoundries launches Quantum Technology Solutions (公式プレスリリース, 2026/5/21)
  2. GlobalFoundries Q1 2026 6-K (SEC filing, gfs-20260331)
  3. GlobalFoundries Q1 2026 6-K 決算 (StockTitan ミラー)
  4. GlobalFoundries FY2025 20-F (SEC, gfs-20251231)
  5. GlobalFoundries 4Q/FY2025 6-K 決算 (SEC)
  6. GlobalFoundries Q1 2026 slides: margins expand, photonics drive growth (Investing.com)
  7. GlobalFoundries Q1 2026 earnings call transcript (Investing.com)
  8. GFS Stock Analysis (valuation metrics, stockanalysis.com)
  9. GlobalFoundries stock hits 52-week high (Investing.com)
  10. $2B CHIPS Quantum Package: Fabs, Not Research (PostQuantum)
  11. GlobalFoundries To Receive $375M To Build Quantum Manufacturing (Quantum Zeitgeist)
  12. GlobalFoundries Opens QPU Foundry: $375M CHIPS Award (TechTimes)
  13. United Microelectronics: mature-node foundry valuation (Seeking Alpha)
  14. Yahoo Finance — 商務省 CHIPS 量子 9 社 $2B 投資 (政府の少数株式)

本記事は情報提供のみを目的としています。投資勧誘や個別銘柄の売買推奨ではありません。最終的な投資判断はご自身の責任で行ってください。

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免責: 本記事は情報提供のみを目的としています。投資勧誘や個別銘柄の売買推奨ではありません。 最終的な投資判断はご自身の責任で行ってください。