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Bull Note米国株 デイリー戦略ノート

INDICATOR · 2026年6月

ハト派
ism-servicesISM 非製造業景気指数 (ISM Services PMI)·2026年7月06日(月) 10:00 ET15

ISM 非製造業景気指数 (ISM Services PMI) 2026年6月 — 総合 54.0 でやや減速も、雇用 51.2 が4か月ぶり拡大復帰・仕入価格 67.7 へ低下で『NFP ショック後の綱引き』を和らげる

2026年6月の ISM Services PMI は総合 54.0 と5月 54.5 からやや減速したが、24か月連続の拡大を維持。最大の注目は雇用 (Employment) が 47.9 → 51.2 と4か月ぶりに拡大へ復帰したこと。7/2 の6月 米雇用統計 (NFP) が +57千人と大幅未達だった直後だけに『サービス業の雇用は思ったより悪くない』とのシグナル。仕入価格 (Prices) も 71.3 → 67.7 へ +3.6pt 低下し、粘着インフレの一服を示唆。事業活動 55.4・新規受注 55.1 は減速したが依然50超。半導体主導の株高 (S&P 500 +0.72%) の陰で、雇用と物価の綱引きを和らげる内容だった。

総合 54.0 でやや減速も24か月連続拡大。雇用 51.2 が4か月ぶり拡大復帰・仕入価格 67.7 へ低下。NFP ショック直後に『雇用は底堅く・インフレ一服』を示すやや安心材料。

ヘッドライン数字

Composite (総合 Services PMI)

54.0上振れ

コンセンサス: 53.5

前月: 54.5

24か月連続の拡大。予想は上回るも5月 54.5 から −0.5pt の減速

Business Activity (事業活動)

55.4下振れ

コンセンサス:

前月: 57.7

−2.3pt の減速。ただし50超は維持し生産・稼働は拡大圏

New Orders (新規受注)

55.1下振れ

コンセンサス:

前月: 57.3

−2.2pt。急加速した5月の反動も、需要は依然50超で底堅い

Employment (雇用)

51.2上振れ

コンセンサス:

前月: 47.9

+3.3pt で4か月ぶりに拡大へ復帰。NFP ショック直後の最大の注目点

Prices Paid (仕入価格)

67.7下振れ

コンセンサス:

前月: 71.3

−3.6pt の低下。19か月連続60超だが粘着インフレはやや一服

実績 vs 予想 vs 前回

Composite (総合 Services PMI)

前回
54.5
予想
53.5
実績
54.0
上振れ

Business Activity (事業活動)

前回
57.7
実績
55.4
下振れ

New Orders (新規受注)

前回
57.3
実績
55.1
下振れ

Employment (雇用)

前回
47.9
実績
51.2
上振れ

Prices Paid (仕入価格)

前回
71.3
実績
67.7
下振れ
ヘッドライン項目ごとの前回・コンセンサス予想・実績。緑=予想上振れ、赤=下振れ。バー長は各項目内での相対値。

過去の推移

Composite (総合 Services PMI)Business Activity (事業活動)New Orders (新規受注)Employment (雇用)Prices Paid (仕入価格)
54.055.455.151.267.72026年5月2026年6月
同一指標コード「ism-services」の過去 2 回の実績値の推移。各系列はヘッドライン項目。

内訳 (サブカテゴリ別)

カテゴリ補足
Business Activity (事業活動)6月 55.4 (5月 57.7)−2.3pt の減速も50超は維持。生産・稼働は拡大圏に残る
New Orders (新規受注)6月 55.1 (5月 57.3)−2.2pt。5月の急加速 (+3.8pt) の反動。需要そのものは崩れていない
Employment (雇用)6月 51.2 (5月 47.9)+3.3pt で4か月ぶり拡大復帰。9業種 (GDP の58%超) が雇用増を報告
Prices (仕入価格)6月 67.7 (5月 71.3)−3.6pt の低下。60超は19か月連続だが物価圧力はやや後退
Inventories (在庫)6月 51.2 (5月 62.5)−11.3pt の急落。過剰在庫の巻き戻し。需要見通しの慎重化を映す
Backlog of Orders (受注残)6月 54.9 (5月 51.3)+3.6pt で拡大。積み残しが増え生産の先行きを下支え

市場反応 (発表後)

S&P 500

+0.72% (7,537.43)

半導体主導の株高。ISM の寄与は限定的だが雇用復帰・物価低下は追い風方向

Nasdaq Comp

+1.12% (26,121.16)

Broadcom-Apple 提携でテック復権。ISM は逆風にはならず

Dow

+0.29% (53,055.91)

初の53,000台・史上最高値。資本財・金融のシクリカル買いが継続

US 10Y Treasury Yield

4.48% (+約11bp)

株高でリスクオン・安全資産売り。ISM 雇用復帰も金利上昇に寄与しうる

USD/JPY

≈162 (円安進行)

利上げ観測の一部戻りで円安。介入警戒ゾーン継続

公式情報源

1 行サマリ

2026年6月の ISM 非製造業景気指数 (ISM Services PMI) は総合 54.0 と5月の 54.5 からやや減速したが、米経済の約7割を占めるサービス業が 24か月連続の拡大を続けたことを示した。この回の主役は総合の水準ではなく サブ指数の中身の入れ替わりだ。5月まで3か月連続で縮小 (50割れ) していた雇用 (Employment) が 47.9 → 51.2 と4か月ぶりに拡大へ復帰し、逆に高止まりしていた仕入価格 (Prices Paid) は 71.3 → 67.7 へ −3.6pt 低下した。7/2 の6月 米雇用統計 (NFP) が +57千人と予想を大幅に下回った直後だっただけに、「サービス業の雇用は思ったより悪くない・インフレ圧力も一服」という、5月のタカ派な内容 (需要加速・物価高止まり・雇用だけ弱い) とは逆向きの、やや安心材料寄りの結果になった。

数字の中身 — ヘッドラインとサブ指数

総合 54.0 は前月5月の 54.5 から −0.5pt 減速したが、依然として拡大圏。ただし需要側 (事業活動・新規受注) が減速する一方、雇用が拡大へ転じ、物価が低下するという「方向感の入れ替わり」が起きた。

サブ指数5月6月前月差読み筋
Composite (総合)54.554.0−0.524か月連続拡大。予想 (53.5 前後) は上回る
Business Activity (事業活動)57.755.4−2.3減速も50超維持。生産・稼働は拡大圏に残る
New Orders (新規受注)57.355.1−2.25月の急加速 (+3.8pt) の反動。需要は依然底堅い
Employment (雇用)47.951.2+3.34か月ぶり拡大復帰。この回の最大の注目点
Prices (仕入価格 / Prices Paid)71.367.7−3.660超は19か月連続だが物価圧力はやや後退
Inventories (在庫)62.551.2−11.3急落。過剰在庫の巻き戻し・見通し慎重化
Backlog of Orders (受注残)51.354.9+3.6積み残し増加で生産の先行きを下支え

注目点は3つ。第一に、雇用サブ指数の拡大復帰。5月まで3か月連続で 48 前後に沈んでいた雇用が 51.2 へ跳ね、ISM 委員長は「9業種 (米 GDP の58%超) が雇用増を報告した」と述べた。7/2 の NFP (+57千人と大幅未達) の直後だけに、「サービス業の現場では採用が細っていない」というカウンターのシグナルになる。第二に、仕入価格の低下。71.3 → 67.7 と −3.6pt 下がり、5月まで居座っていた「サービスの粘着インフレ」がやや一服した。60超は19か月連続で高水準ではあるが、方向は明確に低下に転じた。第三に、需要側の減速。事業活動 55.4・新規受注 55.1 と、急加速した5月からは反動で落ちたが、いずれも50超を保ち「拡大の勢いが鈍っただけで崩れてはいない」構図だ。総じて「需要はやや減速・雇用は復帰・物価は低下」——5月の「需要加速・雇用弱い・物価粘着」とちょうど鏡像の、Fed にとっては動きやすい方向への変化だった。

📚 用語: 50ラインの意味 ISM の PMI 系は「拡大企業の割合 − 縮小企業の割合 + 横ばいの半分」で算出する拡散指数 (Diffusion Index)。50超で景気拡大、50割れで縮小を示す。ただし「50超=前月より良い」ではなく「拡大と答えた企業が縮小を上回る」だけで、水準そのものの絶対値より50との距離と方向 (前月差) を併せて読むのが基本。今回の雇用は 47.9 → 51.2 と「縮小から拡大へ」符号が反転した点が重要で、単なる水準改善以上の意味を持つ。

業種の内訳 — 14業種が拡大・4業種が縮小

6月は14業種が拡大、4業種が縮小を報告した。拡大側には芸術・娯楽 (Arts, Entertainment & Recreation)、鉱業 (Mining)、卸売 (Wholesale Trade)、運輸・倉庫 (Transportation & Warehousing)、金融・保険 (Finance & Insurance)、宿泊・飲食 (Accommodation & Food Services)、小売 (Retail Trade)、情報 (Information)、建設 (Construction)、公益 (Utilities) などが並び、消費・物流・金融の裾野が広い。縮小側は農林水産 (Agriculture, Forestry, Fishing & Hunting)、教育 (Educational Services)、企業管理・支援サービス (Management of Companies & Support Services)、行政 (Public Administration) の4業種にとどまった。

回答者コメントには依然として地政学・関税起因のコスト増が残る。宿泊・飲食業からは「ペルシャ湾岸の紛争によるディーゼル燃料コスト上昇と投入コスト増で価格が上がり続けている」、農業からは「春作物の収穫激減で飼料費が急増、イラン戦争による肥料高と運賃高でコストが損益分岐点を超えた」といった声が出た。一方、建設業の「データセンター向け配管部品の価格上昇とリードタイム長期化」というコメントは、AI データセンター投資がサービス業側の需要としても立ち上がっている実態を映す。

市場反応

US 7/6 (月) のセッションは、半導体の大反発 (Broadcom-Apple 提携 2031 年延長) が主役で、ISM Services はサブの材料にとどまった。S&P 500 は +0.72% の 7,537.43、Nasdaq 総合 +1.12% の 26,121.16、Dow は +0.29% の 53,055.91 で初の53,000台・史上最高値。株価を動かしたのは半導体センチメントであり、ISM が直接のトリガーになったわけではない。ただし ISM の中身 (雇用復帰・物価低下) は、この日のリスクオン地合いに逆風とはならず、むしろ「景気は底堅く・インフレは一服」という追い風方向に整合した。

  • S&P 500 / Nasdaq / Dow — S&P 500 +0.72% (7,537.43)、Nasdaq Comp +1.12% (26,121.16)、Dow +0.29% (53,055.91)。半導体主導の株高で、ISM は地合いを崩さなかった。
  • US 10Y Treasury Yield — 4.48% (前日比約 +11bp)。株高でリスクオンが進み安全資産 (国債) が売られた。ISM 雇用の拡大復帰も、景気の底堅さを裏づけて金利上昇に多少寄与しうる。
  • USD/JPY — 約162へ円安進行。利上げ観測の一部戻りと日米金利差でドル円が高止まり、160台の介入警戒ゾーンが続く。

📚 用語: Prices Paid (仕入価格指数) 企業が原材料・サービスに支払う価格の拡散指数。製造業・サービス業ともに「CPI・PCE に2〜3ヶ月先行する粘着インフレの先行指標」として重視される。50超は価格上昇企業が下落企業を上回ることを意味し、70台はかなり強い物価上昇圧力。サービス業は人件費比率が高く、ここが下がりにくい=賃金経由の「最後に残るインフレ」を映す。今回 71.3 → 67.7 と低下したことは、その「最後に残るインフレ」がピークアウトし始めた可能性を示す点で注目に値する。

Fed への含意 — NFP ショック直後の「雇用の綱引き」

この回の ISM が持つ最大の意味は、7/2 の6月 米雇用統計 (NFP) が +57千人と予想 (110〜115千人) を大幅に下回り、4・5月合計 −74千人の下方改定まで加わった直後に出た、ということだ。NFP は「労働市場が急減速している」というハト派 (利下げ寄り) のシグナルを送ったが、その4日後の ISM 雇用サブ指数は 47.9 → 51.2 と4か月ぶりに拡大へ復帰した。二つの雇用指標が逆を向いたことで、「サービス業の現場では雇用がむしろ持ち直している」という綱引きの材料が加わった。

同時に、仕入価格が 71.3 → 67.7 へ低下したことは、Fed が最も警戒してきた「サービスの粘着インフレ」がやや和らいだサインだ。67.7 は2月以来の70%割れで、原油 (WTI) が2月来はじめて $70 を割れたことも背景にある。「雇用は思ったより底堅く、インフレ圧力は後退」という組み合わせは、景気後退を過度に織り込む必要がない一方で利下げを急ぐ理由も弱める、いわば中立方向への地ならしとして働く。実際、7/2 の NFP ショックを受けて CME FedWatch では9月会合の据え置き確率が上昇し (NFP 前後で概ね 36% → 47% 前後)、7月会合は据え置き本命 (7 割超) のまま利上げ観測が後退した。ISM の「雇用復帰・物価低下」は、この「利上げを急がず、利下げにも動かない」忍耐的な据え置きを side から補強する。Charles Schwab の Collin Martin は「(弱い雇用と物価鈍化は) Fed が今後数か月、利上げへ急ぐより入ってくるデータを見極める忍耐的なアプローチを取ることを許す」と評した。

焦点は、この綱引きを Fed 自身がどう読んでいたかだ。US 7/8 (JST 7/9 (木) 03:00) に公表される FOMC 6月議事要旨は、Warsh 新議長の初陣となった 6/17 会合 (ドット中央値が年末 3.8% へ跳ね上がるタカ派ピボット) の内幕を明かす。声明はわずか130語に短縮され Warsh 自身はドットを出さなかったため、市場は「なぜここまでタカ派に振れたのか」「利上げは全会一致だったのか、保険的な少数意見だったのか」を議事要旨で確かめにいく。NFP の弱さと ISM の雇用復帰という綱引きの下で、議事要旨のニュアンスが9月会合の織り込みを大きく動かす可能性がある。

📚 用語: FOMC 議事要旨 (Minutes) とは FOMC (連邦公開市場委員会) の政策決定から約3週間後に公表される、会合の詳細な議論記録。声明文 (Statement) が結論だけを数百語で伝えるのに対し、議事要旨は「誰がどんな論点で賛成・反対したか」「次の一手の条件は何か」を逐語に近い形で明かす。6月会合は Warsh 新議長の初陣で利下げ→利上げドットへ反転したタカ派ピボットだっただけに、その裏づけと反対意見の有無が最大の関心事になっている。

マクロ含意と長期投資家の視点

この指標が示唆する相場局面

6月の ISM は「拡大は続くが勢いは鈍化し、内部で雇用と物価の力関係が入れ替わる」局面を示す。委員長 Steve Miller は「Services PMI の4つのサブ指数がすべて再び拡大圏かつ12か月平均を上回っている」と総括した。物価については「石油関連品目は今後数か月は値上がり品として挙げられ続けるが、ホルムズ海峡の原油輸送の改善が続けば秋には和らぐはず」と述べ、Prices Paid の低下 (67.7、4か月ぶり低水準) が一過性でない可能性を示唆した。総合の減速 (54.5 → 54.0) は警戒よりも「過熱の正常化」に近く、雇用の復帰と物価の低下はむしろ「軟着陸シナリオ」を補強する。株式にとっては、景気失速の恐怖 (NFP ショック) と粘着インフレの逆風 (5月まで) の両方がやや和らぐ、綱引きの緩む局面だ。ただし総合の減速・在庫の急落 (62.5 → 51.2) は「先行きへの慎重化」も映しており、勢いの鈍化そのものは頭に入れておきたい。

ポジショニング示唆

セクター ETF含意理由
XLK (テクノロジー)追い風インフレ一服・金利の頭打ち観測はグロースの割引率に有利。半導体反発とも同方向
XLF (金融)中立〜ややプラス景気底堅さは利ざやに追い風だが、利下げ観測の綱引きで方向感は限定的
XLY (一般消費財)中立サービス雇用の復帰は個人消費の下支え。ただし需要側 (新規受注) の減速に注意
XLE (エネルギー)中立Prices Paid 低下で粘着インフレの追い風はやや後退。地政学プレミアムは残存

長期投資家は「指数を当てる」より、雇用と物価の綱引きがどちらへ傾くかを、次の CPI (6月分、JST 7/14) と FOMC 議事要旨 (JST 7/9) で確かめる姿勢が要る。今回の ISM は「軟着陸寄り」の一票だが、単月の入れ替わりが定着するかは続報待ちだ。

📚 用語: 拡散指数のサブ指数を「符号」で読む PMI のサブ指数は、水準の絶対値よりも「50をまたいだか (符号が変わったか)」と「12か月平均との位置」で読むと相場への含意が掴みやすい。今回は雇用が縮小 (50割れ) から拡大 (50超) へ符号反転し、物価は高水準ながら明確に低下方向。総合が横ばい圏でも、内部でこうした符号の入れ替わりが起きているときは、相場のドライバー (雇用不安か、インフレ警戒か) が切り替わりつつあるサインになる。

次回 JST 8/5 (火) 発表で確認すべきこと

  1. 雇用サブ指数が50超を維持するか — 6月の拡大復帰 (51.2) が単月の反発か、トレンド転換か。NFP (8/1 発表予定の7月分) との整合も確認。
  2. 仕入価格の低下が続くか — 67.7 からさらに低下すればディスインフレ再開、再上昇なら関税・エネルギー起因の物価圧力の再燃。
  3. 需要側 (事業活動・新規受注) の減速に歯止めがかかるか — 55台の維持か、50割れ接近か。在庫急落 (51.2) の巻き戻しが続くかも要注視。
  4. ISM 公式レポートの業種別コメント — 関税・地政学 (ペルシャ湾岸) の言及比率の増減。
  5. CME FedWatch の9月確率 — FOMC 議事要旨 (7/9) と6月 CPI (7/14) を経て、利下げ/利上げ/据え置きの織り込みがどちらへ動いたか。

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データソース・引用

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免責: 本記事は情報提供のみを目的としています。投資勧誘や個別銘柄の売買推奨ではありません。 最終的な投資判断はご自身の責任で行ってください。