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Bull Note米国株 デイリー戦略ノート

INDICATOR · 2026年5月

タカ派
ism-servicesISM 非製造業景気指数 (ISM Services PMI)·2026年6月03日(水) 10:00 ET13

ISM 非製造業景気指数 (ISM Services PMI) 2026年5月 — 総合 54.5 で予想超え、新規受注 57.3 が加速も雇用は3か月連続縮小、仕入価格は2022年8月来の高水準

2026年5月の ISM Services PMI は総合 54.5 と予想 53.8 を上回り、23か月連続の拡大。事業活動 57.7・新規受注 57.3 と需要側が加速する一方、雇用は 47.9 と3か月連続で縮小し、仕入価格 (Prices) は 71.3 と2022年8月以来の高水準。同日朝の ADP (+122千) と併せ『景気は底堅いがインフレは粘着、雇用だけ弱い』構図で、Fed の利下げ後ずれ観測を補強。10年債は 4.48% へ上昇した。

総合 54.5 で予想超え・新規受注 57.3 加速も雇用は3か月連続縮小、仕入価格 71.3 で2022年8月来高。景気底堅・インフレ粘着・雇用だけ弱いタカ派寄り。

ヘッドライン数字

Composite (総合 Services PMI)

54.5上振れ

コンセンサス: 53.8

前月: 53.6

23か月連続の拡大。予想を上回り、当初速報 (53.8) から上方

Business Activity (事業活動)

57.7上振れ

コンセンサス:

前月: 55.9

+1.8pt の加速。生産・稼働が総合を牽引

New Orders (新規受注)

57.3上振れ

コンセンサス:

前月: 53.5

+3.8pt の大幅加速。12か月平均 (54.7) も上回り需要は底堅い

Employment (雇用)

47.9下振れ

コンセンサス:

前月: 48.0

3か月連続の縮小。採用凍結・欠員不補充のコメント多数

Prices Paid (仕入価格)

71.3上振れ

コンセンサス:

前月: 70.7

+0.6pt。2022年8月 (72.6) 以来の高水準で18か月連続60超

実績 vs 予想 vs 前回

Composite (総合 Services PMI)

前回
53.6
予想
53.8
実績
54.5
上振れ

Business Activity (事業活動)

前回
55.9
実績
57.7
上振れ

New Orders (新規受注)

前回
53.5
実績
57.3
上振れ

Employment (雇用)

前回
48.0
実績
47.9
下振れ

Prices Paid (仕入価格)

前回
70.7
実績
71.3
上振れ
ヘッドライン項目ごとの前回・コンセンサス予想・実績。緑=予想上振れ、赤=下振れ。バー長は各項目内での相対値。

過去の推移

Composite (総合 Services PMI)Business Activity (事業活動)New Orders (新規受注)Employment (雇用)Prices Paid (仕入価格)
54.055.455.151.267.72026年5月2026年6月
同一指標コード「ism-services」の過去 2 回の実績値の推移。各系列はヘッドライン項目。

内訳 (サブカテゴリ別)

カテゴリ補足
Business Activity (事業活動)5月 57.7 (4月 55.9)総合を牽引。生産・稼働の代理指標が +1.8pt 加速
New Orders (新規受注)5月 57.3 (4月 53.5)需要の先行。+3.8pt と急加速し12か月平均 54.7 も上回る
Employment (雇用)5月 47.9 (4月 48.0)3か月連続50割れ。採用凍結・欠員不補充。ADP・NFP の弱さと整合
Prices (仕入価格)5月 71.3 (4月 70.7)2022年8月来の高水準。エネルギー・関税起因の粘着インフレ

市場反応 (発表後)

S&P 500

-0.74% (7,553.68)

ISM 上振れ + ADP 上振れで利下げ後ずれ。最高値翌日の反落と重なる

Nasdaq 100

-0.89% (Comp 26,853.98)

金利上昇・Broadcom 決算 (6/3 引け後) 警戒で軟調

US 10Y Treasury Yield

4.48% (+3.6bp)

Prices 粘着 + ADP 上振れ + 原油高で利回り上昇。約2週ぶりの上げ幅

DXY (ドル指数)

≈99.4 (+0.24%)

景気底堅さ・利下げ後ずれでドル堅調

USD/JPY

≈160 接近 (高値 160.075)

日米金利差でドル円が160へ接近、介入警戒ラインに到達

公式情報源

✅ 注: 本記事は US 2026/6/3 (水) 10:00 ET (JST 6/3 (水) 23:00) の ISM 非製造業景気指数 (ISM Services PMI) 発表当日に執筆し、発表直後は速報の [要確認] を含んでいたが、JST 6/5 時点で ISM 公式レポートの確報値に更新済み。確報では総合が当初速報の 53.8 ではなく 54.5 (予想超え・23か月連続拡大)、サブ指数は事業活動 57.7・新規受注 57.3・雇用 47.9・仕入価格 71.3 と確定した。当日の市場反応 (US 6/3 引け値) も確定値に置き換えた。

1 行サマリ

2026年5月の ISM 非製造業景気指数 (ISM Services PMI) は総合 54.5 と市場予想 (53.8) を上回り、米経済の約7割を占めるサービス業が 23か月連続の拡大を続けたことを示した。中身は「強いが歪んでいる」。需要側の事業活動 (Business Activity) 57.7・新規受注 (New Orders) 57.3 が大幅に加速する一方、雇用 (Employment) は 47.9 と 3か月連続で縮小、仕入価格 (Prices) は 71.3 と 2022年8月以来の高水準に達した。つまり「需要は強い・物価は粘着・雇用だけ弱い」という構図で、同日朝の ADP (+122千で予想超え) と併せて Fed の利下げ後ずれ観測を補強するタカ派寄りの内容。米10年債利回りは 4.48% へ上昇した。

数字の中身 — ヘッドラインとサブ指数

総合 54.5 は前月4月の 53.6 から +0.9pt 改善し、需要側のサブ指数が牽引した。確報の構図は次の通り。

サブ指数4月 (確定)5月 (確報)読み筋
Composite (総合)53.654.523か月連続拡大。予想 53.8 を上回る
Business Activity (事業活動)55.957.7+1.8pt。生産・稼働が総合を牽引
New Orders (新規受注)53.557.3+3.8pt の大幅加速。12か月平均 54.7 も上回る
Employment (雇用)48.047.93か月連続50割れ。採用凍結・欠員不補充
Prices (仕入価格 / Prices Paid)70.771.32022年8月 (72.6) 以来の高水準。18か月連続60超

注目点は3つ。第一に 需要側の加速。新規受注が +3.8pt の 57.3 へ跳ね、事業活動も 57.7 へ。サービス需要そのものは衰えていない。第二に 雇用サブ指数の50割れ継続。3か月連続で 48 前後に沈み、レポートには「採用凍結 (hiring freeze)」「欠員を埋めない (not back filling)」というコメントが頻出した。需要は強いのに雇用を絞る=企業が人件費を警戒し生産性で対応している構図で、ADP・NFP の弱さと整合する。第三に Prices Paid の 71.3 への上昇。2022年8月以来の高水準で18か月連続60超、エネルギーと関税 (Tariffs) 起因の仕入インフレが「サービス業に居座る」シナリオが裏づけられた。「需要は強く、物価は粘着、雇用だけ弱い」——Fed が最も動きにくい組み合わせだ。

📚 用語: 50ラインの意味 ISM の PMI 系は「拡大企業の割合 − 縮小企業の割合 + 横ばいの半分」で算出する拡散指数 (Diffusion Index)。50超で景気拡大、50割れで縮小を示す。ただし「50超=前月より良い」ではなく「拡大と答えた企業が縮小を上回る」だけで、水準そのものの絶対値より50との距離と方向 (前月差) を併せて読むのが基本。

前月分の改定方向

ISM レポートは原則として過去サブ指数の遡及改定を大きくは行わず、季節調整係数の年次更新を除けば月次の改定インパクトは限定的だ。今回も4月分 (53.6) からの月次変化が主役で、「5月に総合・需要側がプラス方向へ加速した」という方向感が市場の解釈を決めた。

市場反応

US 6/3 (水) のセッションは、結果的に 「ISM・ADP の双方が上振れ → 利下げ後ずれ」 で金利上昇・株安に振れた。当初想定した「弱い ADP との綱引き」は、ADP も確報で +122千へ上振れたことで解消し、ISM の需要側加速・Prices 高止まりと同方向 (タカ派) に揃った。これに引け後の Broadcom 決算ショックの前夜という地合い、原油高 (中東) が重なり、最高値翌日の全面反落となった。

  • S&P 500 / Nasdaq Comp / Dow — S&P 500 -0.74% (7,553.68)、Nasdaq Comp -0.89% (26,853.98)、Dow -1.21% (50,687.07)。最高値翌日の反落と利下げ後ずれが重なった。
  • US 10Y Treasury Yield — 4.48% (+3.6bp)。Prices Paid 71.3 の粘着 + ADP 上振れ + 原油高が揃って利回りを押し上げ、約2週ぶりの上げ幅。
  • DXY / USD/JPY — DXY ≈99.4 (+0.24%)、USD/JPY は 160 接近 (高値 160.075)。景気底堅さと利下げ後ずれでドル堅調、ドル円は介入警戒ラインへ。

Fed への含意 — CME FedWatch の確率変化

直前 (5/31 時点) の CME FedWatch は、JST 6/16 (火)–6/17 (水) の FOMC (連邦公開市場委員会) での金利据え置き確率が 99.4%、7月会合でも据え置き 84.4% という「利下げを織り込まない」地合いだった。背景には4月 CPI (消費者物価指数) が前年比 3.8% と中東のエネルギー価格ショックで上振れ、4月 NFP (米雇用統計) が +115千人・失業率 4.3% と労働市場が底堅かったことがある。

今回の ISM Services は、この「利下げを急がない」前提を補強する方向に働いた。総合の上振れ・需要側の加速・Prices Paid の高止まりは、サービス業の粘着インフレが居座ることを示唆し、Fed の様子見を正当化する。同日の ADP も +122千へ上振れたため、当初「ADP の弱さ → ハト派」というシナリオは後退し、市場は利下げ後ずれ方向 (利回り上昇=ベアスティープ気味) に反応した。残された焦点は雇用サブ指数の50割れ (47.9) と、6/5 (金) 本番の 雇用統計 (NFP) で、ここが下振れすれば一気にハト派へ振れる余地は残る。「需要は強いが雇用は弱い」という ISM 内部の歪みが、NFP の解釈を一段難しくしている。

📚 用語: Prices Paid (仕入価格指数) 企業が原材料・サービスに支払う価格の拡散指数。製造業・サービス業ともに「CPI・PCE に2〜3ヶ月先行する粘着インフレの先行指標」として重視される。50超は価格上昇企業が下落企業を上回ることを意味し、70台はかなり強い物価上昇圧力。サービス業は人件費比率が高く、ここが下がりにくい=賃金経由の「最後に残るインフレ」を映す。

アナリスト解釈

"ISM surveys are expected to show ongoing growth, though higher energy costs from Middle East disruptions could slow momentum." — Charles Schwab (週次アウトルック。サービス業の拡大継続を見込みつつ中東起因のエネルギーコストが勢いを削ぐ可能性に言及)

"The upcoming U.S. ISM services PMI for May can be influential in setting NFP expectations and dollar direction this week." — BabyPips (5月 ISM Services が今週の NFP 予想とドルの方向を左右し得るとの指摘)

"57 percent of the panelists mentioned pricing volatility as an issue." — Susan Spence, ISM Manufacturing Business Survey Committee Chair (5月 ISM 製造業レポートの公式コメント。価格のボラティリティを問題視するパネリストが57%に達し、関税・地政学起因の価格圧力がサービス業にも波及する文脈)

製造業レポートのコメントには "The Middle East conflict is triggering shipment delays and uncertainties. Elevated gas prices and inflation will surely impact our purchases." (機械メーカー) という生の声があり、エネルギーと地政学のコストプッシュがサービス業の Prices Paid 高止まりとも同根であることを裏づける。

マクロ含意と長期投資家の視点

この指標が示唆する相場局面

5月の ISM は 「製造とサービスの二極化が縮小し、両輪とも50超だがインフレが粘着する」局面を示す。製造業は5月に 54.0 へ加速し2022年5月来の強さ、Prices Paid は 82.1 と高水準。サービス業も 53.8 で底堅い。景気は失速していないがディスインフレも停滞という、Fed が最も動きにくい「higher for longer 継続」の局面だ。株式にとっては、業績の追い風 (景気拡大) と金利の逆風 (利下げ後ずれ) が拮抗し、指数全体よりセクター・ファクターのローテーションで差がつきやすい。

ポジショニング示唆

セクター ETF含意理由
XLE (エネルギー)追い風中東のエネルギー価格ショックと Prices Paid 高止まりの直接の受益
XLP (生活必需品)中立〜ややディフェンシブ利下げ後ずれ・景気の綱引き局面でクッション役
XLY (一般消費財)慎重サービス雇用の50割れ・ADP 弱含みは個人消費の上値を抑制
XLF (金融)ややプラス利回り高止まり・景気底堅さは利ざやに追い風

長期投資家は「指数を当てる」より、粘着インフレが効くセクター (エネルギー・素材・金融)金利感応度の高いグロースのバランスを意識したい。

📚 用語: 製造業 ISM vs サービス業 ISM の対比 米 GDP の約7割はサービス業、製造業は約1割強。ゆえに景気の体温計としてはサービス業 ISM の方が重い。一方で製造業 ISM は在庫・受注循環に敏感で景気の「変化率」を先取りしやすい。5月は製造業 54.0・サービス業 53.8 と両者が接近し「二極化の縮小」を示すが、Prices Paid は製造業 82.1 > サービス業 70台と製造業側の物価圧力が突出。コストプッシュの起点が財・エネルギー側にあり、サービスへ波及途上であることを読み取れる。

次回 JST 7/6 (月) 23:00 発表で確認すべきこと

  1. 6/5 (金) の雇用統計 (NFP) — ISM 雇用・ADP の弱さが本番でも確認されるか。下振れなら利下げ期待が一気に前進。
  2. ISM Services の Prices Paid 確定値 — 70台維持なら粘着インフレ継続、60台へ低下ならディスインフレ再開のサイン。
  3. ISM 公式レポートの業種別コメント — エネルギー・関税・中東情勢への言及比率 (製造業は中東42%・関税18%)。
  4. CME FedWatch の7月・9月確率 — 発表後に利下げ確率がどちらへ動いたか。
  5. 10年債利回りとカーブ形状 — ベアスティープ (インフレ警戒) かブルスティープ (景気不安) か。次回 CPI (6月分) との整合も確認。

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データソース・引用

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過去の ISM 非製造業景気指数 (ISM Services PMI)

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免責: 本記事は情報提供のみを目的としています。投資勧誘や個別銘柄の売買推奨ではありません。 最終的な投資判断はご自身の責任で行ってください。