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Bull Note米国株 デイリー戦略ノート

EARNINGS · Q2 FY26

まちまち
GMEGameStop Corp.·2026年9月08日(火) AMC19

GME Q2 FY26 — 売上は 2 割減ったのに、営業利益は過去最高。GameStop の決算書はもう小売の決算書ではない

GameStop (GME) の Q2 FY26 は、売上高が 7.902 億ドルと前年同期比 -18.7% まで減った一方で、営業利益は 1.602 億ドルと同社の第 2 四半期として過去最高になった。粗利益率は 29.1% から 43.7% へ 1,460bp 改善している。理由は店で売る物が入れ替わったからで、トレーディングカードなどのコレクティブル (Collectibles) は 3.563 億ドル (+57%) と売上の 45.1% を占め、ビデオゲーム (Video Games) の 33.3% を初めて上回った。さらに損益計算書の営業利益より下では、eBay 株に絡むデリバティブ利益 1.663 億ドル、持分投資の未実現利益 7,210 万ドル、デジタル資産の評価損 7,500 万ドルが並ぶ。純利益 2.987 億ドルのうち本業由来は半分程度で、GAAP 希薄化後 EPS 0.51 ドルに対し調整後は 0.27 ドルだった。バランスシートでは現金が 1 年で 86.9 億ドルから 48.5 億ドルへ減り、代わりに eBay 株 4,340 万株 (49.5 億ドル) が資産に立っている。通期の調整後 EBITDA 見通しは 6.5 億ドル超へ上方修正された。

本業は縮みながら儲かる形に変わり、バランスシートは eBay に賭ける投資会社に変わった。1 枚の決算書に、性格の違う 2 つの会社が同居している。

数字サマリ

EPS

$0.27コンセンサス $0.19上振れ

REVENUE

$0.79Bコンセンサス $0.76B上振れ

EPS

コンセンサス
$0.19
実績
$0.27
上振れ

売上

コンセンサス
$0.76B
実績
$0.79B
上振れ
バー長はコンセンサス予想と実績の大きさに比例。緑=上振れ、赤=下振れ。

主要 KPI

売上高

$790.2m

-18.7% YoY

Nintendo Switch 2 の発売がなくなった反動、店舗閉鎖、フランス事業の売却が主因

粗利益率

43.7%

+1,460bp

この決算で最も大きい変化。売る物の入れ替えがそのまま出た

営業利益

$160.2m

+141% YoY

同社の第 2 四半期として過去最高

コレクティブル (Collectibles)

$356.3m

+57% YoY

売上構成比 45.1% (前年 23.4%)。トレーディングカードが主役

ビデオゲーム (Video Games)

$263.2m

-46.8% YoY

構成比 50.9% → 33.3%。主役の座を明け渡した

GAAP 希薄化後 EPS

$0.51

+64.5% YoY

基本 EPS は 0.67 ドル。転換社債の分だけ希薄化する

調整後純利益

$161.1m

+16.5% YoY

投資損益を除いた実力値。EPS 換算で 0.27 ドル

eBay 株式の保有

$4,946.9m

4,340 万株

1 株あたり約 114 ドル換算。前年同期はゼロ

ガイダンス

項目判定補足
FY2026 調整後 EBITDA6.5 億ドル超上方修正JST 6/26 (金) 時点の「6 億ドル超」から引き上げ
上期の調整後 EBITDA$339.7mコンセンサス並み通期見通しに対して既に半分を超えている
長期債務約 28 億ドル上方修正JST 9/4 (金) までに転換社債 約 14 億ドルを消却。8/1 時点の 41.7 億ドルから圧縮
売上高の見通し非開示据え置き同社は売上のガイダンスを出していない

株価反応

引け値

$18.89

時間外

$18.75

-0.74%

公式情報源

1 行サマリ

売上が 2 割近く減った四半期に、営業利益が過去最高を更新した。店で売る物がゲームソフトからトレーディングカードへ入れ替わり、粗利益率が 29.1% から 43.7% へ跳ねたからである。

GameStop (GME) の決算書には、同時にもう 1 つ別の会社が写っている。営業利益の下の行に、eBay 株をめぐるデリバティブ利益 1.663 億ドルと、デジタル資産の評価損 7,500 万ドルが並んでいる。1 枚の損益計算書に、性格の違う 2 つの事業が同居している。

「1 枚の決算書に、2 つの会社が同居している」の文字が入った図版。開かれた 1 冊の決算書の左ページには小さなカード売り場、右ページには金庫と積み上がったコインの柱が描かれている
上半分は小売、下半分は投資会社。1 枚の損益計算書に性格の違う 2 つの事業が写っている

🎯 要点: この決算の読み方 上半分 (営業利益まで) は「小さくなったが儲かるようになった小売」、下半分 (営業外) は「eBay に賭ける投資会社」。この 2 つを足した数字が純利益 2.987 億ドルであり、足したままの数字で企業価値を語ると必ず間違える


数字の中身 — 売上と利益が逆方向に動いた

減収と増益が同時に起きるとき、原因は「何を売るのをやめたか」にある。

損益計算書の上半分

項目Q2 FY26Q2 FY25変化
売上高790.2 百万ドル972.2 百万ドル-18.7%
売上原価445.2 百万ドル689.1 百万ドル-35.4%
売上総利益345.0 百万ドル283.1 百万ドル+21.9%
粗利益率43.7%29.1%+1,460bp
販管費 (SG&A)187.1 百万ドル218.8 百万ドル-14.5%
営業利益160.2 百万ドル66.4 百万ドル+141%
営業利益率20.3%6.8%+1,350bp

売上が 1.82 億ドル減ったのに、売上総利益は 6,190 万ドル増えた。売上原価が 2.44 億ドルも減ったためである。

同じ 1 ドルの売上に対して、手元に残る粗利が 29 セントから 44 セントに増えた。 小売の損益計算書でこの幅の改善が 1 年で起きることは、通常はない。値上げでも仕入れ交渉でもなく、商品構成そのものが入れ替わったときだけ起きる。

📚 用語: 粗利益率 (Gross Margin) とは 売上高から売上原価を引いた売上総利益が、売上高に対して何 % かを示す指標。小売業では「何を売っているか」がほぼそのまま出る。新品ゲームソフトはメーカーへの仕入れ値が高く粗利益率が低い一方、中古品やコレクティブルは仕入れ値の裁量が大きく粗利益率が高い。同じ会社でも扱う商材が変われば、粗利益率は数年で 10 ポイント以上動く。

販管費が減った理由は 2 つある

販管費は 2.188 億ドルから 1.871 億ドルへ 3,170 万ドル減った。うち店舗関連費が 1.846 億ドルから 1.499 億ドルへ 3,470 万ドル減っている。店舗の閉鎖と、フランス事業の売却が効いた。

ただし売上比で見ると、販管費率は 22.5% から 23.7% へむしろ上がっている。費用の削減ペースが、売上の減少ペースに追いついていない。 粗利益率の改善がなければ、この四半期の営業利益は前年を下回っていた可能性が高い。


売上構成 — 主役がゲームからカードに替わった

この四半期から、同社は売上の内訳区分そのものを作り替えた。

「主役が、ゲームからカードへ替わった」の文字が入った図版。小売の陳列棚の左 3 分の 1 はゲームディスクがまばらに残るだけで空き、右 3 分の 2 は金色のトレーディングカードのパックがぎっしり並んでいる
同じ棚で、置かれる物が入れ替わった。粗利益率の 1,460bp 改善はここから来ている

GameStop は Q2 FY26 から、売上を「コレクティブル (Collectibles)」「ビデオゲーム (Video Games)」「中古・再生品 (Pre-Owned and Refurbished)」の 3 区分で開示するようになった。過去の数字も同じ区分に組み替えて並べている。

Q2 FY26 の売上構成。コレクティブルは 227.6 百万ドル (構成比 23.4%) から 356.3 百万ドル (45.1%) へ +56.5%、ビデオゲームは 494.6 百万ドル (50.9%) から 263.2 百万ドル (33.3%) へ -46.8%、中古・再生品は 250.0 百万ドル (25.7%) から 170.7 百万ドル (21.6%) へ -31.7%。合計は 972.2 百万ドルから 790.2 百万ドル
1 年でコレクティブルとビデオゲームの順位が入れ替わった

1 年前、この会社の売上の半分はビデオゲームだった。いまは 3 分の 1 である。代わりに首位に立ったのがコレクティブルで、中身の主力はポケモンカードをはじめとするトレーディングカードとされる。

開示区分の変更それ自体が、経営側の意思表示になっている。 会社は「経営陣が事業を見て動かしている見方に合わせた」と説明している。決算資料の区分は、経営が何を主軸に据えたかを外部に伝える最も静かな手段である。

⚠️ 注記: 減収の 3 つの理由を混ぜない 売上 -18.7% の要因として会社が挙げているのは、(1) 前年に Nintendo Switch 2 の発売があった反動、(2) 計画的な店舗閉鎖、(3) フランス事業の売却、の 3 つである。このうち (1) はハードウェアのサイクル要因で、来期以降も同じ形では効かない。 一方 (2) と (3) は構造的な縮小であり、売上は今後も細っていく前提で見るのが素直である。

地域別では米国が利益のほぼ全部を稼いでいる

地域売上高営業利益
米国608.2 百万ドル153.2 百万ドル
オーストラリア120.9 百万ドル8.1 百万ドル
欧州61.1 百万ドル-1.1 百万ドル

営業利益 1.602 億ドルのうち 1.532 億ドル、96% が米国事業から出ている。カナダとフランスから撤退した結果、この会社の実質的な事業は「米国の店舗網」1 つに絞られた。


損益計算書の下半分 — ここからは投資会社の決算になる

営業利益 1.602 億ドルと純利益 2.987 億ドルのあいだで、何が起きたのかを見る。

営業利益から純利益までの内訳。営業利益 160.2 百万ドル、受取利息 +77.1、デリバティブ資産の評価益 +166.3、持分投資の未実現利益 +72.1、デジタル資産の評価損 -75.0、その他収益 +19.5、税引前利益 420.2、法人税 -121.5、純利益 298.7 百万ドル
税引前利益 4.202 億ドルのうち、本業が稼いだのは 1.602 億ドルだけである

税引前利益 4.202 億ドルのうち、営業利益は 1.602 億ドルしかない。残る 2.6 億ドルは、事業ではなく保有資産の値動きと利息から出ている。

デリバティブ資産の評価益 1.663 億ドルは、eBay 株を取得するために組んだ金融契約の含み益である。持分投資の未実現利益 7,210 万ドルは、保有している eBay 株そのものの含み益にあたる。デジタル資産の評価損 7,500 万ドルは、保有するビットコインの下落によるものである。

📚 用語: デリバティブ資産 (Derivative Asset) とは 株式や指数などを原資産とする契約のうち、時価評価して資産に計上されるものを指す。GameStop の場合、eBay 株を将来受け取る権利を含む契約がこれにあたる。原資産が値上がりすれば契約の価値も上がり、その分が損益計算書に評価益として乗る。現金は動いていないので、この利益では配当も自社株買いもできない点が重要になる。

GAAP と調整後で EPS が 2 倍違う

会社は投資損益や減損を除いた調整後の数字も出している。調整後純利益は 1.611 億ドルで、前年の 1.383 億ドルに対して +16.5% にとどまる。希薄化後株式数 5.926 億株で割ると、調整後 EPS は 0.27 ドルになる。

EPS の種類Q2 FY26何を表しているか
基本 EPS (GAAP)0.67 ドル純利益 ÷ 発行済株式 4.488 億株
希薄化後 EPS (GAAP)0.51 ドル転換社債が株に変わった前提の 5.926 億株で割った値
調整後 EPS0.27 ドル投資損益を除いた実力値。市場予想 0.19 ドルを上回った

同じ四半期の EPS が、0.67 ドルにも 0.51 ドルにも 0.27 ドルにもなる。どの数字を見出しに採るかで、この決算の印象は完全に変わる。

📚 用語: 希薄化後 EPS (Diluted EPS) とは 転換社債やストックオプションがすべて株式に転換されたと仮定して計算する 1 株あたり利益。GameStop の場合、基本の 4.488 億株に対し希薄化後は 5.926 億株と、株数が 32% 増える。ゼロクーポンの転換社債を大量に発行しているためで、利息は払わない代わりに将来の 1 株あたり利益を薄める構造になっている。利息負担が軽いことだけを見て「実質無コストの資金調達」と考えると、この希薄化を見落とす。


バランスシート — 現金 86.9 億ドルが eBay 株に姿を変えた

この 1 年で最も大きく変わったのは損益計算書ではなく、貸借対照表のほうである。

「現金が、1 銘柄の株式に変わった」の文字が入った図版。左のほぼ空になった金庫から金色の流れが弧を描いて右へ渡り、細く高い 1 本の柱に積み上がっている
分散していた現金が、1 本の柱にまとまった。高さは出るが、倒れるときも 1 本で倒れる
貸借対照表の 1 年間の変化。現金・現金同等物は 8,694.4 百万ドルから 4,854.3 百万ドルへ -3,840.1、持分投資 (eBay 株) はゼロから 4,946.9 百万ドル、市場性のある有価証券は 206.0、デジタル資産・関連債権は 528.6 から 294.1、商品在庫は 484.9 から 439.0、総資産は 10,341.1 から 11,144.8、長期債務は 4,160.9 から 4,167.8、株主資本は 5,176.4 から 6,141.4 百万ドル
現金が減り、代わりに 1 銘柄の株式が資産の 4 割強を占めるようになった

現金は 1 年で 38.4 億ドル減った。キャッシュフロー計算書を見ると、この四半期だけで持分投資の取得に 43.86 億ドルを支払っている。行き先ははっきりしていて、eBay 株である。

8/1 時点の eBay (EBAY) 株の保有は 4,340 万株、時価 49.469 億ドル。1 株あたり約 114 ドル換算になる。総資産 111.4 億ドルのうち 44% が 1 銘柄の株式で、商品在庫 4.39 億ドルの 11 倍にあたる。

🎯 要点: 資産の性格が入れ替わった 1 年前、この会社の資産の大半は「いつでも使える現金 86.9 億ドル」だった。いまは「1 銘柄に集中した株式 49.5 億ドル + 現金 48.5 億ドル」である。同じ総資産でも、価格変動を引き受ける度合いがまったく違う。 会社自身も注意喚起の項目で「投資ポートフォリオが 1 つ、あるいは少数の銘柄に集中していること」をリスクとして挙げている。

事業の設備投資額は四半期で 170 万ドルしかない。営業キャッシュフローは 6,240 万ドル (前年 1.174 億ドル)。店舗に投じた 170 万ドルと、株式の取得に払った 43.86 億ドルでは、桁が 3 つ違う。

転換社債は減らしにいっている

JST 9/4 (金) までに、同社は相対交渉で 2030 年満期と 2032 年満期のゼロクーポン転換社債あわせて約 14 億ドルを消却したと開示した。8/1 時点で 41.7 億ドルあった長期債務は、約 28 億ドルまで減る計算になる。

希薄化の材料を自ら減らす動きであり、株主にとっては数少ない明確な前進といえる。ただし残る 28 億ドルは依然として株主資本 61.4 億ドルの半分近い。


ガイダンス — 通期の調整後 EBITDA を引き上げた

会社が出している唯一の通期見通しは、調整後 EBITDA である。

FY2026 (2027 年 1 月 30 日終了) の調整後 EBITDA 見通しは「6.5 億ドル超」となり、JST 6/26 (金) に示した「6 億ドル超」から引き上げられた。上期の実績は 3.397 億ドルで、既に通期見通しの半分を超えている。

第 2 四半期単独の調整後 EBITDA は 1.740 億ドルで、前年同期の 7,570 万ドルから 2.3 倍になった。

📚 用語: 調整後 EBITDA (Adjusted EBITDA) とは 税引前利益に支払利息・減価償却費を戻し、さらに減損や投資損益など「経常的でない」と会社が判断した項目を除いた指標。設備投資の少ない事業ほど、実際に手元に残る現金に近づく。 GameStop は四半期の設備投資が 170 万ドルしかないため、この指標と現金創出力のずれは小さい。ただし調整項目の線引きは会社ごとに違うので、他社と単純比較はできない。

⚠️ 注記: 売上のガイダンスは出ていない 同社は売上高や EPS の見通しを開示していない。利益指標だけを見通しとして示す姿勢は、売上の減少を前提に置いていることの裏返しとも読める。投資家が売上の着地を推し量る材料は、四半期ごとの実績以外にない。


株価反応 — 決算そのものはほとんど材料になっていない

8/31 の事前開示で主要な数字が先に出ていたため、9/8 の発表で新しく分かったことは限られていた。

GameStop は JST 9/1 (火) にあたる US 8/31 (月)、転換社債の条件変更にあわせて第 2 四半期の暫定値を先に開示している。売上高 7.8-8.0 億ドル、営業利益 1.5-1.7 億ドル、純利益 2.9-3.1 億ドルという範囲で、9/8 の確定値はいずれもその範囲の内側に収まった。

時点株価前日比
US 8/28 (金) 終値17.87 ドル
US 8/31 (月) 終値 (暫定値の開示日)18.38 ドル+2.85%
US 9/8 (火) 終値 (決算発表日)18.89 ドル-1.41%
US 9/8 (火) 時間外18.75 ドル前後-0.7% 前後
US 9/9 (水) 寄り前 (JST 9/9 21:36 時点)19.03 ドル+0.74%

暫定値が出た 8/31 には出来高が 1,095 万株と直前 5 営業日の約 2 倍に膨らみ、株価は +2.85% で反応した。材料が値段に入ったのはこの日で、9/8 の決算当日ではない。

⚠️ 注記: US 9/9 (水) の通常取引の反応は本記事の執筆時点で未確定 本記事は JST 9/9 (水) 夜、US 9/9 (水) の寄り付き前後に執筆している。寄り前は 19.03 ドル (+0.74%) と小幅高だったが、この決算に対する通常取引での評価はまだ確定していない。確定した終値ベースの反応は、後日この記事および JST 9/10 (木) のデイリーで補記する。


eBay をめぐる話は、まだ終わっていない

決算資料そのものに、この件の現在地が書かれている。

「小さいほうが、大きいほうを引こうとしている」の文字が入った図版。左の小さな金色の立方体から張り詰めたロープが伸び、右の巨大な青灰色の球につながっているが、球は動いた跡がない
時価総額で 5 倍の相手に綱をかけた状態が、5 月から続いている

9/8 の決算リリースの注意喚起項目には「当社が提案している eBay の買収を完了できるかどうか」が、依然としてリスク要因として挙がっている。会社自身の最新の書面上、買収提案は取り下げられていない。

経緯を時系列で並べると、この会社が何をしてきたかが見える。

時期出来事
2026 年 2 月eBay 株の 5% を取得
2026 年 5 月1 株 125 ドル、総額 約 560 億ドルの買収を提案 (現金と自社株の半々)
2026 年 5 月eBay 取締役会が「信用できず魅力もない」として拒否
2026 年 6 月実質保有が約 7.8% に。CEO は自らの報酬案の撤回を要請
2026 年 8 月買収提案を取り下げ、提携に切り替える案を検討中と Bloomberg が報道
2026 年 9 月決算リリースのリスク要因に「提案中の買収」が残る

8/1 時点の保有時価は 1 株あたり約 114 ドル換算で、5 月に提示した 125 ドルを下回っている。買収の対価水準に対して市場価格が届いていない状態である。

⚠️ 注記: 報道と一次資料を分けて読む 「買収提案を取り下げる検討」は Bloomberg などの報道であり、会社が公式に撤回を発表したわけではない。一方「提案は継続中」という扱いは、会社が SEC に提出した書面の記載である。両者は矛盾していないが、確度が違う。投資判断では、報道より一次資料の記載を優先して見るのが実務的な順序になる。

なお同社は 2026 年 5 月以降、授権株式数を 15 億株増やす議案を株主総会にかけている。買収対価の半分を自社株で払う構想と、この議案は表裏の関係にある。議案の帰趨は、既存株主の希薄化の上限を決める。


長期投資家の視点

この会社を評価するとき、事業と投資を分けて別々に値段を付けるしかない。

事業だけを取り出すといくらか

上期の調整後 EBITDA は 3.397 億ドル、通期見通しは 6.5 億ドル超である。設備投資が年間でも 1,000 万ドル台にとどまるため、EBITDA はほぼそのまま現金に近い。

一方、8/1 時点の現金・有価証券・デジタル資産の合計は約 53.5 億ドル、eBay 株が 49.5 億ドル、長期債務が 41.7 億ドル (9/4 までの消却後は約 28 億ドル) である。時価総額のうち、どこまでが事業でどこからが資産なのかを自分で切り分ける作業が要る。

立場別に何を見るか

立場何が判断材料になるか
未保有コレクティブルの成長が来期以降も 2 桁で続くか。eBay の件の決着まで待つ選択も合理的
保有中 (含み益)粗利益率 43.7% が一過性か定着かを次の四半期で確認する
保有中 (含み損)転換社債の消却で希薄化リスクが減った点は前進。ただし eBay 株の値動きが業績に直接効く構造は変わらない

次の四半期で確認すべき 5 点

  1. コレクティブルの成長率 — Q1 FY26 の構成比 41.8% から Q2 の 45.1% へ上がった流れが続くか
  2. 粗利益率の水準 — 43.7% を維持できるか、それとも年末商戦の値引きで戻るか
  3. 販管費率 — 23.7% と前年より悪化している。売上減にコスト削減が追いつくか
  4. eBay 株の時価と提案の帰趨 — 保有 4,340 万株の値動きは、そのまま四半期損益に乗る
  5. 転換社債の残高 — 約 28 億ドルからさらに減らせるか。希薄化後株式数 5.926 億株の推移で確認できる

🎯 要点: この決算が示したこと 「小売としての GameStop」は、縮みながら利益率を上げるという、教科書どおりの縮小均衡を実行している。粗利益率 43.7% と営業利益率 20.3% は、専門店として十分に高い水準である。問題は、その事業の 2 倍以上の規模の資産が 1 銘柄の株式に賭けられていることであり、そちらの結果は経営の努力ではほとんど動かせない


マクロ・他銘柄への含意

この 1 社の決算からは、専門店小売とトレーディングカード市場について 3 つの読み取りができる。

  • トレーディングカード市場の拡大 — コレクティブルの +57% は、同社の努力だけでなく市場全体の膨張を映している。同じ追い風は eBay の高マージン領域にも吹いており、GameStop が eBay を欲しがる理由の一端でもある
  • 専門店小売の粗利益率 — 商材の入れ替えで粗利益率が 1,460bp 動くという事例は、他の専門店を見るときの参照点になる
  • ゼロクーポン転換社債の後始末 — 2025 年に大量発行された同種の社債は、株価が上がらないまま満期に向かう局面で希薄化と資本政策の論点になる。GameStop の消却はその初期の実例にあたる

出典


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免責事項: 本記事は情報提供のみを目的としており、特定の証券の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。記載された数値は発表時点の公開情報に基づいており、その後の訂正・確報により変わる可能性があります。

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