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まちまち広い (競争優位は持続的)PLTR (Palantir) — AIP が灯した US 商業 +133% 再加速と Rule of 40=145% の怪物 vs. 予想 PSR 約 40 倍・実績 PSR 約 65 倍
Palantir は政府向け Gotham と商業向け Foundry に AIP (Artificial Intelligence Platform) を重ねるデータ解析プラットフォーム。2026 Q1 (1-3月期、2026/5/4 発表) で総売上 $1.633B (前年比 +85%)、US 商業 (US Commercial) は +133% と 6 四半期連続加速し、US 売上が四半期で初めて前年比 +100% を突破した。GAAP 営業利益率 46% と売上成長 +85% を両立させた Rule of 40=145% は、エンタープライズ ソフトの常識を超える高成長×高収益。だが実績 PSR 約 65 倍・予想 PSR 約 40 倍・予想 PER 約 110 倍は S&P500 で最も高い部類で、数年先の完璧超の実行を前借りしている。現値 $152 はアナリスト平均目標 $183 の下にあるが、弱気目標 $70 とは 2 倍超の開きがありコンセンサスが機能していない。事業は強気、株価は慎重。総合判定はまちまち。
政府の堀の上に AIP の商用 land-and-expand を重ねるデータ解析プラットフォーム。2026 Q1 で US 商業 +133%・Rule of 40=145% という高成長高収益の怪物だが、実績 PSR 約 65 倍・予想 PER 約 110 倍が数年先の完璧超の実行を前借り。事業は強気・株価は慎重で総合はまちまち、見立て 4 本で検証。
スナップショット
2026-06-03 時点株価
$152.17
時価総額
$365B
52 週レンジ
$118.93 – $207.52
バリュエーション
| 指標 | 値 | 比較 | 補足 |
|---|---|---|---|
| 実績 PSR (株価売上倍率) | 約 65-74 倍 | 10年中央値 約 26 倍を大きく上回り S&P500 最高水準 | TTM 売上ベース。gurufocus 65.2 倍 / 247wallst 約 74 倍 (6/3) と出典で幅。いずれも歴史的上限圏 |
| 予想 PSR (Forward PS) | 約 40 倍 | 高成長 SaaS でも突出 (SNOW/DDOG は 1 桁〜10 倍台) | FY2026 売上見通し $7.65-7.66B (+71%) ベース。成長率を加味しても倍率は極端 |
| 予想 PER (Forward P/E) | 約 110 倍 | ソフトウェアセクター中央値 (概ね 20-30 倍台) を大きく上回る | 247wallst 6/3。GAAP は黒字だが PER は完璧超の実行前提。決算後の株価水準で変動 |
| 実績 PER (Trailing P/E) | 約 180 倍 | — | 247wallst 6/3。一過性の利息収入が純利益を押し上げている点に留意 (実力は営業段階で見る) |
| PEG | 約 1.6-1.7 倍 | 成長を加味しても 1 倍超 (割高側) | gurufocus 1.59 / stockanalysis 1.74。+85% の高成長でも倍率を完全には正当化しない |
| 対アナリスト平均目標 | $183.73 | 現値 $152 比 約 +21% (なお上値余地) | 247wallst 6/3。ただし目標レンジは弱気 $70 〜 強気 $255 と 3.6 倍に開き、コンセンサスが機能していない |
競合との比較— Rule of 40 系 (売上成長率 + 営業利益率) と直近の売上成長率 (2026年5-6月時点)
| 企業 | 値 | 自社との対比 | 補足 |
|---|---|---|---|
| NOWServiceNow (ワークフロー SaaS) | Rule 約 53 (成長 +21% / 非GAAP 営業利益率 32%) | 利益率は最高水準だが成長は PLTR に大きく劣後 | 規模・収益性で安定だが PLTR の +85% 再加速には及ばない。出典: 各社決算・報道 |
| DDOGDatadog (オブザーバビリティ) | Rule 約 54 (成長 +32% / 非GAAP 営業利益率 22%) | 成長は PLTR の半分以下、Rule 系も 1/3 弱 | 高成長 SaaS の中でも PLTR の両立度に届かない。出典: DDOG 決算・報道 |
| SNOWSnowflake (データクラウド) | Rule 約 45 (製品成長 +31% / 非GAAP 営業利益率 約 13%) | 成長・利益率とも PLTR に劣後。AIP の直接競合領域 | 商業データ基盤で一部競合。収益性で見劣り。出典: SNOW 決算・報道 |
ファンダメンタルズ
総売上 (Q1 2026, YoY)
$1.633B (+85%)
再加速
2026/5/4 発表。前四半期から成長率が加速。コンセンサス上回り
US 商業売上 (US Commercial)
$595M (+133% YoY)
6 四半期連続加速
顧客 615 社 (+42% YoY)、ネット維持率 (NRR) 150%。見立ての核心 KPI。AIP の land-and-expand が点火
US 政府売上 (US Government)
$687M (+84% YoY)
高成長維持
US 売上合計 $1.282B (+104%)。US 売上が四半期で初めて前年比 +100% を突破
GAAP 営業利益 (本業)
$754M (営業利益率 46%)
—
利息収入を除く本業の実力値。エンタープライズ ソフトとして極めて高い水準。Rule of 40=145% の源泉
GAAP 純利益
$870.5M (純利益率 53%)
—
うち利息+その他収益 約 $135M は一過性に近い (本業は営業段階 46%)。純利益率 53% を実力と誤認しない
株式報酬 (SBC)
約 $202M
売上の約 12%
GAAP 黒字でも希薄化要因。発行株式 約 24 億株で毎期じわり増える
調整フリーキャッシュフロー
$925M (FCF マージン 57%)
記録的
利息に頼らず本業でキャッシュ創出。他の高 PSR 銘柄と決定的に違う点
残存契約価値 (RPO)
$4.5B (+134% YoY)
先行指標が同方向
契約総額 (TCV) 四半期 $2.41B (+61%)。将来売上の裏付け
Rule of 40
145% (成長 +85% + 調整営業利益率 60%)
高成長と高収益の同時達成は競合の 2-3 倍。SaaS で稀有
強気材料 / 弱気材料
強気材料
US 商業が 6 四半期連続で加速 (+133%)
US Commercial 成長率が +40% 台 (2024 Q1) から +133% (2026 Q1) へジャンプし 6 四半期連続加速。顧客 615 社 (+42%)、NRR 150%。AIP の land-and-expand が政府依存を脱し、商業が新たな成長エンジンとして点火した。見立ての核心が想定を超えて進捗。
Rule of 40=145% の稀有な高成長×高収益
売上成長 +85% と GAAP 営業利益率 46% (調整 60%) を同時達成。Rule of 40 系で 145% は Rule of 80 すら超え、ServiceNow/Datadog/Snowflake の 2-3 倍。成長と利益はトレードオフという SaaS の常識を破る。
先行指標が同方向を指す
残存契約価値 (RPO) $4.5B (+134%)、契約総額 (TCV) 四半期 $2.41B (+61%)。FY2026 ガイダンスを総売上 +71%・US 商業 +120% 超へ引き上げ。将来売上の裏付けが強い。
利息に頼らず本業で稼ぐキャッシュ創出
調整フリーキャッシュフロー $925M (マージン 57%)。手元現金 $80 億超の利息ではなく営業段階 (利益率 46%) で稼げている。GAAP 黒字の質が他の高 PSR 銘柄と決定的に違う。
弱気材料
倍率が数年先の完璧超の実行を前借り
実績 PSR 約 65 倍・予想 PSR 約 40 倍・予想 PER 約 110 倍は S&P500 最高水準。成長率が常識的水準 (+30% 台) へ 1 度減速しただけで評価倍率の切り下げ (de-rate) が起き、30-50% の調整余地。弱気アナリストは年末 $103-105 を試算。
純利益に利息収入と株式報酬の歪み
純利益率 53% のうち本業は 46% で、差の約 $135M は手元現金の利息+その他収益という一過性に近い収益。金利低下局面で剥落しうる。加えて株式報酬 (SBC) が売上の約 12% で GAAP EPS を毎期希釈。
フォワード デプロイド モデルへのコンサル経済性批判
弱気派 (Jefferies 等) は、現地常駐エンジニアが顧客に張り付く展開モデルはコンサル的経済性で、純粋なソフトのスケーラビリティを欠くと指摘。商業 AI 層の優位は政府ほど構造的でなく、クラウド大手・Snowflake との競合で価格・速度を問われ続ける。
政府予算依存と需給の振れ
売上の約 4 割が政府。予算削減・効率化 (DOGE 的な歳出見直し) は受注機会にも逆風にもなり両論ある。S&P500 採用 (2024/9) 後はパッシブ需給と個人投資家の人気で株価のボラティリティが大きい。
投資の見立てと「外れる条件」
各見立ては「何を予想しているか」だけでなく「何が起きたら外れか」をセットで明示する。下の「外れる条件」が満たされたら、その見立ては見直しが必要になる。
AIP の land-and-expand で US 商業が政府依存を脱し、新たな成長エンジンとして定着する
成立- 反証条件
- US 商業の前年比成長率が 2 四半期連続で +60% を割る、または FY2026 US 商業が会社見通し $3.224B (+120%) を達成できない
- 確認方法
- FY2026 各四半期決算の US Commercial 売上 (Q2 は 2026/8 上旬発表)
残存契約価値 (RPO) が将来売上を裏付け、先行指標として強さを保つ
成立- 反証条件
- RPO の前年比成長が +60% を割る、または前期比でマイナスに転じる
- 確認方法
- FY2026 各四半期決算の RPO 開示
利息収入を除く本業 (営業段階) の高収益が持続し、成長と利益を両立し続ける
成立- 反証条件
- GAAP 営業利益率 (本業) が 35% を下回る、または Rule of 40 系が 100 を割る
- 確認方法
- FY2026 各四半期決算の income from operations
実績 PSR 約 65 倍は +85% の高成長で一部正当化され、急落せずに成長へ収れんする
揺らぎ- 反証条件
- 成長減速で予想 PSR が維持されず株価が高値から 30% 超下落する、または PSR が 30 倍台へ収縮する
- 確認方法
- 株価 × 予想売上 の PSR 推移と四半期成長率
リスク
| リスク要因 | 重大度 | 補足 |
|---|---|---|
| バリュエーション調整 (de-rate) リスク | 高 | 実績 PSR 約 65 倍・予想 PER 約 110 倍は完璧超の実行が前提。成長 1 度の減速・金利上昇・グロース選好後退のいずれでも 30-50% 調整余地。弱気試算は年末 $103-105 |
| 政府予算・地政学 | 中 | 政府が売上の約 4 割。歳出効率化 (DOGE 的見直し) は受注機会と逆風の両論。地政学・調達サイクルに左右される |
| 希薄化 / 株式報酬 (SBC) | 中 | 売上の約 12% の株式報酬が GAAP EPS を毎期希釈。発行株式 約 24 億株で長期リターンを侵食。倍率前提では希薄化の影響が大きい |
| 商業 AI 層の競争 | 中 | クラウド大手・Snowflake・Databricks 等と AIP 層で競合。商業の堀は政府ほど構造的でなく、価格・速度・モデル選好の変化にさらされる |
| 利息収入の剥落 | 低 | 純利益率 53% のうち約 7pt 相当が利息+その他収益。金利低下で純利益が目減りし、PER がさらに割高に見える可能性 |
今後の注目イベント
| イベント | 時期 | 注目度 | 補足 |
|---|---|---|---|
| 2026 Q2 決算 | 2026年8月上旬 | 高 | US 商業成長率の継続性と RPO の方向性を確認する直近の最重要イベント。+120% 超ガイダンスの達成度が焦点 |
| FY2026 ガイダンス更新 | FY2026 各四半期 | 高 | 総売上 +71%・US 商業 +120% 超の引き上げ後ガイダンスを上回り続けられるか。減速の最初の兆候を最も早く映す |
| 大型政府・国防契約 | 随時 | 中 | ShipOS 等の大型受注や同盟国政府への展開。Gotham の堀を補強する材料 |
| AIP 関連の商用拡大開示 | FY2026 通年 | 中 | ブートキャンプ→本契約の転換率、顧客数・契約規模の継続開示が land-and-expand の持続性を示す |
| 金利動向 (FOMC) | 随時 | 低 | 手元現金 $80 億超の利息収入 (約 $135M/四半期) への影響。バリュエーションのグロース感応度にも波及 |
公式情報源
投資の見立て
Palantir (PLTR) は 政府向け Gotham と商業向け Foundry の上に AIP (Artificial Intelligence Platform) を重ねるデータ解析プラットフォーム だ。生のデータを統合し、LLM を「業務オペレーション」に接続して意思決定そのものを動かす。創業以来の地盤は機密情報を扱う政府・国防だが、いま見立ての核は別にある——AIP が商業側に火を点け、政府依存を脱しつつあることだ。
投資の核は綱引きである。事業の質は怪物級——2026 Q1 (1-3月期、2026/5/4 発表) で総売上 $1.633B (前年比 +85%)、US 商業 (US Commercial) は +133% と 6 四半期連続で加速し、US 売上が四半期で初めて前年比 +100% を突破した。GAAP 営業利益率 46% と +85% 成長を両立させた Rule of 40=145% は、エンタープライズ ソフトの常識を破る。だが 株価は数年先の完璧超の実行を前借りしている——実績 PSR 約 65 倍・予想 PSR 約 40 倍・予想 PER 約 110 倍 (株価 $152、2026/6/3 時点) は S&P500 で最も高い部類だ。現値はアナリスト平均目標 $183.73 の下にあるが、目標レンジは弱気 $70 〜 強気 $255 と 3.6 倍に開く。総合判定は まちまち——事業は強気、株価は慎重。「何を買うか」より「いくらで買うか」が全ての銘柄になる。
📚 用語: land-and-expand (ランド アンド エクスパンド) — 小口契約で導入させ、実務成果を見せてから大型契約へ広げる販売モデル。PLTR は「ブートキャンプ」(数日で成果物を作る無償〜低額の体験) を入口 (land) にし、同じ AIP 上で利用範囲を拡張 (expand) させる。ネット維持率 (NRR) 150%——既存顧客が前年比 1.5 倍に支出を増やす——がその成功度を映す。
会社概要 — 何で稼いでいるか (4 製品の上に AIP を重ねる)
PLTR の製品は 4 つだ。(1) Gotham — 政府・国防の作戦オペレーティングシステム。(2) Foundry — 商業向けのデータ統合・運用基盤。(3) Apollo — 継続的デプロイ層。(4) AIP — LLM を実務に接続し意思決定を駆動する層で、いま成長の主役。収益は地域 × 顧客タイプで開示される。
2026 Q1 の US 内訳は以下の通り。注目は US 商業の成長率の時系列だ:
| 四半期 | US 商業 (US Commercial) 成長率 (前年比) |
|---|---|
| 2024 Q1 | +40% |
| 2024 Q4 | +64% |
| 2025 Q1 | +71% |
| 2025 Q2 | +93% |
| 2025 Q3 | +121% |
| 2025 Q4 | +137% |
| 2026 Q1 | +133% |
成長率が +40% 台から +130% 台へ 6 四半期連続で加速した。US 商業売上は $595M、顧客は 615 社 (+42%)。US 政府 (US Government) も $687M (+84%) と高成長を保ち、US 売上合計 $1.282B は四半期で初めて前年比 +100% を突破した。先行指標も同方向——残存契約価値 (RPO) $4.5B (+134%)、契約総額 (TCV) 四半期 $2.41B (+61%)。これが見立ての核である。
競争優位 (堀) の分析 — 政府の構造的な堀 + AIP の先行 (評価: 広い)
競争優位の出所は二層だ。第一に 政府の構造的な堀——機密情報の取り扱い認証、国防ワークフローへの深い統合、長期のスイッチングコストが新規参入をほぼ封じる無形資産。第二に AIP の先行と land-and-expand——ブートキャンプで実務成果を即座に見せ、小口から大型契約へ広げる販売の仕組み。一度業務オペレーションを AIP で組んだ顧客は、剥がすのが難しい。
最も 脆い縁は商業側にある。AIP の技術的優位は政府ほど構造的でなく、Microsoft・Snowflake・Databricks や各クラウドの AI 層との競合で価格・速度・モデル選好を問われ続ける。弱気派の Jefferies は「現地常駐エンジニアが張り付く展開モデルはコンサル的経済性で、純粋なソフトのスケーラビリティを欠く」と指摘する。政府の堀は広く深いが、成長の主役である商業の堀はまだ「先行」止まりだ。
競合との比較 — 「成長と収益の両立度」で広がっている
「業界最良」で止めず、Rule of 40 系 (売上成長率 + 営業利益率) で横並びにすると PLTR の立ち位置が立体的に見える。
| ティッカー | 企業 | 売上成長率 | 営業利益率 (非GAAP) | Rule of 40 系 |
|---|---|---|---|---|
| PLTR | Palantir | +85% | GAAP 46% / 調整 60% | 約 145 |
| NOW | ServiceNow | +21% | 32% | 約 53 |
| DDOG | Datadog | +32% | 22% | 約 54 |
| SNOW | Snowflake | +31% (製品) | 約 13% | 約 45 |
PLTR の Rule of 40 系スコアは競合の 2-3 倍。US 商業の成長率が 6 四半期連続で加速していることを踏まえると、両立度の優位はいま広がっている。ただしこの優位がそのまま株価倍率を正当化するかは別問題で、競合が予想 PSR 1 桁〜10 倍台にとどまる中で PLTR だけが約 40 倍という事実は、優位の大きさ以上に株価が走っていることを示す。
📚 用語: Rule of 40 / Rule of 80 — SaaS の健全性指標で「売上成長率 + 利益率 ≥ 40」なら優良とされる。成長と利益はトレードオフになりやすいため両立が難しい。PLTR の 145 は成長 +85% + 調整営業利益率 60% で、Rule of 80 すら超える稀有な水準。これが「事業の質は本物」という見立ての裏付けになる。
ファンダメンタルズ — 数字で見る健全性 (利息と本業を分ける)
2026 Q1 の GAAP 純利益は $870.5M (純利益率 53%) だが、ここを実力値と分ける必要がある。本業の GAAP 営業利益は $754M、営業利益率 46%——これが実力だ。残りの差、利息収入とその他収益 約 $135M は手元現金・短期国債 $80 億超の運用益で、純利益を約 15% 押し上げている。金利低下局面では剥落しうる一過性に近い収益なので、純利益率 53% を実力と誤認しない。本業は 46% で見るのが正しい。
加えて 株式報酬 (SBC) が約 $202M (売上の約 12%) ある。GAAP 黒字でも希薄化要因で、発行株式 約 24 億株は毎期じわり増える。一方、調整フリーキャッシュフローは $925M (マージン 57%) と現金創出は本物。利息という一過性を除いても、本業 (営業段階) で稼げている点が、赤字のまま高 PSR を正当化しようとする他の高成長銘柄と決定的に違う。
バリュエーション — 高いのか安いのか (利益倍率より売上倍率が極端)
| 指標 | 値 (2026/6/3 基準) | vs |
|---|---|---|
| 実績 PSR | 約 65-74 倍 | 10 年中央値 約 26 倍を大きく上回る |
| 予想 PSR | 約 40 倍 | 同業の高成長 SaaS (1 桁〜10 倍台) を大幅に上回る |
| 予想 PER | 約 110 倍 | ソフトウェア中央値 (20-30 倍台) を大きく上回る |
| 実績 PER | 約 180 倍 | 利息収入が押し上げた純利益ベースなので過大に見える |
| PEG | 約 1.6-1.7 倍 | +85% の高成長を加味しても 1 倍超 (割高側) |
実績 PSR 約 65 倍 (PER より PSR が極端) は、市場が「現在の売上の何十倍もの将来売上」を織り込んでいることを意味する。売上成長率 +85% に対し PSR 65 倍は、成長率が常識的水準 (+30% 台) へ 1 度減速した瞬間に 評価倍率の切り下げ (de-rate) が起きる構造だ。PEG 1.6-1.7 は成長を加味しても割高側を示す。現値 $152 はアナリスト平均目標 $183.73 (約 +21%) の下にあるが、目標レンジが弱気 $70 〜 強気 $255 と 3.6 倍に開いていること自体が、コンセンサスが機能していない=誰も適正値を握れていないことの表れだ。
📚 用語: PSR (株価売上倍率) と de-rate — PSR は時価総額 ÷ 売上。赤字・高成長企業の評価に使うが、PLTR の約 65 倍は「将来売上の何十倍」を織り込む水準。成長が減速すると、利益倍率 (PER) より先に売上倍率 (PSR) が切り下がる (de-rate) のが典型で、株価調整の主因になりやすい。
強気材料 / 弱気材料
強気の中心は US 商業の再加速だ。+40% 台から +133% へ 6 四半期連続で加速し、政府依存を脱して商業が新エンジン化しつつある。NRR 150%・RPO +134% と先行指標も強い。そして Rule of 40=145% という高成長×高収益の両立は、競合の 2-3 倍で、SaaS では稀有だ。
弱気の中心は 倍率である。実績 PSR 約 65 倍・予想 PER 約 110 倍は完璧超の実行を数年前借りし、成長 1 度の減速で 30-50% の調整余地。純利益の歪み (利息収入・株式報酬) と、商業 AI 層の構造的でない堀、政府予算依存も重しになる。事業の質と価格が、これほど鮮明に対立する銘柄は少ない。
投資の見立てと「外れる条件」
事業面は強気、株価面は中立——「優れた事業だが、現値は将来 3-5 年の完璧な実行を前借りしている」。買い手が負ける条件は明確で、(a) US 商業の加速が止まり減速に転じる、(b) PSR が成長減速で切り下がる、の 2 点に集約される。下の検証 KPI で四半期ごとに追える。両論を並べただけで終わらせず、ここでは「事業は崩れていないが株価倍率は脆い」という立場を取り、その立場が崩れる数値を明示する。
リスク
最大の構造リスクは バリュエーション調整 (de-rate) だ (severity: high)。実績 PSR 約 65 倍・予想 PER 約 110 倍は完璧超の実行が前提で、成長減速・金利上昇・グロース選好後退のいずれでも 30-50% 調整余地がある。次に政府予算・地政学 (約 4 割が政府)、株式報酬による希薄化 (売上の約 12%)、商業 AI 層の競争 (Snowflake・クラウド大手) が続く。利息収入の剥落も純利益を目減りさせる尾部リスクだ。
今後の注目イベント — 株価を動かす材料
最重要は 2026 Q2 決算 (2026年8月上旬) で、US 商業成長率の継続性と RPO の方向性を確認する直近のイベント。引き上げ後の FY2026 ガイダンス (総売上 +71%・US 商業 +120% 超) を上回り続けられるかが焦点で、減速の最初の兆候を最も早く映す。大型政府・国防契約、AIP の商用拡大開示、金利動向 (FOMC) も見立ての転換点になり得る。
立場別の視点
| 立場 | 確認すべき条件 (売買命令ではない) |
|---|---|
| 未保有 | 実績 PSR 約 65 倍は分割買い前提。US 商業が +100% 割れに減速し PSR が 30 倍台へ正常化する押し目が、リスク・リワード上の確認点 |
| 含み益 | 「US 商業成長率」の前期比モメンタムが鈍り始めた四半期が、見立ての一次サイン。RPO 前年比 +60% 維持を併せて確認 |
| 含み損 | 検証 KPI (下記) が on-track なら事業は崩れていない。崩れたのは株価倍率であり、ナンピンより KPI が broken 化するかの見極めが先 |
長期で確認すべき指標 5 つ
- US 商業 (US Commercial) 前年比成長率 — +60% 割れが 2 四半期続けば商業エンジンの失速 (見立て①の外れる条件)
- 残存契約価値 (RPO) 前年比 — +60% 割れ or 前期比マイナスで先行指標が崩れる (見立て②)
- GAAP 営業利益率 (本業、利息除く) — 35% 割れで高収益の両立が崩れる (見立て③)
- 予想 PSR の推移 — 30 倍台への収縮 or 高値から 30% 超下落で倍率正当化が崩れる (見立て④)
- 株式報酬 (SBC) / 売上 比率と発行株式数 — 希薄化が長期リターンをどれだけ侵食するか
出典
- Palantir Q1 2026 10-Q (SEC EDGAR)
- Palantir 10-K / 10-Q 一覧 (SEC EDGAR)
- Palantir Investor Relations
- Palantir Reports Q1 2026 U.S. Revenue Growth of 104% Y/Y and Revenue Growth of 85% Y/Y (Yahoo Finance / プレスリリース)
- Palantir (PLTR) Q1 earnings report 2026 (CNBC)
- Palantir Q1 2026 slides: US revenue tops 100% growth, Rule of 40 hits 145% (Investing.com)
- Palantir Q1 2026 Earnings: U.S. Revenue Crosses 100% Growth (TIKR)
- Buy, Hold, or Sell: Palantir Stock At $152? (24/7 Wall St., 2026/6/3 — 株価・PER・PSR・52週レンジ・目標株価)
- Palantir Technologies (PLTR) PS Ratio (GuruFocus)
- Palantir Technologies Price to Sales Ratio (MacroTrends)
- Palantir Technologies (PLTR) Stock Forecast and Price Target 2026 (MarketBeat — 目標株価レンジ)
- Palantir Q1 2026 has broken the enterprise software mold again (SaaStr)
本記事は情報提供のみを目的としています。投資勧誘や個別銘柄の売買推奨ではありません。最終的な投資判断はご自身の責任で行ってください。