EARNINGS · Q1 FY26
まちまちHD Q1 FY26 — 売上 $41.8B (+4.8%) は小幅ビートも既存店 +0.6% と力強さ欠く。GAAP 減益 + 住宅市場の弱さで複数社が目標引下げ、『ヘッドラインより中身』の決算
Home Depot Q1 FY26 は売上 $41.77B (+4.8%、予想 $41.52B)、調整後 EPS $3.43 と小幅ビートも、既存店 +0.6% と力強さを欠き GAAP 減益。高金利の住宅市場で大型リフォーム先送りが続く。通期ガイダンスは維持も、Wolfe・Jefferies・Truist など複数社が目標株価を引下げ。HD 株は過去 1 年で −21%。『ヘッドラインより中身』の決算。
売上 $41.8B (+4.8%)・調整後 EPS $3.43 は小幅ビートも、既存店 +0.6% と力強さを欠き GAAP 減益。高金利の住宅市場で大型リフォーム先送りが続き、複数社が目標株価を引下げ。『ヘッドラインより中身』の決算。
数字サマリ
EPS
REVENUE
EPS
売上
主要 KPI
既存店売上 (Comparable Sales)
+0.6%
力強さ欠く
米国既存店は +0.4%。住宅市況の弱さを反映
総売上
$41.77B
+4.8% YoY
予想 $41.52B を小幅上回り
調整後 EPS
$3.43
小幅ビート
前年比では −3.7%
GAAP EPS
$3.30
減益
純利益 $3.3B (前年 $3.4B)
ガイダンス
| 項目 | 値 | 判定 | 補足 |
|---|---|---|---|
| FY26 通期 売上成長 | +2.5-4.5% | 据え置き | 据置 |
| FY26 調整後 EPS 成長 | ほぼ横ばい〜+4% | 据え置き | — |
株価反応
公式情報源
1 行サマリ
HD が US 5/19 (火) 寄り前 (BMO) = JST 5/19 (火) 22:30 頃に Q1 FY26 を発表。「小幅ビートの裏で住宅市況の弱さが続く」決算でした。売上 $41.77B (+4.8% YoY) は予想 $41.52B を、調整後 EPS $3.43 は予想 $3.41 を小幅に上回りましたが、事業の地力を示す既存店売上 (Comparable Sales) は +0.6% (米国 +0.4%) と力強さを欠き、GAAP EPS は $3.30 (前年 $3.45) へ減益でした。
背景は高金利が続く住宅市場です。住宅ローン金利が高止まりするなか、顧客は大型のリフォーム プロジェクトを先送りしており、同業 Lowe's の CEO は「金融危機以来最も難しい住宅市場」と表現しました。
通期ガイダンス (売上 +2.5-4.5%、調整後 EPS 最大 +4%) は維持されましたが、Wolfe ($416→$365)、Jefferies ($454→$361)、Truist ($394→$369) など複数社が目標株価を引下げました。HD 株は過去 1 年で約 −21%。総合判断: まちまち (mixed) — 数字は予想を超えたものの、住宅市況という構造要因が重く、回復の時期が見えにくい状態です。
数字の中身
EPS / 売上
| 項目 | 実績 | コンセンサス / 前年 | 評価 |
|---|---|---|---|
| 調整後 EPS | $3.43 | 予想 $3.41 | 小幅ビート (前年比 −3.7%) |
| GAAP EPS | $3.30 | 前年 $3.45 | 減益 |
| 総売上 | $41.77B | 予想 $41.52B | 小幅ビート (+4.8% YoY) |
| 既存店売上 (Comparable Sales) | +0.6% | 米国 +0.4% | 力強さ欠く |
📚 用語: 既存店売上 (Comparable Sales) と住宅市場の関係 Home Depot の既存店売上は、米国の住宅市場の体温計。住宅の購入・売却が活発だと、新居のリフォームや修繕需要が増え既存店が伸びる。逆に高金利で住宅取引が停滞すると、大型プロジェクトが先送りされ既存店が鈍る。今回の +0.6% は「客足はあるが、大きな買い物 (キッチン改装・増築など) を控えている」状態を示す。総売上 +4.8% との差 (出店やサービス事業の寄与) を差し引くと、コア需要は弱いことが分かる。
大型 vs 小型プロジェクト — 需要の二極化
客足自体は維持されている一方、金額の大きいリフォームが先送りされる「需要の二極化」が続いています。小規模な修繕・メンテナンス需要は底堅いものの、住宅の買い替えに伴う大型支出が戻らない限り、既存店の力強い回復は見込みにくい構図です。
📚 用語: 金利と住宅リフォーム需要 — なぜ HD は金利敏感株なのか 住宅ローン金利が高いと、(1) 住宅の購入・売却が減り新居リフォーム需要が細る、(2) 住宅担保ローン (HELOC) でリフォーム資金を借りるコストが上がり大型工事を控える、という二重の逆風が働く。Home Depot は「住宅取引 × 金利」の影響を最も受ける小売の一つで、FOMC の利下げ観測が同社株を動かす重要な材料になる。逆に言えば、金利低下局面では先送りされた需要が一気に戻る「ペントアップ需要」の恩恵を受けやすい。
ガイダンス分析
この決算が市場の論争にどう答えたか
強気派の見立てへの回答:
- ✅ 売上・調整後 EPS とも予想を小幅に上回り、通期ガイダンスを維持
- ✅ 客足は維持され、ペントアップ需要 (先送りされた大型工事) の蓄積が進む
弱気派の見立てへの回答:
- ❌ 既存店 +0.6% と力強さを欠き、GAAP は減益
- ⚠️ 高金利の住宅市場という構造要因は HD の努力では変えられない
- ⚠️ Wolfe・Jefferies・Truist など複数社が目標株価を引下げ
結論: 数字は 無難だが、住宅市況の回復が見えるまでは 横ばい圏。金利低下が最大の株価材料。
通期 FY26 ガイダンス
| 項目 | ガイダンス | コメント |
|---|---|---|
| 通期売上成長 | +2.5-4.5% | 据置 |
| 調整後 EPS 成長 | ほぼ横ばい〜+4% | 据置 |
株価反応
- 発表当日 US 5/19 (火): 反応は限定的 (小幅安)
- 過去 1 年で約 −21% と、住宅市場の弱さを織り込んできた経緯
- 小幅ビートでも「既存店の弱さ」が嫌気され、上値は重い
📚 用語: なぜ「小幅ビート」でも株価が動かないのか — 営業レバレッジの逆回転 売上が予想を上回っても、それが「出店やサービスのかさ上げ」で、コアの既存店が弱い場合、市場は中身を見抜いて反応しない。さらに HD のような大型小売は、売上が伸びないと固定費 (店舗・人件費) の負担が相対的に重くなり、利益率が下がる「営業レバレッジの逆回転」が起きる。GAAP 減益はこの兆候。ヘッドラインの「ビート」より、既存店と利益率の中身を見るのが鉄則。
決算後のニュース・反応
アナリスト目標株価 / 格付け変更
| ハウス | ターゲット 前 → 後 | コメント |
|---|---|---|
| Wolfe Research | $416 → $365 | 引下げ |
| Jefferies | $454 → $361 | 大幅引下げ |
| Truist | $394 → $369 | 引下げ |
ただしコンセンサスは依然 Strong Buy (16 Buy / 4 Hold)、平均目標 $411.83 (約 +38% の上昇余地)。
重要な観察
複数社が目標株価を引下げつつ、格付けは Buy 維持というパターンは、「事業の質は評価するが、住宅市況の回復が遅れている分だけ期待値を下げる」という市場の見立てを表します。投資シナリオ (金利低下でペントアップ需要が戻る) 自体は健全で、タイミングの問題というのが大勢です。
経営陣コメント
- 高金利の住宅市場で大型プロジェクトが先送りされている一方、客足とプロ向け (Pro) 需要は底堅いと説明 (詳細はトランスクリプト参照)
同業への波及
長期投資家の視点
立場別の判断
| 立場 | 見方 |
|---|---|
| 未保有 | 過去 1 年 −21% で住宅市況の弱さは相当織り込み済み。金利低下を見込むなら、ペントアップ需要の回復を取りに行く長期エントリー候補 |
| 保有中 (含み益) | 配当貴族としてのインカム性は健在。住宅市況の回復を待つ忍耐が必要 |
| 保有中 (含み損) | 構造要因 (金利・住宅) は HD の責任ではない。金利低下が転機になるため、慌てて売る局面ではない |
次の四半期で確認すべき指標
- 既存店売上 (Comparable Sales) — +0.6% から加速するか
- 住宅ローン金利の動向 — 株価を動かす最大の材料
- 大型プロジェクト需要の回復 — ペントアップ需要が戻り始めるか
- プロ向け (Pro) 売上 — 専門業者需要の底堅さ
- 営業利益率 — 売上鈍化下でのコスト管理
マクロ・他銘柄への含意
- 住宅市場の体温計 — HD・LOW の既存店は、米住宅市況と金利環境を映す。FOMC の利下げ観測と直結
- 金利敏感セクター — 住宅関連 (建材・家具・住宅建設) 全体への波及。金利低下局面ではペントアップ需要で巻き返す余地
- 長期投資家として — HD は「金利低下を待つバリュー × インカム」銘柄。焦点は事業ではなくマクロ (金利・住宅取引)